我々トクイテンは有機農業をロボットで自動化していこうというスタートアップです。会社の説明をしていると、そもそも有機農業って何? という質問を受けます。有機農業が何かというのは説明することが多すぎて私には難しいです。しかし私たちがどういう点で有機農業に着目して取り組んでいるのかは説明できるので、今回はそこを説明します。
有機農業とは?
日本の法律では下記のように定義されています。
「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業をいう。」
簡単に説明するために有機農業とは「化学肥料や農薬を使わない」「遺伝子組み換えを使わない」と説明することが多いですが、一番大事なのは後半に書いてある環境負荷を下げることや、ここには書いてないですが資源を有効活用すること、生物の多様性や、生態系を乱さない農業だと個人的には思っています。
トクイテンはなぜ有機農業なのか
有機農業には化学肥料を使わない、農薬を使わない、遺伝子組み換え技術を使わないという特徴があることがわかりました。
この3つのうちトクイテンが注目しているのは化学肥料を使わないという点です。
化学肥料を使わないとなぜ良いのかというと、化学肥料は作物に必要な栄養素だけでなく、余分なものも含まれているため、使用量が過剰になると、土壌や地下水に悪影響を及ぼす可能性があるからです。また、化学肥料の原料は化石燃料であり、その生産には多大なエネルギーが必要であり、さらには化石燃料の使用が温室効果ガスの排出につながっています。
化学肥料は化石燃料でできている
私は農業を学ぶ前は考えたことがなかったのですが、化学肥料は化石燃料(原油や天然ガス)を使って作られており、日本はほとんど全てを輸入に頼っています。
肥料をめぐる情勢(農水省)https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/attach/pdf/index-7.pdf
化石燃料が原料で輸入に頼っているということで、戦争もあった昨年は30〜90%も値上がりする問題もありました。
かといって化学肥料がないと、今の作物は半分も作れないと言われているぐらい我々の食糧供給は化学肥料に頼っている状態です。
日本の政府も化学肥料の使用を2050年までに3割減らすことを目標に掲げていますが、なかなか簡単なことではありません。
しかし、化石燃料を燃やすガソリン車をいつまでも使っていられないのと同様に、化石燃料を燃やす農業というのはいつか変えなくてはいけないのです。その方法の一つが化学肥料を使わない有機農業というわけです。
有機農業が広まっていない理由は?
有機農業がまだ広まっていない理由には、いくつかの要因があります。
第一に、有機農業では、育てる作物の量が減少することが多いため、農家の収入が減少することが懸念されています。
第二に、有機農業には農薬や化学肥料を使用しないため、作物の管理には手間と時間がかかることがあります。また、有機農業に必要な農業技術を習得するためには、時間と費用がかかることもあります。
有機農業をやめてしまう農家の一番の理由もこの手間がかかるというものです。
第三に、有機農業に対する消費者の理解や関心度がまだまだ低いことも、有機農業が広まっていない原因の一つです。一方で、有機農産物の需要は年々増加しており、需要が拡大すれば、有機農業の普及につながる可能性があります。
ロボット化が必要な理由は?
有機農業が広がるためには、ロボット化が必要不可欠です。農業全体で人手不足が発生しているので、より手間のかかる有機農業ではなおさらです。
ロボット化によって、生産性や収益性も向上することが期待されます。また、ロボットによって、効率的かつ正確な作業が可能となり、作物の品質や収量を改善することができます。
具体的には、ロボットによって、自動的に作物を収穫したりするだけでなく、センサーやカメラを搭載したロボットを使うことで、作物の生育状況を人間の何倍もの頻度や精度で把握し、適切な管理を行うことができます。
まとめ
覚えていただきたいのは次の通りです
- 今の農業には化学肥料が必須である。化学肥料は化石燃料が原料で、そのほとんどを輸入に頼っている
- 何らかの方法で変えていかなくてはいけないが、その手段の一つが化学肥料を使わない有機農業
- 有機農業には手間がかかるという問題が大きいのでロボットで解決する
もし何か学びがあったなら幸いです。