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間伐材を利用した、由縁 新宿オリジナルアロマオイルの取り組み – 森林管理の現場を訪れて

ONSEN RYOKAN 由縁 新宿では開業時からお世話になっている、お香のjuttoku.さんとともに奈良の間伐材檜のチップに、檜、杉、黒文字を調合したアロマオイルをかけて香りを愉しむ「森の香箱」を共同開発しました。

この春から、「森の香箱」をお楽しみいただける特別なプラン、”心身を潤す現代湯治滞在プラン”がスタートしています(プランはこちら)。


「森の香箱」は、奈良県 天川村の間伐材の、ヒノキの葉などを活用してつくられたもの。

「由縁新宿でお客さまへご提供するものとして、環境問題に配慮したお香づくりができないか」とjuttoku.さんへご相談したことから、始まったこのお香作りについて紹介します。

奈良県 天川村との出会い

juttoku.さんにはこれまでも、由縁新宿にさまざまな「香り」を提案いただいてきました。昨年春、由縁新宿の2周年記念にご用意した「湯治プラン」のためのお香もその一つ。そのお香が、juttoku.さんから依頼されている職人さんの関係で、新たにつくれなくなってしまったことがことの発端でした。


UDSのホテルでは、各施設がそれぞれにサステナブルな取り組みを模索し始めていた時期。新たなお香をつくるなら、環境問題に配慮したお香づくりはできないか?とご相談させていただいたところ、「まさにそのようなお香づくりをはじめようとしているところ」「それなら奈良県吉野郡の天川村というところを視察しましょう」とトントン拍子で話が進み、取り組みがスタートしました。

juttoku.の井口さんが8年ほど通い詰めているという奈良県 天川村は、人口約1,300人ほどの小さな村で、村の面積の約9割が森林なのだそう。村役場の方のご厚意で、森林の現場を見学させていただく機会に恵まれました。


緑豊かに見えても、多くの問題を抱えている日本の森林

村役場の方から聞いたのは、「現在、日本の森林の多くが放置された人工林になってしまっている」という問題でした。


日本は国土面積の約3分の2が森林という世界でも有数の森林国ですが、戦後、復興のために日本全体で大量の木材が必要になり、天然林を伐採して、成長が早く経済価値の高いスギやヒノキなどの人工林に置き換える政策が進められました。

現在は、これら人工林の多くが成長して木材として利用可能になっていますが、外国産木材の輸入増加や金属への置き換わりなどから価格が低下し、環境が厳しくなったことから、林業に関わる仕事から多くの人が撤退し、担い手不足の状況が続いています。

人工林は、木を間引きして密度を調整する間伐などの手入れが必要です。適切な伐採が行われないと、日光が差し込まずに土壌が失われたり、土砂崩れの原因になったり、また、高齢の木ばかりになって二酸化炭素の吸収量が低下するなどの問題が出てきます。

つまり、森林には人の手入れが必須なのに、担い手不足で維持管理が追いつかず、不健康な森林が全国的に残されている、ということがいまの日本の森林を取り巻く大きな問題として存在しているのです。


天川村の森林の多くも、そんな「放置林」。

山はひとつとして同じものはなく、高さや場所によって日当たりも、風当たりの強弱も、土の状態も異なります。天然の森林だったころは、その土地にフィットする植生が自由にのびのびと生育し、循環が生まれていました。それによって土壌もしっかりとし、山として健康な状態になっていたんです。ところが、その自然な状態を伐採し、こちらの都合にあわせて半ば強制的に木を植えていくとどうなるでしょう。土地に合わない植生では勝手には育っていきません。日当たりを確保するために間引いたり、木の根の部分を強くするために近くに背の低い木を植えるなど、森を守る「山守り」の役割が重要になります。その担い手が足りないため、山が放置されている、というのが今の状況です。土砂崩れなどの原因にもなり、非常に深刻な問題です。(山守の方のお話)

ひょんなことから天川村とご縁のできたjuttoku.の井口さんは、少しでも力になれれば、と、人工林を天然林に戻していく活動をお手伝いされています。今回の「森の香箱」は、その過程で発生する間伐材についているヒノキの葉から精油を精製することでつくられたものです。

▼ヒノキ精油の精製の様子



今回、実際の森林を見学させていただいたスタッフは林業を取り巻く問題の大きさを目の当たりにしました。問題の大きさや複雑さを知れば知るほど、自分たちができることの小ささも同時に実感してしまいますが、小さくても何か始めたい、それを通して一人でも多くの人と問題を共有したい。そんな思いで「森の香箱」は誕生しました。

この香りが、ひとときの安らぎとともに、日本の山々へ思いを馳せるきっかけをお届けできなれば嬉しく思います。

持続可能な社会に向けて、今後も私たちにできることから考えて、取り組んでいきます。

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