不動産の高預かりとは、不動産会社が物件のオーナーに対して相場よりもかなり高い査定金額を根拠もなく提示し、媒介契約を結ぶ行為です。「必ず売れますよ」などと言葉巧みに売主を誘導するといった手口が問題視されています。
媒介契約の手口
背景には、手段を選ばずに少しでも多くの媒介契約を取り付けようとする不動産会社側の思惑があります。極端な例では、5000万円程度の相場価格の物件を「8000万円で売る自信がある」と高値を提示して預かります。売主はその金額に心が奪われ、媒介を依頼してしまうのです。
売主が損切り
だが、そんな高値で売れるわけはありません。ずるずると半年、1年と売却活動期間を延ばし、売値を徐々に下げさせられ、結局は相場価格での売却か、売主に損切りをさせます。その不動産会社は、特に販売活動や広告費用も掛けず、リスクもないままに、集客という『うま味』だけを得ている。
売却査定
売却査定は、複数社にするのが一般的です。売主としては1円でも高く売りたいのだから、その中で最も高い価額を提示した先に依頼するのは、普通のことです。
後で値下げを提案
問題は、本当にその高値で不動産が売れるかどうかです。実際は、他社との競争の手前、高値の査定価額を提示します。
その後は大して販売活動に力を入れません。それでは売れるわけがないから、適当な期間を待って、「なかなか売れないので、少し値段を下げましょう」などと売主に提案します。売主は仕方がないから、当初に設定した価額を段々と下げていきます。
積極的な販売活動をしない
その後も、その不動産会社は広告費も掛けずに積極的な販売活動はしないから、最終的には、ずいぶんと経った後に、相場価格か、もしくは、それよりも安い価格で売却するように売主を説得するでしょう。最後には、売主に損切りをさせることになってしまうのです。
(伊藤ビル株式会社)