medibaのデザイナーたちが、取り組みや知見を月イチで発信していく連載企画「mediba Designers」。
第18回は、UIデザイナー山口奈那(やまぐち・なな)が就活時に作成したポートフォリオについて解説します。「ポートフォリオに何を載せたらいいか分からない」とお困りの方に役立つ情報をお届けしますので、ポートフォリオ作成の参考にしてください。
はじめまして。新卒1年目UIデザイナーの山口です。
入社して早10か月が経ち、気づけば2023年卒の就活の話を耳にする時期になりました。
私は学生時代にUIデザイナーを目指して就活をしていたのですが、デザイナーの就活といえばポートフォリオが必要になることが多く、作成に試行錯誤を繰り返した記憶があります。
そこで今回は、実際に私が作ったポートフォリオの紹介とmedibaで採用にも携わるクリエイティブセンターのマネージャーがポートフォリオの何を見ているかについてお話ししたいと思います。
デザイナーを志す方にとって少しでも参考になれば嬉しいです。
私のポートフォリオについて
まず私の就活の概要は以下の通りです。
- 志望業界:IT業界
- 志望職種:UIデザイナー
- ポートフォリオ作成時期:大学3年生の11〜12月
- 企業へのエントリーを始めた時期:大学3年生の1月
今回紹介するポートフォリオは、約2年前に作成したものなので今見ると改善点ばかりですが、参考までに見ていただけると嬉しいです。
では実際にポートフォリオの紹介をしていきたいと思います。
ポートフォリオの構成
ポートフォリオは
- トップページ(ファーストビュー・作品一覧・プロフィール)
- 作品の詳細ページ
という構成になっています。
ちなみにポートフォリオはPDFかWebで作る方が多いと思うのですが、私は自分でコーディングしWebポートフォリオを作成しました。理由としては、「コーディングが好き」「コーディングスキルのアピールになる」と考えていたからです。
トップページ
こちらがトップページです。
上からファーストビュー → 作品一覧 → プロフィールという構成になっています。作品をすぐに見てもらえるよう、ファーストビューのすぐ下に作品一覧を持ってきています。
ファーストビュー
メインビジュアルのデザインにとても悩んだのですが、「なんでも素直に吸収する柔軟性」を表現し、自分の好きな色をメインで使用することで自分らしさを演出しています。
作品一覧
自分が最も見てもらいたい作品を1つ、そのほかに4つの作品を載せています。作品数は多すぎず少なすぎず、特に自信のあるものを載せていました。また載せる作品のジャンルですが、志望職種に関連する作品を最低でも1つは載せておくと安心だと思います(UIデザイナーならUIデザイン)。
プロフィール
画像・名前・簡単な自己紹介を載せています。
作品詳細ページ
次に作品詳細ページです。
作品詳細ページは作品のジャンルによって構成を変えていました。
画像のようなUIデザインの作品では、アプリの概要 → アプリでできること → 制作背景 → ペルソナ → アプリの使い方 → デザインの詳細 という構成で作っていました。
まずどんなものを作ったのかを理解してもらい、そこから制作背景〜アプリの詳細と、徐々に情報の詳細度が上がるようにすることで、読む人が情報を整理しやすくする狙いがありました。面接自体がポートフォリオをベースに進めていくことが多かったので、面接で説明しやすいようなポートフォリオを意識しています。
作品詳細ページはどうしても文章が多くなってしまい冗長になりがちなので、小見出しをつける、わかりづらい部分はイラストを使用する、画像と文字を交互に配置する等の工夫をしました。 (せっかくWebポートフォリオにしているので、アプリのキャプチャをGIFにして動きを出せばよかった…と今では思います)
就活を通して感じた反省点
次に、私が就活を通して感じた反省点を2つお話ししたいと思います。
1つ目は、ポートフォリオ内の作品に対してターゲットユーザーなどに実際に使ってもらい、そこからブラッシュアップをするべきだったという点です。実際に誰かに使ってもらって意見をもらう、という経験を学生時代にしたことがなかったのですが、面接では「実際に使ってもらったの?どんな感想だった?」と聞かれることがとても多かったです。作ったものを誰かに触ってもらうのは新たな発見がありますし、自分のスキル向上という面でも、就活に備えるという面でも、実際に使ってもらってブラッシュアップをすることは大切だと感じています。
2つ目は、ポートフォリオにこだわりすぎずもう少し早くエントリーするべきだったという反省点です。私は11〜12月でポートフォリオを作成したのですが、満足いくものができず3回ほど作り直しており、就活のスタートダッシュに少し遅れたと感じていました。企業によっては早い時期に募集を終了していることもあるので、ポートフォリオの気になる部分は随時ブラッシュアップをするという形にし、ある程度のクオリティになったら一旦エントリー等始めてしまってもいいのかなと感じています。
採用担当者はポートフォリオで何を見ている?
ここまでは実際に私が使っていたポートフォリオを紹介しましたが、ここからは実際にmedibaで採用にも携わるクリエイティブセンター・マネージャーの高柳にポートフォリオについていくつかインタビューをしてみました。
私のポートフォリオを改めて見てみて、いかがでしょうか?
高柳 改善点は多々ありますが、デザインはとてもシンプルで見やすくて良いですね。GitHubでコード管理をしていたり、レスポンシブデザインを自分で実装していたので「コードが書ける子」という印象が強かったです。
ポートフォリオでは何を見ていますか?
高柳 ポートフォリオでは考える過程を見ています。何を考えて、どういう経路を辿ってそのデザインになったのかを知りたいので、ここがしっかりと説明されているポートフォリオは見応えがあるし引き込まれますね。例えばロゴデザインだったら、ラフがいっぱい載っていて、そこからどうやって最終的なデザインになったのかが見えると良いなと思います。
ポートフォリオのデザインは選考において重視していますか?
高柳 ポートフォリオのデザインはあまり重視していなくて、中身の作品を重視しています。とはいえ、最初に目に入ってくる表紙やメインビジュアルは、中身を見たいと思わせるためのつかみとして大事だと思います。あとはやはりデザイナーなので、体裁がバラバラだったり、デザイン4原則が守られていないと気になってしまいますね。
印象に残っているポートフォリオはありますか?
高柳 調査からUIデザインまで網羅的に作られているポートフォリオは、やはり印象に残りますね。また、見る側のことがしっかり考えられていたり、説明の流れがわかりやすい作りになっていると口頭でも説明が上手そうだなと感じます。
さいごに
今回は、私が実際に使っていたポートフォリオを用いて基本的な作り方と反省点、採用にも携わるマネージャーがポートフォリオで何を見ているのかについてご紹介しました。
自分のポートフォリオを振り返る良い機会でしたし、マネージャーにポートフォリオについてインタビューできて私自身も非常に参考になりました。
就活におけるポートフォリオの評価基準は時代や流行によって変わっていくかもしれませんが、デザイナーを志す方にとって少しでも参考になれば幸いです。