oVice採用情報
oViceのミッションは、 「人々の生活から物理的制約をなくす」 こと。コロナ禍を経て変化が続く社会において、バーチャル空間を提供することで、場所や服装、個々人が置かれている状況を問わず、より柔軟で多様な働き方をサポートしていくことを目指しています。 気軽にメンバーに1対1で話を聞いてみたい方 (Meetyの一覧ページへと遷移します)
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「38歳まで会社員として働いたことがなかったんです」
そう語るのはoViceのCX(カスタマーエクスペリエンス)を率いる、高橋陽一(たかはし よういち)。大学在学中に組んだバンドでメジャー活動をしていた過去を持つミュージシャンです。音楽バブルが弾けたタイミングでインディーズでの活動を再開し、音楽制作の仕事も並行しながら個人事業主として生きてきました。
今につながる仕事を始めたのは26歳の頃。コンタクトセンターベンダーのオペレーターとしてクライアントのカスタマーサポートのアルバイトを始めたことがきっかけです。取り組むうちに、リーダー、スーパーバイザー、マネージャーと役割は上がっていき、あるときは大手ゲーム会社のカスタマーサポートの責任者もされていたそう。
こうして、38歳までフリーランスとして働いてきた高橋は、あるきっかけで会社員になることを決め、前職のマネーフォワードにメンバーとして入社。BtoB業のカスタマーサポート本部長、COO室室長を歴任。2022年10月にoViceに転職し、現在はCXマネージャーとしてお客さま、メンバー、事業と向き合う日々を送っています。
異色の経歴を持つ高橋は、なぜ会社員になることを選んだのか。oViceに転職した理由とは。CXマネージャーとして目指す未来について聞きました。
(高橋さんが営む古着屋)
——ユニークな経歴の高橋さんですが、38歳の時に会社員になったきっかけを教えてください。
いつか子供から「パパ、会社ってどんなところ?」って聞かれても、なにも答えられないなと思ったんです。音楽も個人事業主としての仕事も、ひとしきりお腹いっぱいやりきったと思っていたタイミングだったので、一度、会社の中で働いてみようと考えました。
そんなとき、たまたまFacebook広告でマネーフォワードMEという家計簿アプリのことを知りました。とても良くできたアプリで、裏側の仕組みに強く興味を持ったことをきっかけにコーポレートサイトから直接応募しました。「38歳、会社勤めの経験なし」というステータスだったのでめちゃくちゃ警戒されましたが、7回くらいの面接を経て拾ってもらいました。
当時のマネーフォワードは社員数が90名くらいの、まだまだ小さな会社。猫の手も借りたいということで、会社未経験の猫として働き始めました(笑)。
——猫......(笑)。最終的にはカスタマーサポート本部長やCOO室室長など、経営に携わる役職もされていましたね。もともと経営側にいきたいという気持ちがあったんですか?
経営に関わりたい、というより、カスタマーサポートの方針の源流である経営層の意思決定やその結論に至った経緯を知りたい、といつも思っていました。
会社によってカスタマーサポートに求める役割や比重は異なります。なので、サービスの可能性やクオリティを引きあげる上で、経営としてユーザーの声をどのくらい重視しているかを知ることは、方針を決めていくときにとても重要な要素になるんです。そういう観点を持ちながら、ユーザー体験(Customer Experiece)に直接つながる意思決定を繰り返していったことで、自然と経営課題に取り組む機会も増えていきました。
——もともと経営視点は大事にしていたということですが、そこまで仕事にフルコミットできるモチベーションの源泉が気になります。
契約形態や役職でコミットレベルを変えたり、仕事とプライベートを分けて考えたりせず、思いがあるものに対していつでもフルスイングしてきました。その原動力は「理想に近づきたい」という思いです。音楽をやっていた時もそうですし、サポートの仕事も同じスタンスでした。
——では、前職からoViceに転職した理由を教えてください。
さまざまありますが、一番の理由は、oViceが持っている「音楽に似たクリエイティビティ」に魅力を感じたことです。良くも悪くも日本のSaaSプロダクトって、多方面にいろんなことを良くすることが求められ、強みを伸ばすというより弱みをなくそうとする力が働きがちだなと思っていて......。
そうしたなかで、oViceは「自分たちがどうあるべきか」「何を大切に、強みとしていくのか」をはっきり、シンプルに表現していると感じました。経営としてのそういったアプローチに興味を持ったことが最初のきっかけです。
——oViceが掲げている「ワンプロダクトでグローバルNo.1」というシンプルな展望について、高橋さんはどのように捉えていますか?
とても共感しています。僕自身も「どうせやるなら、世界一をとりたい」という気持ちがあります。音楽を作っていた時から、世界に向けて表現したいという思いをずっと持っていました。
僕もいい歳になったので、今こそ世界一にチャレンジしたいんです。世界中どこでも働けて、世界中にエンジニアがいて、各国にローカライズしていく前提でプロダクトを作ってきたoViceは、新たな挑戦をするのにぴったりな環境だと思いました。
——oViceの目指す未来に対して魅力を感じたとのことですが、プロダクトにはどのような印象を持っていますか?
リモートワーク下における、従業員同士のコミュニケーションに悩む人を、会社を救うことができるプロダクトだと思っています。ただ、あえて本音を言うならば、今はまだ、描いている世界の10分の1も実現できていないと思います。もちろん、これまで作ってきたメンバーのことをリスペクトしていますし、より良くなる可能性があることにワクワクしかありません。
——どんなところに、より良くなる余地があるように思いますか?
僕の好みに寄せた意見ですが、せっかくバーチャルならジャングルとかで働けるといいですよね(笑)。モンスターハンターみたいに、フルバーチャルの世界観で好きなエリアに移動できたり、オフィスが集まる村があったり、一緒にご飯が食べられたりしたら面白そう。
僕の趣向は横に置くとしても、「もっと自由に、好きな活動ができる空間」になったらいいと思っています。今はオフィスで仕事をするか、離席ボタンを押して離席するか、活動の種類は大きく2パターンしかない。人と人との距離感も、プライベートに近い時間の過ごし方も、もう少し自由に選択できるようになると楽しいだろうなと思います。
例えば、オフィス外にも世界が広がっていて、仕事に疲れたらバーチャルの世界を散歩できたり、お腹が空いたらバーチャル上のカフェで同僚とランチできたりするような。
また、そうした空間ができれば、少し先の未来では、BtoB、BtoCだけではなく「BtoBtoC事業も拡大」できると思うんです。例えば、アート作品を飾るギャラリーとの連携。全国のギャラリーがリアルとoViceの両方で開催され、バーチャル上で絵も見れるし、購入もできるようになる。コンシューマーと企業をつなげる架け橋のようなサービスになることを想像したりしています。
——今はオフィス事業が中心ですが、将来的にはいろんな可能性がありそうですね。では、高橋さんが率いるCXチームについてもお聞きします。まずはチームの役割について教えてください。
CXは、使い方や料金について回答する「サポートチーム」と、技術的な問題に対応する「テクニカルサポートチーム」の2つの部署で構成されています。それに加えて、ユーザー体験全般を改善する動きとして、お客さまの声をもとにしたプロダクトフィードバックをしています。
チームのミッションは検討中ですが、「売り上げを最大化する」という考えは大事にしたいです。営利企業として、サステナブルに価値を提供し続けるためには、CXも売り上げに貢献すべきだと思います。
それはつまり、ファンになってくれるお客さまを増やすということです。そのためにCXは、ユーザーとプロダクトのタッチポイントをより良い体験にしようと、日々奮闘しています。
——ファンになってもらうために大切なことはなんでしょうか。
大前提ですが、お客さまの身になって考えることが大切です。初めてプロダクトに触る時に何を感じるか、サポートに問い合わせた時にどう対応されたら嬉しいか。お客さまの視点を常に意識するようにしています。
例えば、oViceでサポート業務をする際、僕は基本的にWindowsを使用するんです。プライベートではMacを使っていますが、お客さまの多くがWindowsユーザーなので。
また、oViceが提供しているGoogle Chromeの拡張機能は、あえてインストールしていません。oViceのメンバーとしてプロダクトに精通することは重要ですが、CXの観点からすると、最初に使う人がどう感じるかを忘れないことも同じくらい大事なんです。なので、なるべくプロダクトに慣れず、“oVice使いのプロ”にならないように気をつけています。
——初めての感覚を忘れないように工夫しているんですね。
他にも、「嘘をつかないこと」も大事にしています。なにかミスをした時には、何が問題だったのかを明確にして正直に謝ること。当たり前のことですが、何よりも大事なことだと思います。
ただそれと同時に、お客さまに対して、へりくだる必要はないとも考えているんです。ユーザーとの間に上下関係を持ち込まず、フラットな関係を築くようにしています。
人と人との関係性も、会社とユーザーとの関係性も基本は同じで、丁寧にへりくだれば信頼関係を構築できる、というものでもありません。それよりも、どんなことを大事にしていて、どんな価値を届けていきたいかという本質的な部分をコミュニケーションしていくことが大切です。
——「売り上げの意識」「ユーザー目線」「正直でフラットな関係作り」など、スタンスの部分も大事にされている。そうあり続けるために、チーム作りで意識していることはありますか?
基本的に、「ルール」は必要最低限にしたいと思っています。ルールは、本質的な考えやクリエイティブな発想、仕事の楽しみを奪っていくものだと考えているからです。
例えば、ルールが多く厳格なほど、メンバーの行動基準は「ルールに沿っているかどうか」になっていきます。新しいルールが次から次へと追加され、メンバーは経典を覚えるかのような作業に時間を使い、減点方式の考え方がはびこり、出来ていないことばかりに目が向くようになる。
すると、長く在籍していてルールを熟知している人が偉くなり、新しい視点をもったメンバーの個性やポテンシャルを活かしづらい組織が出来あがってしまいます。
必要なのは、「ルールではなくポリシー」です。僕らがどう在りたいのか、お客さまにどういう気持ちになって欲しいのか。それらのポリシーが共通認識としてあれば、あとはメンバー個人個人がベストを考えて動けばいいと考えています。
——ルールではなくポリシーで結束したチームを作っていく、と。CXチームの今後の展望はどう考えていますか?
CXの最終的なゴールは「問い合わせ、ゼロ」です。プロダクトが真にわかりやすければ、問い合わせは来なくなるはず。そのために、僕らはVOC(顧客の声)を拾い、フィードバックや提案をしています。極論をいえば、CXは、問い合わせがなくなれば解散する刹那的なチームですし、本質的にはそうでなければいけないと思っているんです。
——「問い合わせ、ゼロ」を目指して、取り組んでいることを教えてください。
ひとつは、お問い合わせ対応の仕組み化を進めています。例えば、AIチャットボットを設置し24時間対応可能な体制を作ること。また、すでにあるマニュアル・使い方ガイドの拡充、表現の見直しもしています。
あとは、プロダクトフィードバックの仕組み化ですね。お客さまの声をきちんとラベリングしてストックしておければ、タッチポイントごとに必要な提案を、プロダクトチームや経営に対してぱっと伝えられるようになる。定性的な意見だけではなく、定量指標を用いながら提案もしていきたいので、CXチームが使うツールの再設計も同時に進めています。
これらの動きは、お客さまのためになるだけではなく、CXメンバーの時間的な余裕を生むことにもつながります。これまではお客さまの声を聞くので精一杯だった部分もありますが、これからはお客さまの利益になるアイデアを、能動的に提案する「クリエイティブな部署」にしたいと思っているんです。
——より積極的なサポートができるようになっていくんですね。
そうですね。CXは創業からここまでのoViceの急成長を下支えし、その時々のベストな選択を繰り返してきました。しかし、ちょっと立ち止まって長期的な展望を考える余裕がなかったのだと思います。CXに限らずですが、今の体制は、さながら「ハウルの動く城」のようなんです。積み上がった施策や慣習が複雑に絡み合い、本来あるべき理想の姿が見えづらくなっています。
僕の仕事は、その絡まったチェーンをほぐしていくこと。みんなが「本来こうしたらいいよね」と思っていたけれど、やってこられなかったことを、ひとつひとつ丁寧に形にしていくことです。
これまでのやり方を変えるにあたって、少なからずストレスや違和感を感じるメンバーもいると思います。もしかしたら、裏では「あのおっさん、なんなんだよ!」って思われているかもしれません(笑)。でも、oViceの3年先、5年先を考えるとしたら、今こそ変化すべきタイミングだと思っています。
でなければ、あっという間に、時代から、ユーザーが求めている世界から置いていかれる可能性もあります。変に不安になる必要はありませんが、僕らがスタートアップである限り、そうした健全な危機感を常に持ち続けたいですね。変化することは、成長することなので。
今後、oViceはプロダクトもCXもどんどん変化し、成長していきます。その一員として、仲間と共に世界一のプロダクトを目指せることに興奮していますし、まだ見ぬ新たな仲間が現れることを強く願っています。
(撮影/Nao Higashijima 取材・文/佐藤 史紹 編集/森園 凌成)
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