ミラティブの行動理念「わかりあおうとし続ける」の「わかりあおうとする」って具体的にどういうこと...?メンバーに聞いてみました!
ミラティブのミッションは「わかりあう願いをつなごう」です。このミッションを体現する組織であるために、行動理念を「わかりあおうとし続ける」と定めており、「わかりあおうとする」は、私たちが最も大切にしている価値観です。
一方で、この言葉は抽象度が高く、一人ひとり解釈や捉え方が異なる言葉でもあります。こうした背景から、「わかりあおうとし続けるガイドライン」を定めていますが、社外の方からは、イメージが湧きにくい点も多々あると思います。
今回は、ミラティブにおける「わかりあおうとする」とは具体的にどのような状態を指すのか。経営、PdM、開発、採用と、異なる領域で活躍する5名のメンバーに話を聞きました。
Slackでの細やかな連携から、「わかりあえないこと」を認めるスタンスまで、ミラティブらしい「わかりあおうとする」コミュニケーションを紹介します。
大石 萌未(おおいし めぐみ)さん
ユーザー企画部所属。横浜国立大学在学中の2019年にインターンとして入社。ユーザーコミュニケーションを担う部署や、アプリ内イベントの進行管理などを担当。これまでの経験からMirrativアプリ内の施策を幅広く把握しており、社内では“施策の生き字引”として頼りにされている。
—— ミラティブの「わかりあおうとし続けるガイドライン」の中で、特に意識しているものはありますか?
一番実践しているのは、8番の「確認する」ですね。
他部署や異なるチームの人とやり取りする機会も多いのですが、チーム内外を問わず自分の進めていることと、他のメンバーや上長が考えていることに認識のズレがないか、方向性が合っているかを常に確認しながら進めることが多いです。意識しているというよりは、仕事のスタイルとして定着していることです。
—— 「わかりあえた」と感じた具体的なエピソードはありますか?
大きな出来事ではないのですが、日常的なコミュニケーションの積み重ねで「わかりあう」ことを感じることができています。
私が意識しているのは、大きなすれ違いを未然に防ぐための細かな確認です。Slackでのやり取りやチーム定例はもちろん、「テキストだとまとまりにくいな」と感じた時は、すぐにGoogle Meetなどのツールを使って口頭で確認するようにしています。
「思っていたのと違った」というような認識の相違を、日々なくせていることが、スムーズな協力関係に繋がっていると思います。
また、自分なりの「聞くための工夫」をしています。ミラティブ社内の会議は、会議前にアジェンダと詳細が共有されますが、会議前に質問を書き込んでおきます。また、気になることがあれば「今から5分話せますか?」とリアルタイムですり合わせをお願いしたり、自分に合った聞き方を見つけるのも、わかりあうための近道だと思います。
「誰に聞けばいいかわからない」「聞くのが怖い」という不安は、「わかりあう」ことを妨げる要因です。なので、私は質問に丁寧に答えるように意識していますし、Slackで誰かが困っているのを見かけたら、「横入り失礼します」と知っている情報を書き込むこともあります。そういった振る舞いを見て、「この人なら話しやすい」と思ってもらえているのなら嬉しいですし、わかりあうことに一歩近づけていると感じます。
—— 大石さんにとって、「わかりあう」とはどういうことですか?
「自分から壁を作らず、双方向のコミュニケーションを諦めないこと」です。自分の考えを相手に察してもらうのは、とても難しいことです。だからこそ、「伝える」ことが不可欠です。
「質問しにくい雰囲気」を感じることもあるかもしれませんが、実は自分の考えすぎで、実際には相手も答える準備ができていることが多いものです。少なくとも、ミラティブで働くメンバーなら、歩み寄れば必ず応えてくれると言えます。
リアルタイムで言語化するのが難しければ、後からテキストで伝えてもいい。「後で質問してもいいですか?」と一言添えるだけでもいいんです。どこまでいっても、わかりあうための手段は「対話」でしかないと思っています。自分から壁を作らず、双方向のコミュニケーションを諦めないことが、私にとっての「わかりあう」ということです。
岸本 理央(きしもと りお)さん
技術部Unityグループ所属。大阪大学大学院修了後、2025年に新卒入社。入社後は、エモモの機能開発・改善等を担当。様々な職種のメンバーと丁寧にコミュニケーションをとりながら、プロジェクトを牽引。新しい技術にも積極的に挑戦し、チームの業務効率を改善する。2025年の全社年間MVPにもノミネート。穏やかな性格で、チームメンバーからは「怒ったり、イラついたところが想像できないので、引き出したい」と言われている。
—— ミラティブの「わかりあおうとし続けるガイドライン」の中で、特に意識しているものはありますか?
3番の「伝わる形にする」をとても意識しています。私はエンジニアですが、企画担当のメンバーと話す際、技術の専門用語を使ってしまうと正しく伝わらないことがあるので、誰にでも伝わる内容で話すよう気をつけています。逆に、企画側の言葉でわからないことがあれば、そのままにせず必ず確認するようにしています。
例えば、新機能を作る際は「こんな感じでいいですか?」と確認するために、画面のモックをパッと作ってスクリーンショットを共有したりします。言葉だけで伝えるよりも、視覚的な情報がある方が伝わりやすいからです。また、文章で伝える時は、一度書いた後に「伝わりにくい表現がないか」を読み直してから送信するようにしています。
あとは、10番の「わかりあえなさもわかりあう」が明文化されているのは面白いなと思いました。「絶対にわかりあえるとは限らない」という前提があることで、無理に理解を求めるのではなく、「今はわかりあえていない」と認めて時間を置いたり、別の方法を考えたりできる。ガイドラインとしてこの余白が示されているのがいいなと感じます。
—— 「わかりあえた」と感じた具体的なエピソードはありますか?
具体的な1つのエピソードではないのですが、times(社内Slackの個人分報チャンネル)です。今やっている作業や「これどうしようかな」という独り言をtimesに書くようにしているのですが、それを見た周りの方が「ここに聞けばいいよ」と反応してくれたり、スタンプをくれたりします。
最初は「忙しいかな、迷惑かな」とSlackでメンションを送るのをためらうこともありましたが、今は気にせず聞くようにしています。また、他部署のメンバーのtimesも見るようにして「何をしている人か」をなんとなく知っておくことで、いざコミュニケーションをとる際の心理的な抵抗を減らす工夫もしています。
—— 岸本さんが、この会社なら、誰かと「わかりあえる」と思えるのはなぜでしょうか?
わかりあうためには、双方が「自分の考えを伝えるコスト」を払う必要があります。ミラティブの人たちは、適当な返事で済ませるのではなく、きちんと時間と労力をかけて向き合ってくれています。
また、全社会議などでは代表の赤川さんをはじめ、忙しい方々もしっかり時間を割いて発表しています。会社として「わかりあうこと」に投資している姿勢が見えるので、この組織なら信頼してやっていけると感じています。
—— 岸本さんにとって「わかりあう」とは、どういうことですか?
「自分の中に『モヤモヤ』を残さないこと」です。
「完全に理解しあっている」と断言するのは難しいですが、わかっていないと認識している事柄をなくすことは可能です。相手が言っていることや仕様に対して、少しでも不明点があれば言葉にして解消する。相手にとってもモヤモヤが残らないように、自分の考えを誠実に伝える。その「モヤモヤを一つひとつ解消していくプロセス」の積み重ねが、私にとっての「わかりあう」ということです。
荻原 (おぎー)さん
HRBP部所属。新卒でエンタメ企業に入社し、PMとしてキャリアをスタート。その後ゲーム企業で採用職にジョブチェンジ。前職のコンサル企業では一人人事としてHR領域を広く経験し、2022年4月にミラティブに入社。現在は、中途採用とHRBPを一気通貫で担当する。
—— ミラティブの「わかりあおうとし続けるガイドライン」の中で、特に意識しているものはありますか?
2番の「前提を揃える」と、10番の「わかりあえなさもわかりあう」の2つです。
「前提を揃える」について言うと、ミラティブには、MTGの冒頭で「少し前提を揃えさせてください」と宣言し、お互いの認識をすり合わせる文化があります。HRの仕事では、経営陣、マネージャー、社員、派遣社員等、さまざまな立場の人と対話をしますが、それぞれが持っている情報の粒度は大きく異なります。最初に前提を丁寧に揃えることで、その後の対話がスムーズになると実感しています。
「わかりあえなさもわかりあう」も、人事として大切にしているスタンスです。入社当初は「納得いくまで対話し、100%わかりあうこと」が理想だと思っていましたが、実際には視点や役割の違いから、どうしても平行線になる瞬間があります。
そのようなときは、「今はこれ以上理解しきれない」と、“わかりあえない状態”を受け止める。そうすることで、かえって腹落ちし、次の一歩に進めるようになりました。
プライベートでも仕事でも納得できない場面は存在すると思います。このスタンスをしっかり持つことで、「なんでわかりあえないんだ!」というストレスも感じないので、前向きに生きられています。
—— 「わかりあえた」と感じた具体的なエピソードはありますか?
採用活動において、事業部のメンバーと深い信頼関係を築けたと感じた瞬間です。
採用チームは、事業部側から見ると「忙しい中で業務以外の面接やMTGを次々に入れてくる存在」と捉えられてしまうこともあります。だからこそ私は、事業部の採用責任者や面接担当者が今どんな仕事を抱え、どのタイミングで負荷が高まるのかを事前にリサーチした上でコミュニケーションを取るようにしています。
たとえば、「今は余裕がない時期だな」と感じたら相談のタイミングをずらします。また、「今回の採用はチームの成長にとって必要であること」を、今の事業状況や今後の戦略、採用市場の難易度まで含めて丁寧に共有し、対話をしています。
こうして相手の状況を想像し、前提を揃え続けることで、お互いに無理なく同じゴールを目指せるようになります。その積み重ねの先に、「わかりあえた」と感じる瞬間があります。
—— 荻原さんにとって、「わかりあう」とはどういうことですか?
「相手の幸せを願うこと」だと思っています。
私は、身近にいる人たちのことが本当に好きで、その人のために何ができるかを常に考えています。「どうすれば相手がより良くなるか、幸せになるか」を突き詰めていくと、自然と相手を深く知ろうとし、わかりあおうとするプロセスが生まれます。
採用においても同じです。「その候補者にとって、本当にミラティブが幸せな選択肢なのか」を何より大切にしています。もし他社のほうがその人にとって良いと感じれば、正直にそう伝えることもあります。
きれい事ではなく、相手の人生に誠実に向き合い、歩み寄ること。その「相手の幸せを願う姿勢」こそが、私にとっての「わかりあう」です。
赤川 隼一(あかがわ じゅんいち)さん
ミラティブ代表取締役CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、2006年DeNAに新卒入社。最年少執行役員として海外事業、ブラウザゲーム事業等を管轄した他、戦略投資や複数の新規事業立ち上げを担当。2015年、同社の事業として「Mirrativ」を開始。2018年2月にMirrativ事業をDeNAからMBOし、株式会社ミラティブを創業。2025年12月に東証グロース市場に上場。「わかりあう願いをつなごう」をミッションに、日本発の新たなコミュニティ・居場所の形を世に展開している。
—— ミラティブの「わかりあおうとし続けるガイドライン」の中で、特に意識しているものはありますか?
最初と最後の2つ、1番「相手を想像する」と10番「わかりあえなさもわかりあう」です。2番から9番までは実践方法・howの話ですが、1番と10番の2つは「姿勢」そのものを表しています。
世の中で対立が起きる大きな要因は、相手を想像できない「想像力の欠如」と、想像できた上でも相手を受け入れられない「寛容性の欠如」にあると考えています。情報過多な社会において、少しでもわかりあえる瞬間を増やして健やかに生きていくための鍵は、この「想像力」と「寛容性」にあります。それを言語化した1番と10番は、私自身の思いも込められた好きな項目です。
また、経営者としては「わかりあう」という願いが、他者への強制になってはいけないという思いも常に持っています。「会社のルールだからこうしなさい」と縛るのではなく、その人の内側から湧き出てくる想いと「わかりあおうとし続けるガイドライン」が結びつき、組織のOS(基盤)の上で個々の多様性が花開く状態が理想です。組織のOSやガイドラインはあくまでプレイグラウンドで、実際にプレイするのはメンバーですから。
—— 「わかりあえた」と感じた具体的なエピソードはありますか?
社内で策定した「わかりあおうとし続けるガイドライン」や「Mirrativ Community Playbook」(*)に含まれる単語やメソッドが、日々のメンバーの会話の中で自然に使われ、議論が進んでいるのを目にした時ですかね。
言葉というものは解釈の幅があるため、同じテキストを読んでも人によってズレが生じます。しかし、ミラティブという会社が何を目指し、世の中をどう変えたいのかという「願い」を言語化し、発信し続けることで、それが社員一人ひとりの共通OSになっていくことを実感しています。
そのOSの上で、メンバーがそれぞれの多様性を発揮しながらも、核心の部分で解釈が一致している瞬間や、その上で活き活きとしたアウトプットが出ている様子を見た時に、経営者としての喜びを感じます。
(*) 従業員に配布される、ミラティブのミッション・ビジョン・バリューをはじめ、Mirrativアプリの企画・運営経験を基にしたコミュニティサービスのノウハウが詰まった社内オリジナル本
—— わかりあえないこともありますが、それでも「わかりあえる」と信じられる理由はどこにありますか?
創業直前、私自身に「わかりあう願いをつなごう」という言葉が降りてきた時、しばらくその場で動けなくなるような感動があり、これは人生をかけて取り組めるテーマだと心から思えたし取り組もうと決めたからです。上場企業として事業成果を出す責任が当然にありますが、理想や存在意義を捨ててしまっては終わりです。理想がある上で、成果を出し続けるのがあるべき姿だと信じています。この会社はこういうミッションを掲げる場所なのだ、という旗を私自身やメンバーが立て、信じ続けられる会社でありたいと思っています。
背景を辿れば、私の母が非常に相手を想像できる人だったことや、私自身が(良い意味でも悪い意味でも)人を無条件に信じがちな性格で、それでも問題なく大人になれたくらいに周囲に恵まれてきたことも影響しているかもしれません。青臭い理想に共鳴してくれる人たちが集まってくれているからこそ、相対的に「わかりあえる瞬間」が多い組織にできているのだろうと思っています。
—— AIが対話の相手になる時代、人間同士がわかりあうことの価値をどう考えていますか?
業務や効率を求めるやりとりはAIがより担うようになりますが、人間が「生きていてよかった」と思える幸せな瞬間は、人と想いが通じ合ったときにこそあるのではないでしょうか。
周囲からの愛情を感じたり、他者と心がつながりあう本質的な体験は、AIには代替できていません。「人とわかりあいたい」という欲求は、少なくとも21世紀の人間にとっては生きる意味と密接につながっています。
一方で、これからは、AIと人がどうわかりあうかや、AI同士が協調する社会をどう作るかも、私たちのスコープに入っていくと考えています。そういったより広い意味での「わかりあい」も、これからの重要なテーマですね。
—— 赤川さんにとって「わかりあう」とはどういうことか教えてください。
個人としても会社としても「わかりあう」という言葉をテーマに据えて10年近く生活していますが、一方で、いまだに真には全容も中心も捉えたと感じられていない深淵な言葉が「わかりあう」です。
英訳ひとつとっても、会社のHPでは「to understand each other」としていますが、どうも何かがこぼれ落ちているような気がする。
そのように、短いセンテンスで真に意味を説明することは難しいけれども、「わかりあえたと感じる」瞬間は感覚的にわかる、というのが「わかりあう」についての私の実感であり、多くの人もそうなのではないか、とも思います。
貨幣などが典型例ですが、人類はある領域では共通の尺度で他者と前提や物語等をわかりあい、社会の中で協調して生きています。生存し続けるためにある点ではわかりあい続けてきた、もしくはわかりあえていたから生存してきた--結果として他者と共鳴する回路がDNAに埋め込まれている、とも言えると思います。
一方で、日常生活の中では、多くの個人間の価値観のズレや、組織間・国家間での認識のズレが変わらず存在し、それゆえの摩擦や不幸も起こっています。
「わかりあう願いをつなごう」のミッションステートメントでは、人のあらゆる営みには何らかの意志と願いが宿っている、と定義(仮説設定)しています。そして、すべてのコミュニケーションはその願いの発信だ、と続きます。
願いが発信されたときに、誰か他者がその願いを受け止める、本人が願いを受け止められたと感じられる、お互いでそれを非言語的であれ感覚として確認できる時には確かに「わかりあう」瞬間が生まれています。
相手を想像して尊重しながら、ズレを認識・許容した上で、そんな風に「わかりあえたと感じられる」瞬間の総量は社会全体で少しでも多い方が良い、ということは確信しています。
今後とも、「わかりあう」という言葉や状態を真には説明しきれないなりに、「わかりあう」に向き合って個人も会社もやっていこうと思っています。私にとって「わかりあう」とはそんなテーマ・言葉です。
以上、ミラティブメンバーから聞いた「わかりあおうとする」エピソードでした。