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世界一のローカライズベンダーを目指すために。エンタライズとPTWジャパンの経営陣が語る「合併の経緯とこれから」

2022 年5月1日、PTW International Holdings Limitedの完全子会社であったエンタライズ株式会社とPTWジャパン株式会社が合併を果たしました。

もともとグループ会社だったとはいえ、なぜこのタイミングで合併が行われたのでしょうか?PTWジャパンの経営陣高尾博史氏と寺尾拓人氏に、合併の経緯や目的、今後の展望を聞きました。

国内外の企業に対し、より踏み込んだソリューションサービスを提供するために合併


ー まずは合併に至った経緯を教えて下さい。

寺尾拓人氏(以下、寺尾):もともとPTWジャパンは海外拠点と連携をして、日本国内の企業様から、多言語のローカライズや多言語のカスタマーサポートといった業務の受注に関する営業活動を行っていました。一方、エンタライズは翻訳、音声の収録、QAといったゲームに関するローカライズサービスを提供する、いわゆる実務を行っている部隊です。

ローカライズサービスを実際に提供しているエンタライズに、PTWジャパンの営業機能を加えることで、国内外の企業様の課題を理解し、より踏み込んだソリューションサービスを提供できるため、サービス自体も向上できると考え、合併に至りました。

私達の親会社はPTW International Holdings Limitedで、我々PTWジャパンはPTW International Holdings Limitedの配下にある、いわゆる国際部門の中の日本法人です。PTW International Holdings Limitedとの連携や他の海外拠点と連携をしていく上では、バラバラに動いていくよりも、日本サイドは一つのチームとして動いていった方が連携も取りやすいといったことも合併の背景にあります。

また、PTWジャパンとエンタライズは一部バックオフィス機能や管理部門のリソースをもともと共有していました。経営のリソースも効率化していこうというのも理由の一つです。

ー 合併の話はいつ頃から持ち上がっていたのでしょうか?

高尾博史氏(以下、高尾):社内で議論に挙げたのは2021年の10月か11月ぐらいですね。そこからいろいろな準備を進めていって、3月の末にIR発表を行いました。

ー 高尾さんも合併の話には前向きだったのでしょうか?

高尾:私も合併した方がいいと思っていたんですよね。先ほど寺尾が申し上げた通り、エンタライズとPTWジャパンは他のグループ会社よりもかなり近い距離感で仕事をしていたので、ここがバラバラの会社である必要は正直ないと思っていました。

ローカライズ業界に於いては、営業に特化した会社と現場寄りの会社が合併することにおけるシナジー効果が期待できます。グループ全体としてもM&Aを繰り返して増えた子会社をまとめて、できるだけ大きい組織として経営を動かしていくという方針を打ち出していたこともあって、我々が合併するのが一番理にかなっているという判断もあります。

ブランディングを対外的に進めるため「PTWジャパン」という社名に

ー 今回の合併ではエンタライズを存続会社とした形になっていますが、社名をエンタライズではなく、「PTWジャパン」とした背景について教えてください。

寺尾:PTWジャパンはもともとエンタライズの親会社です。他のグループ会社も合併を重ねていく中で、PTWという一つの共通ブランディングを対外的にも進めていたために、このような社名としました。ローカライズだけでなくて、QAやカスタマーサポート、ゲーム業界のお取引が多いですが、ゲーム以外のエンタメ業界やIT業界でも幅広い事業で使用しているブランド名ということもあり、事業の発展性を見据えた判断になります。

高尾:エンタライズは2016年にポールトゥウィンがM&Aした会社でして、海外ゲームの日本へのローカライズシェアは世界的に見てもかなり高いんです。ブランドとして残していかないと、長くエンタライズを信頼して発注してくれたクライアントが離れてしまう恐れがあったので、会社の中にもう一つ「エンタライズ」というビジネスユニットを残している形です。

ー 社名が変わったことに関して、社内外からの反応はいかがでしたか?

高尾:第三者からは「存続会社はエンタライズなのに、何で変えたの?」という反応も正直ありました。会社として契約しているオフィスも、もともとエンタライズが契約していたオフィスですし、会社自体はそこに根付いていたんですよね。会社の規模としてもエンタライズの方が大きかったですし、ちょっと違和感はあったのだと思います。

元エンタライズメンバーからも同じような反応はありました。しかし、基本的に「いままでと変わらない働き方です」と伝えていたので、質問されることはあってもネガティブな反応はなかったですね。

ー それらの反応に対して、どういう思いを抱きましたか?

寺尾:「エンタライズの社員からすると会社名が変わるのはおそらく抵抗あるだろうな」という想像はしていましたし、お客様からも「それなりにネガティブなフィードバックが出るかもしれない」とある程度は覚悟していました。ただ、一方で日本のお客様からは、いまいろいろなグループ会社が統合され、一つのブランドになっていくことに対して「シンプルでわかりやすくなったね」と前向きな言葉をいただいたこともあったのでホッとしています。

高尾:対外的にPTWジャパンの社員になりましたが、現場のメンバーはいまだにエンタライズと言っています。やはり、どちらともつかず、ちょっと寂しいような気持ちを抱えている社員もいると聞きます。僕としては「愛社精神を持っていてくれたんだ」と思えて、すごく嬉しいことなんですよ。今はまだ合併して間もないのでこういう気持ちを抱えている社員も少なくないと思いますが、社員もだんだんとPTWジャパンに慣れてきている感じもあります。

ー 合併したことでビジネス的にどんな相乗効果を実感していますか?

寺尾:バックオフィスの機能はエンタライズの管理部で一元管理しており、社内のシステムもエンタライズが使っているシステムに統合し、申請フローを一つにしました。福利厚生についてもバラバラでしたが、合併後、エンタライズが使っていた社会保険や福利厚生に統一され恩恵を感じています。

ビジネス的な側面としては、エンタライズに PTW ジャパンの営業機能を加えることで、日本国内企業に対し、より事業に近い立場から営業活動を行い、顧客企業に対するサービス力を向上させることができています。実際ローカライズを中心とした実務経験を積んだ知識豊富なエンタライズの営業2名がチームに入ってきて、新しいビジネスチャンスを創出してくれていると感じます。

ー 合併後、社内外にどのような変化がありましたか?

高尾:いままで別のオフィスで働いていた人たちが、一つのオフィスに集い新たな交流が生まれていると感じます。例えば海外チームをコントロールしているチームとSalesメンバーが、合併後よく話している姿を見るようになりました。さらにそれを現場のメンバーが見ることによって、「私たちPTW International Holdings Limitedの一員なんだ」という意識が芽生えているのかなと感じます。

寺尾:PTWジャパンの営業は海外拠点と連携して、サービスを日本のお客様に売るという営業を担当しているチームなので、以前は席で案件のことを確認するというシチュエーションがそもそもなかったんですね。営業のメンバーは、何かあればすぐ海外チームとコーディネーションをしているGLDチームの担当者に、電話かWeb会議でコミュニケーションを取っていました。しかし合併後は、オフィス内でディスカッションしたり、一緒に資料を確認したり、そういう場面を見るようになりました。営業チームにとってプラスになっていると感じます。

目指すは「世界一のローカライズベンダー」


ー PTWジャパンとして合併したメリットをいかして、今後どういった展開を考えているのか教えてください。

寺尾:PTWグループの事業規模は合計400億円近くになっています。そのうちの海外事業が大体約110〜120億円で、この海外事業を伸ばしていくのが我々の義務です。

PTWジャパンでは、ローカライズ、QA、カスタマーサポート、ゲーム開発、エンタメにかかわるサポートサービスを全て提供しています。また、子会社のデルファイサウンドはアニメの音声収録が基幹ビジネスとなりますので、ゲームだけでなくアニメのサポート事業など、ゲーム以外の事業も広げていきたいですね。

ー 合併したからこそ実現できる事業も多いのでしょうか?

寺尾:はい。合併したことでよりグローバルに、音声サービスをワンストップで提供できる体制が整いました。これまで日本のゲーム会社が作られた音声のローカライズは、我々の海外拠点のスタジオを使って行ってきました。しかし、ゲームのオリジナル版の収録のお手伝いはまだできていません。当社は日本国内だけで5つ収録スタジオがあり、グループでは海外にもスタジオがいくつかあります。ゲームのオリジナル収録から当社が関わらせていただくことで、ローカライズ版も含めたワンストップで提供していきたいという思いがあります。これはまさに合併したからこその強みです。

昨今、欧米を中心にインフレが起こっていて、現地の人件費も高騰を続けています。海外企業のローカライズサービスに関しては、海外拠点のものを日本のお客様にご提供していますが、インフレの影響で日本のお客様の負担が増しています。一方、合併したことで、日本の中にも現場チームを持てたので、日本でも海外言語のサービスを時差関係なく提供できるようになるのではないかと期待しています。

ー 最後にお二人の決意や、伝えたいメッセージがあればお願いします。

高尾:「ローカライズベンダーとして世界一を目指そう」という目標を掲げていますが、これは1社ではできないことなので、グループ全体で動いていく必要があると思うんですね。別々の会社だとフットワークが重くなってしまうので、それを一つの組織に変えることで、よりスピード感や柔軟性を持って動けると思っています。そういったところをしっかり今後ドライブさせていって、必ず目標を成し遂げたいです。

ローカライズといってもゲームだけではありません。「エンタメコンテンツのローカライズをするならこの会社だよね」と業界の皆さんに認知していただけるようなサービス力、ブランド戦略をしっかり取り組んでいって、社員が胸を張って働ける会社にしたいなと思っています。

寺尾:僕も同じようにエンタメ業界において「PTWジャパンなくして世界展開はできない」と認知してもらえるような会社にしていきたいと思っています。そのためにはゲームだけでなく、アニメなどいろいろなエンタメコンテンツのローカライズに携われるような企業でありたいと思いますし、そのサービスの幅っていうのをもっともっと広げないといけないと考えています。

社員に対しても「私たちの会社ならいろいろなチャレンジができる」という環境を作り出していかなければなりません。世界展開に関しては貪欲に追求していって、お客様のニーズに応えられるような高いレベルのサービスを作っていきたいです。

—— 経営陣のリアルなお話を一気に聞くことで、新生PTWジャパンが合併した理由や、目指している姿がイメージできた気がします。今後どんな新たなシナジーが生まれるのか、動向が楽しみです。

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