22年の改正法で話題になった男性育休の取得ではありますが、グリーでは女性社員、男性社員問わず、育児休暇を取得し、復帰後も元のポジションに戻って活躍してる方が多く在籍しています。
「男性であっても、育児休暇は取得して当たり前」と口を揃えて語るのは、開発本部 インフラストラクチャ部 万年さん、駒崎さん、岩堀さんの3人。みなさん、それぞれが実際に育児休暇を取得し、復帰後の現在も元のポジションに戻って活躍されています。
そこで今回は、それぞれが育児休暇を取得したときのプロジェクトの状況から、当時のご自身の心境、そして男性社員の育児休暇がカルチャーとして根付いている理由について、3人にお話いただきました。
「育児休暇は当たり前」という理解があるからこそ、メンバーにも安心して仕事を任せられて育児に専念できた
ーー まずはみなさんの業務内容、そして育児休暇を取得されるタイミングでどのように引き継ぎをしていったのか教えてください。
万年:私はもともとはインフラの運用エンジニアを担当していまして、現在はVRやネイティブアプリの開発を行うチームのグループマネージャーをしています。育休取得当時は、私自身がPMを担当しているプロジェクトがあり、さらにPMOのようなポジションで複数のチームの案件も見なければいけないという、繁忙期を迎えている状況でした。
そこで育休取得する3ヶ月前から引き継ぎを始めていき、担当プロジェクトについては別のメンバーにPMとしての業務を引き継ぎ、PMO業務も別のグループのマネージャーに引き継ぐ形で育休取得のための準備を進めていきました。
駒崎:私は新規サービス展開をする際のインフラストラクチャ全般を担当しており、育休取得するタイミングでも、新たなサービスが立ち上がろうとしている状況でした。
ただ、事前に上司やメンバーには相談しており、さらに常に二名以上の体制で案件を担当する形であるため、メイン担当を別のメンバーに引き継ぐ形で調整させてもらい、スムーズに育休に入ることができました。
岩堀:私はインフラエンジニアとして、主にサーバー監視を担当しています。職種上、特定の案件を担当するという形ではないのですが、チームリーダーを務めていたため、育休取得の際は、チームとして何をするか、チームの方向性というのをチームメンバーに伝えつつ、別のメンバーにリーダー業務を引き継ぎしていきました。
もともと育休取得タイミングもわかっていたため、どう引き継ぎしていくかなども見通しを立てており、私もスムーズに引き継ぎを終えて育休に入れました。
【写真左から】シニアマネージャー 万年 (21年5月から7月まで育休取得)、駒崎(18年8月から19年1月まで育休取得)、岩堀(22年6月から9月まで育休取得)
ーー 育児休暇を申請するときの心境はいかがでしたか? 何か不安に感じていたことはありましたか?
岩堀:女性社員であろうと男性社員であろうと、育休を取ることは “当たり前” といった認識をみんなが持っているため、「育休を取得していいですか?」というコミュニケーションではなく、「この時期に育休を取ります」というコミュニケーションなんですね。
そのため、私自身も育休を申請することに抵抗感はなく、引き継ぎなどの調整期間のこともふまえて、「そろそろまわりに伝えていこうかな」くらいの感覚でした。そして復帰後も、元のリーダーのポジションに戻るという話は事前にしていたため、特に不安はありませんでした。
駒崎:これまでも男性社員が育休を取得することが珍しいことではなかったので、心配事はありませんでしたし、「私も育休を申請して大丈夫だろうか」とドキドキするといったことはありませんでした。本部長やまわりのメンバーに報告したときも、第一声に「おめでとう」と言ってくれて嬉しかったです。
また引き継ぎに関しても、普段からチーム内で何事も共有していて、さらに口頭で話したこともSlackに残したりと、共有と記録の文化があります。それは会社全体としても業務が属人化するような仕事の進め方をやめようという流れであったため、「自分がいなくなったら仕事がまわらなくなる」といった不安はなく、安心して任せられました。
万年:上長に相談したときにも、「育休は基本的に取るものだ」と言ってくれましたし、会社としても育休取得は文化として根付いています。ただ、私の場合はマネージャーという責任のあるポジションだったため、心苦しさはありつつも、育児に専念したいと思っていました。
そして、まわりのメンバーも快く受け入れてくれたため、安心して任せられましたし、心配はありませんでした。しかも、育休中は会社のアカウントがスパッと使えなくなるんですね。そのため、気にしようにも、そもそもで仕事ができないので育児に集中できました。
「自分の居場所がなくなるのでは、という不安はなかった」長期間休んでいても、スムーズに元の現場に戻ることができる
ーー 実際に育児休暇から復帰されて、現場の受け入れ状況はどういった感じでしたか?
岩堀:別のポジションに異動になるということはなく、子どもの状況を加味しながら数ヶ月かけてリーダー業務に戻っていくことができました。
「戻ってきたら自分の居場所がない」といった感じはもちろんなかったですし、むしろ私が戻ってきたらやってほしい仕事リストみたいなものが用意されていて、すぐに業務に入っていくことができました。
育休で半年間ほど現場から離れていたため、Slackでのやり取りをすべて見返せない分、他のメンバーらがサマリーをつくってくれていたため、すぐにキャッチアップしていくことができました。
駒崎:育休が終われば育児が落ち着くというわけでは当然ありませんから、復帰後も家のことでバタバタする状況が続きましたが、私たちが所属するインフラストラクチャ部は裁量労働制ということもあり、家のことと仕事をうまくバランス取りながら進めていくことができました。
上長やまわりのメンバーもそうした家庭の状況を理解してくれていて、まわりと調整しながら、保育園への送り迎えであったりと育児に関わる時間をちゃんと確保することができました。
万年:PMOの業務などはキャッチアップすべき範囲が広いこともあり、復帰後すぐに戻るというのは難しいため、数ヶ月かけてキャッチアップをしていきました。
ただ、「すでに別の人間が担当しているから」と、元のポジションから外されるということはなく、同じポジションに戻っていくことができました。
ーー 安心して育児休暇を取得でき、そしてスムーズに現場に復帰できた要因として、どういった文化や体制があったからだとお考えですか?
万年:やはり、前例があるというのが大きいですよね。社内ポータルにも育休に関する情報が流れていたり、社内研修でも育休は「取得して当たり前」だということが宣言されていたりします。
また、過去に育休を取った社員のブログがあったりするため、そうしたものを読み込んで、「私自身が育休を取ったらこうなるんだな」というのがイメージしやすかったです。
駒崎:社員も子育て世代が増えていっているため、それにあわせて会社も制度を改善したり見直したりと、良い環境をつくろうと動いてくれています。そしてグリーには育休から復帰して活躍されている社員が男女問わず多いため、「育休が取りづらいもの」という認識がそもそもありませんでした。
岩堀:メンバーがいきなり仕事を辞めてしまうという状況と違い、育休はいつから休みに入って、いつ復帰するかの見通しが立てられますから、案件をどう進めていくかということも決めていきやすいというのも、スムーズに現場に復帰できる1つの要因だなと感じています。
子育て世代も多く、育児と仕事の両立がしやすい環境。育休を通じて、心身ともに妻の負担を減らすことができた
ーー あらためて、男性が育児休暇を取ることについてどのように感じられていますか?
万年:人それぞれの考え方があることは大前提として、私自身は「育休は取るべきもの」だと思っています。やはり、家事や育児を妻に任せっきりというのはおかしいなと。
さらに私の場合は義父義母や私の親も地方に住んでおり、コロナ禍でもあったことから、家事や育児を手伝ってもらうことが難しい状況でした。そのため、私が育休を取らなければ無理だったなと思うと、取得してよかったと感じています。
駒崎:私は一人目の子どもが生まれたときに育休を取得しなくて、やはり妻には相当な苦労をかけてしまいました。そして、子どもがひとりでも大変だったのに、子どもがふたりになったらもう無理だろうということで、今回育休を取りました。
育休を取ったことで、以前よりも家事や育児を任せてもらえる存在になったなと思っていて。ひとり目のときは妻が用事があって出かけるというときに、私に子どもを任せることに不安があったと思うんですね。
しかし、育休を通じて1日中子どもを預けても大丈夫だという認識に変わっていき、いまでは気軽に整体に通ったりと、妻も自分の時間をつくれるようになったと思います。
岩堀:それぞれの家庭の事情があるとは思うので、絶対取得すべきというものではないですが、私自身は “生きていく上で必要なもの” という認識で、当たり前のように育休は取るものだと思っていました。
そして育休を取得するにあたって男性育休についての書籍を読んだりしましたが、驚いたのは世の中には男性育休が取りづらい会社が多いということ。実際に男性育休の取得率はいまだ低いわけですが、育児は昼夜関係なく続くものだからこそ、妻だけで子育てをするというのは限界があります。
私も駒崎さんと同じく、育休を取ったことでミルクを上げたり、おむつを変えたりと積極的に対応していく中で、妻からも信頼されるようになっていったんですね。その結果、「子どもをワンオペで任せてもいい夫」という存在になれたことで、心身ともに妻の負担を減らすことができたことは、よかったなと思います。
ーー その他、育児休暇に限らず、グリーには子育てをしながらでも働きやすい環境があると感じることは何かありますか?
岩堀:時代の流れもありますが、リモートワークで働けるというのは非常に助かっています。
そうした働き方ができるほど、様々なことが整備されているので妻からも好評ですし、妻も在宅で仕事をしたり、私も家事と仕事を両立したりと、働きやすい環境が整っていると感じています。
駒崎:子どもが何人いるだとか、自分たちの親が近くに住んでいるだとか、共働きなのかどうかなど、人によって子育て環境というのは全然違います。
そうした様々な子育て環境をフォローするような制度をつくるというのはもちろん難しいわけですが、グリーは子育てと仕事の両立を理解しているメンバーが集っているからこそ、チーム内で調整すれば済みますし、柔軟性の高い制度があるからこそ、仕事と子育てをうまく両立できるのだと思っています。
万年:いい意味で自由度が高い会社で、特に裁量労働制というのはありがたいですよね。もちろん、しっかりと成果を出すということが大前提としてあるものの、まわりのメンバーと相談しながら、仕事の進め方を決めていけるのはグリーの良さだと感じています。
ーー 最後に読者の方へのメッセージをお願いいたします。
万年:実は妻は私が育休を取得できるとは思っていなかったみたいで、取得できると知ったときは驚いていました。同じように、外から見たらグリーに対して、ワークライフバランスを実現できる会社だという認識がない方もいるかもしれません。
しかし、実際には男性であっても当たり前に育休を取るような環境で、その後も育児と仕事を両立しやすい会社。そうした働き方の面でグリーへの入社を懸念しているのであれば、ぜひ安心していただきたいなと思います。
駒崎:いまは社員も子育て世代が増えていて、Slackでもパパママ部というチャネルがあり、そこで子育て情報や遊び場の情報を共有したりしています。
会社の中にも、子育てのことを相談できる育児仲間がいるのは安心しますし、育児への理解がみなあるからこそ、パパママ社員であることに肩身の狭さを感じるといったことはなく、働きやすい環境です。
岩堀:育児休暇はもちろん、様々な制度をみなが当然の権利だと思って利用しています。そして多くの人が制度を利用してフィードバックするからこそ、どんどん改善されていくんですね。
そうした改善していくカルチャーというのがグリーらしさのひとつで、改善希望を上長にも言いやすい環境。まだまだ改善の余地はたくさんあるでしょうから、ぜひみなさんも制度を利用して、フィードバックを出して、グリーの制度を育てていってください。