こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
仕事や採用の場で人と向き合っていると、「この人は根拠のない自信に満ち溢れているな」と感じる瞬間に立ち会うことがあります。
私自身も、周囲から「宮脇さんはいつも自信があるように見えますね」と言われることが少なくありません。世の中では「自信」という言葉で一括りにされがちですが、私は自信には全く性質の異なる2種類があると考えています。
1つは、ビジネス書などでもよく語られる「自己効力感」。
そしてもう1つが、今回お話ししたい「自分への期待感」です。
1つ目の「自己効力感」は、「自分ならできる」という自信です。これは、過去に積み重ねてきた具体的な成功体験や、血の滲むような努力の量に裏打ちされてついてくるものです。「これだけやってきたんだから、次もできる」「過去に似たトラブルを解決した実績があるから大丈夫」という、成功体験によって後天的に生み出された自信です。
そして2つ目の「自分に対する期待感」ですが、これは「自分ならいつかできるはずだ」と、自分を期待し続けられる自信です。これは、過去の実績や現在の実力とは完全に切り離されています。目の前の課題を解決するスキルが、今この瞬間には全く備わっていなかったとしても、「まぁ、自分なら最終的にはなんとかするだろう」「いつか必ず、あるべき姿に到達できるはずだ」と、自分の未来に対して強烈な期待をかけている状態を指します。
この2つの自信は、一体何が違うのか。そして、ビジネスパーソンとして圧倒的に伸び続けるのはどちらの自信を持っている人なのか。そんなことを今回は解説してまいります。
マンガの主人公が持っている自信から学ぶ
実は私自身、過去の成功体験に裏打ちされた「自己効力感」は、それほど高い人間ではないなと自覚しています。起業した時、新しい取り組みを始める時に、「自分は天才だから100%失敗せずにやり切れる」なんて思ったことは一度もありません。
その代わり、「自分に対する期待感」は人一倍強いという自覚があります。この感覚は、マンガの主人公たちをイメージすると非常にわかりやすいです。
私が人生で一番最初に読んだマンガが、野球マンガの『MAJOR』なのですが、主人公の茂野吾郎はまさにこの塊です。彼は決して、最初から無敵の天才として無敗の人生を歩んでいるわけではありません。あえて厳しい環境に身を置き、何度もボコボコに負け、絶望的な敗北も経験します。
『ONE PIECE』のルフィだってそうです。彼も最初は全然強くなく、作中では何回も敗北を喫します。スモーカーにも負けるし、クロコダイルにも殺されかけます。カイドウには3連敗しています。なのに最初から一貫して「海賊王に俺はなる」と宣言しています。
彼らが持っているのは、過去の成功体験によって積み上げられた確信ではなく「自分に対する期待感」です。
これは、まるで自分とは別のもう一つの人格が、自分という人間をメタ的に見つめながら、「お前ならいけるよ」「お前の人生、こんなところで終わるわけないだろ」と応援し、期待をかけているような感覚に近いのです。

「他人を応援するように自分を応援する」感覚を身につけよう
多くの人は、他人の可能性に対して「君ならやればできるよ」と期待することはあっても、なぜか自分自身の人生に対しては、驚くほど簡単に期待することを諦めてしまいます。私自身、学生時代の友人と話していても、「自分の人生、まぁこんなもんでしょ」と早々に限界を決めている人が多くて、いつも不思議に思っていました。
「自分の人生なのに、なんで自分が期待してあげないのだろうか?」と。
実は、多くの人は他人には長期目線で期待できるのに、自分に対してだけは短期目線になってしまいます。
だから一度失敗すると、「自分には向いていない」と結論づけてしまうのです。それでは勿体無い。
「他人を応援するように自分を応援する」感覚さえ習得できればうまくいくのに。そう確信しています。
コンテンツから人生を学ぶ鍵は「感受性」
では、過去の実績に関係なく「自分に期待し続ける力」は、どうやって育まれるのか。
その源泉にあるのは「感受性の豊かさ」です。
私は昔から、感受性がかなり高い子どもでした。小学校の授業などでたまに映画を見せられると、周りの同級生がケロッとして笑っている中で、自分一人だけストーリーに没頭してボロボロ泣いているようなタイプでした。当時は「みんななんで泣かないんだろう?」と本気で疑問だったのですが、今思えば、この高い感受性があったからこそ、私は数々のマンガや映画などのコンテンツに深く感情移入することができたのです。
『MAJOR』の茂野吾郎が泥をすすりながら這い上がる姿を見て、あるいは映画『海賊とよばれた男』の主人公・国岡鐵造の生き様を見て、私は「命の有限さ」や「時間の貴重さ」、「せっかく一度きりの人生を生きるなら、こんな風に熱く生きたい」という本質を、疑似体験として心底から学んでいました。
つまり、自分のリアルな人生でまだ何も成し遂げていない、自己効力感がゼロの段階から、偉大な先人やヒーローたちの「人生の熱量」や「不屈の精神」を、感受性を通じてそのまま自分の中にインストールしていたのです。

多感な時期に自己肯定感や自己効力感の高いキャラクターから、いかにお裾分けをもらえるか
本とか映画を通じて「人生を何周もまわったかのような経験値」を無意識に吸収していたのです。だからこそ、「今、自分の実力が低くても関係ない。あいつらにできたんだから、俺にだっていつかできるはずだ」という、長距離を走り続けるための「ガソリン」を自分で補給できるようになったと、確信しています。
自己効力感だけでは超えられない壁がある
小さな成功体験を積み重ねて「自己効力感」を高めていくことは、ビジネスパーソンとして成長していくのに必須です。新卒の時などは、ダメダメだった自分が「初めてアポが取れた」「目標を達成できた」「お客様に褒められた」という小さなステップでしか、自己効力感は作れません。
しかし、自己効力感「だけ」をガソリンにして走っている人は、自分の過去の成功パターンが全く通用しない、巨大な壁にぶつかった時にポキッと折れてしまいます。
「今までうまくやってきたのに、今回は通用しない。もうダメだ」と、早々にくじけて脱落してしまうのです。いわゆる、手際よく器用に生きてきた「早熟タイプ」が陥る罠です。
一方で、「自分への期待感」という自給自足のエンジンを持っている人はしなやかで打たれ強いです。環境が悪かろうが、今どれだけ大敗していようが、「いや、自分の人生はこんなもんじゃない。いつか必ずひっくり返せる」と自分を信じ、ロールモデルとなる人を見つけては勝手にそこからガソリンを吸収して、長距離を走り続けます。
そして、自分への期待感を持ってあきらめずに打席に立ち続けるからこそ、やがて本当に大きな成功を掴み取り、結果として「自己効力感」も後から勝手についてくるという、最強の好循環に入ることができるのです。

自分に期待し続けられると、いつかは成功するので自己効力感も後からついてくる
自分の人生に、もっと期待しよう
もしあなたが今、「自分には誇れる実績がないから、自信が持てない」と立ち止まっているなら、それは「過去」のデータ(人生)に縛られている証拠です。
過去なんて関係ありません。まずは、あなたが心から熱くなれるマンガでも、映画でも、あるいは「この人についていきたい」と思える圧倒的なメンターでも構いません。自分の感受性をフルに開いて、彼らの持つエネルギーを自分の中にインストールしてみてください。
「自分の人生、せっかく生きるならもっと面白くできるはずだ」と、他人の可能性を応援するように、あなた自身の未来にも、もっと強烈に期待をかけてあげてください。その「自分への期待感」こそが、あなたを誰も到達できない遠い場所まで運んでくれる、最高の武器になるはずなのです。