こんにちは!トゥモローゲート株式会社 採用担当 浦下です。
突然ですが、弊社(特に意匠制作部)は教育体制が整っていません。
今回ここで会社の弱みをさらけ出していこうと思います。採用に影響しないか心配ですが、入社いただく人たちにとってギャップがないように。自分たちの教育体制強化のためにも紹介していきます。
(ウォンテッドリーでこの記事を書くということが、自分の首を絞めないか不安ですが・・・)
完全に主観になりますが、新卒入社でもない限り会社に「研修」と呼ばれるものはありません。ましてやデザイナーやエンジニアといった技術職となるとほぼ皆無。入社初日から実案件に入るなんてザラにあります。入社初日の新入社員に1日つきっきりでソフトの使い方を教えることもなければ「新入社員研修」なんてスケジュールが入ることもありません。ありがたいことに、それくらいたくさんの実案件を抱えさせていただいています。
そんな中、去年の10月、35歳にしてプログラミング経験ほぼ0なのにエンジニアとして入社したメンバーがいます。
それが今回の主役、金誠俊(キムソンジュン)、通称「コム」(Twitterはこちら)
1年ほど前から開発に興味を持ちバックエンド側の勉強をかじってはいましたが、フロントエンドのコーディングスキルはほぼ皆無のままトゥモローゲートに惹かれて入社し、現在はフロント業務に奮闘中。
この採用は前代未聞で、エンジニアも今後の方針について日夜討論するほどでした。そして今現在、教育研修も行ってくれています。
そんな未経験者の彼がどのように入社したのか、入社後何をしているのかを紹介していきたいと思います。
入社前にしたこと
トゥモローゲートへの熱(というか愛)は入社前から相当なもので、なんと内定が決まった時点で「入社してからの課題と目標」を自分で作成して送ってきました。
・1ヶ月目
既存ページの修正やチームでの制作の流れを覚える。コーディングの基礎を固める。
・2-3ヶ月目
HTML&CSS(Sass)でコーディングし、デザインデータのコーディング・配置など問題なくできるようになる。
・4-5ヶ月目
Webページの動きの部分(JavaScript)についてスキルを身につけ、ページ全体を1から10までコーディングできるようになる。
・6ヶ月目
一人でほとんどの作成が可能になり、デザインや動きに対して要件定義・提案ができるようになる。
これは期待が高まります。
実際は案件との兼ね合いもあるので予定通りに行ける可能性は低いです。でも大事なのはそこじゃなく、姿勢の問題。これくらい先を見据えた意気込みで入社してくれるのは素晴らしいこと。何がなんでも入りたい会社がある人はぜひ参考にしてみてください。
入社後にしたこと
冒頭でもお伝えした通り、弊社には丁寧に存分に研修をしている時間は残念ながらありません。基本的には自分で調べて、やってみて、それでも分からなければ聞くというスタンスが今は当たり前になっています。
が、それでも目標達成にはうるさいのがトゥモローゲート。ということでコムにもひと月ごとの課題や目標を設定し、それに対しての期限も設定して取り組んでもらう方針にしました。
ここからは実際に取り組んでもらっている内容を羅列していってみます。
模写コーディング
基本中の基本ですね。
まずは自分で選んだサイトを模写し、再現できるようにしてもらいます。模写コーディングを提出してもらう際には、ただURLを投げるだけでなく、下記のポイントをあわせて提出してもらいます。
①その会社の企業説明
②1日何時間使って何日でコーディングしたか?
③コーディングで気をつけた事
④今回のコーディングで感じた今後の課題
なかでも①はブランディングを生業にしているトゥモローゲートでは超必須項目。自分がコーディングしている会社が何をやっているのか、どんなことを大切にしている会社なのかを知らずして弊社の基準をクリアするサイトは絶対につくれません。
自社の制作物に対する考え方の部分もしっかりと学んでもらいながら課題を進めてもらいます。
いろんな案件のMTGにひたすら参加
プロジェクトメンバーに入っている、入っていないに関わらずMTGにどんどん入ってもらいました。
これはトゥモローゲートの制作がどのように進んでいくのか、どういうコミュニケーションを通じて制作物が出来上がっていくのかを肌で感じてほしいと思ったからです。
発言を求めたり、発言に対してフィードバックがあるわけでもありません。あくまで自分もこれからこういうプロジェクトチームに入っていくんだという想像をしてもらうことが目的です。
「未経験」「新人」となるとどうしても蚊帳の外のような空気ができてしまいがちですが、トゥモローゲートはそれではいけません。入社まもなくであろうが打ち解けやすい環境はつくるようにします。新卒であろうがインターン生であろうが、そのために大事なMTGに入ってもらうことも多いです。
いろんなミーティングの議事録のまとめサイトをつくる
今のトゥモローゲートにないものをつくった方が圧倒的にプラスになる。
そんな考えから取り組んでもらいました。MTG等の記事録をとり、HTML + CSSでためていき、WordPress化して誰でも使える状態にすることで会社の効率化を目指してもらいます。
HTMLの文書構造やセクション、グループ分けに慣れながら、ひと月が終わるまでに一本の議事録をアップする、というところを目標にしました。
成長するには成功体験が大事です。練習のための練習では意味がありません。そういう意味でも議事録のまとめサイトをつくって会社に貢献することで成長スピードを爆上げしてもらおうと思ったんです。
会社概要などのソースをみて解析する
トゥモローゲートのサイトだけでなく、世の中のサイトがどんなコードで実装されているのかをレポートにまとめ、傾向を知っておくことでコーディングの引き出しを増やす作戦です。
比較した企業の中から共通点や相違点を見つけ、その上でデザインを見て模写コーディングをできるようにするのが狙い。解析する部分を絞った上でいろんなコードに触れると共通点や相違点が明確になり理解しやすくなります。
ちなみに会社概要や募集要項などのテーブル組みは、シンプルが故に人によって組み方が違うので面白いですよ。
案件対応(修正業務)
さて、入社1ヶ月が経ったあたりから少しずつ実案件に入ってもらいます。
といっても新規のサイト制作はまだ難しいので、すでに運用しているサイトの差し替え対応や更新業務から始めてもらいます。サイトによって構造が違うため実装環境をつくるのに手間取っていましたが、だんだんと慣れてきている印象です。
これを見てくれているクライアントの皆さんのサイトの中に、コムが修正したものもあるかもしれません。ひとまず「修正のコム」という異名を目指すと言っていたので今後もどんどん任せていきたいと思ってます。(この作業、受け持ってくれる人がいるって実は結構助かるんですよね)
案件対応(サイト制作)
この頃には入社して1ヶ月半が経っていました。実案件の修正対応をしつつ、入社当初から取り組んでいる模写コーディングもそれなりにスムーズにできるようになってきました。
ここで舞い込んできたのが、とあるサイトの1ページコーディング制作。
彼の成長にこれほどうってつけのものはないと思いましたが、タイトなスケジュールだったので、僕自身がコーディングしつつ、同時進行で彼にも挑戦してもらう形で進めることにしました。模擬的に案件をこなすってやつです。
答えのある模写コーディングと違ってイチから作る実案件には答えがありません。答えは自分で作っていかなければいけません。さらには今までと違って期限もかなりタイト。自分の課題や反省点がよりリアルになったと思います。
これからやっていくこと
上記を繰り返しながら実案件にもどんどん入ってもらい、サイト制作にどんどんチャレンジしていく流れになると思います。いわゆるOJTです。
エンジニアに必要なもの
エンジニアに必要なのは自己研鑽と課題解決能力です。どれだけ丁寧な研修があったとしても教えられることといえばここまで書いてきたことくらい。教わったことを実案件で活かすのも、さらに新しいことを学んでいくのも自分次第。エンジニアとして成長するのも自分次第ということです。
自己研鑽
どれだけ業務が忙しくなっても自分に足りないものは何かを考え、足りないものに気がつき、自分で時間を見つけて磨いていける人がエンジニアとして活躍できる人だと思っています。
教育体制が整ってないことへの言い訳ではありませんが、アクティブに自分から動ける人でないとトゥモローゲートでは活躍できません。これはエンジニアに限らずです。
課題解決能力
主観にはなりますが、この課題解決能力は、基礎的な知識や技術と同じレベルで絶対に備えておかなくてはいけない力だと思っています。
わからないことが出てきたとき。きちんと調べてから先輩や上司に聞いていますか?
少なくともGoogleの検索結果2ページ目くらいまで閲覧してみてそれでも分からないことがあれば初めて人に聞く。開発関連の情報に関しては特にそうするべきだと思います。
開発や実装というものは、状況や案件によって対応方法が違うため、どれだけ実績のある人であっても基本的に最初は検索するからです。何も調べずに聞いて、聞かれた先輩が調べて答える。構図としておかしいですよね。
終わりに
一般的な制作会社ではやっていないようなこともいくつかあったのではないかと思います。
課題にぶち当たった時。自分の力で解決することで成長を目指す。そのためならどこまでも貪欲になれる。この気持ちがあればトゥモローゲートでは活躍できると思います。
とはいえ、それらをしっかりと教えられる教育体制がないのは間違いなく大きな課題。ここは変えていかないといけません。
例えば実務未経験や応募にハードルを感じたとき、そこで諦めずに今できることを探して行動し飛び込んでみてください。目標に対して具体的な行動に落とし込み動けている人は、説得力と期待を感じられます。これはクリエイターに限らず、すべての職種に共通することです。
この記事をみて「自分もやってやる」と気合の入った未経験エンジニアの皆様。ぜひトゥモローゲートの門を叩いてみてください。お待ちしています。