結婚式は、新郎新婦のものであってほしい。そんな想いから、お客様のための努力を惜しまないのが小山内 徳子。ポジティブドリームパーソンズ(以下、PDP)のウェディングプランナーだ。そしてその想いの強さは、感動コンテストの結果やお客様からの評価にも表れている。小山内が届ける感動の背景にあるものとは。
友人の結婚式に参列したことが、ウェディングプランナーをめざしたきっかけ
2022年11月現在、小山内は、白金台のゲストハウス「ザ テンダーハウス」のウェディングプランナーとして、ひと月に5~6組の結婚式を担当している。
そして、2021年度感動コンテスト、ウェディング部門の優勝者でもある小山内。ウェディングプランナーをめざしたきっかけは、友人の結婚式だった。
小山内 「私自身は、ある程度名の知れた結婚式場でとくに考えもなく式を挙げ、結婚式ってこんなものかな、と思っていました。でも、あるとき参加した友人の式が、私の式とはまったく違っていたんです。
進行への気配りや、ビジュアルにも工夫が凝らされていました。なにより友人らしい演出で、非常に記憶に残る結婚式だったのです。その結婚式を担っていたのが、PDPでした」
そのときから小山内は、PDPの存在と、ウェディングプランナーという職業に興味を抱き始めた。
小山内 「ところが当時は、幼い子どもを3人抱えており、私が子育てをほとんど担っていたため、就職して長時間働くことを考えられる状況ではなかったのです。
アルバイトとしてなら働けるかもと考えましたが、ウェディングプランナーは結婚式の打ち合わせや事前準備、当日の立ち会いなど、責任感が求められる仕事のため、アルバイトとしての募集はほとんどありませんでした」
そこで小山内は、「どんな役割であれ、まずPDPに入ってみよう」と、当時募集が出ていたバンケット事業部のアルバイトに応募。2013年、PDPでのキャリアをスタートした。
小山内 「入社4カ月後には、レストラン事業部へ異動しました。また、そのころから、私の入社の経緯を知っている上司の計らいでウェディングプランナーのサポートに入るようになって、次第に年に何件か結婚式を担当できるようになったのです」
2017年、小山内は想いが叶ってウェディングプランニングチームに異動。念願のウェディングプランナーの仕事についた。
それが、後にさまざまな感動を届ける小山内の第一歩だった。
感動コンテストの挑戦と、母親として経験した悔しさを糧に、苦労を乗り越えていく
未経験ながらウェディングプランナーとして、キャリアをスタートした小山内。最初からうまく進むことはなく、初めてお会いするお客様との信頼関係を築くやり方を模索し、時に失敗し、時に苦労を味わいながら過ごしていった。
そうした苦労を乗り越える過程にあったのが、母親としての経験から大事にしていた、人と向き合う際のスタンスだった。
小山内 「私は子どもを早く産んだので、若い母親は常識がないとか無知だとか固定概念から色眼鏡で見られる場合もあり、辛い気持ちになったことが幾度もありました。それが悔しくて。子どもが幼稚園から中学校までずっとPTA会長を担っていたのですが、これは私がどのような人間で、何を大事にしているかを多くの人に知ってもらい、偏見を覆し、同じ苦労を抱える子ども達やご家族、学校環境を整備していくことを目的としながら、みんなで世界を変えていきたいという想いがあったから。これが当時の私なりのコミュニケーション手段でした。
そういう経験を積み重ねてきたからこそ、私自身は先入観にとらわれて人柄を判断したくありません。まずは偏見を持たずお客様のお話を聞いて、徐々にお客様のお考え、背景を知ろうとするようになりました。そうすることで、私がお客様にどう接すれば良いかがわかるようになったんです」
ウェディングプランナーになってから、PDPがメンバーの感動創出技術の向上を目的に行う社内イベント「感動コンテスト」にも挑戦するようになった小山内。そこへの取り組みも、ターニングポイントの一つとなった。
小山内 「最初の2年は手探りで、感動へつながる確信もなかったというのが、正直なところです。3年目で初めて決勝に残り、ファイナリストとして登壇できました。
しかし、そこで感じたのは嬉しさよりも、悔しさ。実際にプレゼンテーションで言葉にしてみると、私の想いや取り組みが伝わっている気がしなかったですし、取り組み方をブラッシュアップできる余地も見つけました」
それから小山内が行ったのは、まずPDPが感動創出のために開発した独自のサービスメソッド「感動の技術化」をもう一度しっかりと見直すこと。それを一つひとつの演出やサービスに落とし込み、プレゼンテーションの場で伝わるように発表すること。
そして2021年度、その努力が実る。4回目にして、初めての優勝を果たしたのだ。
同じ後悔をしてほしくないから。結婚式のビジョンを決めるのは新郎新婦
小山内が決勝で伝えたのは、コロナ禍の緊急事態宣言が出されていた時期に結婚式を開催したお客様のエピソードだった。
小山内 「話し合いの中で、密を避けるため、ご親族様とご友人様を分けて、それぞれ異なる場所で結婚式を開催することになったのです。私たちはご友人様との結婚式を担当することになりました」
予定とは違う形式の結婚式に不安を抱える二人を、間近でサポートし、その想いを探っていった小山内。お二人にとっての結婚式の意義はなにか。ゲストとお二人それぞれが、どのような気持ちになったら、結婚式を行って本当に良かった。という結婚式を実施する意味があったと感じられるのか。
話を掘り下げて引き出したお二人の想いは、「友人に感謝を伝えたい」だった。
小山内 「参加者が『この結婚式に参加して元気になったな』『また明日から頑張ろう』と思えるような結婚式にすることこそ、自分たちらしい感謝の伝え方だというコンセプトが決まったのです。当日も、元気をもらえるパワーが会場全体を包むような、圧倒的な世界観をビジュアルと記憶に立脚した演出で作り上げた結婚式でした」
このエピソードで感動コンテスト優勝を掴んだ小山内。しかしこの話は、それだけでは終わらない。もう一つ、小山内がウェディングプランナーをする上での想いが、ここから見えてくる。
小山内 「私は、最後は自分たちの言葉で、新郎新婦の言葉で結婚式のテーマを決めてほしいと考えています。そのために大事にしているのが、お打ち合わせの段階から多くの質問を投げかけ、お二人にたくさん考えてもらうこと。
お二人が持つ、でも見えていない大切な気持ちに気づきを与えられるように、『本当はこっちではないか』と仮説を投げかけながら、その本質を導きます。難しいのですが、この仕事の魅力であり、新郎新婦が満足できる結婚式をあげるのに欠かせないポイントだとおいています。そして、その世界観や演出というアウトプットをご提案し、最良のカタチを実施することが私の役割です。
簡単ではないからこそ、式後にご本人たちの口から、『やり切った。準備は大変だったけど本当に想像以上でした』と結婚式に満足されているお言葉をいただいたときはもちろん、『結婚式に対して自分たち以上に真剣に取り組んでくれた姿勢がいつもありがたかった』とお話しいただけたことが、私は何よりも嬉しく感じます」
結婚式を作る上でのプロセスも大事にするのが、小山内のスタイル。結婚式の準備、当日、終えたあとに新郎新婦がその式を作るプロセスから何か意味を見出すところまでが、小山内の考える“結婚式”なのだ。
小山内 「実は私、20年前の自分の結婚式が、すごくつまらなかったんです。その瞬間は幸福感を味わえたものの、終わってみたら何も残ってなかった気がしているのは、きっと私たちの結婚式に主体的に取り組めていなかったからだと分析しています。
人生を振り返ることもなくて、結婚式を、卒業式とか入学式とか七五三みたいな、どちらかというと親のためにある、節目の行事くらいにしか考えていなかったのかもしれません。当時の私は。
でも、そうじゃない。結婚式って、新郎新婦のためのもの。いや、ずっと先の未来にも誇らしい新郎新婦のものであってほしいんです。そんな自分の経験からくる学びが、お客様の気がついていない本質を引き出した上でお二人に決めてもらうという考えの根底にあるんだと思います」
新郎新婦のために尽力する小山内だから、結婚式後もお二人との関係性が続いていく
感動コンテストで優勝以降、小山内はお客様へのアンケートから採点される感動提供の指数「感動度」で、社内規定点数を越える高得点を連続達成。2カ月連続で、「感動ランキング」の個人1位を獲得している。
小山内 「優勝後の私のミッションは、感動コンテストで得られた想いや考え方、学びを、日々のすべてのお客様に還元していくこと。そして結婚式すべてを、感動コンテストの事例にできることをめざしています。そういった意識が、結果にも表れているのかと思います」
実は、小山内のもとには、結婚式後も多くのお客様が会いに訪れているのだ。
小山内 「以前私が担当して結婚式を挙げられたお客様がレストランに遊びにきて、私が落ち込んでいるときには、『小山内さんは新郎新婦を幸せにできる人だから大丈夫だよ』って慰めてくださることもあるんです。手紙やメールで感謝の言葉が届くこともあり、いつも元気をもらっていますね」
お客様が喜べるようにと努力するのが小山内。時には、頑張りすぎて疲弊してしまうことも。それでも、小山内の心をお客様がずっと支えてくれている。
小山内 「私自身は、これからも技術を磨き続け、PDPのビジョンである『感動で満ちあふれる日本を創ってゆく』を体現する存在をめざします。お客様とたくさん話して、一緒になって悩みながら、より多くの感動を還元していく所存です。
最終的に、結婚式を行ったザ テンダーハウスがお客様の帰る場所の一つとなっていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
また、私はアルバイトとしての入社以後、契約社員、エリア限定社員とステップアップしてきました。子育ての状況に合わせて責任範囲を広げていった形です。そんなふうに、無理なく自分の領域を広げていけたのは、PDPの環境はもちろん、相談に乗ってくれた上司がいたからです。とても感謝しています」
これから、いったいどれだけの感動が、小山内を通じて生まれていくのか。可能性は未知数だ。
ただ、確かなのは、小山内が携わる結婚式には、きっと笑顔があふれていること。新郎が、新婦が、参加者が、自らが、素直な感情に気づく感動の“結婚式”を作るため、今日も小山内は奔走する。
お二人はどんな結婚式にしたいですか?と、新郎新婦を導きながら。