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退職で終わらない「企業と個人の新しい関係」を実現し、退職による “損失” のない社会を作る。
そんなビジョンを掲げて「アルムナイ(企業の退職者/卒業生/OB・OG)」領域でサービスを提供しているハッカズークには、業務委託やフィリピン拠点を含めた21名のメンバーと、頼もしい株主の皆さんがいます。
今回はそんな株主の方4名に「なぜハッカズークに投資をしたのか」を聞きました。
<お話を伺った株主の皆さん>
DIMENSION株式会社下平将人さん(出資時期:2019年1月、2020年5月/株式会社ドリームインキュベータからの出資)
三菱UFJキャピタル株式会社 茂木友貴さん(出資時期:2020年5月)
みずほキャピタル株式会社 藤井智史さん(出資時期:2020年5月)
岡三キャピタルパートナーズ株式会社 松田優さん(出資時期:2020年9月)
退職という“出口”に着目した点にポテンシャルを感じた
——ハッカズークに投資を決めた理由について、まずは最初にハッカズークに出資いただいたDIMENSION(以下、DI)下平さん、いかがでしょう?
DI・下平:出資時の判断のポイントはいくつかあります。
いわゆる3C、つまりは「Customer(市場)、Competitor(競合)、Company(自社)」の観点で申し上げますと、まず、「市場」という観点。マクロでは、日本全体で副業や転職が当たり前になり、会社に対する考え方や終身雇用というカルチャー自体が変わってきています。
並行して労働人口も減少していく中で、外部の人材をどう生かすのか。その一つである「アルムナイ(企業の退職者)」とどう付き合っていくのかは、5年後、10年後の経営上の重要テーマになると思っています。
一方でミクロの視点、具体的には企業がアルムナイをどう管理しているかというと、メーリングリストを作ったりFacebookで属人的につながったりが多い。アルムナイとの関係性や社会の文脈を踏まえ、コミュニティとして運営できるツールの提供はまだ追いついていません。
そうやってマクロとミクロの双方で考えたときに、鈴木さんが目指している「アルムナイ×マネジメントシステム」の市場機会はあると判断しました。
次に「自社」チームの観点ですと、私たちは通常、同じようなテーマの会社に対して、何社も出資はしません。最も勝ちそうなチームにお金を出します。
ハッカズークに出資した当時、同じようなテーマで事業をやっている企業は複数あったように思いましたが、最終的に代表の鈴木さんが素晴らしいと思ったのは、人事コンサルの長い経験があり、HR Techへの深い造詣を感じた点です。以前は『TechCrunch』のご意見番のようなこともやっていましたよね。
あとはキャラクターもいいなと思いました。特有のノリの良さというか、厳しさがありながらもユニークネスを持っている。国際感覚にも優れています。
DI・下平:最後に「競合」、将来における継続的な競争優位性を構築できそうかという観点でいうと、ハッカズークは鈴木さんを筆頭に大企業を相手にしたビジネスの知見がある点がいいと感じました。
アルムナイのマネジメントシステムは導入時にアルムナイを巻き込むサービス。一度導入するとスイッチングコストがとても高い商材であり、基本的に面取り合戦だと思っています。エンタープライズに早期にリーチし、顧客化できるか。
つまりは大企業向けの営業力が必要ですが、鈴木さんを筆頭に大企業相手にコンサルティングを経験されたメンバーがいて、経営者と関係を築くこともできる。そういった点を差別性として見て、評価をさせていただきました。
——続いて、三菱UFJキャピタル(以下、MUCAP)茂木さんはいかがでしょう?
MUCAP・茂木:私は下平さんからご紹介いただき、2020年1月に鈴木さんとお会いしました。人材サービスは採用や定着など、“入口”に関するサービスが多い中、退職者と緩やかなリレーションを築くという“出口”に着目した点にポテンシャルを感じました。それが投資を決めた大きな理由です。
ベンチャーキャピタル自体が、自社の枠を超えたネットワークを生かしながら仕事をする業界。ネットワークの重要性は当たり前のように実感していますし、アルムナイという会社を超えた存在と連携ができる面白みも感じました。
鈴木さんはじめ、チームの皆さんのポテンシャルも非常に感じています。株主としては「アルムナイはまだ潜在的なマーケット」という懸念があったんですけど、その需要を掘り起こしていけるチームだと思っています。
足元の可能性と未来の可能性、どちらも大いにある
——次はみずほキャピタル(以下、MHCC)藤井さんにお聞きしたいのですが、これは後半になるにつれて話す内容が絞られてしまうやつですね(笑)
MHCC・藤井:まさにどうしようかと思っていました(笑)。これまでの話と被らない点をあげると、当社の会議では「時代の流れにフィットしたビジネス領域」というコメントがありましたね。
企業がアルムナイネットワークをつくり、そこで得たデータベースを使う。労働力の流動化という大きな波がある中で、そこにしっかりと踏み込んでいけるポテンシャルを感じています。
私が調べた際はまだ競合らしいサービスもなく、アルムナイという領域にど真ん中にいるのはハッカズークだけ。それは魅力を感じた一つであり、今時点の足元の可能性と、未来の可能性は大いにあると思っています。
ただ、茂木さんもおっしゃっていた通り、市場や認知を自らつくっていかなければいけない中で、市場とビジネスの双方を同時につくるというのはチャレンジングなポイント。でも、そんなチャレンジをやっていけるチームだと思って出資させていただきました。
というのも、私が鈴木さんと最初に面談をした際、事業の課題についてディスカッションをしたんですよ。その3カ月後に再度お話をした時には、私や他のVCからのフィードバックを踏まえて、考えを次のステップに進めていて。短い期間なのに具体的に変わっていたのが印象的でしたね。
▲下平さん(左上)、茂木さん(右上)、藤井さん(左下)、松田さん(右下)
——最後に、岡三キャピタルパートナーズ(以下、岡三CP)松田さんいかがでしょう?
岡三CP・松田:私は茂木さんからご紹介いただいたのですが、その時は恥ずかしながらアルムナイという言葉を全く知りませんでした。
でも、鈴木さんと話したり自分で調べたりしていくうちに、「これからの時代にアルムナイはすごく大事になる」という確信めいたものを感じました。直感的にビビッときたものがあり、出会ってから約2カ月で出資が決定。私としてはかなりスピード感のある意思決定でしたね。
アルムナイは潜在的なニーズはあるものの、可視化しにくい市場。それを大きくしていく難しさは感じていましたけど、鈴木さんの圧倒的な存在感に加え、メンバーの皆さんと接する中で「サービスを通じて良い世界をつくりたい」気持ちを感じたのも、この会社を信じて投資をしたいと思った大きな理由です。
>>【明日公開予定】後編「ハッカズークのこれからへの期待」へ続く