川崎 文洋
- 2009年:慶應義塾大学経済学部卒業
- 09年~15年:楽天株式会社に勤務
- 15年6月~:株式会社ハイドアウトクラブ(現・CO-NECT株式会社)を弊社代表取締役の田口と共同創業し、取締役CTOに就任
自己紹介をお願いします。
ーーはじめに
群馬県高崎市出身です。
現在は、CO-NECT株式会社の取締役CTOを務めています。
以前は楽天株式会社で働いており、そこで弊社代表取締役の田口とも出会いました。
ーー趣味
大学ではアウトドアサークルに所属していました。
結構本格的にやっていましたね。3000m超えの山も登っていました。(ちなみに富士山は3776mです。)槍ヶ岳(3180m)は、登るのに3日もかかりました。1週間山に籠ったこともあるんですよ。森林限界を超えたあたりから景色が変わるのは印象的で、非日常が好きなのかもしれないですね。
ポーカー(テキサスホールデム)や麻雀のような戦略性のあるゲームが好きですね。あとはカジノゲーム(ブラックジャック)とかもスリルがあって好きです。他にも、美味しいお酒を飲んだりも好きで、基本みんなで楽しめるものが好きです。
ポーカーに関しては、楽天時代に同好会を立ち上げる程好きです。
ーー研究など
高校生時代には、Webサイトを運営をしており、広告収入もありました。雑誌のライターもしていました。
父親の影響で幼い頃から自宅にMacがあったりしてITへの経験値はそれなりにありました。
高1の時に父親に新しいPCを買って欲しいと言ったら、理由は覚えていないがダメだと言われて、それなら「PCのパーツ買ってきて組み立てるからパーツ代を出してくれ」という謎の提案をしたらOKということになりました(笑)
自分でPCを組んだりしているうちにインターネットの方にも手を出し始めて、
HTMLなどを勉強してサイトを公開して、モバイル系の情報とか自分の気になる情報を連日公開していたりしいましたね。
その結果、そこそこ見てくれる人が増えていって広告収入が増えたり、サイトの紹介をしたいから雑誌に掲載していいかという話がきたり、雑誌に記事を寄稿して欲しいという依頼がきたり、と様々な活動をしていました。
大学時代は経済学部に進学し、「武山政直研究会(https://keg-lab.jp)」のゼミに所属していました。
共同通信社と共同研究をしていて、新しいメディアについて研究をしていました。新聞などが斜陽産業と当時言われていたこともあり、新しいニュース媒体って何だろうということを模索していました。そこで、メディアが生き残るにはどうすればいいかを考え、新たなプロダクトを作るなどしていました。
その際にUXの設計なども重要になってくるため、この時から本格的にプログラミングも始めました。
なぜ、経済学部を選んだのかというと当時からスペシャリティは複数持ちたいという考えがあったからですね。
情報系に行くとその分野のスペシャリストにはなれると思うのですが、当時の志向として「経済学がわかっていてITもわかる」みたいなマルチな人になりたかったのはあります。
やはり専門分野が複数あると自身のキャリアは強化されるし、何か特別なこともやりやすいだろう、みたいな考えは当時からありましたね。
結果的に経済学部に進学したものの、ITを駆使して色々研究できるゼミに運良く入ることができたので、色んな観点で物事を学べたのは良い経験でした。
左:川崎 右:田口(弊社代表取締役)
前職では何をしていましたか?
ーー楽天を選んだ理由は?
2009年に、楽天株式会社に入社しました。
2000年代後半当時も、楽天はベンチャー色が強かったこともあり現在に比べより勢いがありました。
そんな楽天に入社したいと思った理由は2つありました。
①勢いのある環境に身を置くと色んなナレッジ・経験が積めるだろうから
②将来的にビジネスを起ち上げたかったから
勢いのある環境は、集まる人も能動的な人が多く刺激をもらえると考えました。
また、将来起業したいと考えていたので自分から積極的に学び取っていきました。
語弊を恐れずいうと会社を修行の場にしようと考えていました。
ーー前職の仕事内容を教えてください
元々、新規サービスの企画がやりたかったんですよ。
結果としては、「新規企画するにもプログラミングが出来ないと話にならない!」ということで、入社1年目からがっつりプログラムを書いていました。
前半3年:新規サービス・開発業務
1年目~1.5年目:
オンラインでDVDなどをレンタルする「楽天レンタル」というサービスの開発をしており、実際のシステムを作るなどしていました。システムの複雑さも相まって分からないことばかりでした。とにかく必死に手を動かすといった感じでしたね。
1.5年目~3年目:
楽天市場のブックマーク機能やレビュー機能の開発をしていました。この際に、現CO-NECT代表の田口と同じチームでした。
後半3年:ビッグデータの分析業務
楽天会員の行動データのデータ分析を行っていました。
生ログ(ウェブサーバに記録された一切加工されていないアクセス情報)は膨大なテキストデータなので、それを認識出来る形にする必要があるんですよ。そのデータの成型や、分析を行っていました。
具体的なツールとしては、Hadoop, Cassandra, Hive、Elasticsearchなどで解析していました。Elasticsearchは大量データの検索システムでして、現在CO-NECTでも使っています。
この際、マーケティングチームとも密接には関わっていました。データを成型する際に、マーケティングに使いやすい形を模索していました。
ーー前職の仕事環境を教えてください。
楽天にはとにかくバイタリティ溢れる人が多くて刺激的でした。
仕事はやり切るのが基本だったので終わらなければ深夜1時でも2時でも会社にいたし、土日も働いていました。大きな組織の中で何かを組み立てていく面白さがありました。
今となっては大企業ですが当時はまだベンチャーの雰囲気があって混沌としてところもありましたね。
英語が公用語になったあたりから外国籍の社員も増え、様々な国の訛りの英語で会話が飛び交っていたのは新鮮でしたです。インド人の英語はヒンドゥ語っぽく聞こえ、スペイン人の英語はスペイン語に聞こえるなど、日本にいながら異国文化を体感できたのは斬新でした。
ポーカー同好会を立ち上げたことで、様々な国の友人が出来たのは収穫です。(ポーカーは外国人気が凄まじい)
起業に関して
ーー起業の経緯を教えてください
起業は代表の田口と行いました。田口は楽天時代の先輩で、仕事以外でも遊びに行くなど仲良くしていました。田口は2012年にリクルートに転職したのですが、それ以降も交流は続いていました。
その後2014年に起業するかということになり今に至ります。
企業前に、ソーシャルボトルシェアリングというウイスキーのボトルのシェアサービスをテストで作り、そのサービスを行う「ハイドアウトクラブ」(現:CO-NECT)を立ち上げました。
自分がテクノロジーサイドを、田口がビジネスサイドを担っています。
ーー共同創業者である田口に対し、どう感じていましたか
田口に対しては、交流している中で信頼出来る人だと感じていました。
加えて、自分に不足している能力を持っているんですね。
例えば中長期的な戦略眼が優れていたりとか、継続力があるとか、そういう部分を魅力的に思った覚えがあります。
ーー起業に不安はありませんでしたか
特に不安はなかったですね。根拠のない自信はありました(笑)
当時は「世の中のスタンダードとなるようなサービスを作るぞ」と燃えていたし今まで培ってきたシステムの開発力もあるため、それなりに自信はありましたね。
事業について
ーー設立当初の主力サービス「ハイドアウトクラブ」とは
現在はBtoB受発注システムを基幹事業としていますが、以前は別の事業をメインとしていました。
まずは、その流れをお話します。
創業当初:ソーシャルボトルシェアリング
私も田口もウイスキーが好きでよく飲むのですが、ウイスキーはバーで飲むと高く、また希少なボトルがいつでもあるわけではないんですよ。
そこで
①希少なボトルを弊社が仕入れる
②そのお酒を飲む権利を募る
③希望者が集まれば商談成立
④共同購入したボトルをバーで管理し、購入者は好きなタイミングでバーでボトルを飲める
というビジネスをはじめました。
Next:ウイスキー愛好家向けのSNS
ビジネスとして拡大するにはユーザー数がより必要になることが分かり、ウイスキー愛好家向けのSNSを始めました。内容としては、お酒のレーティングが出来るアプリです。
お酒の種類・会員属性などの多軸のデータが集められました。
ハイドアウトクラブのアプリは愛好家の集まるプラットフォームとなっており、KIRINさんとのタイアップ記事を出したり、アンバサダーに来ていただきテイスティングイベントを開催するなどしていました。
会員数も何万人もいて、ビジネスとしてもグロースしていました。
ただ、データをストックしてもマネタイズが難しいという課題がありました。
Next:バーのサブスクリプション
提携している100店舗程のバーで、会員が1杯無料で飲めるというサービスです。
飲みたい人とバーテンダーのマッチング事業ですね。
この事業では、資金調達に成功し、事業自体は拡大していました。
しかし、大規模にやっていくには、システムの強化が必要で、かつ人手も必要でした。
その後、CO-NECTが出来上がるキッカケがありました。
ーーCO-NECT誕生秘話
バーに関するサービスを行う中で、バーテンダーと関わることが多くありました。
その際、バーテンダーはFAXでやり取りをしていて大変なんだという話を代表の田口が聞いたんですよ。
その際、発注者(例:バーテンダー)が大変なら、様々な店舗から発注が入る受注者(例:酒販卸)はより大変なのでは?と感じました。実際、話を聞くとFAXでの受発注による課題が明らかになりました。
例:
・卸側が届いたFAXの字が読めず電話で発注者の店舗に注文内容の確認を行う
・FAXの内容をEXCELに打ち直す など
このように、企業がもっとメインの仕事に時間を割けるようにしたいと、BtoB受発注システム「CO-NECT」が誕生しました。2018年から本格始動している新しいサービスです。
ーー仕事内容を教えてください
主には取締役CTOとしてテクノロジーサイドを担当しています。0→1のフェーズは本当のゼロベースで刺激的ですね。世の中に何かバリューをもたらすというのはエンジニアのみならずプロダクト開発に関わる人にとっては面白い部分です。
現在はシステム的に実現できるかどうかの観点で事業を見るようにしています。
会社全体を俯瞰で見ているため、ビジネスサイドとのコミュニケーションもあります。創業当初はテクノロジーサイドは全て自身が担っていたのですが、今は他の業務も多々あります。また、会社が大きくなると人数も増え、行程も多くなります。
それ故に自身がボトルネックになってしまう危険があるんですよ。
自分が仕事を握っていると、自分が原因で仕事が止まってしまう。それは一番避けるべきだと考え、開発現場からは基本的には離れています。
勝手に自走して拡大していく組織を作って行く最中ですね。
私が基本的に開発現場から離れていることもあり、エンジニアリングマネジメントの部分は現在必要だと考えています。
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ーー1日の流れを教えてください
- ~10:00 Slack確認、各種調整、資料作成、開発等
- 10:00~11:00 システム開発
- 11:00~12:00 MTG
- 12:00~14:00 システム開発、プロジェクト状況確認
- 14:00~16:00 本番リリース
- 16:00~17:00 採用面談
- 17:00~ Slack確認、各種調整、資料作成、開発等
上記はあくまでも例で、MTGの比率が多い日もあります。
CO-NECTの今
ーーB to B受発注システムCO-NECTの今
開始当初よりも、新機能がかなり実装されています。実際、PMF(※)も達成し、企業の規模課金額もアップしてきています。
※PMF(プロダクトマーケットフィット)=提供しているサービスや商品が、顧客の課題を解決できる適切な市場で受け入れられている状態のこと
(参考:DigitalMarketingblog PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?達成までのプロセスや検証手法までを解説)
機能例①:APIの提供
これは、to B向けの会社が持っている基幹システムなどとの受発注のデータ連携をスムーズにするためです。今までは、連携をCSV形式などで行うことが多く、テキスト系のデータは連携は出来てはいました。
しかし、データを一旦吐き出して再び入力するのは手間です。
そのため、APIを使いシステム同士を連携させるのは非常に効率的という訳です。
基幹システムなど既に使っているシステムに自動でCO-NECTの発注データを反映させることが出来ると便利ですよね。
API、実は1つ問題がありまして、専門知識がある人がいないと導入が難しいんですよ。そういう意味では、ハードルが高いとも言えます。
機能例②:締め時間
飲食系の受注者は深夜に注文が入ったとしても対応できません。そのため、締め時間を設けある時間以降は注文を受け付けないという機能があります。
この機能は24時間注文を受け付けているようなお客様では不要な機能ですが、
飲食店の卸売業者のように、深夜に注文を受けても翌日すぐに準備することは不可能な企業では威力を発揮します。
このように、オプションが多いことで導入企業の商流や運用にあったオプションの組み合わせが選べます。
ーーCO-NECTの差別化ポイントは何ですか
競合他社の受発注システムは領域特化型が多いんですよ。
それに比べCO-NECTは領域横断型で、業種や取扱商品に囚われません。
そのため、設計思想も違いますしマーケットも大きいのが特徴です。
領域横断型は領域特化型に比べ、機能の有意性は劣ると思われがちですが、
CO-NECTは、導入料金がやさしめに設定してあることと、個別の予算が小さめで導入しやすいオプション機能が非常に豊富です。
実際、コンペの勝率は非常に高く、機能面・金額・UX面で顧客より評価をいただいています。
「即日利用可」というのも特徴です。
競合は設定に3か月かかることもあります。
こういうところにも、CO-NECTの「やさしいテクノロジーで社会をアップデートする」という企業理念が現れていると思います。
CO-NECTの未来
ーープロダクトとして
現在進行形ですが、今後も大事になっていくのが
プロダクトアウト:作り手(弊社)がいいと思うものを開発
マーケットイン :顧客のニーズを優先し開発
のバランスだと考えています。
プロダクトアウトの意識が強すぎると、独りよがりで意味のないサービスになってしまいます。
逆に、マーケットインの意識が強すぎると、強みのない凡庸なサービスになってしまいます。
そのため、
「ユーザーからは気づかれてないけど、いずれシナジーを起こせる機能だよね」とか
「通常取り込めていないクライアントを取り込めるよね」
などの視点は持ち続ける必要があります。
受発注のDX化は社会的にかなり課題だと考えています。
FAXを使ってること自体相当危機的状況だと考えていて、人的コストがかかり続けていることは、積もり積もってかなり社会的損失になっていると考えています。
そのため、困っている人にどう使ってもらえるか、使ってもらうために必要な機能も考えるのが大事だと捉えています。
そこで、重要になるのがプロダクトの訴求ですね。
課題を感じてるのに解消方法が分からない、CO-NECTを知らない、そういう人をなくしたいです。
情報の非対称性がない状態にして、CO-NECTという便利なサービスを求めている人に届け、
みんなに受け入れられるスタンダードなものにしていきたいです。
ーー会社として
「やさしいテクノロジーで社会をアップデートする」というミッションに賛同した仲間と世の中を良くしていきたいです。
ミッションに共感した人が働きやすい環境にするため、よりオープンにしたいです。
どんな組織を作りたいですか?
組織はアップデートしていきたいです。
①プロフェッショナル集団
②個人が自発的に動く
ようにしていきたいです。
上意下達に、大きな方針を切り分けて、これをやれって言われるのを待つ指示待ちの状態では会社はグロース出来ません。そのためにもスピード感を持って挑戦できる職場づくりが必要となります。
事業課題・プロダクトの課題に対して、自身で手を動かせ、手を上げやすい組織構成を意識しています。
情報のインプットに関してでは、現在毎週事業数値を社内で共有しています。しかし、しっかり理解しようとしなければ、他部署の数値の意味が理解できないと思うんですよ。そういう時に、進捗の状況や、数値の意味など自分から取り込んでいける前のめりな姿勢が必要だと考えています。
どんな人と働きたいですか?
自分で物事を考えて推進出来る人ですね。会社として成長するには、個人のレベルアップは必須です。
社員全員の総合力の戦いです!