メイキップでは、2025年4月より全社員を対象とした外部コーチによるコーチングプログラムを導入しました。多くの企業が一部のマネジメント層に限定する中、メイキップは“全社員対象”という意思決定を行っています。
その背景にあるのは、「人の成長こそが事業の成長をつくる」という思想です。本記事では、代表・柄本真吾とコーチのエリー氏の対談をもとに、コーチング導入の背景と組織に起きた変化、そしてその先に描く組織としての未来をご紹介します。
原体験から生まれた「全社員への提供」という発想
コーチング導入の原点は、柄本自身の体験にあります。エグゼクティブコーチングを受けた際、自分と深く向き合い、これまで見えていなかったことに気づける時間であると実感したことがきっかけとなりました。この経験から、「この体験をメイキップの全社員に提供できないか」という発想が生まれます。
コーチングは、欧米のビジネスシーン(特にアメリカやイギリス)では当たり前のように活用されている一方で、日本ではまだ一般的とは言えません。その背景には、「人に相談することへの抵抗感」や「自分で解決すべきだとする価値観」など、日本特有の文化や思考様式も影響していることが考えられます。
あらゆる前提に縛られない組織づくり
「メイキップでは、あらゆる前提に縛られる必要はないと考えています。ヒトデの組織を実現するために、必要であれば外部コーチの力を借りながら、自分自身と向き合い、より良い意思決定をしていく。そのための環境を整えることが重要です。」と柄本は語ります。
メイキップでは以前から、メンタルトレーニングの導入にも取り組んできました。メンタルトレーニングがマインドを整える上で重要な役割を果たしてきた一方で、組織の成長とともに、個々のメンバーが自分でも気づいていないメンタルブロックや前提に向き合うきっかけが、思考や行動を前に進める上で重要であるという認識も高まっていきました。そこで柄本は、「個人の内側から思考が動き出す体験を、組織として提供したい」と考え、その取り組みとして辿り着いたのがコーチングの導入でした。
「ヒトデの組織」を実現するためのコーチング
メイキップが目指すのは、「ヒトデの組織」です。これは、トップやリーダーといった一部のメンバーに依存せず、たとえトップが欠けても組織として機能し続ける状態を指します。メンバーひとり一人が自律的に考え、同じ方向を向いて動き続けることで、どこを切り取っても組織として機能する状態をつくることを目指しています。
こうした組織を実現するためには、一人ひとりが自分で考え、判断し、行動できる状態であることが前提となります。コーチングを選んだ理由は、「答えを与える」のではなく、自分の内側から引き出すためのトレーニングであるからです。
「コーチングの導入にあたって、対象をあえて全社員としたのは、役職で機会を分けるのではなく、”成長の総和”を高めることが結果的に組織の強さにつながると考えたからです。ヒトデの組織を実現するには、自分自身を律し、自分なりの答えを導き出すことができる人材を増やすことが不可欠だと考えています。」と柄本は語ります
組織に生まれた明確な変化とは
コーチングの導入から1年。組織には明確な変化が生まれています。
一つは「思考が動き出すこと」です。これまで悶々と悩んでいたことや、「できたらいいな」と思いながらも止まっていた思考が、対話を通じて少しずつ前に進み始めます。自分の中にあった前提や思い込みに目を向けることで、「なんでこんなことで止まっていたんだろう」とふと視界が開ける瞬間もあります。その結果、「さて、どう進めようか」と自然に行動へとつながっていく状態が少しずつ生まれています。
もう一つが「自己開示に抵抗がなくなったこと」です。コーチングは、自分の状態や迷いを言葉にする場でもあり、それ自体がトレーニングになります。この自己開示があるからこそ、フィードバックが機能し、メイキップが大切にしている文化を支える土台になっています。「自己開示ができないと、そもそも相談やフィードバックも機能しません。フィードバックはギフトと言われるくらい価値のあるものだと思っています。自分では気づけないことに気付かせてくれるものなので、それをいかせる人材になってほしいと思っています」と柄本は語ります。
メイキップのこれから
メイキップにとってコーチングは、単なる福利厚生の制度ではなく、組織のあり方そのものに関わる取り組みです。近年注目される人的資本経営においても、人材への投資は企業価値を高める重要な要素とされています。メイキップも人を“コスト”ではなく“資本”と捉え、ひとり一人の成長が組織の価値向上につながると考えています。
メイキップはこれからも、メンバーひとり一人が自分自身と向き合い、思考と行動を前進させていく取り組みを続けていきます。個々人の内側で起きた変化が連鎖し、やがて組織として機能する状態を作ること。その積み重ねが、メイキップの強さと成長の礎となり、さらなる成長を加速させていきます。
コーチ エリー氏が見るメイキップ
メイキップの皆さんとご一緒していて印象的なのは、自分自身や事業、組織、そして一緒に働くメンバーに対しても誠実に向き合い、探求し続ける姿勢と、その根底にある強い好奇心です。対話の中でも、自分の中にあるモヤモヤや違和感を曖昧なままにせず、言葉にしながら前に進もうとする姿勢が一貫して見られます。実際に、「頭の中にあったモヤモヤが整理された」「自分の思いこんでいた前提に気づけた」「次に何をするかが決まった」といった変化が、セッションごとに積み重なってきています。
こうした変化は、自己開示や内省に対する誠実さがあるからこそ生まれているものだと感じます。すでにその気づきを行動に移し、これまでの自分の枠を越えるチャレンジに踏み出しているメンバーも着実に増えてきており、対話で得た気づきが現場の意思決定や行動に結びつき始めていると感じています。
これからも、その誠実さと好奇心が、メイキップらしい前進をつくり続けていくことを楽しみにしています。