なぜ潰れていく農家があるのか。逆になぜレンチナスは伸び続けているのか。
伊勢社長がその答えを、ホワイトボード一枚で説明してくれたことがあります。
生産計画
一つ目は、生産計画を立てないことです。
「今日は椎茸ができたけど、明日椎茸ができないってなったら、多くの人との約束を破っちゃうことになる」
一次産業は作物に依存する仕事です。
だからこそ、菌床一つからどれだけ収穫できるか、あらかじめ数字で読んでおく必要があります。
黑椎茸として出すのか、
量販店向けのパック商品にするのか、
それとも別の規格にするのか。
同じ菌床からでも、商品ごとにどれくらいの比率で振り分けるかまで、細かく計画しておかないと、取引先との約束すら守れなくなる。
栽培という現場仕事に見えて、実際は数字との勝負なんだと言っていました。
微妙なズレの察知
二つ目は、計画がずれた時に見直さないことです。
計画通りに進むことなんて、ほとんどありません。
大事なのは、ずれたと気づいた瞬間に軌道修正できるかどうか。
判断が遅れれば遅れるほど、ゴールまでの距離はどんどん開いていく。
伊勢社長はこれを、目的地を決めずに旅に出るようなものだと表現していました。
いい方にずれるならまだいい。
問題は悪い方にずれた時。計画値を持っていなければ、経営が悪化していることにすら気づけません。
気づいた時には資金繰りが厳しくなっていて、銀行に相談するタイミングすら逃してしまう。
だからこそ、数字と常に睨み合っておく必要があると言っていました。
計画
三つ目は、そもそも計画を作らないこと。「なんとなく」で経営を続けている状態のこと。
計画がなければ、ずれにも気づけません。課題が見えないまま進んでいくことになります。
ここまで聞くと、かなり基本的な話に聞こえるかもしれません。でも伊勢社長は、これを高い建物の基礎に例えていました。スカイツリーがあれだけ高く建てられるのは、それ以上に深い基礎を地下に埋め込んでいるからだと。
会社を大きくするというのは、上に伸ばすことだけでなく、その分だけ土台を作り直すことでもある。
実はこの話、他人事として話していたわけではありませんでした。
伊勢社長自身、法人化してからまだ1年。
今まさに、この土台作りの真っ最中だと正直に認めていたんです。
「40人みんなで、この計画の意図もわかんなきゃいけないし、組織力だよね。めっちゃむずい」
経営者としてまだ手探りの部分があると、隠さずに話していたのが印象的でした。
日本一を目指すという大きな目標を掲げながら、その足元では今も試行錯誤が続いている。完成された経営スタイルがあるわけではなく、走りながら組み立てている最中だということです。
この収録の後、伊勢社長は「同じように悩んでいる新規就農者の相談に乗る企画をやろうと思う」と言い出しました。
自分がまだ答えを持っていないことを隠さず、それでも前に進もうとする姿勢は、社内に対しても変わらないんだと思います。
今レンチナスが取り組んでいる0から1の事業も、この土台作りの延長線上にあります。
まだ整っていない仕組みを、一緒に作っていく人を求めています。
答えをすでに持っている人より、一緒に手探りできる人と、ぜひ働きたいと思っています。