祖父が、危ない。
それでも今日、自分は病院にいない。
会社で、仕事をしている。
薄情な孫だと思う。
自分でも、そう思う。
祖父は、最終学歴、小学校卒業で必死に生き抜いてきた人だった。
派手さも、肩書きもない。
ただ、一度もその現実から逃げなかった。
自分の中にあるしつこさは、
たぶん、祖父からもらった血だ。
手を握りに行くことはできる。
でも、それだけでは返せないものがある。
受け継いだこの血が、正しいものだったのか。
逃げずに、やり切れる人間に自分は育ったのか。
それを、言葉だけじゃなく、自分の生き様で証明したい。
でも本当は、分からない。
これが恩返しなのか、ただの命が消える現実からの逃げなのか。
病室にいなかった今日を、いつか、悔やむのかもしれない。
それでも、手を止めるつもりはない。
大切な人の時間と、自分の仕事。
両方は、取れなかった。
同じ岐路に立ったことのある方に、聞きたい。
あなたは、どちらの手を、握りましたか。
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