■ 密接になってきている韓国文化 今、私たちの生活には韓国グルメ・韓国ドラマ・韓国コスメ・K-POPと韓国文化が欠かせません。さらには「渡韓ごっこ」や「セルフ写真館」などといった日本にいるのに身近に韓国を感じられるものが若者の間で流行しています。
韓国グルメにおいては、ビビンバ・キムチ・サムギョプサルなどの伝統的な料理から辛ラーメン・チャミスル・チーズハットグなどのジャンクフードやお酒も一般的になってきています。コロナ禍もあり、配信サイトではイカゲームや女神降臨・梨泰院クラスなど韓国ドラマもたくさん流入していて、日本のドラマと違って一話一話が1時間以上と長かったり、途中でCMを挟まないこと、また、OSTと言われる劇中のサウンドトラックが有名なアイドルのソロや普段は見れないアーティストのコラボだったり、主演の俳優が参加していて普段は聴けない歌声が聴けるのも特徴です。
若い女性だけではなく、男性・幅広い年代で韓国コスメは、低価格でハイクオリティであることや、広告塔に人気アイドルが起用されているのもあり日本においても流通しています。
その中でも、最近はKPOPの人気が凄く、例えば、aespa・LE SSERAFIM・IVE・NewJeansなど、特に2020年以降にデビューした女性アイドルグループの人気は日本でも凄まじい勢いです。 日本では現在第4次韓流ブームであり、韓国のアイドルは、デビュー時期になぞらって、先述した4グループは第4世代と呼ばれています。
■韓国アイドルの歴史 ・第一世代(1990年代)
第一世代は、アイドルの元祖であり、KPOPの扉を作ったと言われています。 当初の韓国では、HIPHOPが主流であり、HIPHOP系のアイドルグループであった『 ソテジワアイドゥル(서태지와 아이들) 』が解散してからアイドル市場が確立されました。
1990年代後半には、イ・スマンが創業したSMエンターテイメントグループが『 H.O.T 』『 S.E.S 』『 神話 』などを、日本のジャニーズやアイドル・アメリカのボーイズバンド・先述のソテジワアイドゥルを参考にデビューさせました。 『S.E.S』は、韓国芸能界で初めて本格的に成功した女性グループだと言われており、当時の韓国では知らない人はいないくらい有名でした。
この世代のアイドルたちは、現在のアイドルたちとは違い、公式ペンライトではなく応援するグループを象徴する色のレインコートを着て風船を持って応援していました。掛け声文化もこの頃より始まりました。現在でも、その名残で、人気グループ・SEVENTEENはグループカラー(ローズクォーツ&セレニティ)があります。
・第二世代(2000年代後半〜)
第二世代は、 東方神起がデビューした頃が始まり と言われており、第一世代よりも優れた歌唱力・高難度のダンスや、今ではよく見受けられるメンバーたちが作詞作曲するというどちらの能力も兼ね揃えたアーティスト型アイドルが誕生しました。 この世代は、SMエンターテイメントから『東方神起』『SUPER JUNIOR』『SHINee』『少女時代』が、YGエンターテイメントからは『BIGBANG』『2NE1』が、JYPエンターテイメントからは『2PM』『Wonder Girls』がデビューしました。他にも、『KARA』『T-ARA』『RAINBOW』などがデビューしており、早い段階で日本でもデビューしておりこの世代は日本人でも知っている人が多い印象です。
また、この頃から SM・YG・JYPが3大事務所 と呼ばれるようになり、各事務所で得意な分野を活かしてビジネスの幅を広げています。
また、この頃よりYoutubeやTwitterなどのSNSも広く普及し始めたのでインターネットでの活動も盛んになりました。 現在では当たり前のティーザー(MVの予告動画)も第二世代より始まりました。
マスターと呼ばれるアイドルを本格的な機材で撮影しネット上やSNSで魅力を拡散するファンもこの頃より誕生しました。高画質画像をとり、プロ並・またはそれ以上の補正と加工でアイドルの魅力を発信しています。著作権の問題もありますが、KPOPマーケティング市場で、マスターは欠かせない重要な役割であり、公式メディアであるテレビ局やDVDなどよりもファン目線での撮影になるので、マスターを好むファンは少なくありません。
男性アイドルは兵役が芸能人の墓場 (=活動終了)とも言われていましたが、現在ではメンバーの兵役が終わり、また完成体での活動というケースも珍しくはありません。
・第三世代(2010年代)
第三世代は、インターネット活動が活発になり市場も世界各国へと拡大し、急成長した世代です。アルバムの販売数も今までは10万枚でトップセールスだったものがBTSでは 100万〜300万枚規模 になりました。
2015年には V LIVE と呼ばれる韓国の動画配信サービスがリリースされ、このアプリでは韓国アイドルがライブ配信を行えるようになったことで、親しみやすさが生まれ、ファンとアーティストの間で距離感が近づきました。このコンテンツが無料で配信されたことにより、ファンが増え、強力なツールとして活用されるようになりました。 (現在、このV LIVEはBig Hit Entertaimentの子会社であるWeverse Companyに譲渡され、V LIVEの代わりにWeverseを利用しています)
また、インターネットの普及によりファン同士がSNS上で繋がりやすく、情報を発信しやすくなったため、音源成績においてファン同士が協力しあい、各国においてチャート上位へと一端を担いました。
韓国人以外の外国人メンバーが所属する多国籍グループが当たり前になってきたのもこの世代で、『 EXO 』『 TWICE 』『 SEVENTEEN 』『 NCT 』などが挙げられます。この外国人メンバーのおかげで出身国である 日本・タイ・中国 でKPOPが注目されるようになったのもこの頃からです。
また、この時期サバイバルオーディション番組が世界的にヒットしました。今までも、YGやJYPなどの事務所内でのサバイバルオーディションはありました。が、 韓国の放送局『M-net』が運営する『PRODUCE101シリーズ』が事務所や練習生期間、実力関係なく101人の挑戦者からデビュー組を決め、期間限定でのグループでデビューさせるというプログラムを放映しました。 これは、韓国国内だけでなく、日本、はたまた世界各国からも投票ができ、全世界において盛り上がりました。このプデュシリーズからは、『L.O.L』『Wanna One』『IZ*ONE』がデビューし、一世を風靡しました。
この世代にデビューしたアイドルは、『EXO』『BTS』『GOT7』『MONSTA X』『SEVENTEEN』『NCT』『Wanna One』『EXID』『MAMAMOO』『Red Velvet』『TWICE』『BLACKPINK』など、多様なグループが挙げられます。
第一世代より掛け声文化が有りましたが、今までの掛け声文化は非公式なものがほとんどで、この第三世代より掛け声が公式化し、アイドル本人たちが動画にて教えるスタイルとなりました。これにより、さらにファンダムが強力なものへと固まっていきました。
・第四世代(2020年代)
第四世代は、メンバーがほぼ2000年以降に生まれたメンバーで構成されており、 KPOPの多様性化が進んでいる世代 となります。第三世代より、 トランスメディア・ストーリーテリング と呼ばれるストーリーを断片化し視聴者へと魅力的な物語体験を提供するという手法が、アイドルグループ(BTS・NCTなどが代表的)においてMVや、アルバムにおいて存在していましたが、これが第四世代にも引き継がれています。グループごとにアバター・多国籍軍などの世界観があり、ドラマや映画などのストーリー形式からデビューするアイドルグループは少なくありません。
また、この世代は第一〜第三世代で築き上げてきた ハイレベルなパフォーマンス力を凌駕するハイレベルなスキル をそれぞれが持っています。
この頃、 BTSを排出したBig Hit EntertaimentがHYBEへと社名を変更 し、SEVENTEENが所属していたPREDISエンターテイメントを吸収し、さらに『TXT』や『ENHYPEN』などのグループを排出したことにより、今までの SM・YG・JYPの3大事務所からHYBEが加わった4大事務所 と呼ばれるようになりました。
また、この世代はプデュシリーズなどの出身者などがデビューしていたり、グループそれぞれに強いメッセージ性があったりなど、頭ひとつ飛び出て人気になるのは難しくなっています。
第三世代でV LIVEの登場によりファンとの距離は近づきましたが、bubble・universe(2023.1に終了)・Lysn・Weverseの登場によりさらにファンとの距離は密接になりました。相互コミュニケーションが図れることからファン同士の競争も激しくなっています。
この世代デビューの女性グループは第三世代に重要視されていた大衆性とは違い、ガールズクラッシュなどの世界観を持っています。また、中学生メンバーなども多く、段々と能力が高くなってきています。
『ITZY』『EVERGROW』『aespa』『IVE』『Kep1er』『NMIXX』『LE SSERAFIM』『New Jeans』『Stray Kids』『ATEEZ』『TXT』『CRAVITY』『ENHYPEN』などがデビューしています。 4大事務所ではなく、中小企業からデビューした ATEEZは、国内人気を獲得してから海外進出するのではなく、初期の段階から海外での人気を獲得してから国内でも人気を得るという逆輸入スタイル となっています。
■韓国アイドルならではのファンの推し活とコミュニケーション コロナが流行る前は、日本のジャニーズやアイドル同様、握手会やコンサートが共有として主流でした。
しかし、コロナ禍に入り、握手会やコンサートが行えなくなり、代替として オンラインコンサート や、 ヨントン などのオンライン上での供給に切り替わりました。 ※ヨントンとは、映像通話を指す영상통화 (ヨンサントンファ)の略で、KPOPアイドルと一対一で30秒〜5分程度のビデオ通話ができるファンミーティング。
海外ファンも多くなってきた今では、コロナが完全に無くなったとしてもヨントンは無くならないのではないかと言われています。
また、コロナが落ち着いてきた今では、オンラインコンサートが復活してきていますが、ヨントンなどはいまだに続いているのが見受けられており、最近では規制も緩和されて日本にも来日しイルコン(イルボンコンサート=日本コンサート)が毎週のように行われています。
SMエンターテインメントがV LIVEの運営会社であるネイバーと共同して ビヨンドライブ というオンラインコンサートストリーミングサービスを介してオンラインコンサートを行っており、いる。(アーカイブも残されるので後から見返すことができます。)このビヨンドライブは、ペンミ(ファンミーティング)などの小規模のライブも有料で配信されています。
また、アイドルグループの中には必ず1人、スポ(スポイラーの略、ネタバレ)をするメンバーがいます。
例えば、インスタライブやV LIVEなどの配信中に、 これから発表される次の曲のワンフレーズを呟いたり、メロディーを1フレーズ歌ったり、振り付けの一部をそれとなく踊ったり、また、まだ発表されていないワルツ(=ワールドツアー)の国について触れてみたり 。その時はわからなかったけれども、後にその曲が発表された後にファン達があの言動はスポだったのか!と、気づくことも多いそうです。また、配信でファンが「スポして!」とコメントしてアイドル達がそれに応えてスポするということもよくあります。また、カムバ(カムバック=新しいアルバムを発売すること)前に髪色を変えるメンバーがいるので、その発売まで配信などで髪色を隠すためにフードを深く被ったり、帽子を被ったりしている様子も見られます。
他に、音楽番組に出演すると、メンバーひとりひとりに個人カメラがついてそれを番組公式YouTubeでアップしてくれる チッケム文化 は、全体パフォーマンスを観られる動画と推しだけを観られる動画に分かれているのが良かったり、カメラワークに関しては、定点で撮ったり動きが少なかったりする日本に比べると、韓国のカメラワークはかなり動いており、MV顔負けのカメラワークを披露してくれるカメラマンもいて、見応えもあります。
■多様になってきているファンダム
そもそもファンダムとは、 愛好者を意味する『fan』と領地や勢力範囲を意味する接尾語の『-dom』』を組み合わせた造語であり、アニメ・映画・スポーツ・アイドルなど、様々な分野における熱狂的なファン集団のこと です。熱心なファン達は、少しでも多くの推しの情報を得ようとファン同士の繋がりを広げるのは珍しくないので、この集団のことをファンダムと呼びます。現代では、企業においてマーケティングの一つとして注目されています。
KPOPにおいて、公式ファンクラブ名として指されます。ファンダム名は、グループ名に関連しており、アイドルからファンへと気持ちがこもっていることがわかります。
例えば、『 BTS(防弾少年団) 』のファンダム名は『 ARMY 』。これは、防弾チョッキと軍隊は共に存在するという”メンバーとファンはいつでも一緒”という気持ちが込められています。『 SEVENTEEN 』のファンダム名である『 CARAT 』は、SEVENTEENをダイヤモンドに例えて、宝石の質量の単位を表すカラットから”ファンがSEVENTEENというダイヤモンドを輝かせてくれる存在”という意味になります。『 aespa 』のファンダム名である『 MY 』は「メンバーには仮想世界”KWANGYA"のアバター(もう1人の自分)”ae-aespa"がが存在している」というグループのコンセプトより、KWANGYAの世界で”MY"は”一番大切な友達”という意味を持つとされていることから、aespaにとってファンが一番大切な存在であることから名付けられました。 このほかにも、意味を持ったファンダム名がたくさんあるので気になった人は調べてみてください。
また、現在のファンダムは、”ファンダム3.0”と呼ばれるものに変化してきています。 これは、web1.0、web2.0、web3.0になぞられていて、1.0は一方向だったものが2.0では同方向に。3.0では分散型になりファンとアイドルの双方向ではなく、ファンからファンなどのいろんな方向への繋がりに変化してきていることからこのように呼ばれているのだと感じます。つまり、 今までは割と受動的だった推し活やファン活動が、能動的なものに変化している ということであり、さらにSNSの普及よって、「コンテンツを受け取る(楽しむ)」から「(コンテンツに対する自分の考えを)発信する」というサイクルが生まれているのが要因になっているのではないでしょうか。
LCでは、このようなファンコミュニティをクリエイターと共に盛り上げたり、加速させる事業を行っています!興味のある方はぜひ一緒に仕事をしませんか?