COOの菅沼です。TRYETINGER's Blogでは、TRYETINGのメンバーや活動の様子をお届けしていきます。今回のインタビューは、代表取締役社長の長江が登場!今回も私がインタビュアーになりきって、TRYETING設立への思いや事業のこと、知られざるストーリーを聞き出しました。その模様をお届けします!
長江 祐樹|プロフィール
株式会社トライエッティング代表取締役社長兼CEO。愛知県出身の1989年生まれ。名古屋大学大学院工学研究科博士課程前期課程修了、同後期課程在籍中。博士前期課程修了後、米国スタンフォード大学にて客員研究員を務める傍ら、現地のスマートウォッチ開発スタートアップにて一時ジョインし、AIソフトウェア開発支援を行う。アカデミアではAIを用いたハイテク新材料発見技術「Materials Informatics」を専門とする。2016年にTRYETING創業、代表取締役社長に就任。
知能業務の自動化
-TRYETINGをまだ知らない方に向けて、どのような会社か簡単に教えていただけますか?
弊社は、メーカー・卸売・小売などの現場などの現場で発生する「知能業務」をAI技術を活用して自動化し、お客様の生産性向上・利益向上をゴールとしている会社です。
-「知能業務」とは具体的にはどのような業務を指していますか?
人間のお仕事を分解すると「単純作業」と「知能業務」の2つに分ける事ができます。
このうちの「単純作業」というのは、ロボットを活用すれば自動化することができるのですが、「知能業務」というのはロボット的に自動化することはできません。
具体的な例を出すと、在庫管理における需要予測のようなケースです。過去の販売実績を見て、現場のご担当者様が「明日はこれだけ売れるだろう」だとか、「明日の天気は雨だからいつも100個発注してるけど、10個減らしておこう」だとか、過去のデータを見て覚えて予測をしているのですが、人によって少し誤差が生まれてしまいます。できるだけ客観的なデータに基づいて、人間にしかできない「頭を使わなければいけない業務」の自動化のお手伝いをしています。
アカデミアも企業もダメなら自分でやるしかない
-なぜAIを活用した会社を興そうと思ったのか、そのきっかけについて教えてください
実は、起業するつもりは全くなかったんです。起業を決意する大学院の修士2年の時までは、研究者になりたいとずっと思っていたんです。小さい時からの夢でしたし、また海外のアカデミアで働いてみたいなと思っていたので、そのために博士課程への進学は必須だなと考えていました。
私は名古屋大学の工学部物理工学科に入学して修士まで進んだのですが、そこで「実世界データ循環学リーディング大学院プログラム」というプログラムに参加したしたのが、自分にとって大きな転機となりました。
「実世界データ循環学リーディング大学院プログラム」はいわゆるデータ分析系のプロジェクトです。工学・経済学・医学・人文学・情報学など、さまざまな分野から集まった学生が分野をまたいだ形で異分野融合研究を、データ処理技術を活用して行うというのが、本リーディング大学院プロジェクトの趣旨でした。私は半導体物理が専門分野なのですが、そこで異分野である機械学習をはじめとするデータ処理技術を習得することができました。
また、中学生の頃から、病気の予測をすることができたら良いなとずっと思っていたんです。親しい人の病気の予兆に早く気づくことができたら良かったな、後悔がなかったなと思うことが実体験としてあったんですね。
自分が半導体という専門分野で培ってきた技術と、リーディングプログラムで得た機械学習の技術と、小さい頃からの思いが、病気の予測をするためのセンサー用半導体材料をAIで開発しようというテーマに、そこで繋がったんですね。
しかし、それをアカデミアの世界で研究するというのはとても難しい事がわかりました。予算も時間もとてつもない量が必要なのです。かといって、企業に入ったからといってできるものでもありません。だったら起業するしかないと考えました。自分がかけてきた時間ややりたい事を考えたら、起業という道を選ばざるを得なかったんです。
創業メンバーとのTRYETING結成秘話
-私も創業メンバーの1人ですが、創業メンバーをどう集めたか教えていただけますか?
COOの菅沼は、大学時代のバイト仲間でした。彼女とは同い年でとても仲がよかったです。たまに喧嘩もしていましたが(笑)菅沼はスペイン哲学で修士に進み、僕より先に卒業をして企業翻訳の仕事をしていました。お互い社会人と学生ということで会う機会も減っていたのですが、ある時ばったり駅で遭遇し、久しぶりに2人でご飯を食べにいく事になりました。
そこで彼女は、今で言う越境ECをやりたいと言っていたんですね。その話を聞いた時に、起業して一緒にやろうよと誘いました。
CTOの竹島との出会いは、先ほど申し上げた「実世界データ循環学リーディング大学院プログラム」でした。竹島は私より年齢が一つ上で、プログラムでは準備をする先輩としてプロジェクトに関わっていました。彼は「実世界データ循環学リーディング大学院プログラム」のラボのシステムをたった1人で開発していた天才で、絶対に声をかけようと考えていました。
私は彼が大の甘党だと知っていたので、名古屋大学の中にあるスターバックスで激甘ドリンクを奢って「竹島さん、どうですか一緒に会社やりませんか?」と誘ってみたんです(笑)すると、「いいよ」とその場で返答してくれたんです。
-迷いなく返事をもらえたんですね
そうなんです。というのも、実は彼も起業をしようと考えていたらしいのです。ただ「自分はC#でなんでも作る事はできるけど、作りたいサービスも特にないし、営業もする事もできないな」と考えていたそうです。そんな時に声をかけられ、「長江は明確に作りたいサービスがあって営業もできるので、きっと上手くいく」と考えたそうです。
TRYETINGの社名とミッションは、この創業メンバーの2人に考えてもらいました。
-社名とミッションには、どんな思いが込められているんですか?
CTOの竹島を誘った時に、「今この瞬間に存在していないものを創造できる人と仕事をして、それを形にして、もうそれがなかった時代に戻れないようなものを作りたい」と話していたんです。それを英語で簡単に表してみようと思い書いてもらったのが、”Keep TRYING to make something new which doesn't exist YET!”という文章だったんですね。この中の、”TRYING”と”YET”を足して、TRYETINGとなりました。
この言葉をもう少しコンパクトにし、私たちのものづくりへのスタンスを簡潔に表せる言葉はないかと、COOの菅沼が考えてくれた言葉が“Creating The Future of Tomorrow, Today!(明日のものづくりを、今日しよう)”です。「今日の社会になくて、明日の社会には当然のようにありふれていて、みんながそれがない世界を想像できないようなものづくりを、今日発想して創ろう」、そんな思いが込められた一文です。
-TRYETINGのサービスを通してどのような社会を実現したいと考えていますか?
ご存知の通り、現在日本は高齢化社会へと突入しており、これからもその流れは加速するとされています。そして2035年には総人口の約3割が高齢者となる社会になります。そうすると、ちょうど2035年付近で日本の手厚い社会福祉・社会保険制度が崩れてしまうんです。
私や私の家族は、医療福祉制度に介護家族として助けられていた人間なんですね。もし保険がなかったら破産していたかもしれません。
同様の状況の人たちは世の中に山ほどいて、日本の福祉制度に助けられている。これが2035年までに崩れてしまうかもしれないのです。
この問題を解決するために、中期的には様々な企業様に弊社のサービスであるUMWELTやHRBESTを導入していただき、サプライチェーンの自動化などを通して、少子高齢化による「労働力の確保」また生産性を改善による「企業様の売上・利益向上と国全体の税収の底上げ」をしたいと考えています。
長期的には、UMWELTを母体として、病気を発症してからではなく発症する前に予測することができるAI医療サービスを開発・提供し、高額な医療負担を削減できるような世の中にしていきたいです。
「労働力確保」、「企業の利益向上による国全体の税収の底上げ」、「医療負担の削減」、この3本柱をTRYETINGが企業として掲げる社会課題解決の中長期目標としています。
気付く・察する・繋がるが出来る人ばかりな職場
-TRYETINGで働いている人はどんな人が多いですか?またどのような思いで入社して来られる方が多いですか?
第一に、明るい人が多いですね。それから、話す時にエビデンスに基づいて論理的に話をする事ができる人も多いです。また、良い意味で朝令暮改な人が多いです。「今まで観測していたKPIが変わったから今日から方針を変える」といった場合や、自分の近い領域や関連領域の別の業務を行う場合にも、バリューをしっかりと出せるような寛容性を持っている人が多いです。
-会社の雰囲気を一言で表すとなんでしょう?
先ほど明るい人が多いと申し上げたのですが、良い意味で距離感を持って仕事をしています。会社として管理っぽい管理はしていないですし、管理される事で安心を持って仕事をするタイプが少ないので、比較的自由だと思います。
-チームで働く上でTRYETINGで大切にしていることを教えてください
コミュニケーションコストを下げる事ですね。何を考えているんだろう、何をしてほしいんだろう、どうしたら相手が動きやすくなるだろうと、思いやりを持って察するということを大切にしています。
現在コロナ禍で、どうしてもテキストベースでの会話が多くなってしまうんですね。そうすると、相手に伝わらなかったり文面がきつく見えてしまう時があります。その時に、どうやってフォローをするか、いわゆる行間を読むみたいな事が自然にできるような心掛けをチーム内で大切にしています。
-最後に、TRYETINGに興味を持っている方へ一言お願いします!
社長である私を見て「ここで働きたい」と考えてくれる方もいらっしゃって、大変嬉しく思っています。ですが、もう少し引いた目線で、会社の将来性や、他のメンバーを見て一緒に働きたいなと考えていただけると嬉しいですし、そんな方と一緒に働けたらと思っています!