この記事は、株式会社unname提供のPodcast番組「マーケティングの正論と本音」の収録をもとに記事化しています。
MC:本田 朝暉 (マーケティングコンサルタント)
スピーカー:宮脇 啓輔 (代表取締役)
本田: マーケティングの正論と本音、第41話です。インタビュアーは私、本田。今日はスピーカーに代表の宮脇さんを迎えてお話を聞いていきます。よろしくお願いします。
宮脇: よろしくお願いします。
本田: 今回は「AI時代にどういうマーケターが生き延びるのか」というテーマでお話を伺います。最近「〇〇マーケター」みたいな肩書きの人が乱立してる中で、専門特化型が生き残るのか、オールマイティ型が生き残るのか。「これはもう危ないんじゃない?」ってところから聞いていきたいなと。
宮脇: 一番危ないのは、そのスキルしか持ってない人ですね。一個の施策、例えばイベントマーケターとかSNSマーケターとか。
「〇〇マーケター」という肩書きの賞味期限
本田: 最近たしかに、施策ごとに細分化して「〇〇マーケター」って呼ぶ風潮ありますよね。
宮脇: うちの採用に応募してくる人でも「SNSマーケやってました」という方は結構いるんですよ。正直「SNSかー、うーん」ってなっちゃう。もちろん20代前半で一つの専門スキルを身につけるっていう意味で、26歳でSNSマーケターだっていうのはいい。でも30歳でSNSマーケターだと、汎用的なスキルやソフトスキルがなさそうだなと思って、なかなか採用しづらいんですよね。
本田: その「SNSマーケター」と、例えば「SNSコンサルタント」だと、見え方違います?
宮脇: SNSコンサルの方が全然良いです。そもそもSNSマーケティングという手法がハマる会社って、強い商材やIPがあるから勝ててるわけじゃないですか。ノウハウ自体はあっても、IPやブランドや商材力っていうのは再現性がないから、それがない会社に行って「SNSやります」って言っても何もできない。事業会社の「〇〇マーケター」は、その事業の一施策しか知らないから、他で通じにくいんですよ。
本田: 一方で、「支援会社サイドにいる方がまだ強い」ということですか?
宮脇: そうですね。いろんな業種や業態の案件をやってる方が、「うまくいく条件・うまくいかない条件」を知ってることが多いんです。ノウハウは全てのケースに有効ではなく、あくまで前提条件や成立条件があります。それを知っている人の方が、アンラーニングもスムーズに進むんですよね。
そんな中、BtoBだと最近「オフラインマーケ」みたいなくくりで展示会・イベント系だけやってる人もいるんですけど、もはやマーケターってつけない方がいいんじゃないかっていうくらい施策特化になってる。これが今後AIに代替されていくと、かなり厳しい立場になると予想しています。
「生き延びるマーケター」の3つ分岐
本田: じゃあ生き延びていく人って、どういうパターンなんですかね?
宮脇: 3パターンあると思ってて。1個目は、支援会社で数多く案件数をこなしているパターン。たくさんの案件、いろんな前提条件・制約条件の中で、事業やサービスを外からでも伸ばしてきた経験。これが結構大事。2個目は、一つの会社を大勝ちさせた経験。まあ今は成長産業があまりないので、大きく伸びる領域や会社は、あんまりないんですけどね。
本田: 大勝ちさせた経験って、どうキャリアに効くんですか?
宮脇: その会社自体が注目されるんですよ。「あの会社すげー」ってなって、取材やインタビューで「何でそんな伸びてんの?」って聞かれる。注目企業や成長企業の話ってみんな聞きたいじゃないですか。なのでメディア取材や、イベントの登壇が増えるんですよね。そうして知名度が得られて、業界の横のつながりができて、フォロワーも増えて、転職しやすくなる。
本田: スキル・経験をたくさん獲得するというよりは、キャリア的なバフというか、プロフィールにブランドが付与されるイメージですね。
宮脇: でも、急成長の会社で辞めずに生き残ってるっていうこと自体、いろんなスキルが必要だと思うんですよ、大体が、社内制度は未整備だし、会社が荒れてたり、組織が崩壊したり、社長が株主から詰められてる中で雑草のようにサバイブしてる。そういう環境で普通に生き残ってるだけで、めちゃくちゃ筋肉質になってると思うんですよね。
本田: 確かに。
宮脇: 3個目は、時間をかけて社内で偉くなっていくパターン。2個目と近いんですけど、大きな組織で10年、20年マーケティング部でやりきると、業界カンファレンスの登壇者として呼ばれたりする。大企業のマーケターで一つの会社で長くやるっていうのは、一つの勝ち筋なんだろうなと。転職が当たり前の時代になってこれを目指す人が減っているので、一社で腰を据えて上り詰めるという選択肢も逆張りになりつつある気がします。ある程度組織規模がないとすぐに上限が見えてしまうというデメリットもありますが。
AI時代は、知識ではなく経験の価値が高まる
本田: いずれにせよ、施策一個に特化したマーケターとしては厳しそうですね。
宮脇: 施策特化の"専門家"としてやっていく分にはいいと思うんですよ。でもマーケターにはなれないかなと思います。早いうちに脱却しないと、マーケティグ領域にチャレンジする機会がどんどんなくなっていくと思っています。前はSEOの知識を知ってるだけで勝てる、みたいな知識勝負もあったけど、そこはAIで代替されちゃうんで。
本田: どっちかというと経験勝負ですよね。
宮脇: そう。二次情報でAIから得た情報だと、必要なタイミングで「これが間違いなくいける」って言うことはできない。本に書いてあったことを盲目的に信じるんじゃなくて、「あの時こうやったら人はこう動いた」「こういうときはこういう兆候が出る」みたいな、自分が経験したことから裏打ちされた知見じゃないと、会社で「次どこに向かうか」って議論で説得力のある発言にならないんですよね。
本田: 組織や周りを動かしてプロジェクトを進められる人間にはならない、ということですね。
宮脇: そうなんです。で、もう一つ言うと、知識のアドバンテージって時間と共に消失していくんですよ。サイバーの藤田さんも言ってますけど、20年前は40代50代のお偉いさんがインターネットを全く知らなかった。だから当時はネットに詳しいだけで若手が価値を出せた。でも今の40代50代はネットに詳しいから、知識だけじゃ若手は太刀打ちできない。Webマーケも同じで、広告代理店の人が来ても、お客さんの方が普通に詳しいみたいな状況になってることは多々ありますし、時間と共にどんどん増えていると感じています。
本田: 知識のストックで差別化しようとしても、上の世代が追いついたら優位性は消える。
宮脇: そう。若手が「決裁権者が知らない新技術」で一時的にチャンスを掴むのはあるけど、それ自体は3年5年で追いつかれる。持続的に差別化できるのは、自分で試行錯誤した経験のストックなんですよ。知識はAIと上の世代の両方から挟まれて価値が目減りしていくけど、経験は自分にしか積めない。
本田: マーケティングのベースの上に「一施策」や「一知識」が乗ってるだけで、その施策や知識はずっとあるものではない。マーケターとして獲得しておくべきものは経験である、という認識に変えた方がいいですね。
第4の道:本来のマーケターになる
本田: ここで一つ、さっきの1〜3以外に4つ目の道があるのかなと思っていて。自分の専門施策以外の経験も重ねて、幅を広げるっていう選択肢。
宮脇: シンプルに、本来のマーケターがやるべき業務をやるって話ですね。でも事業会社でそのポジションにつけるのは一社に一人二人くらいで、マーケティング部の実行者はマーケターになれず「〇〇担当」として採用市場に出ていくことになる。だから転職のタイミングで支援会社に行くか、事業会社でも領域を広げるキャリアチェンジを狙うしかない。
本田: ただ、支援会社に行くって言っても、普通の広告代理店とか施策請負の会社だと、結局「〇〇担当」の延長になって本来のマーケターの側には立てないですよね。
宮脇: そうなんですよ。だから勧めたいのは、うちみたいにコンサルとマーケを両方やってる会社。施策請負じゃなくて、最初から経営層や事業責任者と対峙する前提で仕事が入るから、責任者ポジションに自力で上がらなくても「本来のマーケター」の側に立てるのが一番の特徴です。
本田さんもunname社に転職して3年弱で、もう15件くらい案件やってますよね。一社あたりの深さは出ないかもしれないけど、最初から経営層や決裁者などの上の人たちと喋れるっていう下駄を履ける。階層を高く、早く、そして数多く経験できるのは、事業会社で一社ずつ経営層まで這い上がるのと比べて圧倒的にコスパがいい。
本田: まとめると、施策特化の「〇〇マーケター」で勝ち続けるのは、AIと上の世代に挟まれてどんどん厳しくなっていく。生き残るのは、自分の経験をストックとして積み上げて、経営や事業と並走できる側に立てる人、ということですかね。
宮脇: そうですね。どこの領域に貼ろうかな、AIにかけようかな、と施策を転々とするよりも、本来のマーケター業務を経験できる環境に身を置くこと。それが淘汰されない一番の近道だと思います。
本田: なので、もし「本来のマーケターとして淘汰されない能力を身につけたい」と思った方は、ぜひ一度unnameのカジュアル面談に申し込んでいただければと。お試し副業で2ヶ月働いてみて、よかったら正社員、みたいなのもやってるので。この場をかけて告知させていただきました!