こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
社内のメンバーや外部のパートナーと仕事をしていると、「ちゃんと確認してね」と伝えたはずなのに、確認漏れやケアレスミスがなくならないことってありませんか?
しかも、特定の人が何度も同じようなミスを繰り返す。
本人に聞くと『確認しました』と言うのに、「なぜミスに気づかないんだろう?」と、長年疑問に思っていました。本当に謎でした。
例えば、人の名前の漢字ミス。「さいとう」「わたなべ」「かわしま」などはいろんなパターンがあり、間違えやすいですよね。あるいは、会社名「キヤノン」なのか「キャノン」なのか。「富士フイルム」なのか「富士フィルム」なのか。前株なのか、後株なのか。こういった初歩的なミスに対して、ただ漫然と目視チェックをしていても、せいぜい「不自然にここだけ赤文字になっている」といった表面的なエラーにしか気づけません。
今回は、この「確認しているのにミスに気づかない」という現象の正体と、それを防ぐための解決方法についてお話しします。
目次
ルールを知らないと、ウォーリーは見つからない
「ウォーリーポイント」を見極める
①自分の「過去のミス」を洗い出し、抽象化する
②ミスを防ぐための「ルール化」とセットにする
③自分の作業を常に「疑いながら」進める
マニュアル化と「力の抜きどころ」
タスクレベルの洞察力が、人生レベルの洞察力に繋がる
ルールを知らないと、ウォーリーは見つからない
先日、自転車を漕ぎながらこの問題について考えていた時、ふと頭に浮かんだのが「ウォーリーを探せ」でした。
※ウォーリーを探せ風の画像です
もし、この賑やかな絵だけをポンと渡されて、「これ、どうですか?」と聞かれたら、ほとんどの人は「賑やかな絵ですね」としか答えられません。
しかし、「この中にウォーリーがいるんですよ。探してください」と言われたらどうでしょう。さらに、「ウォーリーは赤と白のボーダーの服を着ています」というルールを教えられたら、無数にいる人の中から特定の柄を探しにいきますよね。
仕事の確認作業も、これと全く同じです。漫然と眺めるのではなく、ミスりそうなポイントの当たりをつけて、そこを注視しにいくのです。
全体をなんとなく見ている人のチェックは、ほぼ意味がない
「どこに間違い(ウォーリー)が潜んでいるか」という当たりをつけずに、端から端まで100%の集中力で確認しようとするから、見落とすのです。そんなことやっていたら、無限に時間を浪費してしまします。
「ウォーリーポイント」を見極める
仕事ができる人、ミスにすぐ気づける人というのは、自分の中に「ウォーリーポイント、つまりミスが起きやすい場所の当たり」を持っています。では、この当たりをつける力(洞察力や類推する力)は、どうすれば身につくのでしょうか。
①自分の「過去のミス」を洗い出し、抽象化する
地頭が良くて、最初から「ここは間違えそうだぞ」と予測や類推できる人もいますが、基本的には誰しも最初はミスをするものです。
例えば、資料に「キャノン」と打ち込んでから、実は「キヤノン」が正解だったと後で気づく。ここで重要なのは、「あ、間違えちゃった」で終わらせず、ミスのジャンルづけをすること。
「カタカナ語の古めの会社名は、読み方と表記が一致しないことがある」
ここまで抽象化できていれば、「なるほど、会社名のカタカナ表記というのはウォーリーポイントなんだな」と傾向を言語化することです。
②ミスを防ぐための「ルール化」とセットにする
ウォーリーポイントが見つかったら、次は間違いを犯さないための対策を練ります。
会社名がウォーリーポイントだとわかったなら、
「社名を記載する時は、必ず企業の公式HPを見に行って、そこからテキストをコピペしてこよう」
と自分の中でルール化するのです。これを徹底すれば、前株だろうが後株だろうが、どんな難解な社名が来てもミスを未然に防げるようになります。
③自分の作業を常に「疑いながら」進める
ミスが多い人は、自分の記憶や作業を信じすぎています。「間違っていない」という前提で進めるので、一旦完了まで走り切ります。
仮に記事の執筆というタスクだとすると、すべてを書き終えてから一気に全体を見直して間違いがないか検証しようといます。全体を一気に確認するとなると、ウォーリーポイントが一気に増えてしまうので、確認の網の目がスカスカになってしまい、その結果ミスを見落とすのです。
ミスをしてしまうポイントというのは、だいたい同じなのです
「自分は株式会社を抜きがちだぞ」
「この部分は勘違いしやすいぞ」
「長文を書くと、ロジカルエラーが起きるぞ」
などと、常に自分自身のアウトプットを疑いながら、文章を書きながら細かくチェックしていく姿勢が重要なのです。できる人は、これを無意識にやっているのです。
マニュアル化と「力の抜きどころ」
この「ウォーリーポイント」の概念は、業務の引き継ぎやマニュアル作成にも活きてきます。当たりをつけるということは、力をうまく抜くということなのです。
例えば、100行もあるテキストだらけの業務マニュアルをもらった時、あなたならどうしますか?
当然、隅から隅まで注意深く読むのは大変です。
そうやって、全部隈なく見てもらうよりうまく力を抜いてあげましょう。色々書いてますが「ここが勘違いしやすいポイントだ」という箇所に画像を差し込んで視覚的に強調し、「ここだけは画像を見ながら一緒にチェックしよう」と教える方が、よほど抜け漏れを防げます。
真面目な人ほど「すべての業務で100%ミスをなくそう」としがちですが、仕事には力の抜きどころもあります。社内のチャットなど、スピードが求められる場面では「了解です」が「了解で」になっていても、意図は伝わるので大きな問題にはなりません。
しかし、取引先との契約や、最初のご挨拶のメールで誤字があれば、「この人は仕事が粗そうだな」と致命的な印象を与えてしまいます。そういう場面でこそ、「ここにウォーリーが100人くらい潜んでいるぞ!!」というくらいの気持ちで、徹底的にチェックの網の目を細かくすべきなのです。
つまり、「仕事の性質によって、マインドシェアをうまく配分しましょう」ということなのです。
タスクレベルの洞察力が、人生レベルの洞察力に繋がる
「この辺ってよくミスが起きるんだよな」と当たりをつける力は、すなわち「洞察力」や「類推する力」です。
この思考法や思考習慣が身につくと、単なる書類のチェックだけでなく、「こういう組織体制だと、こういうトラブルが起きやすいな」とか、「レベルの高い環境に行けば、こういう能力が身につきそうだな」と、人生やビジネスにおける「落とし穴」や「当たり」を事前に察知できるようになります。
よく「洞察力がある人はすごい」と言われますが、個人的には、洞察力というのはパターン認知の量だと思っています。
たくさん失敗して、たくさん間違えて、その度に「なんでこうなったんだろう?」を考えていると、「このパターンは危ないな」「この条件が揃うと問題が起きやすいな」という当たりが増えていきます。すると未来を予測している感覚はないのに、不思議と問題が起きる前に気づけるようになるのです。
だから、仕事でミスをした時も落ち込む必要はありません。
大事なのは、ミスしたことそのものではなく、「次からどこをウォーリーポイントとして見るべきか」を言語化することです。
その積み重ねによって、最初は誤字脱字しか見抜けなかった人が、やがて組織の問題や事業のリスク、成長機会まで見抜けるようになります。なので日頃からタスクレベルで、ウォーリーをたくさん見抜いてください。
タスクレベルのパターン認知が、組織レベルのパターン認知に昇華されていく
私は、こういう小さなパターン認知の積み重ねが、最終的にはビジネスパーソンとしての審美眼をつくるのだと思っています。