「コンサル支援しているのは、住宅工務店だけなんですか・・・?」
先日、会社説明会に参加してくれた方からこのような質問がありました。
はい。SUMUSでは住宅産業に特化して、主に地方の工務店を対象としたコンサルティングサービスを展開しています。
産業に特化するということは、もちろん他の業界を知る機会は減ってしまいますが、実はそれを上回る面白さや、コンサルティングの真髄に触れるチャンスがあるのです。
産業特化コンサルと、テーマ特化コンサルの違い
経営支援やコンサルティングと一口に言っても、労務、人事、助成金、営業戦略、広告戦略、顧客管理、数値管理など、必要とされる領域は多岐にわたります。
こうした各経営テーマに特化したコンサルティング会社も少なくありません。戦略コンサルタント、ITコンサルタントといった名前はよく耳にするのではないでしょうか。こうしたコンサル会社は、クライアント企業の業種業界はバラバラですが、扱うテーマは基本的に1つです。
国内の大手コンサル会社であれば、採用、教育、広告などの2~3テーマに絞って支援をしています。
こうしたテーマ特化型のコンサルティングの場合は、基本的にお客様と「スポット」でのお付き合いになります。比較的短い支援期間の中で一気に成果を出し、また次のお客様の支援に移ります。
弊社のように産業特化のコンサルティングの場合は、一つの分野を改善して終わり、ではありませんので、支援期間は長く、理想は一生お付き合いを続けていくことです。「ALL-IN」方式といって、経営に関わる全てのコンサルティングを行います。
テーマ特化か、産業特化かというのはどちらが良い/悪いということではなく、会社のミッションによる違いによるものです。
住宅産業に眠る大きな可能性
そんな中で、SUMUSは「住宅」という産業を選んでいるわけですが、その主な理由が産業自体の大きさと広がりです。
ここには3つのポイントがあります。
① 基幹産業と言われるほどの巨大な産業
② 業界を支配するようなガリバー企業がいない
③ 商圏が地方に分散している
① 基幹産業と言われるほどの巨大な産業
住宅産業の市場規模は、日本のGDPの20%を占めるとも言われています。この巨大な産業を変えていけるチャンスがあるということは、住宅産業に特化したコンサルティングを行っている醍醐味の一つです。
昨今注目が高まっているIT産業でも、その市場規模はGDP比で5%ほどです。成長が右肩上がりとはいえ、まだまだ住宅産業には及びません。
② 業界を支配するようなガリバー企業がいない
携帯電話会社として、思いつく会社を3つ挙げてみてください。おそらくほとんどの人が同じ3社を挙げたのではないでしょうか。そして実際にその3社で業界の8~9割のシェアを寡占している状態です。
一方で、住宅産業では、誰もが名前を知っている大手工務店やハウスメーカーはありますが、実は各社のマーケットシェアはそれぞれ数%ほど。トップ数社の大事業が産業を引っ張っているのではなく、無数にある住宅会社が総出で産業を支えていることも特徴の一つです。
さらに、住宅産業に属する法人は32万社以上あると言われていますが、そのうちの95%は従業員が10名未満の小規模な会社です。
③ 商圏が地方に分散している
当たり前の話ですが、家は、どこに住んでいても必要なものです。住宅産業は都市一極集中ではなく、地方にも商圏が分散し、大きな可能性が眠っています。地方(中核)市場と田舎の市場を合わせると、32万棟・10兆円もの商圏(※1)が見えてきます。マーケットが分散しているということも、他の産業とは違った特徴です。
※1 2016年の年間着工棟数をもとに計算
①~③で見てきたとおり、住宅産業とはものすごく大きな産業である一方で、会社も地域も分散しています。だからこそ、産業を良い方向に変えていくためにも、全体の90%以上を占める中小規模の企業を支援するコンサルタントが重要な役目を持つと考えています。
長いバリューチェーンを繋ぎ、「間」に生まれる問題を解決する
ここまでは、SUMUSという会社が「住宅産業」を選択している合理的な理由について延べてきましたが、一人のコンサルタントの視点で見ても住宅産業のコンサルに関わるというのは他の産業とは違った面白さと学びがあります。
バリューチェーンという言葉を聞いたことはありますか?
これは企業の様々な活動が、最終的な付加価値にどのように貢献しているかを示した図です。
チェーンとは「鎖」を意味します。様々な活動は鎖のように繋がっているため、どこか一ヶ所が良かったとしても、このどこか1つでも弱いところがあると、鎖が切れてしまうのです。企業経営をしていく中ではこの鎖をきちんと繋いでいくことがとても重要な意味を持っています。
例えば、マーケティング施策が成功して集客できたとしても、それをさばけるだけの人材が確保できていなければ、最悪「黒字倒産」なんてこともあり得ます。
住宅産業はこのバリューチェーンが他の業界と比べて長いことも特徴です。商品開発から実際のお客様の手に渡るまでの間だけでも、たくさんの部門と人が関わっています。
人と人、部門と部門、会社と会社・・・「間」が多ければ多いほど問題はたくさん起こります。バリューチェーンを途切れさせないためには、その全てを解決していかないといけないわけですから、一筋縄ではいかないのです。
例えばIT産業の場合、商品開発とマーケティング・集客でほぼ全て完結してしまうことも珍しくありません。
関わる人が少なくても事業が成立するため、一人の天才リーダーが、少数精鋭メンバーを引っ張りぐんぐん成長していくことも可能になります。
ところが住宅産業のようにバリューチェーンが長く、関わる人や部門が多い状況だと、優秀なリーダーが一人いても成り立ちません。部門Aで画期的なことをやろうとしても、部門Bで引っかかってしまい先に進めないという事例は数えきれないほど見てきました。
鎖が切れてしまわないように、常に部分最適ではなく、全体最適を考えられる「繋ぎ役」や「調整役」が求められます。この「繋ぐ」役目こそ、コンサルタントである私たちの腕の見せ所です。
もちろん、簡単な仕事ではありません。
全体最適を考えるためには、会社経営の全般が見えていなければいけませんし、各部門のマネジメントや部門間の調整などやるべきことは山積みです。その分やりがいは大きく、コンサルタントとして日々大いに鍛えられています。