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「AIの使い方と、AI使いこなしの基礎力を学ぶ」新卒向けAI研修を実施しました

本記事は、5月にニジボックスで新卒社員向けに開催されたAI研修のレポート記事となります。
ニジボックスでは現在、AIを活用した業務効率化や新たな価値提供を目指しています。その上でAI研修を新卒研修にも取り入れることが重要と考え、本研修を実施しました。

カリキュラムを作るにあたって世の中の研修を研究しましたが、AI研修と言われるものは「機械学習やDeep Learningの技術を学ぶ」あるいは「生成AIのプロンプトの書き方」を題材とした研修が多く、その前段にある「AIを使いこなすために必要な力」に注目したものはほぼありませんでした。

この研修ではそれらを踏まえ、新卒社員に「AIのリスクと使い方」を伝えると同時に、これからの時代に重要になる「AIを使うために必要な基礎力」の存在を知ってもらうことを目的としました。
参加者は新卒5名で、彼らのキャリアのスタートを支えるための貴重な機会となったかと思います。

※本記事ではChatGPTなどにはじまるLLM チャットツールのことをAIと呼称しています。

研修の概要

  • 開催日時: 2024年5月27日 10:00-18:30
  • 場所: オンライン
  • 参加者: 新卒社員5名
  • 構成:研修は下記3パートに分けて行いました
    • AIのリスクや利用ルール
    • 歴史や展望
    • AIツールの使い方と、AIを使うための基礎力の重要性

なお、本研修はリクルートグループで推奨されている「Graffer AI」という、ChatGPTを基にしたチャットツールを題材として研修を行いました。

研修の各パートについて説明します。

Part.1 AIの利用ルールとコンプライアンス

最初のパートでは、AIを触るときに守るべき大事なルールから理解してもらうため、まず利用ルールとコンプライアンスについて研修を行いました。リクルートグループのルールに沿って、AIリテラシーと生成AI利用の基本的なルールについての説明を行いました。

さらにその上で、AIの基礎知識と利用時の留意点、データ取扱の制限やリスク、情報や著作権、ハルシネーションに対する注意点も伝え、AIリテラシーの重要性とルールの遵守の必要性を理解してもらいました。

Part.2 AIの歴史と基本概念

※研修に利用したmiro

次のパートでは、AIの歴史的背景と昨今の生成AIの基本概念について学びました。
AIの進化の歴史や重要なマイルストーンについて、初期のAI研究から現代のディープラーニングに至るまでの大まかな流れに触れ、AI技術がどのように発展してきたかを具体的に解説しました。

また、動画を視聴しながら、AIが提供するさまざまなサービスとその価値についてディスカッションを行い、AIがどのような分野で活用されているか、またそれらのサービスがどのような価値を提供しているかについて具体的な事例を紹介・意見交換し、AIがもたらす価値について深く考える会となりました。

Part.3 AIの実践的な利用方法と基礎力の重要性

最後のパートでは、AIツールの実践的な使い方の座学とAIとの向き合い方について学びました。
このパートは3部に分かれており、使い方、ワークショップ、補足となっています。

Part.3-1 AIチャットツールの使い方の座学

まずAIへの指示の出し方を、単なるプロンプトではなくより概念的に学び、自分の求める答えの出てくる指示の出し方、出てくるアウトプットについて学びました。

AIの活用が業務効率を大幅に向上させる可能性があることを理解し、AIへの指示の仕方や業務の目的、前提条件を明確にすることなどを体験してもらいました。

※研修スライドより抜粋

Part.3-2 ワークショップ-Webサイトの改善案を出してみよう

その後ワークショップでは、5人を2グループに分け、それぞれ1時間でWebサイトの改善案を出してもらいました。出てきた改善案に対してみんなでレビューをしていきます。

課題

改善の示唆だし(1時間)

2か月前に入社した新卒とは思えないアウトプット量が、AIを使うことで1時間ほどで出てきました。
この量にはAI推進チームとしても驚くぐらいの量で、改めてAIのポテンシャルを感じました。
これらに関して発表してもらい、レビュアーから質問・レビューをしてもらいました。

Part.3-3 補足

実はこのPart.3は少しいじわるな順序になっていて、この最後の補足部分こそがこの研修でAIチームが一番伝えたいことでもありました。

それは、AIというのはただの剣(道具)にすぎず、それだけを学ぶのではなく、きちんと基本的なリテラシーや判断力が不可欠であるという私たちの考えです。

※研修スライドより抜粋

合わせて今後のどのようなリテラシーが重要とされていくのかについて、私たちの考えを伝えました。

先ほどWSのフィードバックの際にも「きちんと目的を考えられているか?」「そもそも背景や事情まで掘り下げて考えられているか?」などを中心にフィードバックし、AIのアウトプットは表面的にはよく見えるけれど、現時点ではまだまだ限界があることも伝えました。

このように、最初にAIの使い方を教え、ワークショップでみんなでAIを使って頑張ってもらって、一回振り回された体験をしてもらったあと、そのように振り回されるのではなくきちんと道具として扱い人間側も考える力を養わないといけないということを伝えることで、実感を持って理解してもらえたようです。

事実、ワークショップのグループの中には、「AIが提案したから」という理由で改善案を提案したチームもあり、やはりAIとの付き合い方を伝えることは重要だったと感じています。

成果

初回ながら、研修チームとしてもAI研修は上手くいったと考えています。
実際に新卒の参加者からも、研修内容が実践的で役立ちそうという声が多く寄せられました。

特に、AIの使い方、そして向き合い方の両方を学べたことに新卒はワクワクしているようでした。

まとめ

なぜ新卒向けAI研修をやるか

今回、新卒研修をやるにあたっていくつかの懸念がありました、それは「本当に新卒にAIを触らせていいのか」「研修をやっていいのか?」という悩みでした。

AIは非常に便利なため、「安易に使い方を教えてしまうことで基礎力が育たず振り回されてしまわないか」、そして「まだAIの使い方や向き合い方のベストプラクティスも形成されてない状況できちんと教えられるか」という懸念でした。

しかし、それでも研修を推し進めた3つの理由があります。

AIは良きパートナーとなる

私たちは、AIのことを振り回される危険があるほど便利と思っていますが、逆にいえば(というか本来)非常に強力な武器にできるのではないかということです。
特に新卒の右も左もわからない時期に、AIにいろんなことを聞けるのは非常に強力で、一緒に戦っていくための良きパートナーとなれるでしょう。

おそらく「本当に新卒に触らせていいのか」という懸念を感じたのは組織や教育というものにまだまだAIが浸透していないからなのではないでしょうか。

そのような会話を経て、模索しながらでも2024年の時点でAIを触らせたほうがいい…そう社内のAI推進チームで議論がまとまり、AI研修を実施することになりました。


まだ仕事の仕⽅を知らない新卒の⽅々が、仕事とAIの触り⽅を同時に学んでいくことで今後どうなっていくのかは、私達にはまだ分かりません。
でもきっと意味のあることだと思っており、新たな時代を切り開いてもらえたらなと考えています。

また、新卒の方々がAIを使った仕事の仕方を学んでいくことで、先輩社員にも新しい刺激となり、全体が新たな時代に適応できるようになっていけることも願っています。

今回の新卒向けAI研修は、AI技術のリスクと使い方についての理解を深めるとともに、基礎力の重要性を再確認する良い機会となりました。
参加者の方が今回学んだことを業務に生かし、さらに成長していくことを期待しています。
また、新卒メンバーだけに閉じず、今後も会社としてAI活用に関して取り組んでいきたいと思っています。


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