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心理的安全性のもと、自律駆動で回る組織になるための4原則。

Lang-8代表の喜です。

Lang-8には「世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有」というビジョンとともに、すべてのメンバーにとって行動の基準となる4つのバリューがあります。

・チーム駆動

・建設的思考

・実験学習

・相互理解

今回はこのバリューに込めた思いや、背景にある組織観についてまとめてみたいと思います。

Lang-8が考える、理想の組織状態

スタートアップは世の中にない新しい価値を作り出そうとするもので、あらかじめ答えが分かっている道を突き進んでいるわけではありません。

そのため誰よりも早く正解にたどりつくには、すばやく試行錯誤を繰り返すことが大事になります。

Lang-8が目指しているのはメンバーの一人ひとりがスピーディに試行錯誤を繰り返すことで、いち早く正解にたどりつくことのできる組織。誰もが主体的かつ積極的にPDCAを回し、サービスの成長を加速していくイメージです。

自律的かつ積極的にPDCAを回す「自律駆動」を実践するには、いくつか重要な要素が必要になると考えています。

一つは「心理的安全性」です。例えばせっかくチャレンジしたのに“あと出し”で批判されると、次回からチャレンジしにくくなります。

もう一つが「アラインメント」。なんでもかんでもチャレンジすればいいわけではなく、会社のビジョンやチーム全体の目標を理解した上でのチャレンジが重要です。

バリューをアップデートした経緯

Lang-8にはもともと別のバリューがあり、とてもいい内容だったのですが、徐々に課題も見えてきました。バリューとしては少し抽象的で、人によって解釈や基準がバラバラになっていたのです。

例えば、当時のバリューには次のような項目がありました。

  • HRTを極めよう
  • 自律駆動

どちらも言葉としては社内に定着していたものの、1つのバリューに観点の異なる複数の意図がこめられており、結果的に分かりづらいものになってしまっていました。

そこで、僕たちが目指していた本質的なこととは何なのか、あらためて考え再構築することに。そうして生まれたのが、「チーム駆動」「建設的思考」「実験学習」「相互理解」という4つのバリューです。

【チーム駆動】個人ではなく“チーム”を主語に

まず、すべての土台となる「アラインメント」の概念を、「チーム駆動」という原則に落とし込んでいます。

チーム駆動
一人より、チームのほうが遠くに行ける。一人ひとりが “Team Lang-8” に貢献しよう。

ここでいうチームとは例えばマーケティングチームといった単位ではなく、会社全体のことです。

自分の身の回りのメンバーだけではなく、他の部署を含めたすべてのメンバーを尊重し、全員が“Team Lang-8”の目線で成果を最大化しようという意図が込められています。

【実験学習】行動を Trial & Learn に全振りする

自律的にどんどんPDCAを回していこうという「自律駆動」の要素は、「許可待ち・指示待ち不要」「自分の判断でチャレンジし、いち早く学びを得る」という具体的なアクションを規定する「実験学習」という言葉で表現しています。

実験学習
まず最速でやってみよう。アクションを否定する人は、ここには一人もいない。さあ、PDCAのギアを上げよう。

「失敗したらどうしよう」「誰かに怒られるのでは」……こうした不安や心配は、僕たちのチャレンジを妨げます。だからこそ、求められているのが成功ではなく行動そのものであり、とにかく「実験学習」を繰り返そうと具体的に示されていれば、迷うこともなくなるはずです。

僕は極力“あと出し”で意見しないよう気をつけており、何か自分の意図と違うことがあったとしても、問題は事前に説明していなかった自分にあると考えるようにしています。

また、次の「心理的安全性」にもつながるポイントで、実験学習は自分の行動を規定するだけでなく、仲間の実験学習を“否定しない”ということでもあります。

実験学習は、本人の意識だけではなく、周りの態度がとても重要なのです。

【建設的思考】【相互理解】否定しない、わかり合うをあきらめない

チーム駆動も実験学習も、あと出しで批判されるかもしれない「心理的安全性」の低い組織ではまともに機能しません。メンバーのどんな行動が、組織の心理的安全性を高めるのか。どうすればそれを規定できるのか。僕たちがたどりついた答えが、「建設的思考」と「相互理解」です。

建設的思考
非難や批判だけでは何も生まれない。今よりもっと良くしよう。

相互理解
信頼からはじめよう。そして相手を理解し、自分を理解してもらうための努力をつづけよう。

心理的安全性は、自分の行動と仲間の行動に対する反応、両方が規定されてはじめて担保されます。そのため建設的思考でも相互理解でも、アクションとリアクション、それぞれの場面でどう行動するといいかが示されています。

建設的思考とは、「より良くしようと考える」ことと「批判者や評論家にならない」こと。スタートアップでは「足りない」「不完全」が当たり前なので、その気になれば批判するのは簡単です。そうではなく、課題に対して建設的思考でディスカッションできる組織を目指していきたいと思っています。

また相互理解が意図しているのは、「理解してもらうように伝える」ことと「相手を理解しようと努める」こと。とにかく目まぐるしく状況が変わるスタートアップでチームワークを維持するには、「できる限り背景を説明する」「気になったことや分からないことは自分から聞きにいく」という、伝える側と受けとる側の双方の動きが大事になります。どちらか一方に責任を求めるのではなく、それぞれの立場で果たすべき責任を規定しているのが相互理解というバリューです。「なんか伝わってないな、理解してもらえないな」と思ったら、まず「ちゃんと相手に背景を説明したのか?」と自分に問いかける。「ちょっと分からないな」と思ったら、まず「ちゃんと確認しにいったのか?」と自分の行動を振り返る。双方のふるまいが大事になるバリューです。その点は実験学習と同じですね。

4つのバリューが支えあい、相互に高めあう構造

4つのバリューは、チーム駆動を中心にそれぞれに影響しあう関係性になっています。

たとえば、相互理解と実験学習。相互理解があるから実験学習のサイクルが回るとも言えるし、実験学習を賞賛しあうことが相互理解を深めるとも言えます。

建設的思考があれば相互理解がただのなれあいになることはないし、そもそも建設的な議論はお互いのリスペクトがないと成立しません。

こうした相互作用がチーム駆動という大原則の上で回りだせば、組織の力を最大化することができるはず。これが、4つのバリューに込めた思いです。

基本を突き詰めることこそ Lang-8らしさ


チーム駆動、建設的思考、実験学習、相互理解。どれもめずらしい言葉ではないし、一般的な考え方だと思います。Lang-8にとってバリューはいわば“組織のOS”、ある種のシステムのようなものだと考えています。そのため自社ならではのユニークさや他社との差別化よりも、むしろ誰もが同じように理解できるだけの“一般性”を大事にしました。(Lang-8は多国籍なチームなので、日本語ネイティブ以外のメンバーに翻訳して伝えやすいというメリットもあります)

強いて言えば、アラインメント・自律駆動・心理的安全性という組織開発の基本を、自分たちなりに突き詰めてシンプルな原理原則に落とし込んでいるところに、Lang-8らしさが表れていると言えるかもしれません。プロダクトにしろマーケティングにしろ、当たり前のことをとことんやりきってきたからこそ今の僕たちがあると自負しています。

もちろん、この4つのバリューはあくまで現状の仮説です。実際に運用するなかで思うように機能しなくなることもあるかもしれませんが、それも「実験学習」の一つ。失敗から学び、高速でPDCAを回していきたいと思っています。

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