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Classiの本間さんに、これからのエンジニアのキャリアについて聞いてみた

社内外問わず、面白いエンジニア・デザイナーに質問しに行く「聞いてみた」シリーズ。社外編の第4回は、ICTを使って教育現場に新しい体験を生み出しているClassiさん。エンジニアが次のキャリアとして「xTech」を選ぶ価値について、エンジニア・本間さんにお伺いしました。

Classi株式会社さん

ICTを使って教育現場をサポートするクラウドサービス「Classi(クラッシー)」を提供。PCやタブレット、スマートフォンにも対応し、高校、中学校、小学校、専門学校など多くの教育現場で活用されており、全国約5,000校ある高校のうち、2,100校(約4割)、80万人超に利用されています。

本間 知教さん

フューチャーアーキテクト株式会社に新卒で入社し、インフラエンジニアとして従事後、当時80名ほどだった株式会社gumiに転職。解析システムの技術調査および設計、複数のゲームのインフラ運用および海外支社を絡めた社内ツール運用などを経験。インフラチームマネージャーを経験後、2017年にClassiに参画。インフラ(SRE)エンジニア兼、プロダクト部の副部長、AI室 室長として、業務を行っている。

経営とITのスキルを身につけたいとITコンサルへ

(平木)今日は、お時間ありがとうございます!

(本間)よろしくお願いします。メドレーには(gumi時代に同僚だった)新居さんだったり、知り合いが結構いるんですよ。

(平木)この業界、何かとつながっていますよねw 教育と医療、社会のインフラである一方で紙文化とかが強いであろう業界をITで変えていくという共通点もありそうで、Classiさんに親近感を持っていました。もともと、本間さんは全く違う業界からいらっしゃったんですよね?

(本間)そうです。もともと学生時代は量子コンピュータの研究をしていたんですが、新卒では、ITコンサルティング会社のフューチャーアーキテクトに入社しました。

(平木)フューチャーアーキテクトさんに決めた理由というのは?

(本間)経営とITの知識を一緒に身につけられればいいなと思ったのが大きな理由です。技術そのものよりも「技術を使って何の課題を解決するか」を大切にしたいと思って、その視点で得るものが多いと思い入社しました。もう一つ、フューチャーでは、社内ボランティアとして子供向けのCSR活動にも参加することができたというのも大きな理由でした。地方の子供向けにパソコンの組み立て教室を開催しに行ったり、都内の小学校で二進法の概念を教えたりする中で、授業という短い時間の中でも子供たちが成長する姿を見ることができて、教育という分野に興味が湧いていきました。

(平木)新卒の頃から教育に興味があったということですよね。そこから志向性があまりブレずにここまで来た感じですか?

(本間)もともと学生時代からそういう志向はあったんだと思います。私は、学生時代に器械体操をやっていたんですが、器械体操って他の競技より競技人口が少ないので、自分たちの学校だけでは十分に練習できないことも多かったんです。そこで、いろいろな学校に行って教わったり、地元の高校を何校か集めた合同合宿を友人と企画したり、生徒たちで工夫していたんです。ただ、当時はそうした生徒の主体的な活動を、顧問の先生やまわりの大人がうまくサポートできる環境がほとんど整っていなくて。いつでもインターネットが使えるような時代ではなかったので、タウンページを使って自分たちで合宿先を調べて、一件ずつ電話をしたりしていました。これだけインターネットが普及している今なら、こうした生徒が主体的な動きを行うときに、大人がもっとサポートしてあげられるような環境が作れるだろうし、私も子供と大人をうまくつなげてあげられる事業に携わりたいなと考えていました

(平木)なるほど、やっぱり一貫していますね。その後gumiに入ったのはどういうきっかけなんですか?

(本間)もともと新卒の会社に長くいるとは想定していなかったんです。流通やR&D、金融など、いろいろな業界のプロジェクトを手がけて、業界ごとの特性が少しずつわかってきたので、そろそろ次を考えようと。そんなとき、ゲーム好きの子供たちのようなユーザーの声がダイレクトに見える自社B2Cサービスに関わりつつ、(当時はまだ珍しかった)AWSやPythonを使って開発していたgumiで、インフラエンジニアとしてのスキルをもう少し磨いてみようかなと考えたのがきっかです。

「学校そのものを変化させる」開発に興味を持ち、Classiへ

(平木)インフラエンジニアを目指したのって理由があるんですか?

(本間)フューチャーの新人社員研修のときに、面談でインフラに関わるプロジェクトに携わりたいという希望を出したんです。HTML、CSS、JavaScriptのような画面側の実装や、JavaやRubyといったバックエンドの技術にも興味はあったんですけど、インフラって一番見えづらい分野だし、個人では検証できない技術も多いなあと思っていて。インフラのネットワークとかサーバってどうなっているんだろう、ということに興味があったんです。ともすればブラックボックスにもなりがちだけど、サービスを支えているのはインフラなのかなあと。

(平木)会社でプロダクトを作っていると、一番大きな部分がインフラであるとも言えますもんね。gumiさんに入ってみて、B2Cのインフラはどうでしたか?

(本間)ユーザーの声がすぐ見えるのが違いとして大きかったです。例えば2ちゃんで話題になったりTwitterで言及されたりするのを見て、ユーザーに近いというのは面白いな、とまず思いました。アクセス数やシステム負荷の傾向も全然違いましたね。B2Bだとトラフィックは契約企業数とかである程度読めますが、B2Cのソーシャルゲームは一気にリクエストが上がることもある世界で、すぐに違いを体感しました。

(平木)お客様の声があると、やりがいに直結しますよねえ。そうした面白さを経験する中で、Classiさんに転職したのは何故でしょう?

(本間)ClassiのCTO(佐々木達也氏)から誘われたのがきっかけです。実は、gumiに転職するときの転職活動でも教育業界を見ていたのですが、当時は自分が納得するビジネスを見つけられず、エンジニアスキルを伸ばすことを優先して、ソーシャルゲームという業界を選択しました。佐々木からClassiのことを聞いてみると、多くの教育支援サービスは、英語だけとか数学だけとか、一部の分野に限定される中で、Classiは学校そのものを変えていくことができそうだ、という可能性に惹かれて転職を決めました

「学校を変える」といった一見、夢物語になりそうな理想ではありましたが、ICTに強いソフトバンクと教育に強いベネッセのジョイントベンチャーというユニークな組み合わせでもあり、ほかに同じことができる企業も実現できそうな企業もないのでは、と思いました。

(平木)全国に太いネットワークがあることは大きな強みですよね。弊社も、直近ではオンライン診療アプリ「CLINICS」というプロダクトを全国に普及させていますが、もともと医療介護の求人サイト「ジョブメドレー」が10万以上の医療機関や介護施設などとのネットワークを持っていたことは、大きなドライブになりました。

AIを活用し、さらに教育の新しいかたちを支援していく

(平木)Classiさんに入ってからもインフラエンジニアとして開発されているんですか?

(本間)最初はそうだったんですが、その後プロダクト部のマネジメントをしながら、6月からは教育業界でのAI活用を対象とするR&D組織としてAI室という部署ができて、そこの室長もしています。

(平木)AIというと、これまでの経歴とも全然違う分野ですよね!

(本間)私よりメンバーの方がAIに詳しいですし、優秀で個性的なメンバーが集まってきています。私は、もともとgumiで、インフラエンジニアとして、データ分析基盤やゲームインフラのサーバをメトリクス監視することが多かったんです。Classiの場合、取り扱うデータがかなりセンシティブなので、セキュリティを担保しつつ、こうしたAI活用の分析基盤を整えることが求められます。データ活用とセキュリティ、両者のバランスを考えるのが、本当にやりがいを感じています。AI室を作ろうとなった時も、こういう人材が良いなどと経営側にアドバイスしながら採用にも関わったりして...そしたら室長というポジションになったという流れです。

(平木)データ分析の分野って、学術派だったりと尖った人が多いですもんね......いろんなタイプのエンジニアをまとめる力ということですねw

(本間)いえいえw 成果をオープンにして行くのはまだこれからですが、AIで変わる教育業界、Classiの挑戦(前編)にもあるように、Classiに蓄積されたデータを先生や生徒の皆さんへの有益なフィードバックに活用していきたいと考えています。

xTechの面白さは、国の動きが見えること

(平木)本間さんご自身は、もともと教育に興味があってEd×Techを選んだわけではありますが、ITコンサル→ソーシャルゲームときて、×Techの業界を次に選ぶ面白さとかって感じていますか?

(本間)Ed×Techの分野って、行政の動きがサービス展開にとって重要ということもあり、国の動きに影響を与えていける可能性があるのはすごく面白いですね。文部科学省や総務省が推進するプロジェクトにも連動していたり。こうやって国は動いているのだな、と日々感じます。

(平木)医療xTechの分野も同じですね。自分が開発しているオンライン診療のプロダクトだと、今年、オンライン診療の運用に関する医療機関向けのガイドラインを厚生労働省が出したんです。そこにオンライン診療を支えるシステムのセキュリティの要件が記載されたんですよね。国の仕組みと、自分たちが考えるプロダクトのあるべき姿を連動させながら開発するのは、xTechに重要な観点ですよね。

(本間)国が関わる分野だからこそ、BtoCに比べると開発のスパンが長いですよね。例えば教育分野だと、2020年にセンター試験が廃止され、2021年からは「大学入学共通テスト」というものに変わるなど、戦後最大級ともいわれる教育・入試改革がスタートします。学習指導要領も10年ごとに変わったり。こういう長期の変化を見据えて、2-3年かかる動き方の線表を引いて開発することが必要となります。

(平木)ソーシャルゲームなんかだと、どうしても短・中期の動きが重要ですもんね。こういう大きな変化を見据えた開発に携わっていることは、自分にとっても大きな経験だと思います。一方で、じっくりやる業界だからこそ、大変だと感じることもあるのでは?

(本間)他の業界の人が見るとびっくりすることはいろいろあると思いますw 教育現場の人のITリテラシーはさまざまで「県から支給されたPCなので、学校側の判断ではブラウザのアップデートができない」という問い合わせに頭を悩ませることもあります。

(平木)わかりますw 医療機関も、医師や医療事務の方のITリテラシーは本当にまちまちです。

(本間)もちろんITリテラシーが高い方もいらっしゃいますし、ITを活用して学校を変えていきたいという想いを持っている先生もいらっしゃるので、そういう方とお話をしていると、もっとサポートしていきたいなって思います。

(平木)先生方とエンジニアが直接お話することもあるんですか?

(本間)導入している学校の先生方を招いたファンミーティングをやってたりもします。先生方と実際に話すと、今の学校のリアルな現状が聞けてとても面白いです。本当の学校のICT化って、先生がOffice製品を使えるようになるだけじゃなくて、ICTを使って子供たちにどういった授業ができるかを検討していかないといけないのにねという話をしたりもします。

(実際のファンミーティングの様子)

(平木)CLINICSでも、初期の頃はまず医療機関のPC選びからサポートしてたという話もありましたw どちらかといえばtoBの領域のプロダクトですが、ユーザーとの距離がかなり近いですよね。

(本間)直接コミュニケーションを取れる面白さはすごく感じています。実際にこうやって先生や生徒の方とお話して直接フィードバックをいただいて、コミュニケーションを取りながら開発できる。うちの広報は今度、サービスを導入している学校の修学旅行に一緒にいくそうですw 前職はBtoCだったので、電車に乗ってたらユーザーを見かけたりということもありましたが、こういう関わり方ではなかったですし、xTechならではの面白さだなと思います。

(平木)業界の中で全く新しいものを作り上げるからこそ、ユーザーからのフィードバックもいただきながら、より良いプロダクトにしていくという開発スタイルになるのかも知れません。もちろんどこまでプロダクトに反映させるのかという取捨選択は必要ですけど、こうした声をいただけるのは、励みにもなりますよね。

(本間)機能の改善と直接関係なくても、どう使われているのかという声を聞けるのは非常に面白いと思っています。Classiには、生徒が学校生活で学んだことを記録して学びを深める「ポートフォリオ」という機能があるんですが、そこにとある対戦型のソーシャルゲームについて、生徒が戦い方をいろいろと調べて書いていたらしくて。遊びかもしれないけど、本気で考え抜いて調べている点をきちんと評価したい、といっているのを最近聞きましたw

(平木)その先生も生徒もアツいですねw

多様なエンジニアが一つのプロダクトを作る、開発環境の面白さ

(平木)エンジニアが「xTech」を選ぶことって、キャリアの上でどう位置付けられるものだと思いますか? xTechは、全国さまざまなユーザーが安心して使えるプロダクトを作るために、どの技術を選ぶかというプロダクト志向の開発になりますよね。

(本間)ハイトラフィックが好き、コードを書いてなんぼというエンジニアは多いですが、xTechは必ずしもそういう開発ではないかも知れません。でもこういう「エンジニアならこう」という当たり前ってどんどん変わっていくし、今後新しいキャリアパスも生まれてくるんじゃないでしょうか。例えば、データサイエンティストとかAIエンジニアって、私がgumiに入社した頃はまだなかった職種ですから。

(平木)そういう変化の中で「国の複雑なルールや動きの中で開発する」「ユーザーのITリテラシーもさまざまなレガシーな業界で、今までにないプロダクトを作っていく」というxTechでの開発を経験することも、一つのキャリアとしての価値になっていくということですかね。

(本間)若いうちは技術をもっと身につけないといけないと思いがちですが、30代の自分から見ると、今の若い人の方がずっと優秀だと思っているんです。新卒の採用活動を通じて、さまざまな学生の方にお会いするんですが、今の学生は大学のカリキュラムで高度で体系化された授業をたくさん受けていますし、企業のインターンシップを経験している人も多い。我々の時代で、普通に大学を卒業してから何となくエンジニアになった人たちよりも圧倒的に優秀なんじゃないかなと。その中で1つ、自分の興味がある強みを持っていれば、そこを起点に、その後の周辺技術はどんどん身についていくと思います。最初は点で技術を学んでいても、いずれ線がつながるときがきますし、さらに広く面で技術をとらえることができれば、広い視野で業務課題を解決できるエンジニアになれるんじゃないかなと思います。

(平木)最新の技術を追いかけることだけにキャリアの重心を置かなくても良いと?

(本間)技術はなんだかんだ言って、どんどん新しいものが出てきますから。強みを持った方が良いと言ったのは、一つ軸ができると、そこを起点として他の動きを差分と捉えることで、キャッチアップがしやすくなると思っているからです。さらに、自分が相手に教えられる技術があることで、チーム内や業界内のエンジニアからも信頼されて、相手の強みとなる技術も教えてもらいやすくなり、結果として自分自身のスキルアップにもつながるという循環ができると思っているんです。

(平木)確かに、メドレーもさまざまなバックグラウンドをもつエンジニアがいて、相互に学び合いながら、インフラからフロントエンドまで開発するようにしています。

xTechの場合、世の中に価値のあるプロダクトを作ることがゴールなので、これまでの「強み」が千差万別なエンジニアが集うという面白さがありますよね。

(本間)プロダクト自体に、将来に向けた広がりを実感できるというのも魅力だと思います。教育の分野だと、自分のお子さんたちの将来に直結するプロダクトをまさに作っているのですが、子供の将来に不安や課題を感じているというメンバーも少なくありません。自分がこれまで積んできた力で、こうしたプロダクトを生み出すことができるのは、xTechの醍醐味なのかもしれません。

(取材を終えて)

ITコンサル→ソーシャルゲーム→xTechというキャリアを歩んできた本間さん。ご自身のキャリアの選び方に統一された意志を感じて、とても刺激的な時間でした。長いエンジニア人生の中で、xTechの開発に携わることがどういう価値を持つのか、本間さんの熱い言葉を受けて、改めて自分自身も考える機会になりました。

同席してくれた広報の辻田さんが、学校の修学旅行に一緒に行くという話はさすがに驚きましたが(笑)、どんな様子だったのか、気になります……!

(平木と前職で同僚だったClassiのエンジニア・八谷さんが取材中に遊びに来てくれて、一緒にClassiポーズを撮ってみた絵)

過去の「社外に聞いてみた」シリーズ

第一回:SmartHRの宮國さんにHRxTechの裏側を「聞いてみた」

第二回:マネーフォワードの横田さんにFinTechの今を「聞いてみた」

第三回:「エンジニア文化」を1年で作った話を、シーエー・モバイル齋藤さんに聞いてみた

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