「あなたは誰の人生を生きますか?」
親の期待に応える人生か。周囲の評価を気にしながら生きる人生か。それとも、自分自身が心から望む人生かーー
これは、株式会社メイキップ(以下、メイキップ)の代表取締役社長 柄本真吾が、高校生に投げかけた問いです。
2026年10月7日、柄本は本郷高等学校の高校1年生を対象にキャリア講演を行いました。学生時代から起業に至るまでの歩みや、メイキップの事業を紹介しながら、「自分の人生を生きる」ことの大切さを伝えました。
本記事では、講演に至った背景や、柄本が高校生に届けたかった想いをご紹介します。
従来の教育への問題意識
今回の講演のきっかけは、本郷高校で教員を務める柄本の同級生である北村先生との交流でした。
柄本は以前から、北村先生と教育のあり方について意見を交わす中で、従来の知識偏重型(特に記憶力偏重型)の教育に課題意識を持っていました。AIの進化が加速し、社会が大きく変化する中、これからのVUCA時代※を生き抜くためには、知識を身につけるだけでなく、自ら考え、判断する力、困難にも粘り強く取り組む力、そして自ら行動する力が求められます。こうした力を十分に育むことができているのか、これからの教育はどうあるべきなのか。柄本は、変化の激しい時代に求められる教育のあり方に関心を寄せていました。
※VUCA時代:社会の変化が激しく、将来の予測が難しい時代のこと。変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の4つの英単語の頭文字を取った言葉。
なぜ「自分の人生を生きる」ことを伝えたかったのか
今回「自分の人生を生きる」ことを伝えたかった背景には、これまでの社会人生活を通じて柄本自身が感じてきた問題意識がありました。過去に一緒に働いてきたメンバーを含め、世の中には十分な学歴や経歴、資格があっても、自分が何に喜びを感じ、何に夢中になれるのかが分からないまま働き続けている大人が少なくありません。
そうした姿を目の当たりにする中で、柄本は、誰もが血湧き肉躍るような、自分が心から夢中になれるものを見つけ、自分自身の人生を生き抜くにはどうしたらよいのか、という問いを持つようになりました。
成長するにつれて理性が強くなり、周囲の期待や常識を優先するあまり、自分自身の本音や心が躍る感覚は次第に見えにくくなっていきます。だからこそ、高校生の時期から、自分が何に喜びを感じ、何に夢中になれるのかを改めて意識し、自分の心の声に耳を傾ける習慣を身につけてほしい。そんな想いを持って、柄本は今回の講演に臨みました。
自分の人生を選ぶまで。ラグビー、会社員、そして起業へ
講演では、柄本自身の経験についても紹介しました。
大学時代、柄本は筑波大学のラグビー部に所属し、全国から集まった実力ある選手たちとともに練習に励んでいました。しかし、なかなかレギュラーになることはできず、4年間の活動を終えました。そんな柄本に、監督から最後にかけられたのは「お前ほどの選手を試合で使ってやれなくて申し訳なかった」という、思いがけない言葉でした。自分の実力では仕方がないと思っていた柄本は、その言葉に大きな衝撃を受けました。なぜ自分を起用してくれないのか、どうすれば試合に出られるのか。もっと積極的に監督に聞き、自ら行動すべきだったと深く後悔しました。
この経験をきっかけに、柄本は「同じ後悔を二度と繰り返さない」と決意。その思いは、その後の人生における行動指針となりました。
社会人になってからは、30歳前後で自ら掲げた目標を達成。しかし、その先で新たに向き合ったのは、「自分は自分の人生において、何を成し遂げたいのか」という問いでした。
過去の経験を振り返る中で、新しい事業を生み出すことへの純粋な楽しさに気づいた柄本は、周囲からの反対もありながら、自分が心から夢中になれる道として起業を選択。2015年のメイキップ創業に至りました。
高校生に持ち帰ってほしい、2つのこと
講演の最後に、柄本は高校生の皆さんに、特に心に留めてほしいこととして2つのメッセージを伝えました。
1. 自分自身と向き合う
柄本がまず伝えたのは、「リトルの声を聞く」ことの大切さです。「リトル」とは、自分の中にいる、純粋な欲求や本音を持ったもう一人の自分のことです。大人になるにつれて理性が強くなり、自分が本当に何を望んでいるのか、何に喜びを覚えるのかが見えにくくなっていきます。
自分は何に血湧き肉躍り、何に時間を忘れるほど夢中になれるのか。柄本は、周囲の評価にとらわれず、自分自身の本音と向き合い、心からワクワクするものを見つけ、とことん追求してほしいと伝えました。
講演後、柄本はその思いを次のように話しています。
「自分自身の感性、感覚、感情をフルに活かし、自分自身の人生を生き抜き、楽しんでほしいと思っています。」
2. 一生懸命はかっこいい
柄本は、本郷高校の先生が生徒たちに願う「周囲から応援される人になってほしい」という想いにも触れ、周囲に対して真摯・誠実である前に、まず自分自身に対して真摯・誠実であることが大切だと伝えました。自分の本当の気持ちに向き合い、夢中になれることに一生懸命取り組む。その姿勢こそが、周囲からの信頼や応援につながると考えているからです。
自分が本当にやりたいことに挑戦するか迷ったとき、柄本が自らに問いかけるのが、「明日死んでも後悔しないか」という言葉です。挑戦しなかったことを後悔するのであれば、一歩を踏み出す。挑戦に失敗はつきものであり、大切なのは、うまくいかなかった経験から何を学び、次にどういかすかということです。
失敗を恐れず、挑戦と学びを繰り返しながら前に進み続けること。それは、大学時代の後悔をきっかけに自らの意識を変革し、柄本がその後の人生で貫いてきた姿勢でもあるのです。
生徒たちに届いた想い
講演前のアンケートでは、想像以上に多くの生徒が将来に期待を寄せていることが、柄本にとって嬉しい発見となりました。講演当日も、真剣に耳を傾け、積極的に質問を寄せてくれた生徒たちの姿が印象に残りました。
講演後に寄せられた多くの感想からは、柄本の言葉を自分自身の経験や将来に重ね合わせ、これからの生き方について考える生徒たちの姿がうかがえました。
- 自分の中にある「やりたい」という気持ちを大切にして、やりたいことは全部全力でやってみようと思いました。
- 「一生懸命はかっこいい」という言葉が、これまで抱えていたモヤモヤにぴったりとはまりました。
- 自分が学びたいことを周囲から「将来役に立たない」と言われて悩んでいましたが、今回の講演を聞いて、自分の進む方向が定まったように感じました。
- 「有名だから」「親の希望だから」ではなく、自分が本当にやりたいことを自分自身に問いかけて、進路を決めようと思いました。
また、講演内容は本郷高校の先生方にも関心を持っていただき、講演後には職員室でも先生方同士で活発な議論が交わされたとのことです。
「あなたは誰の人生を生きますか?」
柄本が投げかけたこの問いが、本郷高校の生徒たちにとって、自分自身の人生と向き合い、自らの意思で未来を切り拓いていくきっかけとなることを願っています。
最後になりましたが、このような貴重な機会をいただいた本郷高等学校の皆さまに、心より感謝申し上げます。