夏の白州キャンプ場にて、ゴールドマンのバンカーが退職を決めるまで
2017年の夏の夜。米ゴールドマン・サックスで2兆円に上る東芝の半導体事業売却を助言していた瓜生英敏氏(43)は、山梨県は白州のキャンプ場で久しぶりの家族との休暇を楽しんでいた。パチパチと音を立てるたき火を見つめていたとき、退職を決意した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-18/P70JNU6JTSEH01
2018年2月に瓜生がビザスクにジョインして、もうすぐ1年、同年9月にCFOからCOOに就任し半年が経ちます。次の場を決めぬままゴールドマンサックス証券を退社し、大学そしてゴールドマン時代の後輩でもあった代表・端羽の誘いにピンときてジョインした瓜生。
COOに就任してからは法人向けのフルサポートサービスであるVQ事業を統括し自ら営業活動もして、ビザスクの描く未来創りにコミットすべく駆け回る日々を送っています。
そんな瓜生に、ビザスクでの日々、これからのビザスク、いけてるビジネスパーソンになるためのHOWなどを聞いてみました。
- まずは、ビザスクにジョインする前のゴールドマンサックス時代について聞かせてください。
新卒でゴールドマンサックス証券に入社し投資銀行部門という、資金調達やM&Aのサービスを担う部署で約20年程勤めていました。テクノロジーセクターのクライアントを担当する一方で、業界を絞らずM&Aの案件執行業務も行っており、2業務を兼ねるダブルハット状態でした。ダブルハットの人はゴールドマン社内でも少なく、目まぐるしい忙しさの日々でしたが、仕事は相当楽しかったですね。
入社当時は正直「3年位働いたらMBA取りに行って…」と想像してたんですが、仕事が面白くて留学せずそのまま続けました。途中、1年間サンフランシスコオフィスに赴任しシリコンバレーで仕事するチャンスをもらえたこともあり本当に充実した日々でした。
- 中でも印象に残っている仕事は?
ニュースでも大きく取り上げられた、東芝メモリ事業の売却でしょうか。2兆円以上というインパクトもさることながら、私にとっては実質ゴールドマンでの最後の仕事になりましたし。
あとは、ルネサスエレクトロニクスの海外事業を約200億で売却したM&A案件も、大変難しい案件で、その中で自分としては付加価値が出せた、いい仕事が出来たな、と思い印象に残っています。
東芝の話に戻ると、一方で自分にとっては本件が決着したタイミングしか「辞め時はないだろう」と感じていました。人生一度きり、違うチャレンジをしてみたいと思ってはいたものの、案件の途中で抜けることはしたくなかったですし、それまでは複数案件を並行していたので本当にタイミングがなくて…。
これ以外の案件が出来ないくらいフォーカスしていた東芝案件の決着が、結果として自分の証券マンとしての一区切りになりました。
- なぜビザスクに?
ゴールドマンでは1年目から同じ部署にいて基本的には同じことをやっていましたので、違うチャレンジをしてみたいという思いと、辞めるタイミングだけは逃さず、次の場を決めずに退職しました。
瓜生のゴールドマン退職、ビザスク入社についてBloombergに取り上げられた記事
退職して事業会社を中心にベンチャーから大企業まで検討していました。そんな時に大学のサークル、そしてゴールドマンでも後輩だった端羽が声をかけてくれて。
当時ゴールドマン時代の後輩でマネーフォワード(※瓜生は同社の監査役)CFOの金坂さんにも色々相談に乗ってもらっていたんですが、正直ビザスクがベンチャー界でどういうポジションかわからなかった中、彼からの指南と後押しもあって「これは面白そうだ」と決断しました。
様々な方とキャリアについて話す中で自然と「次の場所はスタートアップかな」という思いが生まれていて、さらにビザスクの事業や今後の展望を聞いて心が決まりました。このサービスは、今まで自分が関わったクライアントにも、今後出会う多くの企業にも役に立ててもらえる非常に意義のあるサービスですし大きな可能性を感じたんです。これから大きく成長していく環境に身を置くのは、自分の人生のテーマみたいなものともマッチしていて、非常に納得感をもってジョインしました。
2018年10月のビザスク5周年パーティーにて
- こうしてCFOとしてビザスクのメンバーになり、9月にはCOOに。この1年はどんな日々でしたか?
入社当初は何もかもが自分にとっては新しくて学びは多いし、明るくてやる気にあふれた元気なメンバー達に囲まれて「超楽しい!」という感じ、笑。CFOは専門のファンクションがなかったところで立ち上げからやらせてもらったので、取り組んだことが形として見えやすく新しいものを生み出している実感がありました。
一方で9月にCOOになってからは「自分が何で役に立てるんだろう?」と考える時もありました。何かしら出来ることがあるだろうと思って引き受けたものの、ハンズオンで過去から今まで事業を成長させてきたメンバーに比べると、自分の理解が追い付いていない感覚も正直ありましたね。
最近はサービスに対してもメンバーに対しても理解が深まってきて、少しづつ自ら方向性を示せるようになってきたかな、と手ごたえを感じてる段階で、色々なトライをし始めています。自分が何をしたらサービス・組織の為にプラスなのかは常に考えていますし、頑張らなきゃいかんな、と。でもこの良い意味でのプレッシャーが、本当に楽しいですね。
- COOになって関わるチームもマネジメントするメンバーも増えました。ビザスクの若手メンバーの印象は?
とにかく熱量が高くて明るい!事業を伸ばしたい気持ちが全員から伝わってくるのが良いですね。そして、非常に優秀なメンバーが多いです。
実は、スタートアップにいくことに対して「優秀なゴールドマンのメンバーにも超厳しかった瓜生さんがスタートアップって…大丈夫なの?」という反応もあったんです。
でも実際入ってみて、前職の後輩に比べて引けを取ると感じることは全く無くて、本当に優秀で責任感の強いアツいメンバーばかりでした。ビジネスマンに最も大切な能力のひとつは「仕事に対するやる気」だと思っていますが、ビザスクにはこの"やる気"が圧倒的に高い人が多いです。日々こちらも刺激をもらっていますし、刺激を与え続けたいというのが良い緊張感になっています。
仕事初めの日、VQ事業メンバーと初詣へ
- 若いメンバーに伝えたい、成長するために意識すべきことは?
「付加価値を出せているか」を意識する、これを薦めたいです。私自身も日々”自分じゃなきゃできない” 価値を出すことを目指していますが、このマインドがビジネスマンとしての成長に重要だと思います。
あとは、自分の仕事を客観的に見つめること。下を向いて一生懸命何かしていれば周りは評価してくれるはずだ、というのは危険。こうした独りよがりなマインドは捨てて、今自分がしている事は周りにとってどんな意味があるのか、どんな価値をもたらしているのか、意識する癖を付けると良いですね。
- ビザスクのメンバーにすすめたい事は?
ビザスクは多種多様な業界のビジネス相談と知見をつなげるプラットフォームです。せっかくこうしたビジネスを創っているので、メンバーには常にアンテナ高く世の中の動きをキャッチし、新たな情報や知識のインプットを積極的に楽しんで欲しいと考えています。
インプットを増やすことによって、自分の携わるビジネスがいかに世の中にとって価値があるのかを感じられますし、世の中のどの動きが目の前の仕事とリンクしているのかを意識することが、仕事の付加価値創出にも繋がるはず。
- 組織の成長の為に今後やりたい、やらねば、と思っていることは?
ここからのビザスクはいよいよ世界に打って出るフェーズ。世界中で使われるプラットフォームにすべく、データベース、クオリティ、コンプライアンス…あらゆる面で上を目指してドライブをかけていきます。
それを実行する我々は、もっと人を増やし大きく、そして強くなる必要があります。一方で今までのような”スピーディーな決断”や”まずやってみる”といった、ビザスクらしさも大事にしたい。
組織の大きさとできることの適切なバランスを保ちつつ、一人ひとりが効率よくパフォーマンスを出せるような組織を作っていきたいです。その為の策を考えるのが今年の課題ですね。
2019年の抱負は「ベンチャーの人っぽくなる」という、お茶目な一面も。
- 「シェア」の市場は今後どうなっていくと考えていますか?乱立するシェアサービスの中でビザスクのユニークなポイントは?
シェア、中でもビザスクの関わるビジネス分野でいうと、労働人口が減り多様な働き方が増えてくる中、伸びしろは非常にあると考えています。
特にビザスクは日本で初めて、個人のビジネス知見に価値を付け、データベース化した非常にユニークなサービスです。
今までであれば「周りに知ってる人がいない」「文献で昔のことを調べるしかないか」と、知見を得ることはある程度で諦めていたと思います。ここにビザスクは着目し、知見の価値を可視化してシェアする仕組みを作った。これによって、ビジネスの現場において圧倒的な効率性の向上、判断のクオリティ向上を可能にしたわけです。
個人の中に蓄積され表に見えていなかった「暗黙知」が見える形でデータベースにたまっていき、それをシェアする、受け取る。ユニークでオリジナリティがあるビジネスモデルですし、一朝一夕にはできない価値の高いデータベースを構築してきています。これはお金をかけたらできるわけではない、想いがあって初めてできたサービス。だから自分も関わりたいと思ったんですよね。
- 大企業・スタートアップ両方の若手を育ててきたと思いますが、スタートアップに向いているのはどんな人でしょうか?
好奇心旺盛で自分が事業を成長させたい意欲が強い人。新しいことは何でも学びとしてポジティブに捉えられる人。自分なりの道筋を考えて自走できる人。
与えられるチャンスに向かって試行錯誤→やってみる→うまくいかなかったら変える、というPDCAをスピーディーに、自分で前に進められる環境がスタートアップの良いところですよね。
- 客観的に見て、なぜこの事業が成長してこれたと思いますか?
知見へのニーズが実は非常に高かった、ということでしょう。今までの実績がそれを物語っていますが、まだまだ潜在顧客層として我々がリーチできていない先、今後広げるべき先がいくらでもあると思っています。
さらに今データベースは80,000名(うち日本人は70,000名)規模まで成長してきましたが、海外含めまだまだ拡大する未来を描いています。さらにグローバルに知見をつないだらそこの広がりも無限。伸ばしていくしかないですね!笑
-今後の展望は?
スポットコンサル以外の「知見をつなぐ」様々な方策を提供することを目指したいです。依頼者・アドバイザーの両輪が増え、間のつなぎ方が増え…。かけ算することにより無限にポテンシャルはあると思います。
知見データベースとテクノロジーを掛け合わせ「世の中に無くてはならないプラットフォーム」として唯一無二の存在感を示していきたいです。
そんな瓜生とお話してみたい方は是非ご応募ください!!お待ちしております!