2025年12月1日(月)、虎ノ門ヒルズ森タワーで開催された「イノベーションリーダーズサミット(ILS)」に、弊社の取締役である岩崎亘が登壇しました。
名だたる企業が並ぶ中、岩崎は「サプライチェーン」をテーマに、ベジクルが挑むレガシー産業のDXについて熱弁を振るいました。こういった大規模なイベントへの登壇はまだ多くはないのですが、ベジクルのユニークな事業モデルは想像以上の反響を呼びました。
創業約80年の老舗の「八百屋」でありながら、異例の急成長を遂げるテックスタートアップというユニークな立ち位置。本記事では、当日語られた「食材流通の課題」と、それを解決する「ベジクル独自の戦略」をレポートします!
プロフィール:岩崎 亘(取締役)
静岡県のみかん農家の長男として生まれ、早稲田大学在学中に起業。リクルートやコンサルを経て、規格外農産物のスタートアップを設立するも、物流の壁にぶつかり挫折を経験。その際、見過ごされがちな「卸」というインフラの合理性に勝機を確信しました。2020年、創業80年のベジクルへ「逆張り」の覚悟で参画。農家の血筋とTechの知見を武器に、レガシーな食材流通をアップデートする唯一無二の挑戦を続けています。
日本の食を支える「インフラ」が抱える、アナログで深刻な課題
ピッチの冒頭、岩崎が触れたのは「日本の食文化の素晴らしさを、裏側で誰が支えているのか」という点でした。
日本の飲食店がこれほどまでに美味しいのは、新鮮な食材がタイムリーに届くからです。それを支えているのが「食材卸会社」というインフラ。しかし、このインフラは今、限界を迎えようとしています。
<食材卸会社と飲食店が抱える深刻な課題>
- 深刻な人手不足と深夜労働
卸の現場では、深夜から早朝にかけて「受発注・仕分け・配送」がアナログな手法で回されています。飲食店が夜遅くに注文し、翌朝ランチまでに届けるというタイムラインを守るため、現場は不規則な労働を強いられています。 - 経営改善の余地がない「忙しさ」
経営者自ら現場に出ているケースが多く、業務改善を考える時間がありません。その結果、若手が入ってこない負のスパイラルに陥っています。 - 飲食店側の「複数の仕入先」
飲食店もまた、肉、酒、魚、野菜と食材ごとに異なる卸業者へ個別に発注・支払いを行わなければならず、管理コストが膨大になっています。
原価高騰で仕入れを見直したいのに、忙しすぎて見直す暇もない。岩崎は、この「卸」と「飲食店」双方が抱える負の連鎖を、ベジクルのプロダクト「ラクシーレ」で解決できると語りました。
異例の急成長を支えるベジクル独自の「3つのアセット」
「ラクシーレ」は、受発注・納品・CS・決済といった取引業務を一挙に効率化します。
特筆すべきは、ベジクルが「現場の人員をほとんど増やさずに、顧客数と配送件数を伸ばし続けている」という事実です。レガシー産業において、なぜこれほどの急成長が可能なのか。岩崎はその理由として、ベジクル独自の「3つのアセット」を挙げました。
① 創業80年の「実業ノウハウ」
ベジクルは単なるIT企業ではありません。80年間、自ら青果卸を営んできました。「どうすれば現場が楽になるか」という生きた知見があるからこそ、ラクシーレは机上の空論ではない、現場で本当に機能するプロダクトになっているのです。
② ラストワンマイルの「物流ネットワーク」
自社の実業アセット(自社便)に加え、ラクシーレに参画するパートナー卸会社の便を組み合わせることで、「夜注文して朝届く」即配ネットワークを確立しています。
③ 蓄積される膨大な「取引データ」
「誰が、何を、いくらで買ったか」という膨大なデータ。これをパートナー卸にフィードバックし経営に活かすだけでなく、ゆくゆくは農家さんやメーカーさんといった「作る人」へ届けます。マーケットインの発想で商品開発ができる環境を整え、業界全体の利益率を底上げします。
ベジクルが掲げるミッションは、「食材流通を豊かで魅力的な産業にすること」。この巨大なレガシー市場を、業界の内側から変えていく覚悟をピッチに込めました。
「老舗卸」×「スタートアップ」という、唯一無二のポジショニング
特に反響があったのは、「卸という現場を持ちながら、ITに真正面から取り組むスタートアップが極めて少ない」という点です。深夜・早朝の現場を抱えることは参入障壁が高く、普通のスタートアップには真似できません。
「自分たちがつまづいてきたこと」を解決するためにプロダクトを作る。 だからこそ、言葉に重みがあり、老舗企業からも「ベジクルさんならわかってくれる」と受け入れられる。これがベジクルの強さの源泉です。
食材流通の「インフラ」として、未来を描く
最後に岩崎は、産直ブームへの視点も交え、ベジクルの存在意義を再定義しました。
「産直は魅力的ですが、多くの飲食店には『決まったメニューを安定・確実に届けてほしい』というインフラへのニーズがあります。数千の農家さんと個別にやり取りするのは、現実的ではありません。我々はまず、盤石なインフラを提供し、その上に産直品や付加価値のある商品を乗せていく。」と語りました。
ベジクルが目指すのは、高品質な食材が最も効率的なルートで持続可能な形で届く世界。
今回の登壇を通じて、ベジクルの挑戦はまだまだ始まったばかりだと痛感しました。業界を中から変える。この挑戦に少しでもワクワクした方は、ぜひ一度お話ししましょう!