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なるテックの広報担当のきんぐです!
国土交通省共創モデル実証プロジェクトの一環として「東成瀬の未来の交通と移動について考える会」を3日間運営いたしました。
- 1日目:講義 (1月19日金曜日)
- 2日目:小中学生向けワークショップ (1月24日水曜日)
- 3日目:全体ワークショップ (1月29日月曜日)
今回は本会の様子やお客様の声をレポートし、弊社が行っている「地方創生」の取り組みを紹介していきます。
本会は「便利な村づくりを交通・移動の観点から議論するイベント」
東成瀬の未来の交通と移動について考える会は「ずっと住み続けられる便利な村にするには?」というテーマを、交通と移動の観点から議論する3日間の講義・ワークショップです。
国土交通省が進める取り組み「共創モデル実証プロジェクト※1」の1つである「人材育成事業※2」の支援制度を活用したイベントで、銀河ソフトウェア株式会社が主催し、東成瀬村・東成瀬テックソリューションズ株式会社(なるテック)が共同運営しています。
自治体職員・議会議員・村民(小中学生など)・関係事業者など、多くの方々にご参加いただきました。
※1 地域公共交通の維持・活性化を目的として複数の主体が連携して行う取り組み
※2共創の取組の促進・普及に向け、地域における交通やまちづくりに取り組む人材の育成に関する仕組みの構築や運営を行う事業を支援する取り組み
開催背景
東成瀬村は、人口2,400人弱で人口減少や高齢化が進む地域です。交通事業者の皆様にも多大なご協力を頂いておりますが、公共交通の運行数は少なく、村民にとって利用しづらい現状です。
東成瀬村に適した交通のあり方について、移動の目的となるサービスの配置と切り離さずに検討する必要があります。
行政だけでなく、事業者・村民が一体になり一緒に考えていくことが、東成瀬村の持続可能性にとって大変重要であると考えたため、開催するに至りました。
1日目:講義の様子
1月19日(金)は下記の2名の講師をお迎えし、東成瀬村の現状と将来像、海外の事例を交えた講義とディスカッションを行いました。
- 株式会社国際経済研究所非常勤フェロー・一般社団法人JCoMaaS理事 宮代陽之氏
- 山形大学 高澤由美准教授
その他にも、村内の自治体職員・議会議員・部落長・村民、村内外から関係事業者の80名の方が、村の未来を考え、熱心な様子で参加くださいました。
1. 東成瀬村の課題整理や方策などの説明
「東成瀬村の課題を整理するには、サービスの利用者目線と、提供者目線で考える必要がある」との説明をいただきました。
利用者目線では、生活に必要なサービスへのアクセスが困難であるという課題があります。
具体的には、東成瀬村内に必要なサービスが揃っていなかったり、自家用車での移動が当たり前になっていたりするので、高齢者や子供の移動機会が限定的になっていることです。
提供者の立場で見た時の課題は、サービスを提供する上での土台が不安定という点があげられます。過疎化が進んでいる東成瀬村は人口約2,400人のため、サービスの展開が限定的になり、採算性が低いのです。
東成瀬村の課題に対応していくためには、定期的に村外からサービスを移動させてきたり、モビリティハブを設置し人々が集まりやすくしたりして、新たな消費を地域に生み出すなどの方策が必要です。
快適に住み続けられる村を実現するためには、人の移動だけでなく、モノの移動やサービスの移動についても考えることが求められています。
2. 講義「モビリティを梃子とした住民参加型のQOL向上」
宮台氏から「モビリティを梃子とした住民参加型のQOL向上」というテーマで、講義をしていただきました。
モビリティとは、Mobility as a Serviceの頭文字を取った言葉で、自力移動(自家用車)以外の選択肢でも、自由に安全に行きたい場所に移動できる環境やサービスを言います。モビリティの実現には、インフラや情報がネットワークに繋がっている状態が必要です。
ネットワークで繋がっている状態が続くと、情報やデータが共有され、課題解消やサービス改善の連鎖が起き、街づくりの期待効果があがるからです。
日本でも注目されつつあるモビリティですが、企業や自治体で抱える悩みが異なり、中々前に進まないのが実情とのこと。
宮代氏は、日本でモビリティを進めるためには、利用者がどんな暮らし方や行動をしているのかを知り、困っていることに向かってサービスを実現して、課題の改善をする必要があると言います。
東成瀬村と同じように過疎化が進む広島県庄原市の事例を交えつつ、今後のモビリティのあり方についてをご説明いただきました。
3. 講義「未来の暮らしを考える~オーストリアの小さな村のチャレンジ」
高澤氏には、オーストリアのヴェルフェンヴェルグの取り組みをご紹介いただきました。本村は人口900人程度でアルプス山脈のふもとにあり、東成瀬村と似ている地域です。
ヴェルフェンヴェルグは、1990年代に「観光客の減少」と「気候変動(雪に伴う)」の課題を改善するため、未来の村の姿を住民とともに模索した村です。
結果として「ソフト・モビリティ」という住民や観光客、環境にやさしい交通手段を活用するというアイディアを採用します。実際に導入した、下記のような事例が解説され、会場のお客様は興味深く聴いていました。
- 電気自動車のレンタル
- 申請すれば無料で利用できる公共機関
- スキー・スノーボードを無料貸し出しなど
取り組み後、電車でヴェルフェンヴェルグを訪れる人の割合や、定住した人口が増加しました。数々の受賞をし、公共交通や環境にやさしい取り組みで有名な村になった事例をうかがい、東成瀬村の未来を想像できるような講義でした。
2日目:小中学生向けワークショップの様子
小学生・中学生ワークショップでは、東成瀬村で使う場所やサービスについて、「本当に必要なものは何か」「どうしたら行きやすくなるか」を話し合いました。1日目に引き続き、講師は宮代様です。さまざまな意見やアイデアが飛び交い、活発な話し合いが行われました。
ここからは、ワークショップでの小・中学生の様子や意見をレポートしていきたいと思います!
2. 話し合い①「行きたいところはどこ?」
行きたいところは?と話し合うと、映画館やカラオケ、遊園地などの案がでました。
学校が終わっても遊べるところが欲しい、休日に自分のタイミングで遊びに行ける場所が欲しいという声がありました。他にもショッピングモールやドンキホーテ、100均一SHOPも案として挙げられ、話し合いではさまざまな場所へ行きたいという気持ちが伝わってきます。
3. 話し合い② 「行くのが大変なところは?」
行くところが大変なのは「全部!」と正直に答えていました。
東成瀬村の中にはないものばかりですし、近くても車で30分かかることを考えると、学生は全ての移動が大変だと感じると思います。
カラオケを題材にして話を進め、どうしていくのが大変なのかと尋ねると「遠い」「交通手段がない」「お金がかかる」「好きなタイミングで移動できない」といった理由が挙げられました。
4. 話し合い③ 「どうすれば解決できる?」
どうすれば解決できるか話し合った結果、下記が挙げられました。
- 村にカラオケを作ること
- 駅を建造すること
- バスの運行時間を増やすこと
学校が終わった後にカラオケに行きたいという願いを叶えるのであれば、村の中にカラオケを作ることが一番の解決策です。
しかし、学校がある時間はカラオケに来る人は少なく、すぐ潰れてしまうんじゃないかという声もありました。無人のカラオケ店を作る案や予約制にしてみる案も出てきており、児童たちの発想力に驚かされました。
5. 話し合った内容を共有
最後に、児童たちが話し合った内容をまとめ、全体に向けて発表を行いました。
子供たちは、村の中でも遊べる空間を作りつつ、村外に自分のタイミングで出られる機会を増やしたいと思っています。
学校が終われば家に帰るしかなく、休みの日も家族に車を出してもらわなければいけません。そのため、無人のカラオケ店を作ることや、バスの運行時間を自動運転で増やすことを発表しました。
少し緊張していましたが自信をもって発表しており、子供たちの悩みを聞ける良い機会でした。
3日目:全体ワークショップの様子
全体ワークショップでは19日と24日に行われた講義とワークショップで出た意見を基に、必要なサービスやアクセス方法について議論しました。
果たして、どのような東成瀬村の未来が描かれるのでしょうか?とあるチームを事例に、さっそく様子を見ていきましょう。
1. グループワーク①「必要なサービスは?」
こちらのお題では、一番初めに「ATM」という声が上がりました。その意見に対しては、ほぼ全員が首を縦に大きく振り同意していました。
次にスーパーや病院、美容院も欲しいという意見が続々と上がり、東成瀬村から15分車を走らせればあるような施設ばかりでしたが、もっと気軽に行けるような距離に欲しいという願望が皆さんあるようです。
その他には高校生になった途端、村での交流が減り始め、結果村から出てしまうのではないかという問題があげられ、「高校があったらそんな村の課題も解決に繋がるよね」という話し合いもありました。
2. グループワーク②「特に必要なサービスと理由は?」
たくさんの意見が出た中でも、結局さまざまな皆の要望を叶えるために「東成瀬村スマホ掲示板」があったら便利なのではないかと会話になりました。
東成瀬村は買い物に行くにも車で15分かかるという面で、人参だけ足りない…といったときにわざわざ買いに行くのも大変です。
そんな時に「東成瀬村スマホ掲示板」で買い物代行ができれば嬉しいという意見になりました。
高齢者の方にもスマホに慣れていただき、みんなで繋がるというサービス提供は、人口2,400人の小さな村だからこそ実現できるのではないかと思います。
3 . グループワーク③「適切なアクセス方法は?」
適切なアクセス方法のお題では、サービスとしてライドシェア、カーシェア、循環バスなどの情報も東成瀬村スマホ掲示板内で行えたら効率的だという話に繋がりました。
また、UverEatsなども使えたら、学生のバイト先にもなりますし、掲示板内で若者が手助けできれば高齢者の方の生活上のストレスが軽減されます。
掲示板内で手助けすると、ひがなるポイントがたまり、景品と交換できるシステムををつくればWinWinな関係作りが構築できると考えました。
4. 話し合った内容を共有
各チームのシェアでは、下記のような声が挙がりました。
- 人が集まる場所をつくるための複合施設
- 自家用車に頼らない移動手段が使用できるモビリティハブ
その他にも生活に必要不可欠な「病院」「スーパー」や、観光資源の強化として「ホテル」「グランピング施設」など多くの意見が飛び交いました。
会場の皆様がワクワクしながら、東成瀬村の未来を描いていたのが印象的でした。
まとめ
講義やワークショップを通して、参加したみなさんが真剣に未来を考える時間になったと感じました。この意見を取り入れながら構想を描くとの言葉を行政の方からいただき、今後の展開がとても楽しみです。
今後も住んでいる人にとって心地よく、誇らしい村になるよう、行政・事業者・村民一体となり進んでいきます。
また、NHKホームページにおいて今回の記事が公開されていますので、ぜひご一読ください。
東成瀬村 公共交通のあり方 子どもたちが話し合う
<お問い合わせ>
東成瀬テックソリューションズ株式会社
プロフェッショナル本部
担当:山嵜智哉
Mail:tomoya_yamazaki@narutech.co.jp