急拡大する日本のHR市場では、採用支援サービスが乱立し、玉石混淆状態となっているといえるのではないでしょうか。本記事では、DMM社に事業売却を行い、子会社役員として事業推進、採用、採用支援を行ってきたDRIX代表の長谷川優にインタビューを実施。DRIXなりの「業界が抱える問題点」と「あるべき姿(DRIXが目指している姿)」をお伝えします。転職活動の軸を人材業界や採用支援会社に絞っている求職者はぜひこの記事をご覧ください。弊社の一貫した採用スタンスが理解できると思います。
長谷川優 / 代表取締役CEO
大学在学中から大規模イベントの開催などを経験。大学卒業と同時にプログラミングスクール事業を運営する「株式会社インフラトップ」を共同創業。その後、DMMグループに事業売却をし、売却後はDMMグループの子会社取締役として事業を推進し、社員数や売上の増加に大きく貢献。2021年12月にDRIXを創業。
採用支援市場拡大に伴う業界の現状とカオス
ーーまず、現在の採用支援市場をどう見ていますか?
様々な要因がありますが、テクノロジーの発展や求職者 / 求人ともに扱えるデータベースの台頭などが理由で参入障壁が下がり、個人・小規模事業者でも“採用支援会社”を名乗れる時代になっていると感じます。それに伴い実績や知見が浅いプレイヤーが急増したのも事実です。結果、「高額フィーを払ったのに成果もノウハウも残らない」というケースが頻発し、企業側の不信感を招いてしまうケースも増えてきていると思います。
ーーなるほど。そのようなことが招く事象はなんでしょうか?
発注する企業側は選択肢が増え過ぎて「何を基準に比較すれば良いか分からない」状態になっています。母集団数や採用数といった目先の数値は大前提非常に重要です。ただ、あくまで採用は事業を伸ばすための手段ですので、このあとにも触れる”ELTV(従業員生涯価値)”の概念が非常に大切なのではと考えます。
短期でKPIを出せる会社が“分かりやすく見える”一方、中長期で採用力を高める伴走型は埋もれがちです。市場の拡大とカオス化が同時に進んでいる――これが今の採用支援市場ですね。
DRIXが考える、採用支援会社へ依頼する際に孕む問題
ーーでは具体的にどのような問題があるのでしょうか?
上げ出すとキリが無いのでいくつか抜粋します。また、すべての採用支援会社に言えることでもないですし、もちろん弊社も完璧ではないので自戒も込め、業界をより良くしたいという想いがあることを前提にお話させていただきますね。
①手段依存の短期成果主義
スカウトや求人媒体投入が目的化し、PDCAが回らない。“母集団が増えればOK”という発想から抜け出せず、自社でコンテンツやブランドを育てる発想にならないため、媒体投下に終始してコストが雪だるま式に。
②企業理解の浅さ
採用についての知見があまりなくヒアリングが形式的で、事業フェーズや業務内容理解、カルチャー等を踏まえた要件定義ができない。
③候補者体験(CX)の軽視
メールテンプレ乱用や選考フローの設計不足で志望度を下げる。
④レポート不在・数値不明
RPOに大きな予算を投じたものの、レポート内容が希薄。何に費用を使い、どの施策が効いたのか分からず、社内に何も残らない状態に。
⑤行動のブラックボックス化
エージェントとのコミュニケーションの頻度や内容がわからないなど、実際に行っていることの“中身”が見えづらく、良し悪しやネクストアクションの判断がしづらい。
⑥イエスマン化による要件肥大
社内のあらゆる立場の方々の意見をイエスマン的に取り入れてしまい、動きが鈍くなる。或いは、施策が偏る。(ex.人事、事業責任者、経営レイヤーの違った意見をイエスマン的に同調し、何も解決しない)
⑦自社都合のチャネル押し売り
手数料が高い媒体や自社プロダクトを優先し、企業ニーズとの適合性を無視。
ざっとこんなところでしょうか。これはあくまで長年採用支援に携わってきた私の見解にすぎないので一概には言えませんが、HR業界に長年身を置く方からすると割と頷けるポイントも多いのではないでしょうか。
ーー実際にご自身で経験された具体的なお話はありますか?
二つほどありまして一つは過去の話。急拡大期だったことで採用リソースが足りず外部に頼ろうとRPO会社に採用業務の依頼をしたことがあったんです。ただ、成果が芳しくない点に加え、起こしたアクションの理由や意図、つまりPDCAが弱く、会社に資産として残るものがほとんど無いという状況でした。弊社も一定信頼をしていたため、細かくチェックをできていなかったのでこちら側の落ち度もありますが、自発的により良い改善アクションの提示と実行、データで残るようなレポートをしていただけると非常に有難いなと感じた経験があります。
そしてもう一つは、DRIXとしてRPO支援をさせていただく際の、他社RPO企業様からの引き継ぎについての話。有難いことにリプレイスしていただくことも多いのですが、これも上述した内容と同じで、アクションの内容や失敗パターン、回してきたPDCAの中身があまりわからないことが多かった印象です。また、担当者様も数回変わっていたため、ヒアリングする術もなく...といった経験がありました。
繰り返し言いますが、すべての採用支援会社様がそうという訳ではないですし、私が経験したこともたまたまだったかもしれません。ただ、このような問題自体は実際に起きているので、そういったリスクも孕んでいることもまた事実ということが伝われば幸いです。
ーーこうした問題が起きる根本原因はなんだと考えますか?
やはり一番には参入障壁の低さがあげられると感じます。実績や知見が浅いプレイヤーが急増し、”事業成長としての採用”といった採用を手段として捉えるのではなく、”目標数値を達成するための採用”といった採用=ゴールとして捉えてしまっているスタンスが根本的な原因だと考えます。自社売上のための採用支援なのか、それとも支援先企業の事業成長のための採用支援なのか、で大きく支援内容や中長期的な成果が変わると思います。
DRIXが目指す、採用支援会社としての“あるべき姿”
ーーでは、DRIXが目指す採用支援会社の“あるべき姿”とは何でしょうか?
キーワードは「ELTV(従業員生涯価値)の最大化」です。採用は事業成長の手段であり、ゴールは“入社後いかに早く・長く価値を出せるか”。母集団形成はスタートラインに過ぎません。このELTVの概念をまず理解していること、そしてELTVを伸ばしていく仕組みが支援内容に含まれていることがあるべき姿だと考えます。
引用:https://jinji-labo.com/employee-life-time-value/
ーー具体的にDRIXではどのように実践されているのでしょうか?
主に以下の4つを重視して採用支援をさせていただいております。
①深掘りヒアリングと要件整理
人事や事業責任者、場合によっては経営陣にインタビューを実施し、要件を整理。市場データを掛け合わせてJDを再設計します。目先の採用ではなく、ELTVを意識したヒアリング項目などを用意し、人事以外の方々にもインタビューを実施するため、いただいた情報を鵜呑みにするのではなく、DRIX独自の観点で解を出し、ディスカッションを通して最適なJDを制作しています。
②透明なデータ運用
週次或いは隔週でスカウト送信数・返信率・面接通過率等のレポートを共有。レポートはドキュメントやスプレッドシートにて、細かく管理するため数年以上遡っても閲覧可能な状態にし、振り返り時に役立てたり、担当交代時のブラックボックス化を防ぐことに貢献します。今後も採用難が続くからこそ、有事に備え、常に採用において勝てるポジションを見つけるためにデータ管理を徹底しています。
③入社後フォローとフィードバックループ
入社者のオンボーディング状況を人事と定点観測し、採用時の仮説と照合。ズレがあれば即JDとチャネル配分を調整し、学習を横展開します。
④イエスマンではなく“バディ”
「それでは採れません」とNOを言える関係性を築き、経営・人事・現場の三者間で最適解を探ります。各ポジションから出てくるオーダーは違った内容が出てくる場合が多く、その度に迎合し相手に意見を合わせることは正義だとは思いません。あらゆる方々の意見を整理し、弊社の採用知見やノウハウを持って、NOと言えることが双方に取って一番良い関係性を築けると強く確信しています。
ーー一貫したELTVを意識した支援スタンスが伝わりました。最後に一言お願いします。
採用はそれ自体がゴールではなく、事業成長のための手段にすぎません。その大きなファクターがELTVを意識した採用支援だと強く実感します。私たちはクライアントの事業を一歩でも速く前進させる伴走者であり続けたいと考えます。もしこの考えに共鳴してくださるHR経験者がいるのであれば、ぜひ気軽にご応募ください。この混沌としたHR市場を一緒に変えていく仲間を待っています。