水星の基盤を支える「経営企画室」より、知見を共有する連載を始めます。
私が所属する経営企画室では、今年から、水星の基盤を支えるメソッドやノウハウを発信する連載記事を始めます。今回はその第一弾として、私、西岡が主に従事している労務のお仕事について、未経験からの奮闘とともにお伝えできればと思います。
会社には備えるべき様々な機能があります。お客様を毎日迎え入れたりクライアントにサービスを提供したりするような事業運営機能、会社の収支を管理する財務・経理機能… 私が担当する労務は、いわば、会社と社員の間になる働くことに関するルールを守り運用する機能です(労務機能自体についてのお話は、また別の機会に行えればと思います)。
「労務」という職種に皆さんは聞きなじみがあるでしょうか?「人事」の一部だったり、「HR Ops」「給与計算担当」だったり、会社によっていろいろな呼び方があるかもしれません。今回は、労務機能の中でも月々のオペレーションに関わる内容を題材に取り上げたいと思います。
労務には、毎月の決まった時期に必ず処理すべき業務、いわゆる「月次ルーティン」があります。例えば給与計算。月初に勤怠を締め、中旬にかけて各種情報を確認・修正し、社労士と連携。そして月末、25日の支払日に間に合うよう最終チェックと振込処理を行う——。
こうした一連の業務を、私たち水星ではNotionで作成した「労務月次ルーティン」で管理しています。毎朝の朝礼で上長と進捗を確認することで、抜け漏れのない進行を実現しています。しかし、この当たり前の日常は、この1年ほどの大幅な業務改善によって生み出されたものでした。
今回の記事では、この「労務月次ルーティン」をご紹介しながら、労務知識ゼロで入社した私が、伸びしろいっぱいだった水星の労務フィールドと一緒に成長してきた物語の一部をお話しします。
目次
水星の基盤を支える「経営企画室」より、知見を共有する連載を始めます。
西岡ver.1.0 -労務初挑戦の苦悩、失敗と転機
西岡ver.2.0 -仕組みと習慣化の日々
西岡ver.3.0を目指す、私のミッション「水星の全てのメンバーを輝かせる」
おわりに 仕組みは「安心」を生み、安心は「挑戦」の土台になる。
西岡ver.1.0 -労務初挑戦の苦悩、失敗と転機
創業からしばらく、水星(当時は旧社名L&Gグローバルビジネス)には、専任の「労務担当」というポジションがありませんでした。現COOの大籠さんがゼロから築いた基盤を、歴代の社員が他の業務と兼務しながら担当してきていたのです。これは、多くのスタートアップが通る道かもしれません。
なぜ、労務経験のない私がその一端を担うことになったのか。そのきっかけは、2020年当時、コロナ禍で生活やキャリアに悩んでいた私が、水星が立ち上げた「ホテルシェルター」を利用したことでした。実は、龍崎代表とは中高時代からの旧友。私は、いち友人として、いち水星ファンとして、彼女が会社を立ち上げてからもずっとその活躍を応援していたんです。約1ヶ月間、ホテルシェルターとしてHOTEL SHE, KYOTOに滞在中、龍崎代表とじっくり話す機会をもらい、水星のバックオフィスをサポートさせてもらうことに。まさに「持つべきは友…」と心から感謝するとともに、未曾有の事態であったコロナがなかったら、きっと私は今ここにいなかったと思うと、人生何があるか分かりませんね。
閑話休題。そうして私の水星でのキャリアは、最初は給与計算業務の一部から始まりました。勤務初日、HOTEL SHE, KYOTOの一室で、大籠さんが直々に半日かけて教えてくださったことを今でもよく覚えています。
数ヶ月が経ち、初めての給与処理業務に試行錯誤しながらも、少しは慣れてきた頃、バックオフィスをメインで担当していた社員さんが退職されることに。そうして、給与計算に加え、入退社手続き、各種保険業務、助成金申請なども、私が引き継ぐことになりました。
より広い業務内容を担当させてもらえることへの感謝ややりがいは増しつつも、正直にいうと、不安の方が大きかったように思います。マニュアルはほとんどなく、前任からの引き継ぎも完全には理解できていないことも多々あり、社内に気軽に聞ける相手もいない。イレギュラーなケースが発生するたびに、とにかくGoogleで様々な記事を読み、自分なりに対処方法を考える。まさに、羅針盤なき航海を手探りで進むような感覚でした。
この記事を読んでくださっている方の中にも、当時の私と同じ境遇の方がいらっしゃるかもしれません。バックオフィス部門の整備にまでリソースを割く余裕はなく、役員や社員がマルチタスクで何とか労務をやりくりしている…。そんな方々に、私たちのこの奮闘記が少しでも参考にいただければ嬉しいです。
そんな手探りの日々を象徴する、忘れられない出来事があります。
ある助成金を申請しようとした時のことです。必要な書類が、どうしても社内の保管書類の中から見つかりませんでした。申請マニュアルもなく、社内ドライブも今のように整理されていませんでした。「もしこの書類がなければ、合計で数百万単位もの受給ができなくなるかもしれない…」途方に暮れると同時に、自分がそれだけ大きな責任を負う業務を担っていることを改めて身をもって痛感しました。しかし、簡単に「もうダメだ」と諦めるわけにはいきません。そこから、私の粘り強い交渉が始まりました。労働局の方と何度も電話で相談し、代替方法を模索し、幸いなんとか申請受理にこぎつけることができた時は、数週間全身にのしかかっていた重荷をようやく手放せたような気持ちでした。
この経験から学んだのは、「可能性が0でない限り根気強く食いつく精神力」と、そして何より「仕組みや管理体制がいかに重要か」ということでした。もし私が、すでにそれらが整った状態で水星に入っていたら、「会社というものは、整備された仕組みがあるのが当たり前だ」という考えのまま、今も機械的に労務をこなすだけの日々を送っていたかもしれません。しかし、この試行錯誤の数年間があったからこそ、今も「本質から労務に携わりたい」という姿勢で取り組めているように思います。
そんな私の労務キャリアに、大きな転機が訪れます。
2023年9月、現在の私の上長となる、前職で組織・人事コンサルタントをしていた今庄さんが、水星にジョインしたのです。
今だから言えることですが、正直最初は、安心感半分、不安も半分でした。きっと、自身の足りていない部分をプロに指摘されるのが少し怖かったのだと思います。しかし実際には、その不安はワクワクへと変わっていきました。抜け漏れをご指摘いただくたびに、(一瞬は落ち込みながらも)それを埋めるために新たな発見や学びがある。何より、社内にすぐに相談できる相手、一緒に取り組める存在がいることは、想像以上に心強いことでした。
今庄さんとともに、まずは私のブラックボックスになっていた業務や散らばっていたタスクを洗い出し、課題や弱点を見つけ、一つひとつ改善・整備していく。それらをマニュアルやフローとして整えていく。そのプロセスは、それまでのいわば「西岡のひとり労務」が、一気に、会社全体の未来を創る「チームのプロジェクト」へと変わっていくようでした。そうしてようやく、水星の労務の仕組みや管理体制を「当たり前」にするための日々が始まりまったのです。この後ご紹介する「労務月次ルーティン」も、その中で作り出しました。
現在の経営企画室メンバー。
私にとって、良き指導者であり、目指すべき存在であり、大事な仲間であり、良き理解者です。上中央が今庄さん。
西岡ver.2.0 -仕組みと習慣化の日々
百聞は一見に如かず。まずは実際の画面をご覧ください。
Notion上でみた図。
この表の構成は至ってシンプルです。上から標準実施時期順にタスクが並び、横でステイタスを管理しています。
表は下にまだまだ続きます。
数えてみたら、現在、合計86個のタスクがありました!
一見すると、ただのタスク表に見えますが、この設計図の真価は、ただの進捗管理に留まらない点にあります。
例えば、労務において最重要業務の一つ、給与計算。水星には5つの事業部、3種類の勤務形態が混在し、ホテルには国籍も年齢も様々なアルバイトスタッフが多数在籍しています。また、育休取得者、育児時短勤務者、2つの事業部や店舗で勤務している人もいます。働き方が多様であれば、自ずと勤怠管理や給与処理は複雑になり、ミスの発生ポイントも増えるものです。法律はなかなかに難解な割に細かく決まっていてしっかり従わなければいけません。
また、給与計算のタイムラインはかなりシビア。たった一人でも勤怠が締まらない・給与計算が終わらないと、全員の給与が支払えませんし、「一度やったけど忘れた!」みたいなことを調べなおしている時間もありません(年に1回だけ起きるイレギュラーな処理というのも少なくないのです)。
法律を守りながら、ミスなく、毎月確実にスケジュール通りに進行させるために、「労務月次ルーティン」の各タスクのページを開くと、具体的な進め方やチェックポイントといった「マニュアル」が確認できるようになっています。
タスクを開くと、詳細ページが開きます。
タスクのページ内はこんな感じです。
このように、ただ「何をやるか」だけでなく「どうやるか」までを設計図に落とし込むことで、複雑な業務でもミスなく処理できる体制を構築しました。
この「労務月次ルーティン」は、過去の混沌とした状況から学び、会社の未来を見据えて作り上げた、いわば「水星労務の業務設計図」です。「んな、たいそうな…!」と思われるかもしれませんが、実際この設計図が生まれたことで、少なくとも私の日々の業務は変わり、大きく次の2つのことが実現しました。
1つ目は、通常業務(ルーティン業務)を抜け・漏れ・遅れなく安定して進行できる体制ができたことです。
毎朝の朝礼で、私と上長の今庄さんはこのNotion画面を見ながら、進行中タスクの進捗を報告し、その日のタスクを確認し、必要に応じて連絡事項や相談事項を話し合います。この日々の報連相のおかげで、抜け漏れはほぼゼロになりました。もちろん、それが当たり前でそう在るべきなのですが、かつての「ひとり労務」の頃の自分にとっては理想ともいえる状態なのです。
そして2つ目は、臨時的な労務プロジェクトや、労務以外の業務へも、より多くのリソースを割けるようになったことです。
この設計図に記載されているのはあくまで「労務の通常業務」であって、私のすべき仕事やタスクは、もちろん他にもたくさんあります。
労務でいうと、新しい社内制度の検討や、新たな助成金申請のための整備など、未来への投資となるプロジェクトが常に動いています。例えば、昨年後期は「アルバイト労務の全社的な管理移行」を遂行することができました。これまで各店舗・事業部のマネージャーにお願いしていた業務を全社で一元管理するという大きな改革を、現場の負担を最小限に抑えながらスムーズに進められたのも、この設計図という土台があったからこそです。
さらに、私は労務領域以外にも、広報や総務といった役割を担っています。noteの執筆、メディア対応、社内イベントの企画運営など、多種多様な業務に携われるのは、水星らしい働き方の一つです。これは、VALUEの1つ「フッ軽であれ」のように、「自分の専門分野に閉じこもるな」という精神の表れでもあります 。
正直に言うと、もともと、タスク管理が苦手でおっちょこちょいな性格の私…。多種多様な業務を並行して進めていたら「うっかり忘れていた」ということも起こりがちですが、会社の根幹を支える労務を疎かにすることは絶対にできません。そんな私が、広報や総務といった役割も兼任できているのは、労務の通常業務をこの月次ルーティンでしっかりと管理・進行できているという、絶対的な安心感があるからです。
このように、私にとってこれはただのタスク管理表ではなく、水星での私の働き全体を支えてくれる土台なのです。
最後の章では、「水星の労務担当」として私が大切にしている「哲学」についてお話しします。
西岡ver.3.0を目指す、私のミッション「水星の全てのメンバーを輝かせる」
私が担当する「労務」「広報」「総務」は、一見すると別々の領域に見えるかもしれません。しかし、「会社で働いてくれる人たちを輝かせる」という面で、その土台は深くつながっていると、私は考えています。
メンバーが心身ともに生き生きと働ける環境を整える「労務」。
生き生きと働くメンバーの姿を社内外へ発信し、より輝かせる「広報」。
メンバーが活躍する場を物理的に整える「総務」。
だから私は、「水星の全てのメンバーを輝かせる」というミッションを掲げ、具体的には次の3つのスタンスで日々取り組んでいます。
①「水星の相談窓口」
会社の制度や労務のことで、メンバーから相談や質問をしてもらうことも多いです。その時は、単に事務的に答えるだけではなく、どんな些細な質問にも、正確に、迅速に、そして分かりやすくお答えすることを心がけています。また、従業員からの相談は、時に会社のサポート不足が原因ということもあります。だからこそ、一つひとつの声に真摯に向き合うことが、水星の労務体制そのものを見直し、より強くするきっかけになるのです。その過程で私自身の知識が深まることも、大きな喜びです。
「西岡さんに相談しよう」「困った時の西岡さん」と思ってもらえるように、日々のコミュニケーションも大切にし、多拠点組織の水星ではリモートでのSlack上のやり取りがメインになる分、言葉選びひとつ、絵文字ひとつにも、気持ちを込めています。「メンバーの力になれた」という経験の積み重ねが、私のモチベーションの源泉となっています。
②メンバーへのリスペクトと感謝
私たち経営企画室(バックオフィス部門)は、他事業部とは違い、直接的には利益を生みません。ホテルやクライアントワークの最前線で頑張ってくれるメンバーが会社に利益をもたらしてくれるおかげで、私たちは今日も生活できている。その気持ちを常に忘れないようにしています。労務の仕事は、どうしてもメンバー、特にマネージャーの協力が不可欠です。現場で忙しく働くメンバーに、事務的なお願いをすることは、正直心苦しい。その葛藤があるからこそ、現場への連絡には、私なりのリスペクトと配慮を込めています。
具体的には、こんなことを徹底しています。
・相手の時間を尊重する: 連絡相手のシフトを確認し、休日の場合は「次回出勤時の確認で構いません」と一言添える。
・相手の心に配慮する: 受け取る相手に心理的負担にならないような、丁寧な伝え方を選ぶ。
・相手の手間を最小化する: 相手の対応がシンプルになるよう、必要な情報をこちらで全て整えてから連絡する。
・感謝を言葉にする: 「いつも忙しい中でありがとうございます」「不明点などあればいつでも相談してください」といった言葉を忘れない。
これは、水星のVALUEにある「最高のホスピタリティを一緒に働く仲間に提供する」という精神を、私なりに実践したものです 。現場へのリスペクトと感謝の気持ちが、会社全体をより強くすると信じています。
手前がCOO大籠さん
③会社とメンバーを、”半歩先から”支える
水星は、非常にスピード感のある会社です。そのスピードに追いつき、メンバーの挑戦を支えるためには、私たちバックオフィスも常に未来を見据えている必要があります。例えば、単に法律を守るための事務作業だけではなく、法改正の情報を常にウォッチし、先手で対応を計画する。最新の法律に対応することで、新しい助成金を受けられる可能性も広がります。そして、人事労務体制が最適であることは、採用候補者にとっての安心材料にもなります。
先ほど、労務は直接利益を生まないと言いましたが、私たちの仕事が、会社の選択肢を増やすことで、間接的に会社の利益に貢献できているはず。会社とメンバーを、縁の下の力持ちとして背後で支えるだけでなく、時代や社会における水星の現在地を常に意識して半歩先を照らすこと。それもまた、労務担当としての大切な役割だと考えています。
おわりに 仕組みは「安心」を生み、安心は「挑戦」の土台になる。
今回は、労務知識ゼロで入社した私が、かつての伸びしろだらけだった労務フィールドを今庄さんとともに開拓してきた物語の一部と、その中で見つけた「水星の労務担当」としての自分なり哲学について、お話ししました。手探りで進んだ日々も、今となっては、会社の仕組みの重要性を本質から理解するための、かけがえのない経験だったと感じています。
この奮闘記が、同じように中小・ベンチャー企業で、たった一人で、あるいは手探りでバックオフィス業務に向き合っている方にとって、何かのヒントであったり、「自分だけじゃないんだ」という小さなエールだったりになれば、これほど嬉しいことはありません。
水星の労務体制は、まだまだ発展途上です。会社の成長に合わせて、この月次ルーティン含め社内制度も、バックオフィス全体も、何より私自身も、これからも進化し続けていかなければなりません。これからも、会社の成長とメンバー一人ひとりの挑戦と輝きを支えていけるよう、そして、いつでも気軽に声をかけてもらえる、かつ、安心して任せてもらえる「水星の相談窓口」になれるよう、精進して参ります。
次回の経営企画室連載では、私の上長であり経営企画室の要である今庄より、組織コンサル視点での「強い組織の作り方」について深掘りした内容の記事をお届けする予定です。乞うご期待ください!
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