今や多くの企業が取り入れている「テックブログ」。
テックブログとはIT技術者によるシステム開発の流れや取り組み、技術をブログ形式で公開しているものであり、エビリーでもテックブログを定期的に更新しています。
ITエンジニアにとっては、他社の技術内容やプロジェクトの進行を学べる絶好の場としてさまざまな企業のテックブログを読んでいる人も多いのではないでしょうか。
エビリーのテックブログのはじまり、運用のルールと読者の声についてプロダクト開発本部 kamui tracker 開発部の渡辺 健太さんにお話を伺いました。
▼渡辺さんへの前回のインタビューはこちら
更新されず、忘れ去られていた「テックブログ」が『知識の泉』へと生まれ変わった日
ー渡辺さんは、2021年にエビリーに入社。入社直後、Wantedlyのインタビューでもお話を聞かせていただきました。現在はどのようなお仕事を担当しているのでしょうか?
渡辺:入社当時は国内最大級のクラウド型動画配信システム『millvi(ミルビィ)』チームのエンジニアとして在籍していましたが、現在はYouTubeマーケティングをワンストップで支援する『kamui tracker(カムイトラッカー) 』というプロダクトチームの開発エンジニアとして働いています。エンジニア業務の中のひとつとして、エビリーのテックブログ制作を担当しています。
元々、テックブログ自体は数年前に開設していたものの、担当者の入れ替わりなどで更新が滞り、気付けば1年以上記事が更新されておらず、テックブログの存在自体を知る人の方が少ないなど、運用に課題を抱えていました。
また、これまで開発チームでは全体会議や定例を定期的に開催していましたが、メンバーのインプット/アウトプットの場をより一層増やしたいという思いがありました。これらを解決に導くためにも、テックブログは有効な手段なのではないかと考え、開発チーム全体の知識の共有も含め、学習を促進するための手段として、再びテックブログを活用することになりました。
テックブログの再開にあたり、プロダクトにかかわる部分関わらない部分を全て含め、個々の知識や開発やプロジェクト進行経験から得た学びの共有を目的としました。
ーなるほど、はじめては見たものの、更新性が下がりいつの間にか施策自体が埋もれてしまうという話は、多くの企業でのあるあるケースですね。実際の運用方法はどのような方法を取っているのでしょうか?
渡辺:現在は各プロダクトから担当者を1名ずつ選出し、3名体制で運用を行っています。記事テーマの選定に関しては、各プロダクトに一任し、決定後スプレッドシートで共有し、他記事との被りがないことを事前に確認できるようになっています。
また、制作本数は各チームが月1本、ひと月で合計3本の記事が上がるようなスケジュールとなっています。しっかりと更新性を担保しながらも、業務に負荷が生じないスケジュール感を目指しました。
おもしろいのが、ラインナップをしっかりと事前に制作しているわけではないのに、これまでテーマの重複がほとんどないんですよね。エビリーの開発チームにはさまざまなキャリアを持つ、個性豊かなメンバーが在籍しています。これまで培ってきたスキルや、前職での開発経験、知識レベルも人によってまるで異なります。個の多様性によって、得意な分野や好きなジャンルも多岐にわたっており、組織論をテーマにする方もいれば、フロントエンドやサイド開発のトレンドなど、さまざまな技術や経験を元にバラエティに富んだ記事ラインナップになっています。
ーそれだけ、しっかりとチームの中でも役割分担ができているということですね。記事制作にかかる期間や、ブログ制作のルールについても教えてください。
渡辺:記事テーマ決定後、そこから担当者がライティングを開始し、翌週には出来上がった原稿をチーム内で共有し、2人の技術者からレビューをもらいます。分かりにくい言葉がないか、より適切な表現があればレビューを元に修正を行い、翌週には公開されるというスケジュール感です。おおよそテーマ決定から公開までは2-3週間要しています。
ブログ制作にあたり、がんじがらめのような細かなルールは設けていません。記事ボリュームの目安として、1記事あたり3,000文字以上という最低文字数のみを設定しています。そこからどこまで膨らませるかは、担当者に一任しています。興味のある分野も、強みのある分野もみんな人それぞれで異なります。テーマに愛が溢れて30,000文字を超える大作には、情報量も多いため、非常に多くの『いいね』がつきましたね。
エンジニアにとって、テックブログには必要な情報がしっかりと網羅されており、それを再現するためのソースコードや知識が簡潔に書かれていることが最も有益だと考えています。
エンジニアをしていると、どうしても「ソースコードを出せばわかるよね?」といった感じになりがちなのですが、それだけだと記事が味気なくなってしまいます。そうではなく、記事として知識や経験のインプット/アウトプットという『共有』を目的とするのだからこそ、書いて終わりなのではなく、その先の読み手に伝わることを念頭に、記事の可読性や情報の網羅性をしっかりと担保することを心掛けています。
ーありがとうございます。エビリーにあらたに入社されるメンバーも、テックブログを読むことで、エビリーの強みや、先輩社員からの知識のインプットができる場になりますね。テックブログを読まれるための施策というのはどのような取り組みを実施されているのでしょうか?
渡辺:現在はテックブログを更新後、Slackの専用チャンネルに更新通知が届く仕組みになっています。そのおかげで、更新されるとブログにアクセスする人も多い印象です。
今は敢えてテーマを運営側で決めず、担当者に一任しているのですが、実際に業務では使わない知識や、使ったことのないコードなども、誰かが記事に起こしてくれることをキッカケに、新たな知識や技術と出会い、新たな気付きが得られるというのは発見でしたね。
ー欲しい情報はいつでも簡単に検索すれば手に入る。
そんな時代だからこそ、町の本屋さんのように、ふらっと見かけた記事で、思いがけなかった新たな出会いがあるテックブログ。これからの更新にも期待です。
それでは、最後に現状のテックブログ運営の課題や、今後の新たな取り組みについてお聞かせください。
渡辺:先ほど申し上げましたとおり、今はそれぞれのプロダクトで独自にテーマ決めを行い、毎回各々の強みである部分を取り上げ、開発業務に関わる知識の共有を進めてきています。記事のストックが増えてきたことによって、さまざまなテーマを持つ記事が少し煩雑になってきており、これまで積み重ねてきたものをカテゴリ分けをして整理する必要があると感じています。また、細分化された知識だけがバラバラと集まっている状態のため、もう一階層上のエビリーという会社全体としての開発の方向性をテーマにした記事も必要であると考えています。この辺りは4月以降に新たな取り組みとして検討していきたいと思います。
社内のみならず、社外にも広くひらかれているエンジニアにとっての知識の泉であるエビリーのテックブログ。ますますおもしろくなりそうです!
(取材・ライター/山本エミ)