こんにちは!井之頭学園の採用担当です。
本日は、教員の佐藤さんにインタビューをしてまいりました。
- 教員になるきっかけになった学生時代のエピソード
- ICT教育との出会い
- 井之頭学園に参画した理由
についてお話しして参りますので、「教育改革に興味がある方」や「教育のDX化を推進させたい方」はぜひ最後までご覧ください。
教員になるきっかけをくれた先生との出会い
教員になりたいと思うようになったのは、中学校の陸上部でお世話になった顧問の先生がきっかけです。
もともと中学に入学するまでは、あまり外に出ず、家でゲームをして友達と遊んだりするようなインドアな性格だったんです。陸上部に入ったのも、親から「何か部活に入っておけ」と言われ、軽い気持ちで「走るだけならできるかな」と思って入部しました。
でも、その先生と出会ってから、走ることが楽しいと感じるようになって。その経験がきっかけで、今でもウルトラマラソンを続けています。私の人生にとって大きな支えとなる「陸上」を教えていただいたことにとても感謝していますし、私も「その先生のように生徒に何か大切なものを与えられるような教員になりたい」と思うようになりました。
国語の教員になることを決めた高校時代
高校時代は、国語教員になるきっかけをくれた先生に出会いました。
高校に入るまでは、社会、特に歴史が大好きで、ずっと勉強をしていました。しかし、その先生の国語の授業を受けてから、文章を読む楽しさに気づき、「国語もいいかもしれない」と思うようになって。
最終的には、国語の教員になるか社会科の教員になるかを決めきれず、進学する大学で決めることにしました。結果的に、都留文科大学の文学部に進学が決まり、国語教員になる道を選んだというわけです。
大学時代。ICTとの出会い。
大学では、「最新の教育を学んでみたい」という気持ちから、“ICTを活用した国語教育学”のゼミを選択しました。
もともとICTには全く興味がなかったのですが、ICTに出会って考え方が大きく変わりましたね。
特に、“ロイロノートスクール”というクラウドサービスを使った「教員になったつもりで、ICTを使って教材を作ってみよう」という授業を通じて、教授と深い話をしたり、実際にICTを取り入れている様々な学校の授業を見学するうちに、自分の考え方が大きく変わりました。
例えば、漢字の学習。従来はドリルを与えられ、ひたすら書き込み、“止め”や“払い”で減点されるというのが当たり前でした。しかし、そのゼミの教授は「そもそも、その減点って何?」「漢字学習は本質的にどうあるべきだと思う?」と私たちに投げかけてきて。
学校教育の最先端で30年以上教員を続けてきた教授から、これまでの学校教育を覆すような発言がされるのが驚きでしたし、自分が何も答えられなかったことに、自分の無力さや凝り固まった考えに気づかされ、「これでは駄目だ」と痛感しました。そこから真剣に教育やICTの活用に取り組むようになりました。
どうしても「自分の受けた教育が最高のものだ」と思って動いてしまうことが多い中で、このゼミでは、「考え方を見直す必要がある」と教わりました。また、実際に考え方を見直し進化をしている最先端の学校がどのようにICTを活用し、どのような授業を行っているかを知ることができたのは本当に貴重な経験だったと思います。
千葉の私立高校に就職
新卒では千葉の私立高校に就職することを決めました。その理由は二つ。
一つ目に、「なぜ私立を選んだのか」というところですが、大学時代のゼミの教授も私立校で教えており、進路相談をした際に、「私立あれば、自分がいる限り授業を続けられるし、文化を作ったり、自分のやりたい教育を実現しやすい」とアドバイスをいただいたからです。もちろん、公立にも良い点はありますが、これまでの経験から、私立と公立を見比べた上で、そのアドバイスを踏まえて私立を選びました。
二つ目は、「ロイロノートスクール」を導入していたこと。
大学時代のゼミの授業で使っていた「ロイロノートスクール」は、初めて自分の教育に対する考えを変えてくれたツールだったので、導入されている学校にいきたいという想いが強かったですね。
私立高校→ロイロ社に転職。「自分の考えを変えてくれたロイロをさらに広めたい」という想い
しかし、実際に就職してみると、現実とのギャップがありました。特にICTの面では、導入されているものの、まだ黎明期であり、実際に授業でどう活用するかについては、先生たちが手探りの状況でしたね。
そのような中で、率先して授業で活用してみた結果、教員研修で先生たちの前に立って説明する機会をいただくようになりました。この経験を通じて、「今後、全国の学校でICTが活用されていくはずだし、自分の考えを変えてくれたロイロノートスクールをさらに広めたい」と考え、ロイロ社に応募したところ採用していただき転職することになりました。
自分の実力不足を実感したロイロ時代。
ロイロ社に入社した当初は、自分と周りの社員の実力差に悩み、「自分は実力が足りない」と感じて転職を考えた時期もありました。特に、「何を目指しているのか」という目的意識と、それに向かって進める考え方が欠けていると痛感しましたね。
この状況を乗り越えられた要因は三つあります。
一つ目は、ロイロ社の「自分で成長し、自分で学ぶ」という文化。教員として「ただ授業をやる」「生徒に教えて覚えてもらう」ということを考えてきた私とは正反対の自己成長の考え方を身に付けられたのは大きかったです。
二つ目は、社員が経験や知識から学んだことを組織全体の財産にする文化です。その知識を積極的に吸収しようと努力することで、なんとか追いつこうとしました。もしこの文化がなく、「とにかく頑張れ」と言われるだけだったら、おそらく挫折していたと思います。
三つ目は、周りの先輩方の姿勢です。「仕事だからやる」というスタンスは全くありませんでした。「ロイロを導入すれば教育がこう変わる」という価値観だけは、皆が共有していましたが、その先で「何をしたいのか」「どういう想いでやりたいのか」は人それぞれ。各自が確固たる信念を持ちながら、それぞれの想いと価値観で繋がって仕事をしていました。
再び教員の道へ。井之頭学園との出会い。
ロイロ社での経験を積んだ後、井之頭学園に転職し、再び教員としての道を歩み始めます。転職のきっかけは、当時の副校長と個人的な関わりがあり、「うちでやらないか」と声をかけていただいたことです。「ICTが全然進んでいないので、そこを変えていきたい。佐藤の力を借りたい」と言っていただき、入社を決めました。
辞めるか、辞めないか
入社後の昨年は、困難なことが多く、一時は退職も考えたくらいです(笑)というのも、ICTの活用が進まず、設備も十分ではありませんでした。iPadは導入されていたものの、可動式のプロジェクターが10台ほどあるだけで、毎回の持ち運びが必要な状況。電子黒板や固定式プロジェクターもなく、明確なICT活用の方針も見えませんでした。
そのような状況の中で、電子黒板の導入や生徒端末の管理、環境整備、研修などを担当しているうちに、「この環境での経験が自分の成長に繋がるのだろうか」と考えることもありました。
それでも続けようと思えたのは、執行役員の菊池さんや、お世話になっている先輩から「日本一のDX推進校を目指したい。そのために君の力が必要だ、残ってほしい」と声をかけていただいたことが大きかったですね。また、「評価制度をこのように変えていく」「ICTの体制をこう整えていきたい」と、具体的なビジョンを示していただきました。ただ「一緒に頑張ろう」という声掛けではなく、明確な方向性を示してもらえたことで、もう少し頑張ってみようと踏みとどまることができました。
やっと舞台が整った。
今の心境は、やっていてとても楽しいです。ICTを中心に動ける体制が整い、これまで「こうしたかった」「こうできたら良かった」と思っていたことを次々に提案できるようになりました。たとえば、MacBookやSlackの導入など細かい部分から、ロイロで学んだ考え方を広めたり、他の先生と意見を交換しながら試行錯誤しています。
抱負。DXを推進していきたい。
抱負として、DXの推進は不可欠だと考えています。というのも、私自身、ロイロ社で教員以外の働き方を経験したことで、学校と社会の差を実感し、その違いを埋めるための組織体制や意識改革を進めたいと思うようになりました。
DXを通じて、生徒にとって本当にこれからの時代に必要な教育を提供できる学校にしていきたいです。その中でも特に大切にしたいのは、将来に向けた準備だけでなく、生徒が在学中の3年間や6年間に、本当に打ち込めて、楽しくてやりがいのある経験を積むこと。その期間が、生徒にとってかけがえのない思い出や、人生の軸となるような学びの時間であってほしいと思っています。
また、教員一人ひとりが「こうしたい」と思いを持ち、それを実践できる環境を整え、より良い教育ができる体制を築き、学校全体の成長を目指していきたいと思います。