※こちらの記事はCULUMU公式noteからの転載です(2025年12月24日掲載)
目黒区立油面小学校 PTA家庭教育学級講座(2025年11月14日)
CULUMUインクルーシブデザインワークショップ 実施レポート
【要約】本記事のポイント
「多様性を認め合い、すべての児童に居場所をつくるには?」
『誰一人取り残さない』を学校経営方針に掲げる目黒区立油面小学校。2025年11月、その実現に向けて、保護者と校長先生が共に参加する「インクルーシブデザインワークショップ」をCULUMUが実施しました。 本記事では、従来の講演会形式から一歩踏み込み、レゴやペルソナカードを用いて「多様な人が楽しめる運動会」をデザインした当日の様子と、そこから生まれた「大人ができること」への気づきをレポートします。
小学校に通う子どもたちのために、大人ができること。
先生方だけでなく、保護者の方々を含めた大人にできることを探索し、地域の子どもたちのために実践をし続ける目黒区立油面小学校は、『誰一人取り残さない』という学校経営方針を掲げておられます。
去る2025年11月14日、そんな目黒区立油面小学校の保護者様と校長先生を対象に、CULUMUのインクルーシブデザインワークショップを実施しました。
当日は、保護者18名と校長先生1名の合計19名にご参加いただき、学校方針でもある『誰一人取り残さない』学びの場を、保護者の皆様と一緒に考える貴重な時間となりました。
はじめに:開催の背景
目黒区立油面小学校では、毎年保護者向けに家庭教育学級講座(以下、家教)が開催されています。
例年の家教は講演会形式が多いそうですが、今年度の企画にあたり、まずはメンバーの皆様で「今、子どものことで関心があること・困っていること」を率直に話し合う場を設けました。
すると、子どもの性教育、ゲームやスマホのスクリーンタイム、友人関係など、保護者ならではの多様なテーマが上がりました。
しかし同時に、「ひとつのテーマでも、人によって意見や気になる点が全く違う」という、より重要な事実に直面したそうです。
家教を一緒に運営しているメンバーであっても、多様な人々と話し合い、合意形成することの難しさを実感する。そんな中で、ふと油面小学校が説明会で掲げていた「色々な子たちが尊重されて、みんなで一緒に『誰一人取り残さない』学校教育をする」という言葉を思い出されたそうです。
この経験から、「講演会で講師から一つの答えを聞く」という従来の形式よりも、「ワークショップ形式で多様性について一緒に考える」方が、今の自分たちに必要な学びになるのではないか。そうした結論に至り、『誰一人取り残さない』というテーマのインクルーシブデザインワークショップの実施をCULUMUにご依頼いただきました。
ワークショップのねらい
今回のワークショップでは、学校づくりにも通じる「多様性を認め合い、すべての児童に居場所をつくる」という目標のもと、様々な個性をもつ人が互いに認め合い共に過ごすにはどうしたら良いかを、デザインの手法を用いて考えることをねらいとしました。
シチュエーションには、学校行事の中でも特に参加者が集まる運動会を採用。「多様な人が楽しめる、油面小学校での地区運動会とは?」というテーマで、参加者全員でアイデアを出し合いました。
ワークショップの様子
ワークショップは、まず「前提のちがい」を体感するアイスブレイクから始まりました。
1. オリエンテーション(レゴワーク)
会話禁止のルールのもと、チームでレゴの家を協力して作るワークです。しかし、参加者にはそれぞれ「他の人には秘密の、自分だけが守るべきルール」が配られています。
同じ家を作るという目標は一緒なのに、ある人は赤いブロックばかり使おうとしたり、ある人は家の高さを制限しようとしたりします。
参加者は、表情やジェスチャーだけで「なぜあの人はあんな行動を?」と考え、伝えることの難しさや、「同じ目標でも、見えている前提(ルール)が違う」という状況を体感します。
このワークを通して、「お互いを信じ、理解しようとする姿勢」の重要性を共有し、本編に進みました。
2. インクルーシブデザインワーク(本編)
本編は、インクルーシブデザインのデザイン思考のプロセス(①多様性の認識 → ②課題の定義 → ③アイデア創出 → ④プレゼンテーション)に沿って進められました。
CULUMUが独自開発したインクルーシブペルソナカードというツールを使い、地区運動会に参加するかもしれない多様な人々(例: 車いすの祖母、日本語がわからない外国籍の保護者、聴覚過敏の子どもなど)を想像します。
「その人たちは、運動会でどんなことに困るだろう?」「本当はどう感じているだろう?」とチームで対話を深め、課題を定義し、それを解決するアイデアを付箋に書き出していきます。
短い時間でしたが、どのチームも活発な議論が交わされ、『誰一人取り残さない』ためのユニークなアイデアが次々と発表されました。
参加者の声
ワークショップ後、参加者の皆様からは多様な視点を持つことの重要性や対話の価値について、多くの感想をいただきました。(下記、アンケートの自由記述より抜粋)
- 色々な多様な社会を考える、とても有意義な時間になりました。
- 様々な人の立場に立って、多角的に物事を見る事は社会全体を良くする事がよくわかりました。
- 改めて多様性の難しさを知りました。個々のリクエストに全ては答えられないし当てはめられないので、互いを尊重し共存することを今後も学びたいです。
- 他の方の考えを聞くことができ、自分にはない視点に気づくことができた。
- このアイデア出しを1人でやるとしたら、こんなにスムーズにはできてないだろうなと思うので、進め方のヒントをいただけた点、他者と話し合うことで新たな視点が得られる点、など多くの気づきがあり、達成感もあったためです。
- 全体が終了してはじめて、各工程の意味がわかるようなところがあり、気付くと出来上がっていた面白さがありました。
校長先生からのコメント
当日、保護者の皆様と一緒にワークショップに参加された校長先生からも、お話を伺いました。
学校経営方針に『誰一人取り残さない』と掲げられております。現在どのような支援や居場所づくりの取り組みをされていますか?
学校に登校することが辛いと感じる児童や、特別支援級に在籍する児童、外国にルーツのある児童など、多様な子どもたちがいます。
現在、「ぽかぽかルーム」という別室登校支援を行っています。これは元々保護者の方が始められたもので、今年度から学校の取り組みとして、学校への行きづらさを感じている児童への対応をしています。
ただし、刺激が苦手な児童もいるため、状況に合わせて別の部屋を用意するなど、柔軟に対応しています。いつでも安心して学校・学級に戻ってこれるような場作りが基本だと考えています。
今回のワークショップは、今後の学校づくりに向けてどのような意味や意義がありそうでしょうか?
学校は良くも悪くも、前例を踏襲する傾向があります。たとえば運動会も、昨年のプログラムを上書きする、といった側面があります。
今日のワークショップは、「油面小学校の児童にはどんな子がいて、どんな運動会が相応しいのか」という原点から考えなくてはいけない、という視点を改めて学ぶ機会となりました。
「勝った嬉しさ、負けた悔しさからお互いを認め合う」という競争の側面も大事にしつつ、「競技に参加することが全てではない」とも思いました。無理に参加せず、応援する側でがんばる子がいても良い。(競技に参加しないなど、)多様な参加の仕方があって良いのだと、非常に多くのことを考えさせられました。
得られた学びや気づきを、子どもたちにどのような環境や経験として届けていくことを期待されますでしょうか?
子どもたちが一番嫌がることは、大人が「こうあるべき」と言って、やらされることだと感じています。 「こんな子がいるから、こんな風にやろうよ」といった、子どもからの発想・アイデアを大事にした活動を多くしていきたいです。 また、「個にとって良いことが、結果としてみんなにとってもわかりやすい・学びやすい」というインクルーシブな視点を持ち、本日学んだことを教員にも共有して、多様な子どもたちの環境がより良くなるように努めていきたいと考えています。
関連情報
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執筆:友部 崇 [株式会社STYZ CEO室広報]
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