こんにちは、unname代表取締役の宮脇啓輔です。
以前、「2倍振り返るコツ」というnoteを出しました。こちらのnoteでは、振り返りの効果を2倍に高めるためのコツを、4つ紹介しています。
ビジネスパーソンの成長に欠かせないのが、経験から次へ活きる教訓を抽出する技術です。つまり、具体の事象の振り返りをして、次似たようなミスをいないために抽象化するということです。具体の振り返りだけをしていると、似たようなミスを防ぐことができず、「同じことを言われるやつ」というレッテルを貼られてしまうこともあります。
そうならないためにも、振り返りの練度を高める必要があります。ということで今回は、私が実践している「質の高い振り返り」の技術について、少し深掘りしてみたいと思います。
目次
「セルフ振り返り」には限界がある
ホットなコンテンツを食べろ
① 振り返りの「確信度」が高まる
② 自分より洗練された「言葉」が手に入る
AI時代に、人間に答えを求める理由
「勝手に振り返る部下」は、上司にとっての救世主
「セルフ振り返り」には限界がある
仕事が一段落した時、あるいは一日の終わりに、皆さんはどのように振り返りをしていますか?
一人でノートに向かったり、お風呂の中で「今日はあれがダメだったな」と思考を巡らせたりする方が多いと思います。最初にはっきりと言いますが、自分一人だけで振り返るには限界があります。自分の中に「正解」がないからこそ、失敗したり悩んだりしているわけで、もし自分の中に答えがあるなら、最初からうまくできていたはずだからです。
自分の中にある知識や経験だけで「うーん」と唸っていても、そこから新しい気づきが生まれることは稀です。そうなると、結局、「次は頑張ろう」という精神論で終わってしまうのです。
よくあるセルフ振り返りでは、ネガティブだと考えすぎて、ポジティブだと気合いだけが入る
かといって、毎回上司や同僚に壁打ちを頼むのも気が引けます。
「こんな些細なことで時間を取らせていいのかな」と遠慮してしまい、結局モヤモヤを抱えたまま消化不良で終わってしまう。 これでは成長のスピードが一向に上がりません。
ホットなコンテンツを食べろ
そんな「セルフ振り返り」の課題感を打破するために、私が無意識にやっていて、最近言語化できた最強の方法があります。それは、「セルフ振り返りと似たようなテーマを解説しているコンテンツを摂取する」ことです。
例えば、「部下への伝え方」で失敗したなと思ったら、その日の夜の振り返りの時間に、YouTubeでマネジメントについてのコンテンツを視聴する、といった感じです。いきなり観るのではなく、まずは一度自分で言語化しておきましょう。その上で、有識者はどう言語化しているのかを答え合わせするイメージです。
一見違うテーマを扱っているように見えても、本質が同じというコンテンツもよくある
このステップで振り返ることで、自分の脳みそだけで考えるのではなく、他人の脳みそを借りながら、鮮度高く答え合わせをしていくことが可能です。擬似的にメンターがいる状態を作り出せるのです。
これには、大きく2つの強力なメリットがあります。
① 振り返りの「確信度」が高まる
セルフ振り返りでは、正解に到達していても確信度を高めるのが難しい
自分なりに「たぶん、ここが悪かったんだろうな」と仮説を立てていたとします。その時、動画の中でプロが全く同じことを指摘していたらどうでしょう?「あ、やっぱり自分の感覚は合っていたんだ!」そう思うことができます。このような確認ができるだけで、自己効力感は大きく高まります。「自分の思考回路は間違っていない」という自信が得られれば、次のアクションへの迷いがなくなるのです。
② 自分より洗練された「言葉」が手に入る
自分の語彙よりも、もっと端的でキャッチーな言葉をもらえる可能性が高い
こちらの方が、よりメリットが大きいと思っています。
以前、私が部下に1on1でフィードバックをした時のことです。自分なりに一生懸命伝えて、部下も納得してくれたので「よし、うまく伝えられたぞ」と満足していました。しかしその翌日、散歩中にたまたま聞いていたビジネス系YouTubeで、著名なビジネスパーソンが私と同じようなテーマで話をしていたのです。 その時の、高揚感を今でも覚えています。
というのも、私よりもはるかに解像度が高く、シンプルで、キャッチーな言葉で説明されていたからです。 「うわ、自分が言いたかったのはまさにこれだ…しかももっと洗練されている…」と。ですが、ここで落ち込む必要はありません。その「いい言葉」をそのままパクればいいのです。むしろ、自分のレベルを上げてくれたことを素直に喜べば良いのです。そして部下が同じようなつまずきをした時に、その借りてきた言葉を使えば、自分の言葉として部下に伝えてしまえば良いのです。自分が発明したかのような顔で使ってやりましょう。
ちなみにサイバーエージェントの藤田社長でさえ、他人から洗練された言葉をもらっている事例があったので、ここで紹介しておきます。
私のような50代も飽食の時代に生まれ育ち、満たされた生活を送ってきて、それ以上の何かを求めるようなモチベーションはたいして高くない。だから、何かの夢や理想を掲げて頑張るのではなく、失敗したり諦めたりしたら、仲間に迷惑がかかる、今の仕事を失う、恥をかく、などのイメージを喚起するのがマネジメントの正解なのだと考えてきた。それを何と言えばいいのか、長年モヤモヤしていたけど、「悲劇感を揺さぶれ」と表現した黒田監督の言語化力は流石だ。自分たちがやってきたことが何なのか、しっくりくる。
AI時代に、人間に答えを求める理由
今は生成AI(GeminiやChatGPTなど)に相談すれば、それらしい答えが返ってくる時代です。 しかし、振り返りのヒントを探す際に、AIに「答え」を求めてはいけません。AIの回答は、あらゆる情報の平均値をとった「正論」になりがちで、「言っていることは正しいけど、響かない」ということが多々あるからです。
人と人とのコミュニケーションに必要なのは、正論ではなく「納得感」のある言葉です。 そのためには、やはり血が通った「人」が発信しているコンテンツを浴びることが重要です。特定のYouTubeチャンネル、Xやnoteなどの発信者で、自分と波長の合う「先生」を何人かストックしておきましょう。
その際に重要なのが、今の自分のフェーズに合っている先生を選ぶことです。「今の自分にはレベルが高すぎるな」とか「これはもう卒業した内容だな」といったレベル感を見極めてください。新卒社員が松下幸之助や渋沢栄一の言葉を咀嚼するには早すぎたりします。
今の自分の悩みにジャストフィットするコンテンツを探し、その人の言葉を憑依させて振り返る。これが振り返りの練度を高めるコツなのです。
「勝手に振り返る部下」は、上司にとっての救世主
最後に、マネジメントの視点からもセルフ振り返りについてお話しておきます。
このスライドでは「できなかったことより、勝手に振り返っていないことが悪」というテーマで、重要なスタンスについて解説しています。つまり、「自走できる期待感を、振り返りによって上司にアピールしろ」というマネジメント目線のお話をしています。
上司が部下に対して「こいつは見込みがあるな」「任せても大丈夫だな」と判断する一番の基準は、実は「振り返り」にあります。上司からすると、部下が仕事で失敗したこと自体は、大して問題ではありません。重要なのは、失敗した後に「なぜ失敗したのか」「次はどうすればいいのか」を高い解像度で言語化し、勝手に修正しているかどうかです。
精度の高い振り返りができる部下に対しては、上司はいちいち細かく指示を出す必要がなくなります。つまり、お互いやりたくないマイクロマネジメントから解放されるのです。結果として、部下は自由裁量権を得て、「どんどん暴れ、時には失敗し、成長する」という好循環が生まれます。
勝手に振り返る、つまりセルフ振り返りを行う際は、自分の言葉だけで戦う必要はありません。これまで解説してきたように、本や動画から賢人の言葉を借りて、質の高い振り返りをアウトプットすれば良いのです。これを習慣にするだけで、「あいつは自分で考えて動けるやつだ」という信頼を勝ち取ることができるはずです。ぜひ試してみてください!