こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
先日、「成果を出すスキル」よりも、「成長するためのスキル」を磨こうという記事を投稿しました。
この記事では
・近年ハードスキル(成果を出すスキル)偏重になっている
・ハードスキルよりソフトスキル(成長するスキル)の獲得を優先しよう
・ソフトスキルがあれば、勝手に成長できる状態になれる
という趣旨で解説しています。複利で効いてくるスキルを先に獲得すべきなのに、時代が単利スキル偏重になっていることについて警鐘を鳴らしました。
そして今回は、その記事とは一見矛盾するようですが、「成長を目指すのではなく、成果を出すことだけを考えて仕事に取り組んでいこう」というスタンスの重要性とその理由について解説していきたいと思います。
「学びたい」 「成長したい」 「経験を積みたい」
私は日々採用活動の現場にいますが、最近20代の方々とお会いして話をしています。そんな中で、「こんな経験を積みたいんです」「こういう成長をしたいと思っています」「将来的な独立を視野に学びたい」などと、自分の成長を第一に語る候補者が非常に増えたように感じています。
もちろん意識を高く持ち、成長を求める姿勢自体は何ら否定するものではありません。ただ、面接の場でそういった発言を全面に押し出すのには一考の余地があります。なぜなら、会社はあなたの成長を目的とする場ではないからです。転職が当たり前になった時代では、育成コストを支払って社員の成長にコミットする理由がより希薄化しているのです。
会社が社員を採用をする理由は、「社員が成果を出して、業績を上げてほしいから」であり、「社員の夢を叶えること、なりたい姿に育ててあげること」ではありません。にもかかわらず、そうした発言をする若者が増えているのはなぜなのか。
その理由は企業側と求職者側のそれぞれにあると考えています。
①採用の売り手市場化
まず、企業側の理由としては、採用市場が売り手有利になったことです。つまり、若年層の労働生産人口が減っていることにより、企業側は採用難となっているのです。
昔は若い働き手が溢れていたので、企業が労働者を「採用してあげる」というスタンスでした。なので、求職者も自分のやりたいことやキャリアビジョンではなく、「どう御社に貢献できるか?」を必死に説明していました。今やその関係も逆転し、一部の超人気企業を除いては、労働者側が会社を選ぶようになりつつあるのです。
②キャリア安全性の瓦解
そして求職者側の理由はとしては、キャリア安全性が瓦解したからではないかと考えています。これまでは「入社できれば、一生安泰」と思われていた大企業でも、業績が傾き大規模リストラが発生するこの時代。
そんなニュースばかり見て、「どこに入社したって、会社は自分を守ってはくれないんだな」「自分で自分の価値を高めないと、この先やっていけないのではないか」と不安になっているのではないか。そのため、若い人たちは決して仕事を軽視しているわけではなく、自分のキャリアに対する責任感が高まっている。その結果、目の前の仕事の成果や会社への貢献ではなく、「自分が成長できるかどうか」が先行してしまう。そうして、面接でも「成長したい」「学びたい」と言ってしまうのだと思います。
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時代は確実に変わっているが、面接では採用側の気持ちも考慮すべき
気持ちはわかりますが、採用側に「自分にしかベクトルが向いていないテイカーみたいな人だな」と思われてしまう可能性があることを念頭においておきましょう。
配属ガチャなのではなく、人生自体がガチャなのだ
「配属ガチャ」などと言って、希望の配属に就けなければすぐ退職してしまう傾向にあるのも問題です。本来、会社から「これを担当してくれ」と言われたことに従うのが従業員としての働き方のはず。しかし、SNSなどでいろいろな人が「配属ガチャだ」「意に沿わない仕事だから辞める」などと言っているのを聞いて、「それが当たり前の感覚なんだ!」と変な勇気を持ってしまっているのかもしれません。その結果、入社しても、意に沿わなければすぐに辞めてしまうような状況が加速しているのではないかと考えています。
近年は、自分でコントロールできないことに対して「ガチャ」と表現することが、テレビや新聞で広まっています。そんなことを言い出すと、人生はガチャだらけ。配属もその一つに過ぎません。自分で選んだわけではないからこそ、できる経験だってある。自分で選択しないからこそ、人生の選択肢が広がるということを、早めに知っておくべきなのです。
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上手く他人に与えられることも重要です
なので、ガチャに対して悲観的になる必要はないのです。与えられた場所で成果を上げようとすることこそが、あなたを成長させてくれます。主体的な受動性というパラドックスを身につけてみてください。
そもそも、配属ガチャが嫌なのであれば、専門職採用をしている会社を受けるなど、自分がしたい仕事をさせてくれる会社を選べばいいのです。そうではない会社を選んでおいて、「ガチャが外れた」とすぐに会社を辞めてしまうのは悪手としか言いようがありません。また、こうした状況が加速すると、企業側も若い人(すぐ辞めてしまう人)に対して「育成コストは払えない」といった考えになっていきます。「どうせすぐに辞めるんでしょ?」と思ってしまうと、企業側の心理としては即戦力しか採用できなくなるのです。
もちろん、若い人がすべてそうであると言っているわけではありません。しかし、「新卒は採用してもすぐ辞めてしまう」というイメージが定着してしまうと、会社側も「すぐ辞めてしまう人間に対して教育コストはかけていられない」と考えざるを得ません。実際、本当は売り手市場のはずなのに、昔よりも新卒採用の枠を減らす会社や、一定の社会人経験がある人しか採用しない方針の会社も増えてきているように感じています。
「超優秀なポテンシャル人材は新卒で採用して、それ以外の人たちは中途採用にしよう」
こうなってしまっては、新卒を育てようとする会社がどんどん減ってしまうので、自分たちの首を絞めてしまう結果に陥るのです。
「成長したい」と「難しい仕事に向き合いたい」は印象が違う
繰り返しにはなりますが、会社はあなたを成長させるために採用するのではありません。どの会社も何かしらの成果を出してもらうため、会社に貢献してもらうために人を雇っているのです。一見当たり前のことを言っているようですが、このことを失念している人が非常に多い。会社にとって、あなたの成長は業績を最大化するための手段なのです。そして、自分にとって、チャレンジングな仕事をした結果として成長を得られるものなのです。なので働く目的は、その会社で成果を出し、会社に貢献することでなくてはならないのです。
ここを履き違えて「御社でこうした経験を積みたい」「成長できる仕事に挑戦したい」といった話ばかりしていると、「ああ、この人は自分の方にしかベクトルが向いていないんだな」と思われてしまいます。
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成果を出すことだけを考えている方が、結果的に成長スピードも速くなる
近年は独立のハードルが下がったのもあり、「将来独立を考えていて、そのために御社ではこうしたことを学びたいと思っています」と意気揚々と話す人もいます。意識の高い人、やる気がある人と思ってもらえると考えているのかもしれませんが、採用する側からすると、まったくそのようには受け止められません。採用する側からすると、「初めまして」の人に、「将来独立するために、ぜひ御社を踏み台にさせてください」と言われているようなものです。
もちろん、将来起業や独立することは何も悪いことではありません。むしろ野心があっていいなと思います。キャリアビジョンは人それぞれなので、一生同じ会社で働くと決意する必要はありません。問題は、それを面接の場で、しかも最初の面接のタイミングで相手がどのように受け止めるかを考えられないことにあります。聞いているほうは、あなたのコミュニケーション能力に「難あり」と感じてしまうのではないでしょうか。
同じような意味合いでも「成長したい」というのと、「もっと自分にとってチャレンジングな環境で頑張ってみたい」というのでは、受けての印象が大きく変わるのです。
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ベクトルがどちらに向いているかで、同じように「成長したい」と思っていても表現が異なる
「仕事に向き合っていたら、成長していた」が理想的
会社で働く上では、何よりもまず成果を出さなければ信用されません。与えられた仕事が、あなたがしたいと思っていた仕事ではなかったとしても、きっちり成し遂げる。さらに期待以上の成果を出すことで初めて、周囲からあなたへの信用が積み上がります。そしてその結果、より難易度の高い、やりがいのある仕事が与えられるようになるのです。
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仕事の報酬は仕事である。金銭報酬は後からでも取り返せる
考えてみてください。なんの成果も出していない人が、「これは私のしたい仕事ではないから、もっと成長できる仕事をさせてください」などと言ってきたら、あなたならどう思いますか? できるかどうかわからない人に、重要な仕事を任せたりはしないはずです。
いくらその人が「僕、英語が話せます」「私、デザインができます」といっても、大きな仕事であればあるほど、過去に成果を出した実績がないと信じて任せられるはずがありません。
実際私も部下に仕事を振っていると、結果を出せていない社員に対しては安心して仕事を任せられないと感じることがあります。「このまま任せてもうまくできないのでは」と不安になり、仕事の規模を小さくして依頼したり、ある程度の答えをこちらで考えてからお願いしたりといったリスク回避をしてしまう。そうなると、「ああ、この人の成長機会は減ってしまうな」と感じます。しかし、こちらも大事な仕事で失敗するわけにはいかないので、そのような対応になってしまうのです。
なので、成長できるような大きな仕事や重要な仕事は、周囲から「この人はこのくらいの仕事ができる」といった信用を得て初めて任せてもらえるのだ、ということを理解しておく必要があります。
たとえ望んだ仕事でなくとも、与えられた業務に真摯に取り組めば、人は確実に成長します。人は何かスキルを身につけることで成長するのではなく、難しい仕事をしていく中で成長を遂げます。ですから、どんどん仕事を任せてもらえる人間になることが成長機会を得ることにつながりますし、そのためには与えられた仕事で成果を出していくしかないのです。
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信用が積み上がってないタイミングで「やりたいこと」を主張するのは愚の骨頂
そうして成果を出していると、チームリーダーを任されたり、面白いプロジェクトに入れてもらえたりします。これこそ、信用が積み上がっている証拠です。そして、それらは昇格や昇級にもつながっています。さらに、昇格するとまた新たな難しい仕事が与えられ、成長する。この繰り返しで人は成長していくのです。
若造が仕事を選り好みしないメリット
若手社員が上司から与えられた仕事をするメリットも、明確にあります。なぜなら、今の自分が次にトライすべき仕事は、自分ではわからないからです。言い換えると、自分がなりたい姿に成長するための仕事が何なのか、自分ではわからないということ。
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なりたい姿になるためには、"やりたいこと"より"やるべきこと"を優先すべき
例えば、テニスの初心者が次に何の練習すべきかがわからないのと同じで、仕事も何をするのが適正なのか、新人のうちはわかりません。しかし、上司は部下と同じような経験値があり、部下の育成義務もありますから「あの人には次はこの仕事にチャレンジしてもらおう」「少し難しいかもしれないが、先輩社員と一緒に担当するといい経験になるだろう」などと考えてくれています。そのため、与えられた仕事を全うしていくことで十分成長していけるのです。
このように、「成長したい!」と思いすぎなくても、与えられた仕事できちんと成果を出せば、その仕事をする前よりも必ず成長できます。そして、その成果が次の仕事を連れてきてくれます。だから、まずは会社で成果を出すことを自分の命題にしてください。それが結果的にあなたにとっても会社にとっても良い結果になります。若いうちは、狭い視野で闇雲に成長の場を求めるのではなく、その会社に対して自分がどのような形で貢献できるかをしっかり考えましょう。「コトに向かう」というやつですね。それが、遠回りに見えても、最も確実な成長への道なのです。
なのでスキルを身につけようとするのではなく、難しい仕事を与えられることだけを考えてください。仕事が自分を成長させてくれるのです。