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皆さん、こんにちは。カリフォルニアオフィスの臼坂です。
今回は、昨今日本でも話題となっているRPAに関して学ばせて頂くべく参加させて頂いたRPA(Robotic Process Automation)企業Blue Prismのカンファレンス、「Blueprism World 2018 in London」に関して、ブログを書かせて頂きます。
今回のカンファレンスは、ビッグベンでお馴染みのWestminster Bridgeの目の前のホテル、Park Plaza Westminster Bridge Londonで開催されました。(ビッグベンの時計台は、残念ながら修理中でした…)
ロンドン到着日
サンフランシスコ国際空港から飛行機に乗る事11時間、ようやくイギリスのヒースロー国際空港に到着しました。
ヒースロー国際空港から市内へは、タクシーや高速バスなどもありますが、利便性から、今回は電車を使って市内に行きました。
チケットを買う際には、少し戸惑いましたが、電車の乗り換えなどは、駅構内に案内表示がきちんとされているので、まったく問題なく最終目的地(Waterloo Underground Station)まで到着できました。
Waterloo Underground stationを出て表通りに行くと、ロンドンのシンボルでもある赤い2階建てパスが止まっていました。(少し近代化されたバスでした。)
駅から歩いて3分ほどのところのホテルにチェックインして、早速、近所を散歩しにいき、London EyeやBig Benなどをみて、お腹がすいたところで、日本食レストランでラーメンを食べ(カリフォルニアに居ると日本食が食べたくて…)ました。普通に美味しかったです。
でも、折角ロンドンに来たので、はやりお約束の「Fish & Chip」は食べなければということで、London Eyeのすぐそばの専門店で、「Fish & Chip」を食べ、お腹がいっぱいになったところでホテルに帰りました。
ホテルで気付いたのは、ロンドンのエレベータは、1階が「0階」となっていたことでした。
部屋に入ってシャワーを浴びようと思ったら、浴槽が日本と同じように深いことに気付き、お湯をためてお風呂に入るという贅沢をさせて頂きました。
(アメリカの浴槽は、シャワーを浴びることを目的としているため浅くできています。そのため、お湯につかると言うことは殆どできないので、少し感動しました。)
ロンドン2日目(Blue Prism World カンファレンス初日)
時差の関係で朝早く目ざめたので、朝食を食べに近くのカフェに行き、現地の皆さんと一緒にセットの朝食を食べ、カンファレンスへと向かいました。
こちらで気付いたのは、飲み物は「紅茶」でした。アメリカでは、通常「Coffee」なのに対して、やはりイギリスは「Tea」であることに少し感動しました…
さて、カンファレンスの方ですが、初日のカンファレンスは、Blue Prism社のパートナー企業向けのカンファレンスになっていて、約600名が参加し、ユーザーの成功事例などを含む、パートナー企業への情報共有を主眼した内容でのカンファレンスになっていました。
特に、RPAをDigital Workforceという位置づけで考え、同社の掲げる6つの「Intelligent automation skills」(Knowledge & Insight, Planning & Sequencing, Visual Perception, Problem Solving, Collaboration, Learning)の実現及び、AI/MLなどを含む3rdパーティのソリューションとのインテグレーションを可能にすることを念頭としたプラットフォームアーキテクチャを採用しているとともに、RPAを中心とするエコシステムの構築に注力している同社方向性などの説明がなされました。
ロンドン3日目(Blue Prism Worldカンファレンス2日目)
カンファレンス2日目は、一般の方々を含めたカンファレンスで、初日とは異なった雰囲気でのカンファレンスでした。
Blue Prism社長 Alastair Bathgate氏
まず冒頭に、Blue Prismの社長Alastair Bathgate氏のキーノートスピーチがありました。
非常に実直な雰囲気のある社長で、シリコンバレーのスタートアップの若い社長達とは異なった落ち着いた雰囲気が非常に印象的でした。
同氏からは、Blue Prismの顧客数が700社を超える規模になっており、またパートナー数も全世界で90社を超えるようになっていることの説明がありました。
また同社のソリューションが、企業が求めるセキュリティ、ガバナンスを考慮したRPAのソリューションとなっているだけではなく、3rdパーティソリューションとの連携ができるプラットフォームとして、エコシステムの構築に力を入れているという説明がなされました。
更に、同社は$100 millionの資金調達を行っており、その資金を製品開発とカスタマーサポートに精力的に資金投入をし、更なる製品向上とお客様へのサポートの充実を図ることの説明がありました。
Lynda Gratton / London Business School教授
次に、London Business Schoolの教授で、日本の内閣へのアドバイザーをされているLynda Gratton教授からのキーノートスピーチがありました。
ロボット(RPAのこと)が台頭することによって、様々な仕事がなくなり、雇用が減るという懸念に関して、Jobは無くなるがTaskは無くならないという説明があり、ルーティン作業はロボットに代わるが、Human Skillを必要とされる業務は今まで以上に必要になるという話がありました。
また、これからの時代は、100歳まで生きる時代になり、80歳まで仕事をする時代になるという話があり、これからの仕事の価値は、お金ではなくなり、仕事を通じて何を学べるのか、健康でいられるのか、仕事を通じてTransformできるのかという要素が重要になってくるという説明がありました。
日本でも働き方改革が注目を浴びていますが、80歳まで仕事をすることを念頭にした仕事の在り方というものを考えるという視点は非常に興味深いと思いました。
ユーザー事例:Bank of Ireland
アイルランド銀行ではRPAの導入は3年といった短期間のプロジェクトではなく、20年・30年といった長いスパンのプロジェクトと考えており、現状40名のチームを作り、現時点で120のプロセスをロボットに代行させているとのことでした。また、RPAの導入はカスタマーエクスペリエンス向上に向けた業務プロセスに適用し、お客様への迅速な対応を実現しているとのことでした。
しかしながら、どの業務プロセスにおいても、ロボットへの置き換えをすると、平均約10%のタスクが完了しない状況が起こり、その原因を究明することにより、業務プロセスの見直しを行うことができ、RPAで使用できるようなデータの整理や、プロセスの整理を可能にしているとの説明があり、RPAを導入することで、業務プロセスを見直す機会を作るという観点は、非常に面白いと思いました。
またAI/MLに関して、「AI/MLが何か」ではなく、「何がChallengeで、そのChallengeを克服するために、どのようなAI/MLが使えるかが重要」というコメントがあり、同社の地に足のついた考え方を説明していました。
Blue Prism Product Vision
続いて、Blue Prism社のソリューションに関するビジョンの説明がありました。
同社では、Digital Work Force実現のために、下記の3つの要素が必要だと考え、3rdパーティとのエコシステムの創造だけにとどまらず、大学などの研究機関との協業による新しい技術への投資や、テクノロジーパートナーのソリューションとBlue Prismとの連携を進めていくという説明がありました。
Digital Work Forceに必要な3つの要素
- Intelligent
- 各種スキル
- Connected
- 3rdパーティソリューションとの連携
- Easy to Control
- 迅速性と容易な管理の提供
- ダイナミックかつフレキシブルなソリューション
- 24/7のオペレーション環境の提供
- セキュリティーとコンプライアンスの対応
Leslie Willcocks / London School of Economics and Political Science教授
最後のキーノートとして壇上に上がったのは、RPA研究の第一人者と言われるLeslie Willcocks氏でした。(同氏は、RPAに関して「Taking Robot out of Human」という標語を作った人でもあります)
同氏からは、RPAのプロジェクトの失敗は、75%が経営層からのサポートが不適切なために起きているという話があり、経営層における認識の改革、リソースを含めた会社としてのサポートがRPAプロジェクトを成功に導くためには不可欠な要素であることを改めて認識させられました。
また、RPAでは構造化されているデータしか基本的には取り扱いができないため、データの構造化、業務プロセスの改革は必須である一方、CognitiveソリューションをRPAと連携させることにより、構造化していないデータを構造化したデータへ変換することが可能だと説明があり、RPAがただ単なる現存する定型化されている業務プロセスを置き換えるだけではなく、Cognitiveソリューションとの連携により、今後、柔軟性を持ったソリューションとして様々な業務プロセスの効率化を図るツールとして拡張していくことができるものであるということを認識することができました。
最後に
今回のBlue Prism社のカンファレンスに参加させて頂き、企業はただ単にRPAを導入したから成果がでるというものではなく、様々な試行錯誤があって、成功例ができるということを改めて知るとともに、業務の中心が人である以上、RPAは将来的にもその価値を提供し続けることができるソリューションであることを学びました。
今後、各種Cognitiveソリューションと連携することにより、様々な業務をRPAで代替することが可能となり、Lynda Gratton教授の話にもあった、人が企業に求める仕事の価値、これから企業の求める人の価値というものが大きく変わっていく可能性をを感じました。
その他のユーザー事例:
Heineken
業務プロセスをロボットに置き換える作業を拡張していく際には、管理された中で拡張を行わなければ、有象無象のプロセスが乱立することになり、結果的に無駄が生じてしまう。
また、業務プロセスを自動化することにより、様々なデータを可視化することができ、同社が提携する販売店に対して、様々な形での支援が行えるようになっている。
Nordea
RPAの導入に際し、Center of Excellence部を立ち上げて行っている。
より多くのロボットプロセスがあるということは、より多くのメンテナンスを要することになるため、ただ単にプロセスをロボットに置き換えるだけでなく、プロセスの改善も必要。
Zurich Insurance
会社内には、構造化されていないデータが多くあり、オペレーションの変革を行うことが一朝一夕で行えるものではなく、AIを用いることで構造化されていないデータを構造化されたデータに変換することができると考えている。
業務プロセスの向上を行う際に、人とのコミュニケーションが非常に重要であり、常に「Human-in-loop」という考えをしている。