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今回インタビューしたのは、2022年にGoodpatchに新卒入社したUIデザイナーの菅原。芸大のグラフィックデザイン学科からUIデザイナーの道を選んだ彼に、Goodpatchで過ごした約1年半を振り返ってもらいました。
菅原颯太/プロフィール
東北芸術工科大学でグラフィックデザイン学科を専攻。ポスター・パッケージ・ブックデザインなど紙媒体を中心としたデザインを学ぶ。山形ビエンナーレのサポート活動や、山形のプロバスケットボールチームのデザインプロジェクトなど、地域と連携したプロジェクトにも精力的に携わる。
2022年4月に新卒でGoodpatchに入社。UIデザイナーとしてヘルスケア業界のクライアントワークに携わるほか、社内クリエイティブのグラフィックデザインやワークショップのファシリテーターなど、サブプロジェクトでも活躍中。
グラフィックデザイン専攻の菅原さんが、UIデザインに興味を持った経緯はなんでしょうか?
大学時代、自分のポートフォリオサイトを作ったり、サービスを考えたりする課題を通してUIデザインに触れました。
さらに、大学の中から数名、1ヶ月ほど企業の人から直接デザインメンタリングを受けられる機会があり、自分がそれに選ばれてより深くUIの世界を知れたことや、先輩デザイナーとUIデザインについて話す機会があったりする中で、徐々にUIデザインに興味を持つようになったんです。
UIデザインを学んで衝撃を受けたのが、「デザインすべてに明らかな意図があること」でした。グラフィックデザインも、もちろんデザインに意図や意味があるのですが、UIデザインには「ユーザー」「操作」という概念があるのが面白くて。普段当たり前に使っているはずなのに、いざ作るとなると「こんなに難しいのか」と苦戦しつつも、ワクワクしたことを覚えています。
自分のアイデアを表現することプラスアルファで、「綺麗に見える」「心地いい」「ストレスなく扱える」といった人間工学的な理論に基づいたデザインも目指す。このUIのハイブリッドがものすごく面白いと感じ、UIデザイナーを志すようになりました。
就職先にGoodpatchを選んだ理由を教えてください。
まず、同じ学科の先輩がGoodpatchに入社していたことから興味を持ち、3年生の夏頃にGoodpatchの説明会に参加しました。
説明会後は面談に参加し、Goodpatch人事の方から選考に進んでみたらと声をかけてもらいました。まだポートフォリオも出来上がっていなかったため悩んだのですが、周囲の人から背中を押してもらい、今の段階での自分を試してみることに価値があるんじゃないか、準備なんて終わりがないからチャンスが来たら掴まなきゃ!と、思い切って選考に進むことを決めました。
そこからポートフォリオを作成し、選考に進みました。面接ではUIデザイナーの先輩に対し、自分自身のものづくりへの想いや姿勢を話すことができ、自分の足りていない部分についてデザイナー目線で伝えてもらいました。面接というよりも会話ベースで、等身大の自分で話すことができ、フィードバックも心地よかったのを覚えています。
私は実は最終面接を2回受けていて、2度目の最終面接で土屋さんから「うちは成長できる土壌はあるけど、成長させてあげる環境ではない」と言われたのを覚えています。自分から成長しにいける覚悟を問われていたんだと思いますが、それがあったから、入社後も全力で頑張れていると思います。
入社の決め手となったことの1つが、当時UIデザインチームでマネージャーをしていたベテランデザイナーとの面談です。
自分の好きなデザインや「デザインをひと言で表すと?」といった会話をしたのですが、一方的に聞かれるのではなく、その方も一緒に考えながら自分の考えを話してくれて、その時間が本当に楽しかったんです。
デザインが好きな人に来てほしいとという思いが伝わりましたし、対話しようとする姿勢が好印象で、この会社で働きたいという気持ちがより強まりました。
ほかの会社と比較して、Goodpatchはどのような印象でしたか?
ほかの会社はカジュアル面談の段階までしか参加していませんが、「レベルの高い場所で学ぶのであればGoodpatchだろう」という確信を得ていました。
UIデザイナーになるにあたって、「UIデザインの概念自体の可能性をもっと探究したい」と思っていました。というのも、表層だけでなく設計や構造まで、本当の意味での使いやすさを考えて表現するUIデザインの一連のプロセスは、Webに限らずあらゆるプロダクトに共通するものだと思っているからです。
今後、あらゆるデザインに携わる基盤としてUIの知識を身につけたいと考えていて、それを高いレベルで実践できるのがGoodpatchだと考えたんです。
さらに、大学時代に地域の事業に携わった経験からクライアントワークにも興味を持っていたので、Goodpatchを選ぶことに迷いはありませんでした。
Goodpatchに入社して、どのようなプロジェクトに携わってきましたか?
研修修了後、1年目の後半から継続してヘルスケア業界のクライアントの業務管理ツールを改善するプロジェクトを担当しています。
Goodpatchの中でも規模の大きなプロジェクトで、Goodpatch側だけでも複数名のUIデザイナーがいて、クライアント側からも複数のUIデザイナーやプロダクトマネージャーなどが参加する中、チームで連携しながら作業を進めています。
プロジェクトに入った最初の頃は、先輩デザイナーと同じ部分のUIを担当して、一緒に考えたり提案していましたが、最近は自分だけでUIを担当するようになり、メンバーをうまく巻き込みながら主導して進めることにも慣れてきました。
これまでを振り返って、どんなところに仕事のやりがいや面白さを感じますか?
大学時代に地域の事業に関わって感じたのが、「デザイナーの声が弱くなってしまうな」ということでした。クライアントとデザイナーとが、対等にコミュニケーションできるものづくりがしたいと思っていたんです。
その点、Goodpatchでは、クライアントがデザイナーと対話しながら進めていきます。「降ってきたものを作る」感じはまったくなく、クライアントもプロダクトマネージャーもエンジニアもUIデザイナーも、全員が「ユーザーにとって最適な体験はなんだろう」という上流のところから一緒に考える。対等な関係で物事を進められるので、とてもやりがいを感じています。
また、自分が作っている画面以外の世界を知る機会がたくさんあるのも面白いですね。
例えば、実際にユーザーがプロダクトを使っている現場に行き、業務環境や仕事の流れ、その中でどのようにプロダクトが使われているのかを1日中観察したり、業界の展示会に参加して競合の製品について学んだり。
よく上司から「画面の操作という“点”で考えるだけでなく、ユーザーがこの画面に来るまでの状況を含めた“線”で考えるように」と言われます。
画面以外の世界を知ったことで、ユーザーが画面を触るまでの“線”がイメージでき、この仕事の面白さがさらに増したと思います。
どんなところに課題や難しさを感じますか?
案件に関わった初期のころは、ユーザーが「何をしに画面に訪れるのか」「どういう風に画面を触るのか」といった理解が浅いままUIを作ろうとしていたことがありました。上司にはその点を見抜かれ、このままでは、UIデザイナーとしてクライアントの前に立てないと指摘され、悩んだこともありました。
そういったフィードバックを通して、画面を作ることの奥にある「ユーザーの行動や体験を理解する」という本質に気づいてからは、やり直すこともだいぶ少なくなりました。それでも、考慮が足りないことは今でもありますし、まだまだ勉強していきたいところです。
先輩デザイナーのサポートやフィードバック体制についてはどうでしょうか?
入社1年目にはメンター制度があり、職種に関わらずすべての新卒にメンターがつきます。私も先輩UIデザイナーの方に、1年間サポートしてもらいました。
私は特にスキルを重点的に鍛えたかったので、先輩が過去に担当した案件のUIを自分もデザインしてみる、という課題に1年を通して取り組みました。
先輩と自分のデザインの差分を見たり、自分が「なぜこういうデザインにしたか」を言語化して説明したり。そういった課題を通して、デザイン力はもちろん、言語化能力や説明の構成力などが鍛えられました。
デザイナーの人数が多く、案件外の先輩デザイナーにも気軽にアドバイスをもらえるので、フィードバック体制の中で自らも失敗と挑戦を繰り返しながら成長していける環境だと思いますね。
入社1〜2年目ということで、意識して取り組んだことはありますか?
1年目は「泥臭く作る」を抱負に掲げ、とにかくいろんなものに手を挙げて積極的に参加しました。例えば、内定証書のグラフィックデザイン。私も内定式でステキなデザインの内定証書をもらって「来年は自分が作りたいな」と思って入社したので、大学時代に培ったスキルを駆使して貢献しようとがんばりました。
ほかにも、Goodpatchブログ寄稿者に贈るピンバッチのデザインや、ワークショップのファシリテーターにも複数回挑戦しました。
普段の業務に加えての対応になるので大変でしたが、いい意味でプレッシャーにもなって、成長の大きな糧になったと思います。
「UIの概念を基盤にあらゆるデザイン」に携わりたいとおっしゃっていました。それは、Goodpatchで実現できそうですか?
今私が担当しているプロジェクトにはUXデザイナーがおらず、UIデザイナーである私がUXの領域も見ています。最初の頃は、「難度の高いことをしてるな…」と不安を感じましたが、実践してみる中でUIとUXには明確な線引きがあるわけでないかもしれないと感じました。
UIもUXも、目指すところは同じ「ユーザーにとって最適な体験」であり、本質的にはやっていることはそんなに変わらないと感じています。
上司からも言われました。「UXデザイナーがいないとUIを作れない。そんなUIデザイナーになってはいけないよ」と。その言葉通り、UXの領域も自分に取り込んでプロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーとやり取りしながら業務に取り組めているので、UIデザインを基盤に、広い知識やスキルが身についている手応えがあります。
菅原さんの今後の目標、取り組みたいことを教えてください。
今、UIの分野がものすごく面白いので引き続き学びつつ、今後はGoodpatchに新しくできたコミュニケーションデザイン部門とも関わっていきたいです。コミュニケーションデザインでは、ユーザータッチポイントにおける最適なコミュニケーションプランニングとクリエイティブを担当します。
案件以外の時間でUIの知見はさらに高めたいと考えていて、今は、同期と世の中のアプリを考察してインプットしたり、日々観察したUIについて社内ドキュメントに日記風に書く「UI観察日記」といった取り組みをしています。最近だと、UI観察日記から派生させた内容で自社ブログへ寄稿しました。観察眼をより養いつつ、社内に留まらない発信をしていけたらと思っています。
菅原が執筆した記事
「【押して広がるアプリの世界】上級者向け機能「長押しUI」集めてみた」
最後に、学生の皆さんへのメッセージをお願いいたします。
私と同じデザイナーを目指す美大・芸大生の中には、「作るのは好きだけど、論理的に話を組み立てるのが苦手」という方や、「アイデアを発散するのは好きだけど、作るのは得意ではない」という方など、いろんなタイプの方がいると思います。
就活では、オールマイティな人が求められるイメージがあるので、「自分はこれが苦手だから、うまくいかないかも…」と不安になる方もいるかもしれません。でも、諦める必要はまったくないんです。
私自身オールマイティなタイプではありませんし、「デザインが好き!」という気持ちだけで、何も固まっていないレベル1の状態で選考に臨みました。選考が進む中でだんだんレベルアップし、自分に必要なスキルだけでなく「自分ってこれが得意なのかも」「自分のやりたいことはこれだ!」など自分の深掘りも同時にしていきました。
自分のできていない部分を気にして歩みを止めてしまっては、もったいないなと思います。時にはエイッ!と大なり小なり一歩を踏み出すことが、自分の未来を開いてくれることもあるのではないでしょうか。その先に見えてくる景色を楽しんでみてほしいです。
菅原さん、ありがとうございました!