メディフォンが発行する医療機関向け情報誌「medico+」は、2025年4月に創刊しました。
外国人患者対応や医療DX、人手不足への対応など、医療現場が直面する課題をテーマに、全国の医療機関の取り組みや現場の知見を発信しています。
今回は創刊1周年を記念し、「medico+」編集長の松田奈々さんに、創刊の背景や読者からの反響、この1年で感じた手応え、そして今後目指していきたい姿について話を聞きました。
医療現場の課題を“つなぐ”メディアとして創刊
ー「medico+」創刊背景について教えてください。
外国人患者への対応をめぐる医療現場の課題が、年々大きくなっていることが背景にあります。
訪日外国人や在留外国人の増加に伴い、医療機関を受診する外国人の方も増加しています。一方で、多言語でのコミュニケーション対応が、医療現場の業務負荷につながる場面も少なくありません。
特に外国人患者対応では、言語の壁に加え、対応できる人が限られてしまう属人化も課題です。そうした状況を受けて、メディフォンとしてサービスを提供するだけでなく、医療現場の方々に役立つ情報を継続的に届けられる場をつくりたいと考え、「medico+」を立ち上げました。
▲松田さんインタビュー中の様子
ー「medico+」を医療機関へお届けする目的とは?
「medico+」には、メディフォンが提供する外国人患者受入れ支援サービス「mediPhone」が医療機関とつながり、さらに医療機関同士がつながるきっかけも生み出していきたいという思いを込めています。
名称には、「mediPhone」と「connect(connection)」「community」という意味を重ねており、医療機関の発展をともに目指すコミュニティでありたいという考えを表現しています。また、ロゴの「+」には、医療を象徴する意味に加え、安心や信頼、そして新たな取り組みや交流を生み出していきたいという願いも込めました。
そのうえでメディフォンが発行するメディアとして、外国人患者への対応や多言語対応については、私たちの知見を活かしながらしっかり発信していきたいと思っています。ただ、「medico+」で扱うテーマはそれだけではありません。
人手不足を背景にした医療DXによる業務効率化や生産性向上など、医療機関が抱える課題はさまざまです。そうした課題に向き合う方々にとって、「他院ではどうしているのか」「自院でも取り入れられる工夫はないか」を考えるきっかけになる情報を届けていきたいと思っています。
ーなぜ「情報が分断されている」という課題に着目したのでしょうか。
医療機関の方々とお話しする中で、「他院の事例を知りたい」という声を多くいただいたことがきっかけです。
外国人患者への対応や医療DXの進め方には、必ずしも一つの正解があるわけではありません。地域性や病院の規模、診療科によって必要な対応は変わるため、各医療機関がそれぞれ試行錯誤しながら取り組んでいます。
ただ、その工夫や知見が、病院の中だけにとどまってしまうことも少なくありません。だからこそ「medico+」では、現場で生まれた取り組みをすくい上げ、他の医療機関でも参考にしていただける形で届けることを大切にしています。
院内共有や業務改善にも広がる活用
ー1年前に創刊してからの活動内容を教えてください。
現在は年4回、フリーマガジンとして医療機関へお届けしています。
創刊号では、外国人患者の多言語対応や受け入れ体制をテーマに取り上げました。その後も、医療DX、救急医療における外国人患者対応、医療機関の経営戦略など、医療機関が直面する課題に合わせて毎号テーマを設定しています。
テーマを決める際には、季節性や、医療機関の方々がその時期に必要としている情報を意識しています。また、マーケティング活動の中で伺った現場の声や、取材のタイミングも企画に反映しています。
記事の企画や取材、原稿作成は私が担当し、誌面のレイアウトや見せ方はデザインチームと相談しながら制作しています。忙しい医療現場の方々にとって、無理なく読めて、日々の業務にも活かしやすい形で届けることを意識しています。
▲これまで発行した4冊
なお、「medico+」のバックナンバーは、メディフォン公式サイトから閲覧・ダウンロードできます。
https://mediphone.jp/paper/form_medico_archive/
ー医療機関や読者からは、どのような反応がありましたか?
特に多くいただくのは、他院の事例を知ることができる点への反応です。「他院の対応事例を知れるのがありがたい」という、営業スタッフを通じて届くお声は、大きな励みになっています。
また、冊子を院内で回覧してくださっている医療機関もあります。一冊の冊子を院内で共有するのは難しいため、PDF化して院内システムやメールマガジンのような形で共有していると伺ったこともありました。
そのほか、外国人患者対応のマニュアルを見直す際の参考にしていただいたり、補助金に関する情報が意思決定のきっかけになったりと、「読んで終わり」の情報ではなく、現場の判断や改善につながる情報として活用されていることに、少しでも力になれていると実感しています。
ーこれまで誌面で取り上げた事例の中で印象に残っている取材はありますか?
印象に残っている取材の一つが、外国人患者の受け入れに積極的に取り組まれている医療機関への取材です。
その医療機関では、多様な患者さんへの対応体制づくりを進めており、多くのノウハウをお持ちでした。「medico+」で記事として紹介したところ、掲載後に別のメディアから直接取材依頼があったそうです。
後日、その医療機関の方からご連絡をいただき、「他の事例についても話せます」「セミナーなどで発信する際にも協力できます」といったお声もいただきました。記事をきっかけに、医療機関の取り組みが外に伝わり、次の発信にもつながっていく。その流れを感じられたことは、とても嬉しかったです。
“現場の試行錯誤”を届ける編集方針
ーこれまで意識してきた編集方針について教えてください。
一番大切にしているのは、医療現場のリアルな情報を届けることです。
取材では、医療機関ごとの具体的な取り組みや、現場で得られた知見を丁寧に伺うようにしています。単に施策の概要を聞くのではなく、どのような課題があり、どう向き合い、どう乗り越えてきたのかまで掘り下げることを意識しています。
表面的な成功事例として紹介するのではなく、現場で実際に起きていることや、担当者の方々の試行錯誤まで含めて伝える。きれいにまとまった話だけではなく、その裏側にある迷いや工夫も含めて届けることで、他の医療機関の方にも「自院に置き換えるとどうだろう」と考えていただけるのではないかと思っています。
▲編集長としても1年経ちました
ーmediPhoneの事業との関係性についても教えてください。
「medico+」は外国人患者の受け入れ支援を軸とするmediPhoneの事業と深くつながっていますが、単にサービスの導入事例を紹介するメディアではありません。
mediPhoneをご導入いただいている医療機関であれば、営業チームとも連携しながら、導入前の課題や現在の活用状況を丁寧に伺うことができます。日頃から医療機関と関係性を築いている営業チームメンバーの存在は、取材の大きな支えです。
一方で、「medico+」で取り上げる医療機関は、mediPhoneを導入いただいている施設に限っていません。大切にしているのは、mediPhoneのサービス紹介に閉じるのではなく、医療現場で日々課題に向き合う方々の取り組みや知見を、必要としている医療機関へ届けることです。
メディフォンがこれまで医療機関の方々と築いてきた関係性を活かしながらも、発信する内容はあくまで現場にとって役立つものにする。そのバランスは、これからも大切にしていきたいです。
医療機関同士がつながる場を目指して
ー今後「medico+」が目指す姿を教えてください。
今後も引き続き、医療現場のリアルな取り組みや声を丁寧に取材し、発信していきたいと考えています。
加えて、今年からは全国の病院の魅力をお伝えする新企画にも取り組んでいく予定です。これまでは課題解決の事例を中心に紹介してきましたが、今後は各医療機関が持つ魅力や、施設づくりへのこだわり、地域医療における役割などにも光を当てていきたいです。
企画の第一弾では、那覇市立病院さまを取材し、新設された病院の院内デザインや施設面でのこだわりについて紹介しています。外国人患者対応だけでなく、患者さんにとって使いやすい環境をどのようにつくっているのか。そうした部分まで伝えることで、病院の魅力をより立体的に届けられるのではないかと感じています。
また、今後は情報を一方的に届けるだけでなく、医療機関の皆さまがよりインタラクティブに知見を共有できる場にもしていきたいです。地域ごとに連携できる場があれば助かると感じている医療機関は多くても、実際には機会が少なく、動き出しづらい面もあります。そうした場づくりを、メディフォンとして少しずつ担っていけたらと考えています。
「medico+」を通じて、医療現場で生まれている工夫や魅力を可視化し、必要な人へつないでいく。情報を届けるだけでなく、医療機関が課題に向き合うための選択肢を広げるメディア、そしてプラットフォームを目指していきたいです。
ー今後のアクションについて教えてください。
まずは今回、創刊1周年を記念した特別号を発刊します。
より多くの医療機関の皆さまに手に取っていただき、身近で頼れる存在として活用していただけるよう、1周年記念号では誌面デザインも一新しました。
これまで大切にしてきた信頼感や温かみは保ちつつ、より親しみやすく、手に取りやすい雰囲気を目指しています。取材先の医療機関のイメージカラーを誌面に反映したり、フォントやレイアウトを見直したりすることで、より読みやすく、柔らかい印象になるよう調整しました。
医療現場の方々は日々非常に忙しいからこそ、必要な情報が直感的に伝わること、休憩時間などにも気軽に読んでいただけることを大切にしています。少しの時間でも手に取りやすく、読んだ後に「参考になった」と感じていただけるように、今後も内容と見せ方の両面を磨いていきたいです。
▲リニューアルした1周年記念号の表紙と誌面
ー最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「medico+」は、医療機関の皆さまと一緒に育っていくメディアだと思っています。
取材にご協力いただく方、記事を読んでくださる方、院内で共有してくださる方。そうした医療現場の皆さまの声や反応によって、少しずつ進化してきました。
現場で直面している悩みや、日々の工夫、課題を乗り越えた経験は、きっとどこかの医療機関の助けになるはずです。だからこそ、今後も皆さまの現場の声を聞かせていただけたら嬉しいです。