こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
以前、匿名で質問ができるサービスのmondからこんな質問をもらいました。

https://mond.how/ja/topics/nlqz8qg07dhzb49
一瞬、自分がやってきたような自己分析の方法を教えようと思ったが、筆が止まりました。問題の本質はそこではないと。
この質問は一見すると、方法論が分からなくて困っているように見えますが、これは自分のことを知れば、「自分のやりたいこと」や「やるべき方向」が見えると思い込んでしまっているのだと推察しました。つまり、どこかに自分の答えが転がっていて、それをまだ見つけていないだけだと思っているということ。
しかし、
そんな簡単に自分のことがわかるのか?
一回自分がわかれば、そのまま走り抜けられるのか?
そもそも自分というのは、変化しないのか?
自分が変化しなくても、時代は変化しないのか?
答えはNOです。
つまり、このキャリア迷子(人生迷子)の問題の本質は、自分のことがわからないから迷子なのではなく、「こんな感じで走り抜けよう!」という意思決定ができていないことなのです。迷いなく自分の人生を決めているように見える人も、実はよくわからない中、決めて動いているだけということに気づいていないのです。
キャリアとは、通ってきた轍(わだち)
みなさんはキャリアの語源はご存知でしょうか?
元々は馬車が通った時にできる車輪の跡を意味しています。つまり、キャリアとはこれまで過去に積み上げてきたものを意味し、ビジネスシーンでは経歴や獲得してきたスキル・知識などを指します。本来、時間軸としては過去を示すものだったのに、「これからのキャリア設計」や「キャリアアップ」などと、未来を示すような意味として使われるようになっています。
しかしキャリアという言葉が過去を意味するように、人が自分について知れる限界値も、「過去から今まで」なのでないかと思っています。

これまでの自分しか知ることができないのに、未来の自分について知ろうとしてしまう
つまり、人が迷子になるのは「未来」について考えている時なのではないでしょうか?
本来は、過去から現在の自分を知り、未来の自分についてはあくまで推測する程度が好ましいはず。つまり「こんな感じかな」という決めが大事になってくるのです。なのに、本当に自分がやりたいことは?の"本当"という言葉のせいで、決めきれなくなっているのではないかと思っています。
迷子ではない人のメンタリティ
何かと迷子になりやすいこの時代ですが、なぜか迷子になることなく突っ走っているように見える人がいます。この人は何が違うのでしょうか?
その答えは、 "そういうことにしておく" 割り切り力が高いのです。
このようなタイプの人は、いい意味で諦めが良いのです。わからない自分を克服することにこだわる(自分探しをし続ける)のではなく、自分のことはわからないという現実を受け入れ、そんな自分と共存しているのです。

確固たる自分を持っているのでなく、走るための仮置きが上手い
自分探しに時間をかけて試行回数が減ってしまうことの方が、機会損失であることを経験則的に理解しているのです。
ではどのように考えれば、うまく"そういうことにしておく"ことができるのか。その答えは、あらゆる変数を一旦定数に変えるのです。変数が減ると迷いが減るので覚えておいてください。
では、下記の順番に従ってどんどん決めていきましょう。
①自分が「やりたいこと」「成し遂げたいもの」を一旦決める
↓
②期限を設定し、そこまでは走り抜けることを決める
↓
③試行回数を増やし、経験、知見、視点を貯める
↓
④貯めた知見から次の方向性を考え、軌道修正をする
仕事もそうだと思うんですよね。
働いたことがない大学生が、必死に志望理由を考えることって意味ないと今ならわかりますよね?あれはあくまで、論理的思考力や志望度を測っているだけなので、理由自体に意味がないことも採用側はわかっているはずなのです。
働いたことがないのに一生働く会社を決めるなんておかしいよね。もちろん、一生そこで働き続けたい理由が見つかれば、そんな幸せなことはないのですが、隣の芝が可視化されたインターネット時代にそんな生き方をするのはほぼ不可能なのです。
だからこそ、一旦期限付きで決めてください。
決めた期限までしっかりと走り抜け、いろんな経験を積むことで、次自分が進みたい方向が見えることが多いのです。見えてこなければもう少しその道で走っても良いのです。そうやって迷いを捨てて、走り続けている人を側から見ると「やりたいことが決まっている人」に見えるのですが、意外とそんなこともないので安心してください。
ワンピースのルフィが海賊王になりたいかどうか
キングダムの真が天下の大将軍になりたいかどうか
彼らも最初に言い出した時は、どこまで本当にそう思っていたかは分かりません。ただ、その時の本人にとって、1番なりたいものに見えたから一旦"そういうことにしておいた"のではないかと思います。「本当にそうなのか?」「一生追い続けられるかどうか?」まで考える必要はないのです。
そして一旦決めたら、そこに辿り着くまでは走り切ると決めているのです。
だからその後おとずれる時代の変化や、獲得される経験、新しい情報に惑わされることなく、決めた方向に進められるのです。
漫画の主人公ような「そういうことにしておく」キャリア戦略が、この情報と選択肢に溢れた迷い多き時代に、より重要になっていくと確信しています。なのでぜひ皆さんも
「マネージャーになりたいってことにしておく」
「30歳で年収1000万欲しいってことにしておく」
「同期で最速で昇格したいってことにしておく」
というポジティブな仮置きをしてみませんか?
情報と選択肢が多い、現代のキャリア戦略
ここまでは、何が正解なんて人生一周目の自分にはわからないので、さっさと決めて全力で走り始めるべきというお話をしてきました。しかし、時代はどうなっていますか?
・インターネットやSNSでいろんな人のキャリアが可視化された
・働き方も柔軟になり、選択肢がどんどん多様化している

見えすぎることがいいとは限らない。時には盲目にして走り抜けることも重要
迷わないことがキャリアを積み重ねる上で重要なはずなのに、情報と選択肢が多すぎて迷わないことが困難になっているのです。さらに、SNSやメディアで取り上げられたビジネスパーソンが逆算してそのポジションにいるようにも感じてしまうのです。
そのような人を見て、自分も逆算してスキルを身につけようと考えてしまいますが、今大成している人たちと時代もスタートラインも全然違うのです。なので、その人に近づこうとせず、目の前の仕事に集中していきましょう。目の前の仕事で成果を出し、信用を積み重ね、よりデカい仕事を任される以外に道は拓けないのです。
キャリア迷子って「自分がよくわからない」ことが原因だと思いがちですが、実は「みんなよくわからない状態で意思決定をし、努力を続けている」という真実を忘れている気がします。
自分がわからない状態でもどんどん早めに決めて、試行回数を増やしていくことでしか自分のことはわからないと思っています。迷っている時間を減らすことがこの時代に最も重要なキャリア戦略なのです。