medibaのデザイナーたちが、取り組みや知見を月イチで発信していく連載企画「mediba Designers」。
第11回は、「mediba+」のロゴについての座談会。社内コンペで決定したロゴですが、どのような形式のコンペで、どんなことを考えながらデザインをしていたのか。末松 朝樹(すえまつ ともき)が座談会を開き、裏話を聞き出しました。
※過去の記事はこちらから
先日、サイトデザインを一新した「mediba+」ですが、おしらせ記事でも紹介されていたように、ロゴデザインについては社内コンペを行いました。
社内ではなかなか機会が多くはないロゴコンペ。参加してみると刺激的で、学びが多く、結果的にぼくが制作した案が選ばれてうれしかったですが、それを抜きにしても単純に楽しいものでした。
ほかのデザイナーはどうだったんだろう。せっかくの機会なので座談会を開き、どんなことを考えながらデザインをつくっていたのか、他の人の案を見て思ったこと、今回のコンペについてのいろいろをざっくばらんに話し合ってみました。
コンペについて
座談会の前に、今回のコンペの条件をおさらいしておきます。
おおまかな要項は以下。
応募期間:2020年10月28日~11月11日
提出物:ロゴ、アイコン、レイアウトイメージ、制作意図 ※追加可
応募数:1人で何案でも応募可
応募方法:Figmaの該当ページに貼り付け
そのほかにも、もちろん「mediba+」という名称にこめた思いやメディアとしての方針は共有されていましたし、制作をしやすいように「medibaロゴをベースにするのが好ましい」などデザインマネージャーからのガイドもありました。
ただ、一番大きなポイントは、Figmaに貼り付けての応募、ということだと思います。参加者同士でお互いのデザイン案を見られることを意味します。制作前に他人の案を見ると引っ張られる可能性もありますし、それを懸念して何も見ずに応募したら他人の案とかぶってしまう可能性もある。
駆け引きもありそうな条件ですが、条件を設定したデザイングループのマネージャーによると、「社内ではなかなか機会がないコンペ。デザインをするだけでなく、デザインチームとしてのスキルアップの場としたかった。figmaで周りが見えることで切磋琢磨してほしい」という意図があったそうで、ここが今回のコンペの特徴だったと思います。
簡単ですがおさらいをしたところで、本題へ。
座談会の参加者は、高橋、加島、末松の3名。それではどうぞ!
コンペ参加の理由
末松 コンペ、お疲れ様でした!僕はもともとロゴづくりが好きだったので応募しましたが、みなさんはなぜ参加しようと思ったのですか?
加島 ロゴをつくったことがなかったので、この機会にやってみたいと思い参加しました。また、イチからつくるのではなく、条件が細かく提示されていたのでやりやすそうだなと思ったことも動機のひとつです。
高橋 僕もロゴの制作経験がなかったので挑戦してみようと思って参加しました。また、ロゴだけじゃなくて、ガイドラインまでつくりこんでみたかったことも理由のひとつです。
企業ロゴの扱いは難しい
末松 制作する上で大変だったことや工夫したこと、反対に楽しかったことってありますか?
高橋 企業ロゴをベースにせずに、イチからつくったことです。ガイドラインもつくりたかったこともあり自ら取り組んでいい機会になりましたが、大変ではありました(笑)。文字のタイポグラフィーをつくってる感覚でした。
末松 それ、大変そうですね……。何か参考にしたことはありますか?
高橋 medibaのロゴを作った佐藤可士和さんがこれまで作成してきたロゴは調べました。その中で視覚調整よりも幾何学的なロゴ制作に優れた方ということがわかってきて、今回のロゴ制作では視覚調整をすべきかどうか迷いましたね。
末松 medibaロゴを研究したうえでの今回のロゴ案だったんですね。加島さんは?
加島 企業ロゴをまじまじと見たことがなかったんです。今回改めて観察してみると、当然なんですけどよくできているんだなと思いました。その分、企業ロゴをどう活かすか、どこまで手を入れるかの判断に勇気がいりましたね。
末松 なるほど。medibaロゴは活用するにしてもしないにしても、難しい部分だったんですね。
他人の案を見ることの影響
末松 今回のコンペはお互いにお互いの提出案を見られることも、ひとつのポイントだったと思います。気を付けたこととかありますか?たとえば提出のタイミングとか。
加島 提出のタイミングは特に気にしなかったですが、先に提出されていた高橋さんのレギュレーションのまとめ方とか、他の人の提出の仕方を見て影響を受けた部分はありましたね。
末松 僕も後になってからですけど、プレゼンボードはもっと書いてもよかったなと、人のを見ておもいました。
高橋 複数案出してる人もけっこういて、それは大事だなと思いました。ガイドラインの提出は必須じゃなかったので、今回みたいな場合は粗削りでもいくつかあったほうがいい気がしました。
カラフルなロゴはモノクロになった時に見えなくなるから、モノクロの場合のことも考えたほうがいいとか、自分で気づくことができますし。スマホで見たときにあまりにも小さかったりすると視認性が悪くなるとか、ブラッシュアップにつながるんですよね。今回は他人の案を見て気付くこともできますが。
十人十色のデザイン
高橋 それから、末松さんのロゴを見た瞬間は、「あ、これが通るだろうな」って思いました。
加島 それわかります!
高橋 ロゴと吹き出しの意味が統一しているところや、丸みをおびた親しみやすいデザイン、モノトーンになってもわかりやすい形。さすがだなぁと。
末松 そういっていただけて恐縮です……。どういう人が見るかなってことはかなり意識しました。ブログ関係者、デザイナー、投票者など、多くの関係者がそれぞれの立場で見ることをイメージして、すっと受け入れられそうなものであることを意識しました。シンプルなロゴゆえに説得力が必要かなと思い。
でも今回はたまたま僕の案が採用されたと思っていて、どれも本当にレベル高かったですよ。
末松 高橋さんどういうイメージでつくりました?
高橋 ユーザーがはじめて「mediba」と出会ったとき、音から連想するのが「アメーバ」かなと思ったので、その印象をうまく使えるように柔らかいイメージ、柔軟に変化する会社ということをイメージしてつくりました。
あと、「mediba+」の名称の提案者が考えた「medibaが発信する情報が届いて(プラス)、ユーザーに気づきが生まれたり、新しい何かが生まれることを期待して」という意味が好きだったのですが、新しい何かが生まれそうなイメージがアメーバとリンクしたので、それを取り入れました。
末松 加島さんは?
加島 僕は、今までと何かが違う、新しい medibaを表現したかったんです。なので、「+」をグラデ―ションにしたんですが、オリジナリティと統一感のバランスも考えて色相を揃えました。
グラデーションにはもうひとつ理由があって、「medibaが発信する情報が届いて(プラス)、ユーザーに気づきが生まれたり、新しい何かが生まれることを期待して」という思いも形にしたかったんです。
末松 直感も大事ですけど、背景にある思いを汲みながらつくったんですね。
加島 「思い」からイメージを膨らませるつくり方はとても勉強にもなりました。
ボツ案公開……!
末松 ところで、みなさんボツ案とかってあります?僕のはこれなんですが。
高橋 もちろんありますよ。
加島 僕もあります。
加島のボツ案
高橋 こうしてみてみると、どれも提出したものが一番洗練されてますね。
末松 でもボツ案の中に意外といいものがあることもあるんですよね。全員のボツ案も見てみたいですね。嫌がるかもしれないですけど(笑)。
記名式コンペのおもしろみ
加島 ボツ案に限らない話ですけど、この座談会も含めて、他のデザイナーの制作過程を見ることができたことや、思考を知れたのはよかったです。
高橋 みんなの制作スタイルが見れたことは勉強になりましたね。特にプレゼンボードとかって普段見る機会ないので。
末松 記名式だったからより感じることが多かったのかもしれないですね。あとは、デザイナー間でコミュニケーションが生まれたようにも思います。どのデザインが好きかを話たり、まだ参加するか躊躇しているメンバーにはっぱをかけたり。
高橋 一方で、匿名の方が先入観抜きに自分の制作に取り組めるとも思いますけど、これはこれでよかったですよね。
末松 またコンペがあったら参加しますか?
高橋・加島 したいです!
末松 その際チャレンジしてみたいことはありますか?制作したいロゴとか。
高橋 社外のコンペにも応募してみたいですね。フィードバックはないでしょうけど、勝負するという意味ではやりがいが大きそうですし。それからコンペではないのですが、今度新規サービスのロゴをつくる予定があるので、その時は時間をかけて納得のいくものをつくりたいなと思っています。
加島 アニメーションに挑戦してみたいです。 最近では、ロゴ自体が動いたり、マイクロインタラクションをデザインする際に、アイコンを動かすのを見かけます。アニメーションでたくさんの表現をしてみたいのと、周りのデザイナーがどんな作品をつくるのかを見てみたいです!
末松 おお!まだまだコンペでの伸び代を感じますね。今回はロゴのコンペでしたが、ランディングページのメインビジュアルのコンペとかも楽しそう!マネージャーのみなさん、またコンペの機会をつくってください!よろしくお願いします(笑)。
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