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メンバー全員が産休育休経験あり!T&Sチームの生産性向上を支える「ドキュメント管理」の秘訣



こんにちは、Trust & Safety グループ、略してT&Sの杉山です。

この記事はEnigmo Advent Calendar 2023の7日目の記事です!


T&Sグループは、BUYMAの安心安全のためのオペレーション全般を担当しているチームです。

具体的には、偽物の流通防止のためのチェック体制構築や、決済の不正利用の検知・撲滅、その他数々の不正行為やサービス運営上の問題を防ぐためのあれやこれや、そして万が一問題が起こってしまった時の対応をうんうん悩みながら日々頑張っています。業務内容としては、ここ数年でオペレーション企画」などと呼ばれるようになってきた職種です。

メンバー全員が順番に産休育休を取得するベビーブーム!

そんな当チーム、私が入社した2020年からの4年間に、私自身も含めた3名の社員メンバー全員と多数のアルバイトメンバーが産休・育休に入れ替わり立ち替わりで入るという、日本の少子化をまったく感じさせないほどの大・ベビーブームが訪れております。

私が入社(2020)→ 社員メンバーの入社(2021年)→マネージャー産休にあたり私がマネージャー職を引き継ぎ (2021年)→ マネージャーの復帰、私の産休開始でマネージャー職をお戻しし業務を社員メンバーに引き継ぎ(2022年)→ 私の復帰、社員メンバーの産休開始(2023年)という流れ。

見事な連携ですね。妊娠出産は計画してその通りにいくものではないので、やろうと思ってもこんなにきれいに入れ替わりができるものではないものですが……。

ちなみにT&Sチームのほか、お隣のPSRチームやCSチームも多数の産休育休取得者がおり、これらのチームを統括するカスタマーマーケティング事業本部の部長今寺は「子宝の神」と密かに崇められています。(部長自身も昨年第二子が誕生!)


大変にめでたい出来事であるベビーブームですが、このように人事の変動が定期的にある中では、スムーズな業務引き継ぎが課題となります。メンバーが入れ替わっても、チームとしての進化を続けるためには、チームの運用基準や業務ノウハウのナレッジ管理が極めて重要です。


私はチームのナレッジ管理のためのドキュメント整理を入社以来ほぼ趣味のようにひたすらやっていまして、それが今となって何かと役に立っているのを実感しています。

2023年の9月に育休から復帰し、私が休んでいる間に業務をやってくれていたメンバーが入れ変わりで10月から産休に入りましたが、ドキュメント化の文化を保ってくれていたおかげでかなりシームレスに案件を引き継ぐことができています。

現マネージャーに「アドベントカレンダーの記事で書いてほしい」とオーダーいただいたため、この機会に"ナレッジ管理のナレッジ"を言語化してみようと思います。

なぜ、ドキュメントを残すのか

まずは、なぜ、ドキュメント管理が重要なのでしょうか?

毎日の業務が忙しいし、自分がわかっていれば仕事は回るのに、わざわざそれを文章にするなんて正直めんどくさい。なんでそんなことやらないといけないの? そう思う人は多いかもしれません。

その疑問への答えとして、私が頭の中に入れているのは以下の2つの観点です。

これは昔、私の前職の上司が書いたドキュメンテーションに関する文書に登場した言葉で、当時なるほどと思って保存して定期的に読み返しています。以下はその内容を私なりに噛み砕いたものです。

「ローコンテクストに仕事をする」ことの価値の高まり

ハイコンテクストな仕事の仕方とローコンテクストな仕事の仕方、というキーワードがあります。

ハイコンテクストな仕事の仕方とは、「言わなくてもわかる」とか「少ない情報で阿吽の呼吸でやれる」ような文脈依存性の高いやりとりの中で働くことです。

同質性の高い集団や、規模が小さく変化の少ない集団であれば、このようなハイコンテクストなやり取りの方がスピード感を持ってものごとを進めることができる場合もあり、必ずしもハイコンテクストであることが悪いわけではありません。

しかし、現代の多様性が増す環境で仕事をしていく中では、 その反対の「ローコンテクストに仕事をする」ことの価値が高まっているのではないかと個人的には感じています。

ローコンテクストということは、文脈依存性を下げるということです。文脈に依存しないように仕事をするということは、業務を「誰にでも、いつでも、簡単にわかる」状態に常に保っておくということ

チームの誰かが離脱するかもしれない、新しい人がチームに加わるかもしれないと考え、いつそうなっても大丈夫な体制を作っておくことは必須のリスク管理だと思います。


ドキュメント作成は仕事そのもの

そしてもうひとつの観点が、「ドキュメント作成は仕事のための仕事ではなく、仕事そのものである」ということです。

よい仕事とは、基本的には「現状をよりよくすること」につながるものだと思います。現状をよくするには、まずは現状が正確にわかっている必要があります。現状の手順や判断基準が明文化されていないということは、そこからの改善も望めないし、仮に改善に成功したとしても、何がどれだけよくなったのかわかりません。

特に「オペレーション」と呼ばれるような、毎日続く運用の中で一定のレベルのアウトプットを出し続けていくことが必要となる仕事は、「重要な1日だけがんばったらOK」というような種類のものではありません。

そういった日常の繰り返しが重要な仕事では、業務の「平均的な水準」を上げていくことが、直接の成果です。そのためには常に現状を文章で残し、そしてよりよい水準に向けて考えて変化させ続けることが必要と考えます。

ドキュメント管理のための要点4つ

ということで、私が意識しているナレッジ管理のためのドキュメンテーションのポイントを、大きく以下の4点に分けてご紹介します。

1. ストックとフローの明確な使い分け

2. 検索性を意識する

3. 適切なメンテナンス

4. 明文化のカルチャーをつくる

1. フローとストックの使い分け

まず、ストック情報であるマニュアルとフローのフォルダは明確に使い分けを意識しています。

マニュアルには確定した手順を保存し、フローのフォルダには具体的な作業のログや議論のたたき台、議事録などを記録します。

マニュアルは繰り返し行う作業の「確定した手順」だけを残し、進行中の内容や一時的なものとは分けて管理することが重要です。基本的に、定型の業務はこちらに則って進めます。

フローの情報は過去の経緯や作業のログ、議論の内容などを未来の類似の作業に役立てるために残すものです。マニュアル化するほどではないと思われる突発的な対応や暫定的な業務も、意外と似たような案件が発生したり、「あの時のあれ、どうやったっけ?」などと思うシーンはあります。そういう時に参照できるよう、 作業した内容や議論の経緯を残しておきます。

一つの場所に、フローの情報とストックの情報がごちゃまぜに保管されていると、使う時になって結局どれが確定したものかわからない、という状況になりがちなので、これらは別々に管理する意識が大切です。

2. 検索性を意識する

ドキュメントは、がんばって書いたとしても、それを必要な人に適切に見つけてもらって使われないと意味がありません

ルールは作っただけは守られない。これを結構忘れる方も多いのですが、ルール作成は守られるための運用がセットです。ルールの存在がきちんと必要な人に知られるように、ルールを作った側が配慮する必要があります。

階層は3段階まで

これはフォルダ管理という意味でも、単体のドキュメントの構成という意味でも同じです。人は複雑すぎる構造は理解できないし、できたとしても運用を継続できません。

ドキュメントを入れておくフォルダをどんどん細かく分けてしまうことで、かえって目的のドキュメントを埋もれさせているかもしれません。

チームのトップフォルダ > フロー or ストック > トピック

3階層までが原則です。

それ以上の詳細は基本的にはフォルダに分けず、タイトルで内容を分けたり、トピックそのものを分割するようにしています。

T&Sチームのフォルダは、トップフォルダ以下にはストックのフォルダとしての「マニュアル」フォルダ、フローのフォルダとしての「運用・ルール検討」フォルダ、それとは別に定例のアジェンダを入れている「定例」のフォルダの3つがあり、その中で日常的なドキュメントは作成しています。

「マニュアル」と「運用・ルール検討」のフォルダの下にはそれぞれ「決済不正利用対応」「偽物防止対応」といったトピックごとのフォルダを作っています。

また、個別の記事の構成としても、見出しはH1,H2,H3くらいまでが限度で、できるだけシンプルな階層構造になるようにします。(この記事もそうなってますね!)

タイトルの明確化とキーワードの定義

必要な記事を見つけるために、適切なタイトルをつけておくことはもっとも重要です。

タイトルが日付だけだったり、キーワードのみだったり、直接の内容とは離れたものになっているとなかなか見つけられないことがあります。社内ドキュメントとはいえ、検索する人のニーズに沿ったタイトルをつける必要があります。

また、キーワードが略語になっていたり、表記揺れで複数の言い回しがあったりする場合には、なるべくそのすべての表記が記事内に含まれるようにして検索に引っかかるよう配慮します。

社内用語や業界用語が登場する場合には、誰に向かって書く文書なのかを意識した上で、そのキーワードの定義を明確にする段落を記事の冒頭に入れたり、定義が説明されているURLを記載するなどして、対象読者が理解できるよう気をつけるとより親切です。

参照情報へのリンク

マニュアルは全般的な作業手順を記載するドキュメントですが、抽象的な内容だけだと実際に作業する時には迷うことが多いです。そのため、都度具体例が確認できるようにフローで残した作業ログの記事にリンクしたり、Slackのthread URLを貼ったり、実際の作業の参考になる先行事例の情報をしっかり記載するようにします。

こういった工夫をして、「マニュアルを見ながら作業しているのに、結局他の人にいろいろ聞かないといけない」という状況をなるべく避けられるように意識します。(もちろん0にはなりませんが……。)

3. 適切なメンテナンス

最新情報のメンテナンス

マニュアルフォルダに入っているドキュメントの情報は、可能な限りリアルタイムで最新のものが反映されている必要があります。運用や判断基準に変更があった場合、その場で更新するのがベストです。

正確な文章を作成する時間がない場合にも、その変更が発生した経緯がわかるチャットのURLや、メールの履歴などを残しておくだけでも後で読み返した時に役立ちます。

重要なのは「今、正しい情報にアクセスできる」ことなので、フォーマットを気にして更新が滞るくらいなら箇条書きで問題ないのでとにかく書くことが大事。

古い記事への対応

まったく新しい運用に変わった時などに同じトピックでマニュアルのドキュメントを新規で作成し、古い記事がそのままほったらかしになっていることがよくあります。新しく来た人は同じトピックでマニュアルが2つあるとどちらが正しいのかわからなくなってしまうので、ここにも気をつける必要があります。

古くなった記事は削除ではなく「旧」などの表示を追加し、読者が古い情報ということをわかる状態で残しておきます。

また、旧記事の冒頭に最新の記事へのリンクを設け、読者が常に最新の情報にアクセスできるようにします。

4. 明文化するカルチャーづくり

マニュアルをさがす習慣をつける

チームメンバーには、まずは業務にあたる時にはマニュアルを探すという習慣を促します。

新しい作業内容を説明する時には必ずマニュアルを共有し、業務の中のエスカレーションに答えるときにもマニュアルに記載がある場合はそちらを提示して「こちらに沿ってやってみてください」などと参照しながら作業してもらうようにします。

マニュアルに記載のない内容について追加の質問があれば、回答しつつマニュアル内に追記する。そうやって、明文化されたものに沿って仕事をして、それをブラッシュアップしていくことをチームのカルチャーとして習慣化していく必要があります。

マニュアルの信頼性を保つという、強い決意をトップが持つ

マニュアルが古いままだったり、間違った情報が記載されていたり、参照しても役に立たなかったりということが積み重なると、メンバーがマニュアルを信じて仕事をしなくなります

その結果、人によってやり方や基準が違っていたり、謎の新運用が発生したり、結果的に仕事について特定の誰かしか進められない状況が発生してしまいます。属人性はほっといたら上がっていくものなので、できるだけそれを解体し、チーム全体の業務水準を上げる努力をすることが大切です。

これを進めるには、「ドキュメント管理を徹底的にするのだ」というチームのトップに近い人間の強い意識、決意がいちばん大事です。

ドキュメンテーションは未来の自分とチームを助けるもの

業務を文書化することで、他の人の作業がスムーズになる、という面はもちろんあります。

でも、実は一番助かるのは未来の自分自身です。

過去の作業内容や判断などはどんどん忘れていくものなので、書き残していないと毎回1から考えなければいけなくなってしまいます。でも面倒でも都度ドキュメントに残しておけば、その地点から考えることを始められます

私は1年2ヶ月の産休・育休から復帰した時、すっかりさっぱり以前の仕事を忘れてしまっていましたが、自分が過去に積み重ねていた文章と、私が休んでいる間にさらにそれをブラッシュアップしてくれたチームメンバーのドキュメントに大いに助けられて、復帰直後からほぼ元のペースの仕事ができました。

今後も、産休育休に送り出したメンバーの復帰の時や、また新たな仲間が増える時、過去の自分たちが書き残した言葉の力を借りることになるでしょう。


引き続き、これまで積み上げたナレッジを活かし、さらにブラッシュアップを続けて、チームとして進化していけるように頑張っていきたいと思います。


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明日の記事の担当はアプリケーション開発グループの橋野さんです。お楽しみに!

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