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【イベントレポート】男性育休にまつわる不安を解消する。「パパの育休元年!『誰が休んでも仕事がまわる』社員を支える企業の仕組みづくりを知る」

2022年4月に育児・介護休業法が改正され、男性の育休取得を促進する取り組みが義務化されています。

今回のセミナーでは、多様な人材が活躍できる社会の実現に向けてD&Iを推進しているサクラグが、実際に男性育休の促進に取り組んでいる企業3社を招き業務・体制の共有を行い、男性育休制度の効果的な運用法を示します。

男性が育休を取得したいけれど、会社の制度が整っていない。調節が大変だし、周りの負担にもなる。このような不安を取り除いて、誰でも育休が習得できる企業の仕組みを学びました。


はじめに

育休促進にはどんなメリットがあるのか。男性育休の現状を見る

政府は2025年に、男性育休取得率が3割を達成することを目標とすることを発表しました。

男性育休取得率は、2020年度に初めて1割を超えたもののまだまだ企業側の努力が必要です。

そもそも、日本の育休制度は世界的に見て手厚いと言われています。しかし今まで男性は、育休制度が会社に無いこと、制度があっても取得が難しいこと、また職場に育休を取るという雰囲気が無かったことを理由に育休取得者が少なかった過去があります。

育休促進に取り組むことで得られるメリットは次のようなものです。

・若い世代は育休取得に前向き。優秀な若手人材の採用、定着を見込むことができる。

・仕事と育児の両立が難しい理由から、約半数の女性が妊娠・出産を機に退職している事実がある。育休制度が充実すれば、経験豊富な女性社員の流出を阻止できる。

・育休制度により多様性が養われ、ビジネスの活性化につながる。

・少子化、人手不足が懸念される日本社会において、就労者が増えることにより経済全体の活性化につながる。

このことを踏まえ、セミナーに参加した4社それぞれが独自の育休制度促進の取り組みについて話しました。

自分にしかできない仕事がある。取得しやすい環境整備とは(株式会社SAKURUG)

サクラグの木村さんは、実際に育休を取った当事者として「権限移譲」をキーワードに自身の業務の調節について話しました。

木村さんは取得のためには解決すべき3つの課題があると言います。「取得により業務の抜粋、移譲を行うタイミングを見計らうこと、会社内でハブにならないこと、育休取得についてのメンバーの理解を得ることです。この課題を権限委譲で解決します」

また、権限移譲について詳しく説明をしており「中間業務を無くし自分の担当する仕事を絞り込み、自分にしかできない業務、そうではない業務の選別を行いました。そして権限移譲を行うことで、育休者である自身の存在により業務が滞らないようにしました」と語りました。

育休を取るためには会社内での信頼関係が非常に大切だといいます。信頼関係を築くために実際にワンオンワンの面談を行い、育休から復帰後には育休の流れや感想を描いたファイルを共有することで他者にも育休を理解しやすく、取りやすい流れを作ったとのこと。

「育休は上司、人事、会社次第です。育休を取得しやすい環境整備を行い、改めて育休制度について考えてもらいたい」と語り、育休取得に前向きになってほしいと呼びかけました。


誰かが休んでもまわる企業に。独自の社内副業制度で社員全体の仕事負担を減らす(FANTAS technology株式会社)

FANTAS technology株式会社の小川さんは、独自の社内副業制度について紹介しました。

不動産コンサルティング事業をメインとするファンタステクノロジー株式会社では、これまで5名が育休取得をしています。

小川さんはこう話しました。「課長以上の役職についている男性が率先して育休を取得しているため、取得しやすい環境が整っています。社内副業制度や、パパママカレンダーという育休取得の流れ、取り方、育休中の収入など疑問点をまとめた資料を共有することで、育休取得を促進しています」

社内副業制度は「Good Job Pass」といい、部署間でタスクを受発注し、業務委託として報酬が発生する仕組みです。繁忙期などで業務が逼迫している部署の負荷軽減と社員のスキルアップを推進しています。

「育休を取ることで周りに迷惑をかけると考えていた人も、この副業システムによって部署間でサポートが叶うため、育休を取ることに前向きになっています。社員の負担を減らすためにスポットの業務を割り振っているため、仕事量の調節も可能です」と語りました。


柔軟な働き方で育休取得を図る。ライフもワークも楽しむ人生に(株式会社ショーケース)

株式会社ショーケース(https://www.showcase-tv.com/)の前田さんは、実際に育休を取得し地方移住を行った経験から、フルフレックス、フルリモートの会社のメリットについて話しました。

株式会社ショーケースは、企業と顧客をつなぐwebサイトや入力フォームなどのUI/UXを改善する事業をメインに行っています。会社自体がフルリモートかつ地方移住を推進しているため、これからの社会にも柔軟に対応できるとのこと。

前田さんが育休を取る際には、多職種の仲間が引継業務を引き受けてくれたといいます。「実は社内初の男性育休取得だったのですが、上司は取得前提で話を聞いてくれて、準備を進めることができました。育休を取得したことで、家族との時間が約3倍に増えて家事分担が可能になりました」と語りました。

地方移住のメリットはこのように話します。「在宅勤務、フルフレックスという柔軟な働き方により実現が叶っています。『できない理由を探せばキリがないから、やること前提で必要なものを創る』という社長の言葉に後押しを得ました。働き方が拡張されたことで、企業価値の向上につながりより良い人材も見込めます」

また、地方移住により、国、自治体から支援金が支払われるというメリットもあるそうです。

ウェルビーイングという、身体的・精神的・社会的に「良い状態」であることの観点から、「ライフワークバランス」ではなく「ライフもワークも楽しむ」企業づくりが大切だといいます。

最後に「地方移住により人生の選択肢を広げ、学び続けられる生き方を目指します」と、新たな時代の業務形態を示しました。noteでも前田さんの記事が公開されています。

https://note.com/mae_daichi/m/m3832c3587fb9


育休はマイナス評価にならない。育休が取りやすい制度を導入(エムスリーキャリア株式会社)

エムスリーキャリア株式会社の古川さんは、自社の男性育休取得率が20%を超えている理由を語りました。

「元々休みが取りやすい環境で、有休消化率は70%を超えています。半休だけではなく1時間休という制度もあります。責任者クラスの男性が2015年に2か月間育休を取得したのがはじまりです」

社員同士の仲が良く、情報共有を行い他者貢献で動くことができる「助け合いの精神」を持ち合わせているエムスリーキャリア株式会社。悩みを開示・共有しやすく、情報共有を行うことでいつでも引継可能であること、チームで仕事をすることで休んでも顧客に迷惑をかけないことが育休取得につながっているといいます。

「グレードで定義された役割を果たせる能力と期間内の成果で評価をしています。マネジャーとプレイヤーの役割を行き来する方も多いです。育休復帰により役割が変わることはありますが、前向きに捉えチャレンジしむしろ能力アップしています」と話します。

育休を取ると分かった時点で予め休暇を考慮した計画や目標を立てるため、育休が評価に関わらないと補足し、育休にも「チャレンジ」できる体制が整っていることを示しました。

後の質問では、助け合いの精神を進めるために効果的だった施策について回答しています。

「チームの目標を達成した際にインセンティブを与える制度です。個人ではなくチーム視点で考え協力することが当たり前になります」と、チームで働くことのメリットを話し、一方で組織規模が大きくなっても文化が継続するためにオンボーディングの重要性に触れています。


他企業の事例を聞いて自社の強み、弱みに気づくことが大切

4社それぞれに育休取得を推進する制度があり、実際に取っている実績があります。モデレーターの木村さんは、最後に「他企業の事例を聞くことで、自社の新たな強みと弱みに気づくことができました」と語り、育休取得が容易な環境づくり、社員の雰囲気づくりに対して前向きな考えを見せました。


制度として存在していても、実際に取得するにはまだまだハードルの高い男性育休。男性育休取得を推進することで、日本の経済を活性化させることができます。今回のセミナーによって、これからの日本を創っていく若い世代が育休取得について前向きに考えられること、男性育休取得が一般的に普及していくことを期待します。

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