「経営と現場をつなぐ。社内でその役割を担うのは、経営企画だと思っています」
そう話すのは、ウォンテッドリーで経営企画のリーダーを務める平田 大(ひらた まさる)だ。経営と現場。その距離が広がるほど、情報伝達のスピードや正確性は低下し、組織の成長にも歪みが生じてしまう。だからこそ必要なのは、経営に寄るだけでも、現場に寄り添うだけでもない。両者をつなぎ、意思決定を前に進める「ハブ」となる存在だという。
前職では経営管理部長として組織の意思決定を支える役割を担ってきた平田が、あえて築き上げた地位を離れ、なぜウォンテッドリーを選んだのか。今回のインタビューでは、経営企画が担う「新しい価値」を見出し、事業成長に貢献しようとする彼の覚悟に迫った。
平田 大(Corporate Planning Squad Leader)
大学卒業後、大手監査法人に入所。その後、コンサルティング会社に転職し、中小企業向けに会計業務の支援を行う。前職となる事業会社では経営管理部長として企業成長の基盤づくりを担う。2025年7月、ウォンテッドリー株式会社に入社し、経営企画のリーダーを務める。経営者の想いを胸に、さまざまな組織の接着点になれるような人材を目指している。
監査法人、コンサル、事業会社。自分の価値を問い続けた日々
ーー大学卒業後は、大手監査法人へ入所したとお聞きしました。就活時はどのような軸を大切にしていたのでしょうか?
父親が税理士事務所を営んでいたこともあり、幼少の頃から税理士や会計士が身近な存在だったんです。その影響で大学は商学部に進み、公認会計士を目指して予備校にも通いました。就活のタイミングで、「自分のやりたいことが分からない」といったありがちな悩みや葛藤はなくて。「家業を継ぐために、公認会計士を目指そう」と、自分の中で自然に決まった感じです。
試験合格後に監査法人を選んだのは、実務経験を積むためです。というのも資格取得には、2年間の実務経験が必要でして。「合格者が監査法人でキャリアをスタートする」というのはいわば王道ルートで、私もその流れに沿ったかたちですね。
ーーそこからはどのようなキャリアを歩まれたのでしょうか?
監査法人には5年ほど勤めました。就職氷河期で採用を絞っていた時期だったこともあり、周囲には優秀な人が多かったですね。企業の経理や課長クラスの方にヒアリングをしたり、1年を通じて監査を回していくプランニングをしたり。経験を積むなかで、メンバーのリードを任せてもらえるようになり、ややハードワークではありましたが、恵まれた時間を過ごせたと思います。
一方で、次第に「数字をチェックする」だけではなく、「数字を一緒につくる」側にまわりたいという想いが強まってきました。監査法人の存在意義は、企業の財務情報の信頼性を第三者として保証し、投資家や社会全体の健全な経済活動を支えること。いわば「社会インフラ」なんです。ただ、その構造を理解していれば、企業を支える“守り”にとどまらず、“攻め”にも転じられるのではないか、と。
会計の知識を使って、企業成長に直接関わる。会計基盤を整えることも、新規事業のPLを組み立てることもできる。自分が社会に提供できる価値は、もっと大きいはず。そう考えてからは、家業を継ぐよりも、より事業や企画に近い仕事に挑戦したい気持ちが強まりました。
そこから、中小企業を主な顧客とする経営コンサルティングファームへ。事業成長に課題を抱えた企業の再生支援を行うチームで経験を積みました。その後、HR領域で事業を展開する会社へ移り、経営管理部の部長として経営判断を支える役割を担います。7年ほど在籍し、経理、財務、経営企画、さらには営業企画まで、幅広い経験を積ませていただきました。
ーー順風満帆なキャリアを歩んでいるように思いました。築いたポジションを離れ、転職を決意された理由を教えてください
「新しい挑戦の場を探していた」というのが、率直な理由です。長く在籍した会社には強い愛着もありましたし、代表の次にビジョンを熱く語っていたのは自分だという自負もありました。
そのなかで特に印象に残っているのが、組織が拡大していく過程で直面した「人数の壁」です。50人、100人と規模が大きくなるにつれて、経営の思いが現場に届きづらくなり、同時に現場の重要な情報も経営に上がってこなくなる。組織としての意思が分断されているように感じていました。
ただ、一人ひとりと丁寧に対話してみると、根底には「会社が好き」という共通の想いがあって。そこで、管理職を巻き込みながら、ビジョンに立ち返り、会社が目指す世界観を揃えていくプロジェクトを立ち上げました。
対話を重ねていくうちに協力者がどんどん増え、組織が一枚岩になっていく手応えを感じることができました。「私利私欲ではなく、会社のために動いている」という想いが伝わったのだと思います。
こうした経験を新しいフィールドでも再現できるか。そこに挑戦してみたいと思うようになったんです。ウォンテッドリーはこれから150名、200名と組織拡大を目指すフェーズにあり、新たな「人数の壁」に直面する可能性が高い。ここでなら、自分のこれまでやってきたこと、そしてこれからやりたいことがマッチするかもしれない。そんな感覚がありました。
ミッションへの共感なくして、言葉に熱は帯びない
ーーWantedlyの印象を教えてください
数年前、元同僚が「Wantedlyをきっかけに今の会社を知った」と言っていたのが印象に残っていました。単なる条件などのマッチングではなく、共感でつながるサービス。エッジが効いていて、面白いプロダクトだなと。
ただ、事業の詳細を理解できたのは、カジュアル面談で話を聞いてからです。「究極の適材適所により、シゴトでココロオドルひとをふやす」というミッションが、自分の原体験と驚くほど重なっていました。
私自身、やりがいを見出せず苦しんだ時期もあれば、自分のバリューが発揮できた時期もありました。目の前の仕事に没頭できるかどうかで、パフォーマンスやアウトプットは大きく変わりますし、メンタルも差が生じる。身をもって経験してきたことだったので、自然と共感できましたね。
ーー転職するにあたって、ミッションへの共感は重視されていたのでしょうか?
そうですね。経営企画という仕事は、会社が目指す世界観に心から納得していないと、絶対に良い仕事ができないと思っていて。現場に対して「こういう方針でいこう」と語る人の言葉に熱が帯びていないと、心は動かないですよね。
だからこそ自分が会社の一番のファンになり、熱を伝播させるような存在になるのが理想的です。そのためにもミッションへの共感が、すべての土台になってくると考えています。
現場の声を、経営の判断に変えていく
ーー入社から半年ほど経ちましたね。所属部署であるCorporate Planning Squadのミッションを教えてください
「経営企画の立場から事業成長に貢献する」こと。それが私たちのチームが掲げるミッションです。経営企画というと、予実管理やIR業務をイメージされがちですが、事業成長にインパクトを与えるためには、違うアプローチが求められます。
会社の規模が大きくなってくると、どうしても経営メンバーだけでは拾いきれないタスクが出てきますよね。そこを社内で大義名分を持って、横断的に拾いにいけるポジションが経営企画だと私は考えています。
最近では、経営メンバーと各部門のリーダー陣が集う定例ミーティングの運営を主導しています。単に予算の進捗を確認する場ではなく、各チームが持っている定量的なKPI、その裏側にある現場の声を拾い上げる場にするのが目的です。
ーー「経営企画」という仕事の印象がだいぶ変わりました
それは良かったです。経営企画がデスクに座って数字だけを並べていても、本質的な課題は見えませんから。私は「経営と現場をつなぐ、ハブのような存在」でありたいと考えていまして。
現場の声を、整理し、経営に届ける。逆に、経営の方針を現場が納得できる言葉に翻訳して伝えていく。そうしてみんなが迷いなく仕事に向き合える環境を数字と仕組みで作っていく。これが今、私が目指している「経営企画」の在り方です。
「次の10年」を描く。余白で新たな価値を
ーー今後の展望について教えてください
上場企業としての基盤をしっかり維持したうえで、次の成長曲線をどう描くか。そこに、経営企画として本気で向き合っていきたいと考えています。
直近1年では、いま取り組み始めている現場リーダーとの連携をさらに深め、全社が一枚岩となって前進できる仕組みを完成させたい。もちろん、一朝一夕ではできないので、焦ることなく、中長期的な視点で考えてはいます。
実はWantedlyに掲載されていた経営企画の募集を見たときに、「次の10年を一緒につくってくれる方」というキャッチコピーが強く印象に残りました。短期的な改善だけを求められるのではなく、長期の構想を描きながら、事業成長に関われる。そんな余白のあるポジションなんだな、と。
チームとしての戦略を描き、一歩ずつ、一歩ずつ前進していく。その結果、事業成長にインパクトを与えられる仕事を一つでも増やしていきたいですね。
ーーそんな平田さんが一緒に働きたいと思うのは、どんな仲間でしょうか?
逆境を楽しめる人でしょうか。仕事がうまくいかない時でも、必要以上に悲観的にならずに、前向きに考えられる人。その状態を一歩引いた視点で捉え、冷静に仕事に向き合える人。
振り返ると、過去の経験でも、そういう人が一人いるだけで場の空気がずいぶん変わっていました。問題そのものがすぐ解決しなくても、「大丈夫、ちゃんと前に進んでいる」という安心感が生まれる。組織にとって想像以上に大きな力だったなと感じています。
今度は自分がそういう存在になりたい。課題や壁に直面したときほど、前向きに、建設的に向き合える状態をつくる。事業が成長する過程では、組織拡大に限らず、必ずさまざまな障壁にぶつかります。そのたびに立ち止まるのではなく、チームとして前に進み続けられる。そんな強さを持った組織でありたいですね。