今回は、弊社CEOの大久保に作業療法士だった時代の話を聞きました。現場での葛藤、転換期の話、介護に対する熱量など、現場上がりの経営者だからこそ話せるエピソードをご紹介します。
―― 作業療法士として働いていた当時、どんなことを考えていましたか?
福岡と東京で合わせて10年近くリハビリの現場で働いてきましたが、当時からリハビリは1つの手段であり、目的は高齢者のQOL(生活の質)を引き上げることだという思いがありましたね。今もそれは変わっていません。本人が望んでいることを実現する。そのお手伝いを今はリハブの事業でしているつもりですが、当時は作業療法士として直接お年寄りと向き合っていました。
―― 働く環境として、介護現場はどのようなところでしたか?
多いときは40人ほどの高齢者に対してリハビリをしていました。昼は高齢者の対応をして、夜は会議、山のような書類づくりに追われるので時間が全然足りません。現場の仲間もみんな頑張っていました。大変ではあるのですが、やりがいも大きいので「目の前の利用者のために頑張りたい」という空気があって、すごく前向きな環境でしたね。だからこそ悩んでしまったんです。もっと効率よくより多くの高齢者の方を支える方法はないものなのか…?そんな思いが次第に強くなっていった結果、まずは経営を学ぶために東京の大学院へ行くことを決意します。2012年なので26歳くらいのときですね。
―― 転職してまで大学院へ行かないといけない理由があったのですか? ほかに学ぶ術もありそうですが…。
同じことを今の妻(当時は結婚してなかったのですが)にも言われましたね(笑)。経営なら社長に教えてもらえないの?って。超正論です。実を言うとその社長というのが、作業療法士出身で尊敬できる人でした。その方にお願いすればきっと教わることができたとも思うのですが、若気の至りというか、探求心もあったし根拠のない自信もあって、会社を辞めて東京に行くという思いを伝えたんです。結局、社長も妻も背中を押してくれて、単身上京することになりました。
―― 介護現場で記憶に残っている印象的なエピソードがあれば教えてください。
皆さん人生の先輩ですし、話すことにも含蓄があって勉強になるので、いろんな出来事や顔が浮かびますね。数えきれないくらいありますが1つ挙げるとすると、東京時代の思い出があります。当時はすでに今のリハブのような介護に関わる会社を起業しようと動いていたこともあり、情熱にあふれていたと思います。担当する高齢者の方と雑談になったときも、自分がこれから何をやりたいのかを話すことが多かったですね。そしてそのたびに「頑張りなさい」と言ってくださるんです。本来であれば「リハビリ頑張りましょうね」と支えてあげる立場なのに、人生の先輩として応援してもらえる。それがものすごく励みになりました。こうして話してみると、いろんな人たちに応援されて今の自分があるんだなとつくづく思い知らされます。
―― 経営者として介護現場での経験をどのように活かしていきたいですか?
考えてみると、最初はほとんど活かせなかったですね。特に起業準備の頃なんて相当苦労しました。というのも、介護現場で高齢者とコミュニケーションを取るスキルは身についていたと思いますが、一般的なビジネススキルがまったく足りていなくて(笑)。それでもどうにか勉強しながら会社を興すことができました。
経営者として活かせるのは、結局、介護が好きという想い、老後を変えていきたいという意志と覚悟の部分ですね。これは、現場経験によって培われてきたと断言できます。その熱量を原動力にして、不器用ながらも真っ直ぐに自分たちの事業を推し進めていきたいです。