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「やらなければいけないこと」と同じくらい「やった方がいいこと」も重視する。サイボウズのカスタマーリレーション部が持つ前のめりなホスピタリティ

自社製品を提供する企業にとって欠かせないチームの1つが、お客さまからの問い合わせに対応するコンタクトセンターです。サイボウズでは、全国にコンタクトセンターを構え、毎月1万件にも及ぶ問い合わせに対応しています。

これらのコンタクトセンターを統括するのが、今回紹介するカスタマーリレーション部です。サイボウズのカスタマーリレーション部が目指すのは、一般的な顧客サポートやクレーム対応からさらに一歩踏み込んだ「ファン作り」だといいます。サイボウズのカスタマーサポートは他とどう違うのでしょうか?部長の濱田さんにお話を伺いました。

(話を聞いた人)

濱田 大輔(はまだ だいすけ)さん
カスタマー本部 カスタマーリレーション部 部長

2009年サイボウズ株式会社入社。入社後から現在までコンタクトセンターの運営に従事。各製品サポート窓口担当からSVを経験。その後新しい窓口の立ち上げなどを行い、現在は委託パートナーと連携しながらサイボウズらしい新しいコンタクトセンターの構築を目指すべく、日々運営に取り組んでいる。

お客さまと社内をつなぐ関係性作りの部署

ーまず、部署の名前が気になりました。「カスタマーサポート」ではなく「カスタマーリレーション」なのはなぜなのでしょうか。

これを決めたのは以前のマネージャーなのですが、「サポート」をするだけじゃなくて、よりお客さまとの関係性を重視したいと考え「リレーション」という表現を使っています。単なるサポート対応をして終わりではなくて、その後も気軽に相談いただけるような、お客さまの期待を超えるサポートの提供を目指しています。そうすることで、お客さまがサイボウズやサポートのファンになってくださるような関係性を築けていけたらと考えています。

また、お客さまだけではなくて、パートナー企業や社内メンバーとの関わりも実は人事の次くらいに濃い部署だと思います。トラブルが発生した際には開発チーム、規約に関するお問い合わせをいただいた場合は法務チームに相談したりと、いろいろな部署にお客さまの声をつなぐ役割を持っています。そういった意味でも「リレーション」という言葉がしっくりくる部署ですね。

ー具体的に、カスタマーリレーション部のメンバーはどんな業務をしているのでしょうか?

前提として、サイボウズでは現在、お客さまからの問い合わせの一次対応はコンタクトセンター専門の企業さんに業務委託しています。私たちの仕事はそのコンタクトセンターの運用を効率化したり、コンタクトセンターで解決できなかった課題の二次対応をすることです。

その上で、カスタマーリレーション部に所属するのは、テクニカルサポートエンジニア、コンタクトセンター運用担当、応対品質担当者の3つの職種です。兼務している人もいますが、テクニカルサポートエンジニアが18名、コンタクトセンター運用担当者が7名、応対品質担当者が4名、それ以外に部署内で様々な役割を横断しているメンバーが4名います。それぞれの職種は次のように業務が分かれています。

●テクニカルサポートエンジニア(募集要項

サイボウズが提供する製品ごとに分かれたサポート窓口の二次対応をします。私たちの製品はテクニカルなお問い合わせも多いので、ログを見たり調査をしたりできるよう、ITスキルのあるメンバーがこの窓口を担当します。必要に応じて、開発チームや基盤運用チームに相談して、製品に関するトラブルを解決していきます。

●コンタクトセンター運用担当(募集要項

テクニカルな問い合わせ以外の、契約や製品導入に関する問い合わせに対応する窓口の二次対応を担当する職種です。社内では、受注部門や営業部門と連携しながら動くことが多いです。

●応対品質担当者(募集要項

お客さま対応の品質向上のための応対評価や施策の検討、また、お客さまサポート窓口を委託しているパートナー企業のエンゲージメントを高めるための取り組みを行っています。応対評価は改善点を指摘するだけでなく、我々の理想を伝えながら、理想のサポートサービスをお客さまに提供していく方法を委託先企業のみなさまと一緒に考える活動をしています。

どの職種でも、VOC(※Voice of customer:顧客の声)という形で製品に対する要望や、お客さまの声を製品開発に役立てるために、社内にフィードバックする役割もあります。



「やった方がいいこと」を自発的に推進できるチーム

ーひと月に1万件にも及ぶお問い合わせがあると伺いました。今後も利用者増加に向けてさらに問い合わせは増えていきそうですが、それらに効率的に対応していくためにどんな工夫をしていますか。

まさにそれは大きな課題で、確実に人材不足も起こるし、問い合わせが増えたり製品のアップデートに合わせてサポートの難易度が上がったりしていくことを予測していました。今あるものだけこなしてても駄目だよねということで、日々のお客さま対応に追加して、別途プロジェクト化して行なっている業務があります。プロジェクトの中には、製品終了に伴うサポート対応など「必ずやらなくてはいけないこと」もありますし、増える問い合わせに対応するための業務効率化プロジェクトなど「やった方がいいこと」もあります。

特に最近力を入れているのが、後者の「やった方がいい」プロジェクトです。例えば、お問い合わせしなくてもお客さまが疑問やトラブルを自己解決できるようにFAQなどのコンテンツを充実させたり、顧客対応時の負担を軽減させるためにオペレーター用のマニュアルを整備したり、作業を自動化したりといったチャレンジをしています。

ーそれらのプロジェクトは具体的にどんな風に立ち上げ・実行されているのでしょうか。

前者の、やらなくてはいけないものについては、各製品のPMから依頼が来て始まります。後者はカスタマーリレーション部発のプロジェクトで、各メンバーが「これやってみたい!」と自発的に提案してくれることが多いです。その提案がチームや会社に必要だったら、メンバーを募って、プロジェクトのゴールやQCD(品質・コスト・納期)を詳しく決めてスタートします。今ではかなりたくさんのプロジェクトが同時並行で行われていますよ。

ー自発的にそういったプロジェクトが動くのはすごいですね。初めから活発に改善案が出てくるチームの風土があったのでしょうか?

プロジェクト自体は元々実施していましたが、中身を本格的に決めて実行できるようになったのは、この1年くらいの話です。業務の中心にあるのは顧客対応なので、どうしても他の職種に比べると自主プロジェクトに使える時間は限られます。そんななかでも、しっかりと成果を出すために、QCDを設定するようになりました。

それから、複数の業務が走っているのを整理し、忙しい中でもプロジェクトの優先度を落とさないために、月に1回のプロジェクト共有会もしています。各プロジェクトの進捗状況を共有したり、kintoneを使ってゴールや状況の見える化もします。何かやりたいなと思った人が自発的に手を上げられるようにしたかったという意図もあります。

委託先オペレーターのエンゲージメントが高い理由

ーカスタマーリレーション部の皆さんは業務の中ではどんなKPIを置いていますか。

大きく分けると、顧客対応の視点と、オペレーターの稼働の2つの視点があります。

顧客対応に関するKPIだと、例えば電話の応答率、平均処理時間(通話を開始してから履歴作成などの後処理終了までの時間)、一次での対応完了率などを見ています。電話であれメールであれ、お客さまにとってできるだけ短い時間・少ないやり取りで対応が完了した方がいいので、そういったKPIを設定しています。あとは1年に1回、外部の評価会社に「HDI格付けベンチマーク」という指標で対応品質をチェックしてもらうので、その点数などもKPIに置いています。

オペレーターの稼働については、シンプルに稼働率を確認しています。我々の理想としては、オペレーターさんが顧客対応業務に費やす時間を全体の8割程度にし、残りの2割は情報のインプットなどの自己啓発の時間や休憩に使ってほしいと思っています。8割の稼働率を満たせるように、インプットを楽にしたり、モチベーションが上がるような取り組みをしています。

ー昨年は、HDI格付けベンチマークで最高評価の3つ星を獲得されています(詳細)。外部企業に顧客対応を委託していながら、このような評価なのは素晴らしいと思いますが、最初から高い水準だったのでしょうか?

外部に委託し始めたのは2017年ころからです。実は、私自身としては、他社に顧客対応を委託するのには反対だったんです。当初は自社で一次対応もしていて、私はGaroonという製品の窓口を担当していました。他社にサポート業務を委託すると、参照可能な情報やサイボウズ社内メンバーとのコミュニケーションが制限されるので、社内で一次対応をする以上の品質を提供することは難しいと考えていました。今思うと、当時は顧客対応の品質が高かったわけではないのですが…。

でも、とある出会いがあって外部企業に委託してみることになりました。もちろん、最初の1年間はコミュニケーションがうまくいかなかったり、うまい連携方法が分からなかったりして苦戦しました。でも、オペレーターの方にアンケートを取って不満や要望をキャッチアップしたり、こちらからの押し付けではなくて一緒に考えながら業務をしていく形に変えていきました。そういった小さい取り組みを1つ1つやっていくことで共感してくださる方が徐々に増え、みなさんが自発的に理想のサポートについて考えて行動くださるようになり、今回のような評価をいただけるようになりました。

普通はコールセンターの業務委託は、業務設計書のようなものがあって言った通りにやってもらうことが多いと思うのですが、サイボウズでは「こうしたいのですが、どう思いますか?」とオペレーターの方にも聞くようにしています。

ーその結果、今はオペレーターの皆さんもモチベーション高く対応をしてくださっているんですね。

そうですね。最近では「サイボウズのサポートに問い合わせると、お風呂上りのような清涼感のある対応をしてくれる」なんて嬉しいコメントをもらいました。日常的にお客さまから、そういった言葉をいただくので、社内のみんなに知って欲しくて一昨年くらいから社内ポータルでも紹介するようにしています。オペレーターの皆さんがしっかり対応してくださるので、ありがたい限りです。

感動課という部署と連携して、日々顧客対応をしてくださっているオペレーターの方々に感謝を伝える感謝祭も年に1回設けています。毎年企画は違いますが、お客さまからオペレーターの方宛てのサプライズ動画を送ってもらったこともあります。



直に聞くお客様の声でサービスを知り・改善する仕事

ーここまでお話を聞くと、かなりたくさんの工夫をされていて、一般的にイメージされるコールセンターの運営より難しそうだなと思いました。

たしかに、一般的なコールセンターやコンタクトセンターのイメージと比べると、難易度は高いと思います。もちろんITスキルが要りますし、サポートのチャネルも多いので対応も多岐に渡ります。日々更新されていく製品の変化に強いことも大事です。

でも、正直に言うと、ITスキルや顧客対応スキルは後からいくらでも教えられます。なので、まずは人を助けたいというホスピタリティがあるかどうかが1番大事なポイントだと思います。

ー教育は後からできるとのことですが、サイボウズのカスタマーリレーション部では新入社員向けの教育としてどんなものがありますか。

教育コンテンツや体制はかなり力を入れて準備しています。人によりますが、3か月から半年ほどかけて教育をしていきます。例えば、kintoneという製品の窓口担当として入社したら、まずは製品スキルを身につけるために研修担当者がついたり、他のチームメンバーも一緒になって業務を教えていきます。あとは、業務そのものとは別にメンターも付くので、コミュニケーションやキャリアの面からもサポートします。

ー現在は二次対応がメインとのことですが、一次対応を経験する機会もあるのでしょうか?

実はサイボウズに入社したら、みんな顧客対応の一次受けを経験するんです。一次対応ってものすごく重要で、サイボウズでキャリアアップしていく上で基礎となるような力が身につく仕事だと思います。

まず、テキスト・音声両方でのコミュニケーションスキルがつきます。それに、比較的柔軟な働き方をするサイボウズの中で唯一といえるような時間に縛られて働く職種なので、社外の色んな働き方をしているお客さまのことを想像して改善に取り組める。そしてなによりも製品のことをよく知れる。なので、一次対応を皆さんに体験してもらうようにしています。慣れてきても、顧客対応がゼロになるわけではなくて、私たちもお客さまの対応をすることはあります。

ー濱田さんご自身はSEだったと伺いましたが、過去の経験が今の業務に生きたと感じる場面はありましたか?

実は私は、前々職がSEで、前職はコンピュータ系の専門学校で教員をやっていたんですよね。サイボウズに入社したのも、ITスキルを生かしながら人とコミュニケーションをとる仕事がしたいと思ったからでした。サイボウズに入ってからも、お客さまからの問い合わせに対応するために、サーバーやネットワーク、API、プログラミングなど技術的なスキルが必要だったので、過去の経験はすごく役に立ちました。なので、ITスキルを持っている方は活躍しやすいと思います。

ー最後に、サイボウズのカスタマーリレーション部への応募を考えている方へ、メッセージをお願いします。

サポートの窓口って昔は「コストセンター」と言われて、利益を生み出さないとされてきました。ただ、我々は「プロフィットセンター」になれるし、すでにサイボウズのカスタマーリレーション部はそうなりつつあると思っています。製品と同じようにサポートサービスをアップデートしていけば、「サイボウズはサポートがいいよね。だから選びたい」と考えるお客さまを増やせるんじゃないかなと。それがファンを増やすということでもあります。

私たちは世界一のサポートを目指しています。今までのイメージと違う、新しいサポートを作り上げていきたいので、一緒にやってみたいと思った方はぜひ応募いただきたいです。

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