ALSの方の一人暮らしの体制を整える上で最大の課題は、24時間365日人手を絶やさないことです。介護業界では人の取り合いをしている中で、医療行為があり、要望過多であり、細かな配慮が求められる難病の在宅介護。ホームヘルパーの平均年齢は50~60歳と言われているがその方々が、透明文字盤を使ったり、意思伝達装置を駆使しながらコミュニケーションを取りつつケアを整えていくことは難しいことだと思います。この業界は登録ヘルパーのように非正規職員が約8割を占めていて現場や日常生活で培われた経験でケアをされている方が多いような印象を受けます。僕も登録ヘルパーの経験が長く患者さんから教わってきたというよりも鍛えられてきたという感覚です。
今、関わらさせていただいている方には、同行研修をできるような代弁・仲介・連携できるヘルパーさんがいないということを感じました。なので、新しい事業所や新しいヘルパーさんがいたとしてもイチから関係性を築いて、留意点を捉えながらケアを整えていかなければなりません。ジェスチャーを交えながら会話できればいくらかハードルは下がるかもしれませんが、文字盤を用いて会話をしケアを整えるのは簡単なことではありません。また、ヘルパーさんはやっているつもりでも、本人からするともう少しこうしてほしいという希望があり伝えるも「やっています」と、なかなかうまく伝えることができずコミュニケーションエラーが起きてしまうことも多々あります。このことが原因でやめてしまうヘルパーもいます。
人手が足りない部分は家政婦さんや知人が入ってなんとか埋めていますが、経済的な負担が大きく崩壊するのは時間の問題です。早急に解決しないと在宅生活ができなくなってしまういますのでいくつか課題をまとめてみます。
・同行研修・ひとりだちの仕組みを整える
・生活にボランティアを導入し、ボランティアの中からヘルパーさんを探す
・ケアの合間に、対話の時間を設ける
・ケアの最後に互いにフィードバックする時間を設ける
先日話し合った内容はこんな感じです。
まずは、既存ヘルパーの関係性を深めながら、新規ヘルパーの獲得・研修ができればと考えています。実はこの方は、お月様が好きで満月カレンダーをお持ちです。満月の日には外に出て眺めるのがお好きです。体制が整ってきたら、ボランティアさんも交えながら外出していろんなところに行きたいとおっしゃってました。進行性難病はどんどん失っていく病気ですが、この気持ちは奪わせてはいけないし、この方を中心としたコミュニティは新たに形成できます。
この方が自宅で生活できるように環境を整えること。ALSでもやりたいことをやれるように支援することは僕たちの仕事です。
この方のパートナーとなっていけるようなヘルパーさん。一緒に支えていきましょう。