経済産業省が月曜日の午前休を奨励する「シャイニングマンデー」を検討中であると、某テレビ番組が報じた。プレミアムフライデーの実践率はいまだに低いままで働き方改革に効果を上げたとは言いにくく、「名前を変えて別策を始めるのか?」と、憶測と賛否両論の話題を呼んだ。
この報道自体に経産省は、「報道の表現に若干の誤解があるようだ」とコメントしており、「プレミアムフライデーを取りやめてシャイニングマンデーに変えるという策を検討しているように聞こえてしまったが、そうした動きはない」という。経産省内部でのプレミアムフライデーの実施において月末の金曜日は忙しいと言う声があり、それならば別の曜日への変更を奨励をすると同時に「月曜の午前休を提唱してシャイニングマンデーと呼ぶことを検討していた」というだけのだっだと説明した。
ちょっとしたお騒がせの話題となったシャイニングマンデーだが、おおもとのプレミアムフライデーは開始されてから約1年半が経過した。その認知度は9割に達しているのに対して、実際に早期退社を実践している会社は全体の2割に満たない。労働者不足の道へまっしぐらに進んでいる日本が早急に取り組まなければならない働き方改革にとって、キャンペーンで勤務時間を削ろうとすることだけでは改善にが至らない。
プレミアムフライデーを一度でも利用したことがありますか?
プレミアムフライデーもシャイニングマンデーも、本来、働き方改革と経済波及効果を狙ったものであり、その最終目的は「豊かな時間を過ごせる会社員を増やす」である。
豊かな時間を過ごす、とは自分にとってどういうことなのか、誰とどんな豊かさを分かち合いたいのか、個人の豊かさと会社の豊かさの関連性はあるのか、そういった思考と行動の基盤から啓蒙と改革がなされない限り、曜日やネーミングを工夫しても、国主導型のトップダウンのお達しで終わってしまう。
職場環境改善の一環として全社あげて社員のデスクの片付けを行った会社がある。机上に置かれた書類棚が砦のようになり、膨大な資料が机に出たままという習慣を改善したところ、残業時間が劇的に減った社員が出てきたという。書類や道具が整理整頓されて作業効率があがったのか、業務フローが改善されて時間や労力の無駄がなくなったのか、見通しが良くなったことでサボれなくなったのか…、残業が減る理由はさまざまであろうが、何につけ結果的に無意味な残業は淘汰されたのである。
シャイニングマンデーやプレミアムフライデーなどの取り組みを、効果のある働き方改革に活かすには、小手先のテクニックやトレンドは必要ない。社内の環境の現状を把握し、会社に根付く長年の風習や社員の労働習慣や社員エンゲージメントの見直しに向き合うことからだ。