こんにちは、カスタマーマーケティング事業本部にて出品審査を担当している杉山です。
この記事は Enigmo Advent Calendar 2020 の25日目の記事です!
あっというまに最終日です。こちらではTechブログとは少し色を変えて、ビジネスサイドの話も書きたいと思います。
「職種」欄に適切なものがない職業
2020年1月にエニグモに入社したのですが、少しオフィスに慣れたかな、と思ったところで新型コロナウイルスの影響で突然ほぼフルリモートになり、あれよあれよという間に1年目が光の速さで過ぎました。
せっかくなので1年間を振り返って、転職者として1年間エニグモで働いてみたリアルな近況をお伝えしたいと思います。(ほとんどリモートワークで画面越しからだったので、ある意味バーチャルな体験ではありましたが……。)
特に、以下のような状況にピンと来るIT業界の方、または、これといった職種が決まっているわけではないけどIT系の事業会社の仕事に興味がある、という方は、ぜひ読んでみてください。
- ITサービスの新事業や新機能で、リリースが決まったものの「あれはどうするの?」「ここは誰が担当するの?」と定まっていない運用面の課題がわんさかあり、それを拾って解決している
- 状況によってはユーザー対応もするし、エンジニアとの機能開発もするし、ツール導入や業務改善・自動化の推進なんかもしてる
- 自社のサービスの構造やビジネス要件にはどんどん詳しくなってるけど、これって汎用的なスキルになるんだろうか?とふと悩むことがある
- 「職業」の欄にどんぴしゃな職種がなくていつも困る
名もなきなんでも屋から、エニグモへ
お気づきかと思いますが、さっきのは全て私の話です。
少し私自身のキャリアについて説明させてもらいたいと思います。
社交ダンス講師兼プロダンサー→ドレス屋勤務から独立し自営業でダンスドレスのデザイン・制作→ニュースアプリSmartNewsのコンテンツマネジメント→BUYMAの出品審査オペレーションという流れでここまできました。社会人歴は来年で10年目、最初にふらふらとフリーランスをしていたためちゃんとした会社員歴は約4年です。
見ての通りにキャリアの初期に変な方向にオリジナリティーを発揮してしまったがために、会社員としてのスキル0のまま20代後半に差し掛かり、ある時「このままだとやばい!」と気づきます。とにかくどこか会社にもぐりみ、できることはなんでもやって成果を出して認められなければ、このまま仕事がなくなって野垂れ死ぬ……!という必死の想いで、縁あってニュースアプリベンチャーの初期にアルバイトで入りました。
この転換は一見突拍子がないように見えますが、自営業時代からブログをWordpressで構築してPHPでテンプレートを改造したり、会計処理にWebサービスを導入して自動化したり、ということを試していました。当時はブログブームが訪れていて、その流れに乗ってブログのコンテンツで集客して独立したこともあり、Webメディアに関わるIT企業で働くのは個人的にはごく自然な流れだったのです。
そこでなんとか社員になったあと、ファッション×ECを扱うエニグモにたどり着いて現在の仕事を見つけた時は、ついに点と点がつながったぞ!という気持ちでした。
ITサービスのオペレーションという広大な職種
結果的にこのようなキャリアになり、現在も面白く仕事をしているのですが、一方でずっと困っていることがあります。
先ほども書いたようにこの仕事、適切な「職種名」がないのです。
エンジニアとか、Webディレクターとか、UXデザイナーとか、MDとか、職業名が定まってて名前を聞いただけでどんな職能もっているかイメージできるの、いいな〜と思っています。
職業に名前がないと何が不便かというと、他社の同じ職種の人とも出会いづらいからノウハウのシェアがなかなかできないし、いざ転職を考えても求人も探しづらい。自分が求人を出す側になったときも、誰に向けてどういう募集を出していいのかよくわからないのです。
なお、ちょっと調べてみたのですが、求人サイトでは似たような仕事は以下のような名前の募集に含まれていることが多いようです。
- サービスオペレーション
- オペレーション企画
- 広告商品・出品商品・コンテンツなどの審査オペレーション
- Webサービス・コンテンツ企画
これらの該当職種カテゴリはだいたい「その他」です。もちろん個別に見ていけばそれぞれの職能はありますが、特に新しいサービスや機能の担当ともなると、実際にはそこだけに留まらない領域を担当することもよくあります。そういう横断的な役割の専門性を表すワードが、いまのところ見当たらないなあと思っています。
サービスを運用していくためには絶対に必要なのに、名前がついていないためあまり認知されないふんわりしたポジション。それが現在私が担当しているようなITサービスオペレーションの仕事です。
ところが、エニグモはそんな迷えるオペレーション担当こそが活躍できる場所でした。
エニグモでBUYMAの出品審査担当として1年間やったこと
出品審査はカスタマー向けの職種の中でも、特に近年「Trust & Safety」と言われているような、ユーザーの安心・安全の領域に特化したオペレーションを担当するチームです。
この1年間は、既存のオペレーションのフローや判断基準を覚えて運用を回しながら、ここはもっと効率化できるよね?ここは分かりづらいから変えたほうがいいよね?手動でやってるけどシステムに任せたほうがいいよね?という点を一つ一つ検討して置き換えたり新しいフローを作ったりしてきました。
私が入社してから取り組んだ仕事の一部を紹介します。
メール対応ツールのZendeskへの切り替え
- これまで使っていたレガシーなツールでは対応量や対応内容の定量化が難しかったことと、CSではすでにZendeskを使用しておりツールが違うことによる様々なコストが顕在化していたため、思い切って移行。対応の作業工数を約20%削減。
対応テンプレートと運用ルールの見直し
- 膨大な出品商品の種類やユーザーの状況に応じて膨大な対応基準が存在し、最新の対応はどれが正しいのか、使うべきご案内文章はどれなのか混乱が起きやすい状況だったため、メールサービス移行と同時に改善に着手。
- GASでのテンプレート自動更新の仕組みをCSより譲り受け、審査チーム用に改修、常に最新のテンプレに更新・管理するフローを作る。
- 個別の対応結果に汎用的なルール変更が含まれる場合には、都度ルール一覧表に反映し最新情報を保つようにする。
AirTableを導入してチェック業務の入力・履歴管理を効率化
- データベースサービス「AirTable」を導入し、RedashやLookerといったBIツールから抽出したチェック対象のデータを、目視のチェック結果と合わせて記録し履歴を蓄積する仕組みを構築。
- スプレッドシートでの管理ではデータの重複や表記ゆれが多発するため、あとから定量分析することが難しかったが、AirTableを使うことでいつでも正確に振り返ることができるようになった。作業工数も半減。
不正行為に対する検知・対応
- さまざまなルール違反の出品や不正行為をいち早く検知し、迅速に初期対応にもっていくための検知条件や対応フローを整備。
データサイエンスチームとの検知システム開発
- データサイエンスチームによる検知システムを管理画面の処理に組み込み、これまで手動検索や目視のチェックで発見していた違反を一連の作業の中で自動的に発見できるようにする開発
ECの経験も、CtoCの経験も、ファッションの知識も入社当時は皆無でしたが、周りのメンバーや業務の中で学びながら、とにかく目的を達成するためのスムーズで最適なオペレーションを目指してここまで改善を進めることができました。
担当するサービスが変わっても、オペレーション構築の本質やノウハウはちゃんと生きる。これは汎用的に使えるスキルなんだな、ということを転職して初めて実感できたのです。
エニグモのカスタマーマーケティングで大事なこと
出品審査チームに限らずですが、BUYMAのカスタマーとフェイスする立ち位置でサービスをオペレーションするカスタマーマーケティング事業本部は、多かれ少なかれこの「ふんわりとしたものを運用がスムーズに回るところまで持っていく力」が試される部門だと思っています。
最後に、この1年間で私が感じた、エニグモのカスタマーマーケティング事業本部のメンバーとして働く上で、大事だと思ったことをまとめてみます。
ユーザーの意見の丁寧な吸い上げと、原理原則に従いつつも個別の案件の最適解を極限まで探る姿勢
カスタマーマーケティングは名前の通りBUYMAのユーザーとのコミュニケーションを通じて価値を創出することを目指す部門ですが、入社前の想像以上に、ユーザーとものすごく密にコミュニケーションを取ってケースバイケースの対応にコストをかけていることにまず驚きました。
いわゆるITサービスのユーザー対応って、質問しても結局テンプレのメールが返ってくるだけでその後ろに人がいるイメージを持てないことも多いと思うのですが、BUYMAでの取引は通常のECより仕組みが複雑なため、そのようなテンプレ対応で解決できない問題が山ほど出てきます。
それらひとつひとつに、いろいろな角度から、どうしたら購入者にも出品者にも納得感があり、BUYMAの利益にもつながる着地点を見いだせるか、常に真剣勝負で考えて対応しています。
どの立ち位置にとっても「フェア」であることを目指すバランス感覚
カスタマーマーケティングの部門は大きく5つのチームに分かれており、それぞれが出品者側、購入者側を担当しています。
- 出品者側:出品者対応CSチーム、パーソナルショッパー(出品者)サポートチーム
- 購入者側:購入者対応CSチーム、補償制度のオペレーションチーム
- そのどちらにも立たない中立の立ち位置:出品審査チーム
CtoCサービスなので、出品側のユーザーと購入側のユーザーで利害関係が対立することもありますが、それぞれの立ち位置からの主張をするだけでなく、最終的にフェアな判断は何か?を常に模索していくバランス感覚を全員が持っていることがとても大事なことだと感じています。
自分自身で数字を出し、影響を正しく把握する意識
もうひとつ入社して驚いたのが、ビジネスサイドのメンバーも当然のようにみんながSQLを書いてデータ出しをしていること。前職でもSQLでデータベースからデータを出して対応することはしていましたが、一部の得意な人が扱っているだけでさすがに全員ができる、という状況ではありませんでした。
エニグモではMD担当からCSまで、ビジネスサイドのメンバーもほとんど全員、自分で必要なデータをSQLやBIツールから抽出して、常に行う施策や対応の数字をチェックしています。もちろん入社前から扱えた人のほうが少数で、多くは入社後に必要に応じて身につけたスキルで、そのための研修や質問環境も充実しています。
ユーザーの意見に日々向き合っていると、「やったほうがいいこと」は無限に見つかりますが、実際にやれる工数は限られています。開発の検討段階に数字で検証した結果、エンジニアに工数をかけてもらうより手元でやっちゃったほうが効率がいい、という結論になることもあります。
日々必要な数字を自分で出して意識して、「やるべきこと」だけ進めてきちんと効果を検証する、その繰り返しが基本的ですがとても大事だなと思います。
また、購入者の満足度やTrust&Safetyを優先した結果、時には売上という観点では一時的に悪影響となったり、大きなコストがかかる、という施策をしなければならないこともあります。例えば、数字上はたくさん売れているけれどリスクの高い商品の取り扱いを禁止したりするような対応です。
こういった施策についても、常に自分で数字を出して意識して、「この範囲の影響なら許容できる」と判断を下せるようになっていることで、迅速な対応が可能になります。
BUYMAでどのような体験をしてほしいのか・してほしくないのかを深いレベルで理解していること
サービス運営において現場のユーザー対応が大事ということは常に言われますが、それを本当の意味で担当者のすみずみにまで浸透させて対応することはなかなか難しいことだと思います。
エニグモでは、メンバーの全員がBUYMAのファンであり、日頃からサービスを利用するユーザーであり、BUYMAというサービス体験の魅力も、課題も深く理解しています。日々寄せられるトラブルやご意見への対応を相談していると、「BUYMAはこういうサービスだから、このような対応であるべき」といった明確なサービスのビジョンについての発言をメンバーから聞くことも多くあります。
現場対応メンバーが何よりもBUYMAらしさやBUYMAの魅力を成長させることに貢献しているという意識があり、BUYMAの体験を作る要であるという誇りを持っているのはとても素敵なことだなと感じています。
一緒に働くメンバーを募集しています!
そんなカスタマーマーケティング事業本部では現在以下のポジションを募集中です。
成長中のCtoCサービスでユーザー体験を起点とした成長の根幹に関わる幅広い改善をやってみたい、というIT業界のなんでも屋のみなさんや、もちろんカスタマー対応をより深めたいという専門家のみなさんも!ご応募お待ちしています。