「半径5メートルの人を幸せにする。そのためにバリューチェーンを変える必要がある。」
そう語るのは、フードプランニングチーム・マネージャーの小田嶋慧一さん。彼は、ミシュラン1つ星の懐石料理店で修行を積んだ後にスタートアップに飛び込み、100社以上の工場提携を推進するという異例の経歴の持ち主。
CEOからの熱烈なラブコールを一度は断り、1年後にDELIPICKSに入社した理由は何なのか。そしてDELIPICKSの根幹である「工場提携」をリードする彼はどのような未来を見据えているのか、お話を伺いました。
一つ星懐石料理店での修行時代から、スタートアップへ
――料理人としてのキャリアはどのようにスタートしたのですか?
母子家庭で育ち、仕事から帰ってきた母にご飯作ってあげると喜んでくれたことから、料理人としての道を目指すようになりました。本格的に料理の道を目指す決意をし、大学を中退して「辻調理専門学校」を卒業しました。
様々な選択肢があったのですが、自分が本当に美味しいと思ったお店は、のちにミシュラン一つ星を獲得した「懐石小室」でした。自ら親方に頼み込んで弟子入りし、厳しい修行をスタートました。修行時代は非常に過酷で、お休みはほとんどなし、厳しい親方の元で3年間鍛えられました。
――なぜ料理人を辞めてスタートアップに転職したのですか?
「半径5メートルの人を幸せにしたい」と思ったからです。お恥ずかしい話しですが、当時は月収5万円で生活しており、12年間お付き合いをしていた彼女とお別れすることになりました。身近にいる大切な人を幸せにしたい、そう考えたことから転職を決意しました。
しかし、食を通じて人を幸せにしたいという軸は変わりません。2社目は業務用の酒販店に入社し、ありがたいことに3年連続営業成績1位をいただきました。自分の料理と営業のスキルを活かしてより大きな挑戦をしたいと考え、3社目はスターフェスティバルという食のスタートアップに入社しました。
――スターフェスティバルで100社近くの工場を開拓したというのは本当ですか?
はい、スターフェスティバルでは工場や飲食店開拓を経験し、数十〜百社近くのアライアンスを進めました。未経験から始まり、約7年間かけてノウハウを身につけていきました。
僕が参加したプロジェクトの1つに、ミシュラン星付きレストランのシェフや有名店の味を工場で再現するという非常に難易度の高い取り組みがあり、協力してくださる工場様を見つけることが大変でした。
例えば、当初の取引先である人気店が閉店となり、そのお店の味を工場で再現するというプロジェクトが立ち上がりましたが、社内では「この味を工場で再現するのは難しいのでは」という懸念の声が上がりました。しかしその声に負けじと、商品開発チームと工場の皆様と協力して必死に試行錯誤しました。僕たちの意見だけでなく工場様からもアドバイスをいただけたおかげで、なんと元のお店の味よりも美味しいという評価をいただける結果となったのです。このように、社内外の皆様とスクラムを組んで良い商品を生み出そうと熱量を注ぐ事に、とてもやりがいを感じました。
――DELIPICKSの代表からのラブコールを一度は断ったとか。その後、どうしてDELIPICKSに入社したのですか?
DELIPICKSとは入社の1年前に飲み会で出会い、代表の谷澤から「起業するんだけど一緒にやらないか」と誘いを受けましたが、その時は自身がスターフェスティバルを卒業して起業したばかりということもあり、タイミングが合いませんでした。
しかし、妻が第一子を妊娠したタイミングでもう一度転職することを決意した時に、ふと谷澤と話したことを思い出しました。何となくの気持ちでDELIPICKSのサイトを見にいったところ、「食を通じてバリューチェーンを変革する。制約のない世の中をつくる」というビジョンが書かれており、1年間でのスケールの変化に驚きました。
もう一つの決め手は面接でした。さまざまな企業の選考を受けましたが、DELIPICKSだけ違う印象を受けました。というのも、面接の後に取締役からフィードバックレターが届いたのです。そこには、まるで昔からの知り合いかのように深く自分を理解してくれている内容が書かれており、驚きました。
こんな人たちと「バリューチェーンを変革する」というビジョンを追いかけていったら、きっとものすごく楽しいのではないかと思い、入社を決意しました。
――入社してからどのようなハードシングスがありましたか?
実は、入社後の3か月間が一番カオスでした(笑)。当時は工場担当が業務委託の方しかおらず、全員が未経験者だったため、通常ではあり得ないスケジュールで工場の立ち上げと製品開発を推し進めるプロジェクトになっていました。何とか立ち上げないと入社早々に倒産するというピンチに突然飛び込む形になり、死に物狂いで立ち上げを完了させました。
その後は、会社が急成長する中でスピーディーに工場開拓と商品開発を行なっていくことが非常にハードでした。ここからは、新規事業である「ソリューションパートナー事業」を立ち上げるという困難な挑戦が待ち受けていますが、まさにバリューチェーンの変革に直結する挑戦だと感じています。
――DELIPICKSの仕事で、どんな時にやりがいを感じますか?
お客様に喜んでいただけるということはもちろん大きな喜びですが、この仕事の一番のやりがいは、製造を支えてくださる工場や飲食店の方々の売上を上げられることにあります。仕事が減って経営が悪化している企業様もいらっしゃるのですが、DELIPICKSと提携することで経営課題の改善に繋がるというありがたいお声もいただいております。「三方よし」という言葉はちょっと古いかもしれませんが、弊社だけでなく関わるパートナーの皆様と一緒に共創共栄していくことに大きな喜びを感じます。
また、DELIPICKSには「High Standard」というバリューがあるのですが、それが達成できたと感じる時はとても嬉しいです。例えば、原価を下げながら商品の質を上げていくという困難なプロジェクトもありましたが、チームで協力して大幅に数字目標を達成できたことがありました。このようにHigh Standardな仕事ができたと感じる時は大きな達成感があります。
――今後、DELIPICKSで挑戦したいことはありますか?
「バリューチェーンを変革し、半径5メートルの人を幸せにする」ことが僕の夢です。
代表の谷澤がよく「オーケストレーション」という言葉を使うのですが、それは「みんなで協力する」という意味です。自分達だけが繁栄するのではなく、大企業も中小企業もみんなが手を取り合って、社会や個人の課題を解決していく、そういったプラットフォームをつくっていきたいです。
そのためには、より多くの工場様とのネットワークを構築し、価値ある商品が生み出される仕組みづくりをする。それが僕のできることだと考えています。
よく社会課題の解決やバリューチェーンの変革などと言うと壮大なテーマに思われがちですが、仕組みを変えることでそばにいる大切な人を幸せにすることに繋がるのではないかと思っています。僕はそのために仕組みを変えたいのです。
――最後に、DELIPICKSで好きなVALUEはありますか?
Be Niceです。
DELIPICKSに入社する前は、正直いうと荒々しい人もいる企業も経験していましたが、DELIPICKSでは今までにない人間関係を感じています。働く上で人間関係に関するネガティブなノイズがないので、力を発揮しやすいし、自分の活力を保てる環境だと感じます。
Be Niceというのは、単なる優しさや丁寧さではありません。「良いことも悪いこともナイスな態度で伝えようぜ」という意味なのです。スタートアップでは当然苦しいことや悪いことも起きますが、それでも相手のことをリスペクトしながら前を向いて楽しもうという価値観が好きです。
ぜひ、Niceな方に入社いただき、一緒に大きなビジョンを追いかけていきたいです!