昨今、ジェンダー問題や、芸能人のジェンダーレス化などが問題になっています。2022年の紅白歌合戦では紅組でも白組でもなく特別枠として出演した氷川きよしさん。昔から可愛いジェンダーレス男子として注目を浴びていたりゅうちぇるさん。
そんな2人は今、Z世代からどう捉えられ、どう話題になっているのでしょうか。
■好きを追求した演歌界の貴公子
2022年の紅白歌合戦をもって23年間の歌手活動に終止符を打った氷川きよしさん。2022年9月には江崎グリコから発売されている「アーモンドピーク」のスペシャルプレゼンターとして起用されました。現在はすでに終了しましたが、氷川さんの内面の健康・美容を保つ秘訣のコメント付きのブロマイド(全8種・ランダム)が一枚付いてくるキャペーンを行っていました。Z世代の子達に反響を呼び、TikTokでは開封動画がバズっています。
K-POPでは、アルバムを購入したらランダムでトレカ(トレーティングカード)やポスカ(ポストカード)が付いてくるため、K-POP好きのZ世代に人気があります。また、氷川さんのビジュアル面(派手な衣装やメイク)でも、普段からステージメイクが濃く、曲ごとやステージごとで変わる派手な衣装を着るアイドルたちを見慣れているファン達に受けています。
ランダムトレカという点では、今はアニメやゲームのグッズとしてもランダムグッズ(例えばアクリルキーホルダーや缶バッジなど)が多いことから同様にそちらのファン層にも受けています。
元々ファッションやメイク、可愛いものが好きな氷川さんですが、2017年頃からジェンダーレスな容姿になっており、こちらもZ世代に受け入れられる要因の一つだと思われます。
■女性化が進んだ元祖ジェンダーレス男子
同じく、りゅうちぇるさんが最近ジェンダーレス化・女性化しているとのことからSNS上では賛否両論の声が上がっています。元々、2015年頃よりこんどうようぢ・とまんと共にジェンダーレス男子として注目されていましたが、2017年3月に放映されたバラエティ番組『りゅうちぇる×ちゃんねる』において自身はLGBTのどれにも当てはまらない性的指向・性自認であり、LGBTに理解を示しています。
2016年にぺこちゃんと結婚し、2018年には第一子が誕生していましたが2022年8月には離婚届を提出しました。しかし、現在でも3人で同居生活を続けています。このことについて事務所からは「『新しい家族の形』として同居は続ける」「事実婚というカテゴライズではない」との発表がありました。
2023年2月にpeco channelで一連の内容について2人が話した動画の切り抜き動画がTikTok上で広まっています。
この動画について視聴した人たちからは、「ぺこちゃんの好感度が上がる」「ぺこちゃん、人としてかっこいい」「ぺこちゃん本当に素敵な人」というように、りゅうちぇるさんの変化を受け入れて接しているぺこちゃんへのコメントが多く見受けられます。りゅうちぇるさんに対しては、女性化したことへの批判ではなく、ぺこちゃんの気持ちよりも自分を優先していることに対しての批判コメントが多くうかがえます。
こういったことから、ジェンダーや夫婦の在り方に関しては上の世代よりは多様性を受け入れていますが、りゅうちぇるさん&ぺこちゃん夫婦に関しては、りゅうちぇるさんが自分勝手している一方でぺこちゃんが我慢しているという構図に見受けられ、Z世代に批判されているのではないでしょうか。
■ ジェンダー問題を取り入れた2022年の紅白について
2021年の紅白のテーマは「Colorful~カラフル~」と、LGBTを象徴するレインボーフラッグと似通っており、ジェンダーフリーを意識しているかのように捉えることができます。2022年のテーマは、「LOVE & PEACE-みんなでシェア!-」を掲げています。氷川きよしさんが紅組でも白組でもなく特別枠として出場することから、2022年もジェンダーフリーであると話題になりました。
クィア(性的マイノリティや既存の性のカテゴリーに当てはまらない人の総称。LGBTQのQに当たる)が、氷川きよしさんを紅組でも白組でもなく違う特別枠だということについてTwitterでは、LGBTQを匂わせていてポジティブなイメージを抱いていない人も多くいました。なかには紅組・白組関係なく歌唱力を褒めている人も。
また、出場したBE:FIRSTは衣装が黒とピンクで、運営側が紅白の組分けを感じさせない配慮をしていることに気づいている人もいました。一方で、今のZ世代はそもそも紅白の組分けが男女であると知らない人も多いのです。
このことから、ジェンダーフリーを意識してアピールしている割には男女で組分けしていることに違和感を抱いているZ世代が多くいるかと思います。ピンクは女の子、ブルーは男の子のように、紅=女、白=男、といった色に意味を持たせていることも前時代的のように感じませんでしょうか。なので、性別で組み分けするのではなく、じゃんけんやくじなどを使用して組み分けるのがジェンダーフリーではないか、という意見が多く見られます。
■まとめ
近年、芸能人やインフルエンサーなどが積極的にLGBTQを発信していることから若い世代はジェンダー問題に敏感であると言えます。また、芸能人やインフルエンサーだけでなく、より身近な周りの友人たちがカミングアウトすることも増え、自分と同世代であることから親近感が湧きやすいことも理由のひとつです。そのおかげで、上の世代よりもLGBTQに関してネガティブなイメージは湧きにくくなっています。
YouTubeよりも気軽に動画を発信できるTikTokにおいてLGBTQをカミングアウトしているTikTokerは、あくまで公言をしてLGBTQを理解してもらう、ジェンダーについて語るという形ではなく、Vlogのように日常を載せているのがよく見受けられます。
また、TikTokだけではなくTwitterやYouTubeなどでは、美容整形に総額1億円以上投じた“整形男子”として知られるアレン様が毛色は少し違いますがジェンダーレスな面では有名です。Youtubeではりゅうちぇるさんとコラボをしていたりします。
このように、ジェンダーに対して理解度は高いZ世代ですが、”ゲイカップル””レズカップル”などの特定のワードについて反応して批判コメントや見せ物として扱っているイメージが大きいです。こちらについては、まだ身近な存在ではないため「別なもの」「異質なもの」として捉えられているのだと思われます。この捉え方がなくなったら、LGBTQ問題・ジェンダー問題についても今より注目を集めることは少なくなっていくと思われます。
今回は氷川きよしさんやりゅうちぇるさんなどの例から、ジェンダー問題とZ世代のコミュニケーションについて紹介しましたが、若い世代を対象としたメーケティングやプロモーションにおいてもこれらのジェンダーやLGBTQ問題を考えて、自分がどのようにアプローチできるかが、いかにZ世代が自分ごととなれるかがキーポイントになっていくかと思います。
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